上 下
151 / 512
4章 打倒!悪役令嬢ヒロイン

断罪!悪役令嬢ヒロイン

しおりを挟む


あたしが意識を失ってから、レヴィンさんとユーリ殿下が部下を連れた状態で登場したようだ。
そのまま場所を謁見の間に移し、アネモネさんの断罪が行われたとのこと。




「アネモネ=ウィンスレット男爵令嬢!ユーリウス=ルド=ガルドニアの名の下に、この場で貴様の罪を公にし、断罪させてもらう!犯罪者を前へ!!」
「痛っ・・・ユーリ、酷いわ。アタシは何も・・・」
「黙れ!オレは発言する許可を与えていない!!」
「許可って・・・アタシ達婚約者でしょう?どうして・・・」
「婚約破棄の手続きはすでに終えている。貴様はもうオレの婚約者などではない!」
「??!!」

アネモネさんと周りの貴族達はさぞ困惑らしい。
今までユーリ殿下はアネモネさんをとても大事にしていたそうだから・・・魅了魔法のせいだけど。

そして、罪状が次々に告げられた。

「まず、魅了魔法でオレを誑かし、当時婚約者であったサーシャリア=ロンド伯爵令嬢と婚約破棄をさせたこと。父上が隣国に行っている間に執行するようオレに助言し、追放先の"帰らずの森"で、サーシャリア=ロンド嬢を殺そうとした罪」

ザワっと貴族達がどよめく。
当たり前だ。何の罪もない令嬢が婚約破棄されて追放された上に殺されそうになったのだ。
嫌でもアネモネさんの残虐性がわかってしまう。

「また、近日現国王の来賓として招き訪れていた、王の友人でもあり元魔法省トップのエリュシオン殿の婚約者であるサーヤ嬢を誘拐。彼女は森でエリュシオン殿に助けられ、過去の記憶を失っていたサーシャリア=ロンド嬢であることが判明し、婚約者殿と結婚するのに戸籍を確認するため訪れていた罪なき国民だ。
その彼女の婚約者を罪人アネモネはまた魅了魔法で誑かそうとし、誘拐したサーシャリア=ロンド嬢については陵辱、殺害しようとした!」

貴族達のざわつきが先ほどよりも増えた。
残虐性がさらに酷くなっているのだから当たり前だ。
こんなことをするのは狂気の沙汰以外何物でもない。

「以上の、醜悪で残忍的、残虐的重罪から、貴様の処分を黒の塔へ命あるまで幽閉の処分とする!!」

罪状が発表されたとき、会場からはざわめきと歓声の両方があったと言う。
自らも被害者である王太子の英断だと称賛する者が少なからずいたのだそう。

もちろん、そんな判決に彼女は・・・

「なっ!そんな・・・いくらなんでもおかしいですっ!魅了魔法は私ではなくあの女が使ったのではないですか??」
「・・・サーシャリア=ロンド嬢が?仮に彼女が魅了魔法などを使って、何のメリットがあると言うのだ?オレは彼女を愛しているのに・・・」
「!!」
「貴様はオレとサーシャの育んでいた関係を壊した毒婦だ。・・・そうそう、オレと婚約する前も婚約してからも、多数の男と関係を持っている姦通罪も追加しておこう」
「なっ、何を仰いますか!名誉毀損ですわ!!何を証拠にそんなことを・・・っ!!」
「証拠ならある。まずはコレを見よ」

ベルナートさんの封印を壊して無理やり使役した“ベルナートさん自身の記憶”、そしてエルが自分の幻覚を見せながら触手にアレコレさせていろいろ自白させた記憶を証人となる貴族がいる前で流した。

偽物だとしても本物だとしても、記憶を記録する黒曜石は闇の精霊王以外作ることができないから、無理やり使役しているアネモネ以外は捏造することはできないし、誘拐された令嬢が捏造するとも到底思えない。
そのため、見ている大半の者は真実だと思ったようだ。

それに、映像の内容が事実であってもなくても、触手と交わっている際に何人もの男性との関係を認めたり、初夜で純潔をささげる貴族のあり方を否定したことで、アネモネさんを王太子妃にしようという人は誰一人いなくなった。

もちろんあの映像がなかったとしても、すでにウィンスレット男爵領でアネモネさんと関係を持っていた人を、レヴィンさんが調べて裏も取っていたから、彼女が処女ではないことは明白だった。

そして、魅了魔法という人の心に影響を与える魔法を、最悪の方法で使役していたアネモネさんは、マデリーヌさんの計らいで光の精霊との主従契約も強制解除させられた。
これで彼女の味方は人間も精霊も誰もいなくなったのである。

ちなみに黒い塔とは、その名の通りお城の敷地内にある真っ黒な塔で、重罪を犯した人が一生出られぬよう魔力を封じられた状態で過ごす塔らしい。
当時お城で魔法省のトップをしていたエルが、創意工夫をもって設計し作った渾身の塔で、エル曰く、自慢の拷問部屋だと言っていた。

・・・うん、詳細は聞かないでおこう。

今回の被害者がどちらもサーシャリア=ロンドあたしということもあり、周りの貴族達のなかでもかなり困惑が見えた。中には「本当にサーシャリア=ロンド嬢なのか、彼女をこの場に出すべきでは?」という意見もあったが

「彼女は今も昔も被害者であり、これ以上王族、貴族との関りを望まない。もし彼女らに何かをするのであれば王族への謀反とみなし、重罪を与える。それに、彼女は複数の精霊王様の加護を持っている。彼女に何かをしたらこの国が滅ぶぞ。これは脅しでもなんでもない、事実だ」

レヴィンさんの脅しと、黒の塔を設計したエルを知っている人がいることで、あたしへの接触は国全体での禁止事項となった。

・・・正直そこまでになるとは思わなかったよ。ビックリだね。




こうしてアネモネさんの断罪はつつがなく行われたのでした。
しおりを挟む
感想 51

あなたにおすすめの小説

逃げて、追われて、捕まって

あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。 この世界で王妃として生きてきた記憶。 過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。 人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。 だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。 2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ 2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。 **********お知らせ*********** 2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。 それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。 ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

女性の少ない異世界に生まれ変わったら

Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。 目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!? なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!! ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!! そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!? これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。

ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)

夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。 ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。  って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!  せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。  新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。  なんだかお兄様の様子がおかしい……? ※小説になろうさまでも掲載しています ※以前連載していたやつの長編版です

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました

市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。 私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?! しかも婚約者達との関係も最悪で…… まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

処理中です...