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4章 打倒!悪役令嬢ヒロイン
断罪!悪役令嬢ヒロイン
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◇
あたしが意識を失ってから、レヴィンさんとユーリ殿下が部下を連れた状態で登場したようだ。
そのまま場所を謁見の間に移し、アネモネさんの断罪が行われたとのこと。
「アネモネ=ウィンスレット男爵令嬢!ユーリウス=ルド=ガルドニアの名の下に、この場で貴様の罪を公にし、断罪させてもらう!犯罪者を前へ!!」
「痛っ・・・ユーリ、酷いわ。アタシは何も・・・」
「黙れ!オレは発言する許可を与えていない!!」
「許可って・・・アタシ達婚約者でしょう?どうして・・・」
「婚約破棄の手続きはすでに終えている。貴様はもうオレの婚約者などではない!」
「??!!」
アネモネさんと周りの貴族達はさぞ困惑らしい。
今までユーリ殿下はアネモネさんをとても大事にしていたそうだから・・・魅了魔法のせいだけど。
そして、罪状が次々に告げられた。
「まず、魅了魔法でオレを誑かし、当時婚約者であったサーシャリア=ロンド伯爵令嬢と婚約破棄をさせたこと。父上が隣国に行っている間に執行するようオレに助言し、追放先の"帰らずの森"で、サーシャリア=ロンド嬢を殺そうとした罪」
ザワっと貴族達がどよめく。
当たり前だ。何の罪もない令嬢が婚約破棄されて追放された上に殺されそうになったのだ。
嫌でもアネモネさんの残虐性がわかってしまう。
「また、近日現国王の来賓として招き訪れていた、王の友人でもあり元魔法省トップのエリュシオン殿の婚約者であるサーヤ嬢を誘拐。彼女は森でエリュシオン殿に助けられ、過去の記憶を失っていたサーシャリア=ロンド嬢であることが判明し、婚約者殿と結婚するのに戸籍を確認するため訪れていた罪なき国民だ。
その彼女の婚約者を罪人アネモネはまた魅了魔法で誑かそうとし、誘拐したサーシャリア=ロンド嬢については陵辱、殺害しようとした!」
貴族達のざわつきが先ほどよりも増えた。
残虐性がさらに酷くなっているのだから当たり前だ。
こんなことをするのは狂気の沙汰以外何物でもない。
「以上の、醜悪で残忍的、残虐的重罪から、貴様の処分を黒の塔へ命あるまで幽閉の処分とする!!」
罪状が発表されたとき、会場からはざわめきと歓声の両方があったと言う。
自らも被害者である王太子の英断だと称賛する者が少なからずいたのだそう。
もちろん、そんな判決に彼女は・・・
「なっ!そんな・・・いくらなんでもおかしいですっ!魅了魔法は私ではなくあの女が使ったのではないですか??」
「・・・サーシャリア=ロンド嬢が?仮に彼女が魅了魔法などを使って、何のメリットがあると言うのだ?オレは彼女を愛しているのに・・・」
「!!」
「貴様はオレとサーシャの育んでいた関係を壊した毒婦だ。・・・そうそう、オレと婚約する前も婚約してからも、多数の男と関係を持っている姦通罪も追加しておこう」
「なっ、何を仰いますか!名誉毀損ですわ!!何を証拠にそんなことを・・・っ!!」
「証拠ならある。まずはコレを見よ」
ベルナートさんの封印を壊して無理やり使役した“ベルナートさん自身の記憶”、そしてエルが自分の幻覚を見せながら触手にアレコレさせていろいろ自白させた記憶を証人となる貴族がいる前で流した。
偽物だとしても本物だとしても、記憶を記録する黒曜石は闇の精霊王以外作ることができないから、無理やり使役しているアネモネ以外は捏造することはできないし、誘拐された令嬢が捏造するとも到底思えない。
そのため、見ている大半の者は真実だと思ったようだ。
それに、映像の内容が事実であってもなくても、触手と交わっている際に何人もの男性との関係を認めたり、初夜で純潔をささげる貴族のあり方を否定したことで、アネモネさんを王太子妃にしようという人は誰一人いなくなった。
もちろんあの映像がなかったとしても、すでにウィンスレット男爵領でアネモネさんと関係を持っていた人を、レヴィンさんが調べて裏も取っていたから、彼女が処女ではないことは明白だった。
そして、魅了魔法という人の心に影響を与える魔法を、最悪の方法で使役していたアネモネさんは、マデリーヌさんの計らいで光の精霊との主従契約も強制解除させられた。
これで彼女の味方は人間も精霊も誰もいなくなったのである。
ちなみに黒い塔とは、その名の通りお城の敷地内にある真っ黒な塔で、重罪を犯した人が一生出られぬよう魔力を封じられた状態で過ごす塔らしい。
当時お城で魔法省のトップをしていたエルが、創意工夫をもって設計し作った渾身の塔で、エル曰く、自慢の拷問部屋だと言っていた。
・・・うん、詳細は聞かないでおこう。
今回の被害者がどちらもサーシャリア=ロンドということもあり、周りの貴族達のなかでもかなり困惑が見えた。中には「本当にサーシャリア=ロンド嬢なのか、彼女をこの場に出すべきでは?」という意見もあったが
「彼女は今も昔も被害者であり、これ以上王族、貴族との関りを望まない。もし彼女らに何かをするのであれば王族への謀反とみなし、重罪を与える。それに、彼女は複数の精霊王様の加護を持っている。彼女に何かをしたらこの国が滅ぶぞ。これは脅しでもなんでもない、事実だ」
レヴィンさんの脅しと、黒の塔を設計したエルを知っている人がいることで、あたしへの接触は国全体での禁止事項となった。
