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5章 帰郷!エルフの里へ ~記憶喪失編~
船に乗ろう~幸福の中に忍び寄る一つの影2~
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◇
「ふわぁ~~~、おふねさん、おっきいの~♪」
「ミナト、近くに寄りすぎると危ないからこっちにおいで☆」
「あいっ、セイたん!」
今日はいよいよ船で出発です!
天気は良好!海風も気持ち良くて出発日和です!!
予約した人達が集まる出発用の集合場所で、船の準備ができるのを待っています!!!
そして、あたしの体調はというと・・・―――
「・・・うぅ、腰がまだ痛いってゆーか重い・・・エルのばか~~~っ」
「・・・」
「サーヤ、怪我でもしたの?」
「あ、ベルナートさん!えっと、その・・・怪我ではないよ、ははは~」
「?」
意味が解っていないベルナートさんと、意味を解っていて放置してくれているカルステッドさん達。
・・・気のせいだろうか、アレク兄様がなんかイイ顔をしてこっちを見ている気がする・・・
ちなみに、セイルはミナトちゃんと今日これから乗る船を近くまで見に行っているのでこの場にいない。
エルの宣言通り、昨日・・・というか今朝まであたしとエルは必要最低限以外ベッドから出ることなく過ごした。
もちろん回復魔法をかけてもらったんだけど、さすがに倦怠感までは消えなくて動けなくはないけどものすごく重い。・・・痛くない生理痛みたいな感じとでも言うのだろうか。
言いたくて言えなかったことや、聞きたくても聞けなかったことを全部言えたのは嬉しかったけど、出発の段階でこんな状態になることをあたしは望んでないっ!!
「どうせ船の中は退屈になるんだ。多少動けなくても問題なかろう」
「それはそうかもしれないけど、船の中だっていろいろ歩きたいの!何もなくてもエルと一緒に見て回りたかったのに・・・」
「・・・すまん、回復したら付き合ってやる」
「むぅ・・・動けない間は前みたいにいろいろお世話してもらうんだからね」
「あぁ、食事も風呂もトイレもすべて俺が・・・」
「だぁぁぁぁっ!!だから口に出して言う言葉を考えなさいっ!!!」
そんな感じでもう少しで出発です!
・・・そんなあたし達の様子を見ていた一つの影があった・・・
「・・・あれって、髪色は違うけど、もしかして・・・エリュシオン?」
◇
無事に船に乗ったあたし達は、とりあえず部屋で休憩することにした。
今回の客室も、この船の中ではスイートルームのようなとても広いお部屋でした。
・・・エルって旅行行くときは毎回こんな豪華な部屋なの??
カルステッドさん達はそれぞれ個室を取っていて、情報収集と設備の確認だと言ってすでに船内をいろいろ回っているらしい。
「気にするな、あいつらのソレは職業病みたいなモノだ」
「そうなんだ・・・」
晩ご飯は一緒に食べれるというので、それまではあたしが魔法袋に入れてきたお菓子を出して、部屋でティータイムを過ごしていた。
「今日のお菓子はドーナツです!」
「ですっ!」
「へ~、おもしろい形してるね☆・・・ん、甘くて柔らかくて美味しい♪」
「ん、美味しい」
「揚げたモノに砂糖をまぶしたのか・・・作り方も味も不思議だが美味いな」
それぞれが感想を言い合う中、エルは相変わらず研究と同じように分析して食リポをする。
あなたのソレも立派な職業病だと思うよ。
「サーヤまま、おいちいね☆」
「ふふ、たくさんあるけど、食べすぎると晩ご飯食べれなくなっちゃうから2つまでね」
「あいっ」
天使は今日も元気で良い返事です。うん、超可愛い♡
おやつを食べて、歩く程度なら問題ないくらい回復したあたしは、エルと船内を散策することにした。
食べたぶん少しでも動いておかないとね!
「ん~~っ、海がきれいだね~♪」
「そうだな。前の世界にも海はあったのだろう?」
「うん、あったよ!綺麗なところはすごく綺麗なエメラルドグリーンだったり、底が見えるくらい綺麗な青だったりしたなぁ。でも、科学が発展してたぶん汚染されたりしてるところもあったね」
「なるほどな・・・発展するには何かしらの代償が必要というわけか。どこの世界も変わらんな」
そんな何気ない話をしながら人気のないデッキで海を見ながらエルと話をしていた。
手すりに置いていた手の上に、エルの手が重なった。
「どうしたの、エ・・・んんっ」
「ん・・・はぁ、ふ」
振り返ったらエルにそのままキスをされた。
だんだん深くなるキスに力が抜けそうになると、ちゃんとエルはあたしを支えるよう抱きしめてくれる。
「んちゅ、ふ・・・もうっ、いくら人がいないからってこんなところで・・・」
「イヤ、だったか?」
「・・・イヤじゃないけど・・・バカ」
その後も、人がいないのを見計らったエルに何度も何度もキスされた。
もう、こんなんじゃ船内散策どころじゃないじゃないか・・・と思いながらもあたしはエルのキスに反応する。
「ん、はぁ・・・ダメ、これ以上は歩けなくなっちゃう・・・」
「歩けなくなったら俺が運べばいいだろ」
「もうっ、抱っこされるのだって見られたら恥ずかしいのっ!!」
そんないつものような会話をしているときだった・・・――――――
「エリュシオンは・・・もうお姉ちゃんのことを忘れちゃったの・・・?」
声のした方向を見ると、そこにはブラウンの長い髪で片目を隠した琥珀色の瞳の人(?)がいた・・・―――
「ふわぁ~~~、おふねさん、おっきいの~♪」
「ミナト、近くに寄りすぎると危ないからこっちにおいで☆」
「あいっ、セイたん!」
今日はいよいよ船で出発です!
