上 下
136 / 512
4章 打倒!悪役令嬢ヒロイン

ヒロインへの逆襲 〜序章2〜

しおりを挟む

攫われてから少し時間も経ち、ベルナートさんと会話することで少し冷静さを取り戻してきた。

先ほどあたしの凌辱シーンの幻覚を嬉しそうに見ていたアネモネさん。
彼女に従う姿が明らかに不本意そう・・・というか嫌悪感すら見えるベルナートさんは、何か事情がありそうだったので、なんとか協力し合うことができないかと考えた。
そして、あたしが攫われたことで絶対皆が心配してるはずなので、ここから出られないならせめて皆に無事であることを伝えたいと強くお願いした。

アネモネさんと同じ人間であり、しかも初対面のあたしのことなんて信用されてる訳がないので、変に取り繕うより正直な自分の気持ちや状況など、知っていることは全部話すことにした。

・・・なんとなく、ベルナートさんは悪い人じゃない気がしたから。
いや、精霊の王様なんだけどね。今まで見てきた人間の方がよっぽど悪人だわ。

ベルナートさんは、驚きながらも真剣に話を聞いてくれた。
あたしが前に別の世界で生きていて、この世界を“物語“として知っていること、同じようにアネモネさんも知っているだろうこと、今回城へ来た理由と流れで王様達と協力し合い、アネモネさんをきちんと国の法で裁こうと動いていること。
せっかくあたしを護ろうとセイルやミナトちゃんが加護を与えてくれたのに、今二人に念話で話しかけようとしてもまったくつながらないし、魔法も使えないこともすべて話した。

「ここは俺の作った特殊な空間だから、俺が許可する魔法以外は使えない」
「じゃあ、なんとかミナトちゃんやセイルに、あたしが無事であることは伝えられませんか?
 ミナトちゃん、絶対泣いてる・・・」
「ミナトは、お前を心から慕っているからな。・・・確かに、お前の波長はとても心地良い。精霊達に好かれるはずだ」

波長・・・ノルンさんもそんなこと言ってたな。あたし、別に何もしてないんだけど・・・

「・・・一つ聞きたい。お前にとって、精霊は・・・ミナトはどういった存在だ?」
「え?ミナトちゃんですか?・・・そうだなぁ、やっぱり天使ですねっ!!」
「・・・天、使?」
「だって、めちゃくちゃ可愛いじゃないですか!!怒ってる顔も、寝てる時の顔もっ!あ、でもやっぱり笑顔が一番可愛いですけどね~♪我が家を癒やしてくれる大好きな天使ですっ♡」

きょとんとした顔をしたかと思ったら、ベルナートさんは思いっきり笑い始めた。
え?なんか面白いこと言ったっけ?

「くっ、ははは・・・久々に笑った。500年ぶりくらいか?」

は?そんなに長い間笑ってなかったの??その方がおかしいと思うよっ!

「ミナトが天使・・・精霊を怖がるどころか天使に例える人間がいるとは・・・。
 確かにそうだな。あの愛くるしいほっぺ、やっと実体で会えたから今朝初めてぷにぷにさせてもらったが、感触が素晴らしかった・・・」

そうそう!あのほっぺのぷにぷには堪らないのよね。
・・・ん?ベルナートさんが心なしか頬を染めてハァハァしてる・・・?

「ぷにぷにすると怒ってしまったが、その怒った顔もまた可愛くて・・・抱きしめそうになる衝動をどれだけ抑えようとしたことか・・・」

んんん?目が恍惚としてる?
・・・おかしいなぁ、目の前にいるのって闇の精霊王さんのはずなのにただの変態さんに見えるんだけど・・・

「そんなミナトが人間に加護を与えるなんて、最初は生きていることを後悔するくらい辱めるか、八つ裂きにしてやろうかと思ったが、なるほどなるほど、同志であったか。それなら許そう、うん。」

気のせいじゃなかったっ!!完全にアウトォォォォっ!!!
生きてることを後悔するくらいって、さっきの映像かそれ以上ですかっ!この人危険!!超危険っ!!

ベルナートさんって、もしかして・・・いや、もしかしなくても危ない人ロリコンだよね!?
しかも同志・・・だと?よくわかんないけど不本意だっ!でも、それで助かってるみたいだからなんか複雑っ!!

「仕方がない。俺がミナトに知らせてやろう。・・・少しここを空けるが、アネモネが来るようならコレに魔力を込めろ。しばらくは時間稼ぎができるはずだ」

口実を見つけてミナトちゃんに会いに行けるのが嬉しいのか、仕方ないと言いながらもすごく嬉しそうに準備を始めるベルナートさん。・・・あたしの目にはもう超危険なロリコンの変態さんにしか見えない。
ミナトちゃん、逃げてぇぇぇぇぇぇっ!!!

ミナトちゃんの元へ行く直前、ベルナートさんはあたしには小さな黒い石のついた指輪を渡してきた。

「コレ、なんですか?」
「さっきのような幻覚を見せる魔道具だ。すでに見せるものはそこに記憶させているから魔力を込めるだけで良い」

魔力を込めるだけで、記憶させているものを見せる・・・?
え?それってカメラみたいなもの??!!嘘っ!!そんな魔法って存在するんだ!!!