・・・正直そこまでになるとは思わなかったよ。ビックリだね。
こうしてアネモネさんの断罪はつつがなく行われたのでした。
あたしが意識を失ってから、レヴィンさんとユーリ殿下が部下を連れた状態で登場したようだ。
そのまま場所を謁見の間に移し、アネモネさんの断罪が行われたとのこと。
「アネモネ=ウィンスレット男爵令嬢!ユーリウス=ルド=ガルドニアの名の下に、この場で貴様の罪を公にし、断罪させてもらう!犯罪者を前へ!!」
「痛っ・・・ユーリ、酷いわ。アタシは何も・・・」
「黙れ!オレは発言する許可を与えていない!!」
「許可って・・・アタシ達婚約者でしょう?どうして・・・」
「婚約破棄の手続きはすでに終えている。貴様はもうオレの婚約者などではない!」
「??!!」
アネモネさんと周りの貴族達はさぞ困惑らしい。
今までユーリ殿下はアネモネさんをとても大事にしていたそうだから・・・魅了魔法のせいだけど。
そして、罪状が次々に告げられた。
「まず、魅了魔法でオレを誑かし、当時婚約者であったサーシャリア=ロンド伯爵令嬢と婚約破棄をさせたこと。父上が隣国に行っている間に執行するようオレに助言し、追放先の"帰らずの森"で、サーシャリア=ロンド嬢を殺そうとした罪」
ザワっと貴族達がどよめく。
当たり前だ。何の罪もない令嬢が婚約破棄されて追放された上に殺されそうになったのだ。
嫌でもアネモネさんの残虐性がわかってしまう。
「また、近日現国王の来賓として招き訪れていた、王の友人でもあり元魔法省トップのエリュシオン殿の婚約者であるサーヤ嬢を誘拐。彼女は森でエリュシオン殿に助けられ、過去の記憶を失っていたサーシャリア=ロンド嬢であることが判明し、婚約者殿と結婚するのに戸籍を確認するため訪れていた罪なき国民だ。
その彼女の婚約者を罪人アネモネはまた魅了魔法で誑かそうとし、誘拐したサーシャリア=ロンド嬢については陵辱、殺害しようとした!」
貴族達のざわつきが先ほどよりも増えた。
残虐性がさらに酷くなっているのだから当たり前だ。
こんなことをするのは狂気の沙汰以外何物でもない。
「以上の、醜悪で残忍的、残虐的重罪から、貴様の処分を黒の塔へ命あるまで幽閉の処分とする!!」
罪状が発表されたとき、会場からはざわめきと歓声の両方があったと言う。
自らも被害者である王太子の英断だと称賛する者が少なからずいたのだそう。
もちろん、そんな判決に彼女は・・・
「なっ!そんな・・・いくらなんでもおかしいですっ!魅了魔法は私ではなくあの女が使ったのではないですか??」
「・・・サーシャリア=ロンド嬢が?仮に彼女が魅了魔法などを使って、何のメリットがあると言うのだ?オレは彼女を愛しているのに・・・」
「!!」
「貴様はオレとサーシャの育んでいた関係を壊した毒婦だ。・・・そうそう、オレと婚約する前も婚約してからも、多数の男と関係を持っている姦通罪も追加しておこう」
「なっ、何を仰いますか!名誉毀損ですわ!!何を証拠にそんなことを・・・っ!!」
「証拠ならある。まずはコレを見よ」
ベルナートさんの封印を壊して無理やり使役した“ベルナートさん自身の記憶”、そしてエルが自分の幻覚を見せながら触手にアレコレさせていろいろ自白させた記憶を証人となる貴族がいる前で流した。
偽物だとしても本物だとしても、記憶を記録する黒曜石は闇の精霊王以外作ることができないから、無理やり使役しているアネモネ以外は捏造することはできないし、誘拐された令嬢が捏造するとも到底思えない。
そのため、見ている大半の者は真実だと思ったようだ。
それに、映像の内容が事実であってもなくても、触手と交わっている際に何人もの男性との関係を認めたり、初夜で純潔をささげる貴族のあり方を否定したことで、アネモネさんを王太子妃にしようという人は誰一人いなくなった。
もちろんあの映像がなかったとしても、すでにウィンスレット男爵領でアネモネさんと関係を持っていた人を、レヴィンさんが調べて裏も取っていたから、彼女が処女ではないことは明白だった。
そして、魅了魔法という人の心に影響を与える魔法を、最悪の方法で使役していたアネモネさんは、マデリーヌさんの計らいで光の精霊との主従契約も強制解除させられた。
これで彼女の味方は人間も精霊も誰もいなくなったのである。
ちなみに黒い塔とは、その名の通りお城の敷地内にある真っ黒な塔で、重罪を犯した人が一生出られぬよう魔力を封じられた状態で過ごす塔らしい。
当時お城で魔法省のトップをしていたエルが、創意工夫をもって設計し作った渾身の塔で、エル曰く、自慢の拷問部屋だと言っていた。
・・・うん、詳細は聞かないでおこう。
今回の被害者がどちらもサーシャリア=ロンドということもあり、周りの貴族達のなかでもかなり困惑が見えた。中には「本当にサーシャリア=ロンド嬢なのか、彼女をこの場に出すべきでは?」という意見もあったが
「彼女は今も昔も被害者であり、これ以上王族、貴族との関りを望まない。もし彼女らに何かをするのであれば王族への謀反とみなし、重罪を与える。それに、彼女は複数の精霊王様の加護を持っている。彼女に何かをしたらこの国が滅ぶぞ。これは脅しでもなんでもない、事実だ」
レヴィンさんの脅しと、黒の塔を設計したエルを知っている人がいることで、あたしへの接触は国全体での禁止事項となった。
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