天気は良好!海風も気持ち良くて出発日和です!!
予約した人達が集まる出発用の集合場所で、船の準備ができるのを待っています!!!
そして、あたしの体調はというと・・・―――
「・・・うぅ、腰がまだ痛いってゆーか重い・・・エルのばか~~~っ」
「・・・」
「サーヤ、怪我でもしたの?」
「あ、ベルナートさん!えっと、その・・・怪我ではないよ、ははは~」
「?」
意味が解っていないベルナートさんと、意味を解っていて放置してくれているカルステッドさん達。
・・・気のせいだろうか、アレク兄様がなんかイイ顔をしてこっちを見ている気がする・・・
ちなみに、セイルはミナトちゃんと今日これから乗る船を近くまで見に行っているのでこの場にいない。
エルの宣言通り、昨日・・・というか今朝まであたしとエルは必要最低限以外ベッドから出ることなく過ごした。
もちろん回復魔法をかけてもらったんだけど、さすがに倦怠感までは消えなくて動けなくはないけどものすごく重い。・・・痛くない生理痛みたいな感じとでも言うのだろうか。
言いたくて言えなかったことや、聞きたくても聞けなかったことを全部言えたのは嬉しかったけど、出発の段階でこんな状態になることをあたしは望んでないっ!!
「どうせ船の中は退屈になるんだ。多少動けなくても問題なかろう」
「それはそうかもしれないけど、船の中だっていろいろ歩きたいの!何もなくてもエルと一緒に見て回りたかったのに・・・」
「・・・すまん、回復したら付き合ってやる」
「むぅ・・・動けない間は前みたいにいろいろお世話してもらうんだからね」
「あぁ、食事も風呂もトイレもすべて俺が・・・」
「だぁぁぁぁっ!!だから口に出して言う言葉を考えなさいっ!!!」
そんな感じでもう少しで出発です!
・・・そんなあたし達の様子を見ていた一つの影があった・・・
「・・・あれって、髪色は違うけど、もしかして・・・エリュシオン?」
◇
無事に船に乗ったあたし達は、とりあえず部屋で休憩することにした。
今回の客室も、この船の中ではスイートルームのようなとても広いお部屋でした。
・・・エルって旅行行くときは毎回こんな豪華な部屋なの??
カルステッドさん達はそれぞれ個室を取っていて、情報収集と設備の確認だと言ってすでに船内をいろいろ回っているらしい。
「気にするな、あいつらのソレは職業病みたいなモノだ」
「そうなんだ・・・」
晩ご飯は一緒に食べれるというので、それまではあたしが魔法袋に入れてきたお菓子を出して、部屋でティータイムを過ごしていた。
「今日のお菓子はドーナツです!」
「ですっ!」
「へ~、おもしろい形してるね☆・・・ん、甘くて柔らかくて美味しい♪」
「ん、美味しい」
「揚げたモノに砂糖をまぶしたのか・・・作り方も味も不思議だが美味いな」
それぞれが感想を言い合う中、エルは相変わらず研究と同じように分析して食リポをする。
あなたのソレも立派な職業病だと思うよ。
「サーヤまま、おいちいね☆」
「ふふ、たくさんあるけど、食べすぎると晩ご飯食べれなくなっちゃうから2つまでね」
「あいっ」
天使は今日も元気で良い返事です。うん、超可愛い♡
おやつを食べて、歩く程度なら問題ないくらい回復したあたしは、エルと船内を散策することにした。
食べたぶん少しでも動いておかないとね!
「ん~~っ、海がきれいだね~♪」
「そうだな。前の世界にも海はあったのだろう?」
「うん、あったよ!綺麗なところはすごく綺麗なエメラルドグリーンだったり、底が見えるくらい綺麗な青だったりしたなぁ。でも、科学が発展してたぶん汚染されたりしてるところもあったね」
「なるほどな・・・発展するには何かしらの代償が必要というわけか。どこの世界も変わらんな」
そんな何気ない話をしながら人気のないデッキで海を見ながらエルと話をしていた。
手すりに置いていた手の上に、エルの手が重なった。
「どうしたの、エ・・・んんっ」
「ん・・・はぁ、ふ」
振り返ったらエルにそのままキスをされた。
だんだん深くなるキスに力が抜けそうになると、ちゃんとエルはあたしを支えるよう抱きしめてくれる。
「んちゅ、ふ・・・もうっ、いくら人がいないからってこんなところで・・・」
「イヤ、だったか?」
「・・・イヤじゃないけど・・・バカ」
その後も、人がいないのを見計らったエルに何度も何度もキスされた。
もう、こんなんじゃ船内散策どころじゃないじゃないか・・・と思いながらもあたしはエルのキスに反応する。
「ん、はぁ・・・ダメ、これ以上は歩けなくなっちゃう・・・」
「歩けなくなったら俺が運べばいいだろ」
「もうっ、抱っこされるのだって見られたら恥ずかしいのっ!!」
そんないつものような会話をしているときだった・・・――――――
「エリュシオンは・・・もうお姉ちゃんのことを忘れちゃったの・・・?」
声のした方向を見ると、そこにはブラウンの長い髪で片目を隠した琥珀色の瞳の人(?)がいた・・・―――
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