「コレって、見たものをさっきみたいな映像として記録したりはできるんですか?」
「映像?・・・さっきアネモネに見せたのは、俺の記憶の中にあるモノをお前の顔に挿げ替えて見せただけだが?」

ちょぉぉぉぉぉぉ!!触手による凌辱さっきのアレって実際にあった出来事なのぉぉぉぉ!!!???
顔を挿げ替えることができるってのはすごいけど、あなたの記憶の中身もビックリですよっ!!!

「・・・ちなみに、この指輪に残された映像も、ベルナートさんが過去に見た記憶をあたしの顔に・・・?」
「あぁ、オーク共に輪姦されて・・・」
「うぁぁぁぁぁ!もういいっ!!もういいですぅぅぅ!!!!」

聞かなきゃよかったぁぁぁぁぁ!!ベルナートさん、なんてモノを記憶してるんだっ!!!
うぅ・・・早くエルの所に帰りたい・・・



顔がちょこっとだけエルに似てる闇の精霊王ベルナートさんは、悪い人ではないのかもしれないけど、かなりヤバイ人でした・・・。

・・・隠しキャラってこんな性格だったっけ?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

悪役令嬢なのに王子の慰み者になってしまい、断罪が行われません

青の雀
恋愛
公爵令嬢エリーゼは、王立学園の3年生、あるとき不注意からか階段から転落してしまい、前世やりこんでいた乙女ゲームの中に転生してしまったことに気づく でも、実際はヒロインから突き落とされてしまったのだ。その現場をたまたま見ていた婚約者の王子から溺愛されるようになり、ついにはカラダの関係にまで発展してしまう この乙女ゲームは、悪役令嬢はバッドエンドの道しかなく、最後は必ずギロチンで絶命するのだが、王子様の慰み者になってから、どんどんストーリーが変わっていくのは、いいことなはずなのに、エリーゼは、いつか処刑される運命だと諦めて……、その表情が王子の心を煽り、王子はますますエリーゼに執着して、溺愛していく そしてなぜかヒロインも姿を消していく ほとんどエッチシーンばかりになるかも?

【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜

茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。 ☆他サイトにも投稿しています

【R18】悪役令嬢は元お兄様に溺愛され甘い檻に閉じこめられる

夕日(夕日凪)
恋愛
※連載中の『悪役令嬢は南国で自給自足したい』のお兄様IFルートになります。 侯爵令嬢ビアンカ・シュラットは五歳の春。前世の記憶を思い出し、自分がとある乙女ゲームの悪役令嬢である事に気付いた。思い出したのは自分にべた甘な兄のお膝の上。ビアンカは躊躇なく兄に助けを求めた。そして月日は経ち。乙女ゲームは始まらず、兄に押し倒されているわけですが。実の兄じゃない?なんですかそれ!聞いてない!そんな義兄からの溺愛ストーリーです。 ※このお話単体で読めるようになっています。 ※ひたすら溺愛、基本的には甘口な内容です。

大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました

扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!? *こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。 ―― ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。 そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。 その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。 結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。 が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。 彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。 しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。 どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。 そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。 ――もしかして、これは嫌がらせ? メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。 「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」 どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……? *WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

【R18】幼馴染の男3人にノリで乳首当てゲームされて思わず感じてしまい、次々と告白されて予想外の展開に…【短縮版】

うすい
恋愛
【ストーリー】 幼馴染の男3人と久しぶりに飲みに集まったななか。自分だけ異性であることを意識しないくらい仲がよく、久しぶりに4人で集まれたことを嬉しく思っていた。 そんな中、幼馴染のうちの1人が乳首当てゲームにハマっていると言い出し、ななか以外の3人が実際にゲームをして盛り上がる。 3人のやり取りを微笑ましく眺めるななかだったが、自分も参加させられ、思わず感じてしまい―――。 さらにその後、幼馴染たちから次々と衝撃の事実を伝えられ、事態は思わぬ方向に発展していく。 【登場人物】 ・ななか 広告マーケターとして働く新社会人。純粋で素直だが流されやすい。大学時代に一度だけ彼氏がいたが、身体の相性が微妙で別れた。 ・かつや 不動産の営業マンとして働く新社会人。社交的な性格で男女問わず友達が多い。ななかと同じ大学出身。 ・よしひこ 飲食店経営者。クールで口数が少ない。頭も顔も要領もいいため学生時代はモテた。短期留学経験者。 ・しんじ 工場勤務の社会人。控えめな性格だがしっかり者。みんなよりも社会人歴が長い。最近同棲中の彼女と別れた。 【注意】 ※一度全作品を削除されてしまったため、本番シーンはカットしての投稿となります。 そのため読みにくい点や把握しにくい点が多いかと思いますがご了承ください。 フルバージョンはpixivやFantiaで配信させていただいております。 ※男数人で女を取り合うなど、くっさい乙女ゲーム感満載です。 ※フィクションとしてお楽しみいただきますようお願い申し上げます。

【R18】悪役令嬢を犯して罪を償わせ性奴隷にしたが、それは冤罪でヒロインが黒幕なので犯して改心させることにした。

白濁壺
恋愛
悪役令嬢であるベラロルカの数々の悪行の罪を償わせようとロミリオは単身公爵家にむかう。警備の目を潜り抜け、寝室に入ったロミリオはベラロルカを犯すが……。

処理中です...