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4章 打倒!悪役令嬢ヒロイン

ヒロインへの逆襲 〜接触してきた敵側の味方2〜

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俺がこの状況に悶々としている中、急にベルナートが真面目な顔をして話し始めた。

「・・・サーヤあいつから一通りの話は聞いている。精霊王お前達達は本当に、人の俗世に首を突っ込むつもりはないんだな?あくまで早くコトを済ませて、森へ帰りたいだけなんだな?」
「あぁ、そうだ。そもそも、この城に来たのもこれからの生活のためにサーヤの戸籍をきちんとすることが目的だった。それなのに勝手に巻き込まれ・・・今も昔も、一番の被害者はサーヤだ。」
「そうだよ☆あまりにムカついたから、ボクがこの国吹っ飛ばそうかって言ったら、サーヤってば本気で止めてたもんね♪」
「サーヤままと、またおにわで、おいちいおやつ、たべたいの。べーたんも、いっしょに、たべよ」
「ミナト・・・」

誰かが決めたわけでもないが、サーヤの作ったお菓子で午後はお茶をするのがいつの間にか習慣になっていた。他の精霊達が遊びに来ても良いように、いつも多めにお菓子を作っているサーヤ。
王都に来てからも、早く用事を済ませて帰りたがっていたのに・・・

「サーヤはずっと言ってなかったか?森に帰りたい、と・・・」
「・・・言っていた」
「あいつの望みは、今まで通り森で暮らす事だ。ここにいることじゃない。アネモネクソ女を裁くのはレヴィン達国の奴らの仕事だ。俺達には関係ない。」

そうだ。俺達には関係ない・・・関係ないのになぜ巻き込まれなければいけない。
あいつは、サーヤは多くを望んでいない、ただ今まで通り森で暮らしたいだけだ。
それを・・・-

「・・・だが、サーヤに手を出すなら話は別だ。邪魔する奴ら、サーヤに手を出した奴らは許さぬ。
この国を滅ぼしてでも連れて帰るぞ」
「・・・っ」
「ボクも・・・サーヤの身にナニカあったとしたら、ナニをするか・・・責任持てないなぁ」
「あたちも、サーヤまま、いじめるやつ、ぷっちん、なのっ!」
「・・・」

ベルナートは俺達の態度に驚きながらも、少し羨望の眼差しで見ている。
やはりアネモネに従っているのは本意ではないということか・・・。

「ベルナート、もし話せない事情があるなら、ボクに直接教えてよ☆キミが今の状況を望まないなら、ボクらにも協力できることがあるはずだよ♪」
「セイル・・・」

セイルはそう言って、ベルナートの額に自分の額をくっつける。
直接思考をやり取りしているのはわかるが、男同士というのは絵面的に微妙だな・・・

「エルぱぱ、きのうの、サーヤまま、どんなかんじか、みゆ?」
「・・・いや、俺は昨日悲しませてしまったサーヤではなく、仲直りした後にサーヤの笑顔が見たい」
「ふふ、はやく、なかなおり、したいね♪」

ミナトが気を利かせて、俺にサーヤの姿を見せようとしたが、きっと泣いている姿に違いないのでやめておいた。
こんな茶番は早く終わらせなければ・・・

「・・・うん、わかったよ、概ね予想通りだ。ベルナートは一度ミナトを連れてサーヤの元に行ってね。
 サーヤもミナトも安心すると思うから」
「わかった」
「エリュシオン、サーヤ救出は3日後だよ」
「・・・なぜだ?」
「ベルナートの加護をサーヤに与えたら、たぶんまた熱で寝込むから・・・ミナトにはサーヤを安心させるためと、癒しの水を多めに用意してもらうために一度行ってもらう」
「・・・俺が行ったらまずいのか?」
「ボクらが思っている以上に、アネモネは用意周到で狡猾な人間みたいでね・・・エリュシオンや他の人間が出入りすると悟られる可能性が高い。ボク達精霊は大丈夫だけど、それでも長居はできないみたいだよ」
「・・・ちっ」
「サーヤが無事にベルナートの加護を受け取って安定したら、ボクがサーヤに渡した加護の指輪に闇のストーンが追加される。そうなれば、ボクはサーヤのいる場所を探知し転移できるし、ベルナートもアネモネから解放される」
「勝負はその時、か・・・」
「うん。それまではアネモネがこれ以上バカなコトしないよう、こっちに被害が来ないよう警戒するのみだね」
「・・・わかった」

俺が、できることは少ないな。だが、これなら・・・

「ミナト、サーヤに渡してもらいたいものがある。頼めるか?」
「あいっ」

俺はミナトに、昨日用意したモノを袋に入れてサーヤに渡すよう頼んだ。

そして、ノルンとマデリーヌにも声をかける。
サーヤに関することで俺ができることは少ないが、アネモネを潰す方なら手助けできるやもしれんな。

「ノルン、地の精霊に頼みたいことがある。伝えてもらえるか?」
「えぇ、もちろんよ!」
「(マデリーヌ!聞こえるか。)」
「(レヴィン、そこはもっと強く・・・って、あ、エ、エリュシオンっ、どうしたのかしら?)」
「(・・・お前、今何をしていた?)」
「(ふふ♡ちょこーっとレヴィンに縛ってもらう練習を・・・)」
「(ほぅ・・・お前は俺の言うことも聞けない雌豚に成り下がったのか?そんなに俺に捨てられたいか?)」
「(あぁっ・・・違うのぉ、エリュシオンっ、ちょっと、ちょっと出来心で・・・)」
「(捨てられたくなくば、とっとと報告しに戻ってこいっ!5秒以内だ)」
「(えぇ?!あぁっ、そんな、無理なコト・・・やっぱり鬼畜ね♡ゾクゾクしちゃう♡)」
「(4・・・3・・・2・・・)」
「(あ!嘘、嘘!!今すぐ行くわっ!!!)」

サーヤに関してはセイルやミナトに任せて、俺はノルンとマデリーヌとで情報を共有しアネモネを潰す作戦を考えることにした。

「マデリーヌ・・・あなた、何やってたの?」
「え?・・・ふふ、秘密よ♡」

とりあえずマデリーヌを呼び戻したが、俺は速攻後悔した。
なぜ亀甲縛りされた状態なんだっ・・・お前はっ!!レヴィンに何をやらせているっ!!!

空気を読んだセイルがすでにベルナートとミナトにサーヤ元へ行けと指示を出していたので、ミナトの目に留まらなかったのがせめてもの救いだった・・・。
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