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4章 打倒!悪役令嬢ヒロイン
お城で過ごそう~あなたのいない初めての夜~
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◇
温かい、優しい温もり・・・なんか安心する・・・
頭を優しくなでる手の感覚が心地良い・・・
「ん・・・あ、れ?」
「あ、サーヤまま、おきた?」
「ミナト、ちゃん?・・・あれ、あたし・・・」
「ここは城の中庭よ。身体の具合はどう?」
「え・・・?」
気が付くと、あたしは茶髪の優しげな女性の膝枕で寝ていて、あたしと抱き合うようにミナトちゃんがくっついていた。頭をなでてくれた温かい感触はこの女性だったんだ・・・
とりあえず起き上がって、簡単に身支度を整えて礼を言う。
「あの、すみません。あなたの膝枕で寝てしまっていたなんて・・・」
「ふふ、いいのよ。ミナトと一緒に寝てるあなた、とても可愛かったわ」
「ノンたん、あたまなでなで、きもちよかったの♡」
「ふふ、またいつでもしてあげるわよ」
ミナトちゃんと知り合い・・・?ってことは、この方って・・・
「初めまして、地の精霊王のノルンです。お城のこの大樹が気に入ってて、よくここにいるのよ」
やっぱり精霊さんっ!しかもまたしても精霊王さんですかっ!!
なんかめったに会えないイメージなのに、最近のあたし、精霊王さんと知り合いすぎじゃない??
「あなたの波長はとても心地良いの、精霊達が好きになるのもわかる気がするわ」
「サーヤまま、いっしょにいると、ぽかぽかすゆの」
「あら、ミナトは彼女をままと呼ぶくらい懐いてるなんて、ちょっと妬けちゃうわ」
「ノンたん、サーヤまま、いじめちゃ、めっよ」
「もうっ!そんな可愛いこと言うミナトちゃんは、ぎゅぅ~の刑だ♡」
「きゃは☆ぎゅぅ~♡」
「あらあら、ミナトは彼女を護るナイトでもあるのね」
あたしの天使はなんでこんなに可愛いのっ!
ミナトちゃんの言葉や、この場の空気がとても心地良くて安心したのか、あたしのお腹がぐぅぅぅ~と空腹をアピールし始めた。
すっかり暗くなってしまっているようだ。
どうしよう、今夜もレヴィンさん達と晩餐って言ってたのに・・・
「サーヤ、ミナト、お腹すいたでしょ?ご飯もらってきたよ~☆」
料理が盛られた大皿を持ってセイルがあらわれた。
「セイル?!・・・あの、晩餐って・・・」
「あぁ、たぶんそろそろお開きにでもしてるんじゃないかな?あ、久しぶり~ノルン☆」
「久しぶりね、セイル。・・・元気そうで何よりだわ」
「うん、もう大丈夫だよ」
ちょっと含みのある言い方をしてたのは、リナリアさんの件かなと思ったけど、あえて何も言わないでおいた。
ミナトちゃんも目の前のお肉たっぷりのサンドイッチを食べたそうにしてるので、一緒に食べ始めた。
「おいちぃね~」って喜ぶミナトちゃんはやっぱり天使です。
口の周りについたソースをノルンさんが拭いてあげたり、和やかな食事の時間になった。
今回ばかりはセイルに感謝だね。
「あ、皆にはちゃんと言っておいたから安心してね☆」
「・・・ちなみに、何て言ったの?」
「サーヤはエリュシオンに構われすぎて疲れちゃってるからって☆」
ちょぉぉぉぉぉぉっ!!!前言撤回っ!!!!!
それじゃあたしがエルのえっちが激しすぎたから動けないって言ってるようなものじゃないかっ!!
・・・いや、間違いって訳じゃないんだけどさっ!!!
・・・どうしよう。明日皆にどんな顔して会えば・・・
いやいや、その前に、あたしどんな顔してエルに会ったら良いんだろう・・・
「サーヤまま、エルぱぱと、けんか、したの?」
「あ・・・うん。ちょっとね、ケンカしちゃった」
「けんか、しちゃったらね、「ごめんなさい」って、あやまるのよ。なかなおり、なの☆」
「・・・うん、そうだね。エルに「ごめんなさい」って謝らないと、ね・・・」
ケンカというか、一方的に言いたいこと言って逃げてきちゃったんだけど・・・
会いたい・・・会って謝って、一緒に・・・そばにいたい・・・
「あ、エリュシオンなら城にいないよ☆」
「・・・え?」
「やることがあるからって・・・たぶん今夜は自分の研究室にでも引きこもってるんじゃない?」
「そっか・・・」
やっぱり、エルも気分悪くしちゃったのかな・・・
城にいないという事実が、あたしを拒絶しているかのようで、グサリとあたしの胸に突き刺さる。
「っふ・・・ぃ・・・会い、たぃ・・・っぐず・・・エル・・・」
「サーヤまま、きょうは、あたしが、エルぱぱの、かわり、いっしょにいるの。
だから、さみちくない、ね?」
「・・・っく、ミナト、ちゃ・・・」
「まま・・・ないちゃ、めっよ。かなちい、とき、こそ・・・えがお、なのょ・・・」
目に涙をいっぱい溜めながらも、あたしを励まそうとしてくれるミナトちゃん。
自分から言ったのに、エルがそばにいないのが寂しいなんて、自分勝手だよね・・・あたし。
しかも、ミナトちゃんにこんなに気を遣わせちゃって・・・
あたし、こんなに泣き虫だったっけ?
「ごめん・・・ごめんね、ミナトちゃん。大丈夫だよ、ミナトちゃんがいてくれたら、あたし、ちゃんとエルに謝れる気がする・・・ありがとう。大好きだよ」
「・・・ん、あたちも、サーヤままも、エルぱぱも、だぁいすき」
あたしとミナトちゃんが泣きながら笑顔で抱き合っているのを、セイルとノルンさんは優しく見守ってくれていた。
その後ノルンさんとは大樹の前でお別れしたが、別れ際「いつでも会いに来てね」と言ってくれた。
セイルも「じゃあ明日ね☆」と言って、あたしとミナトちゃんを部屋に送ってから森へ帰っていった。
これ以上あたしの勝手な理由で周りに迷惑かけられないし、明日はアネモネさんが城へ戻ってきて何か動きを見せるかもしれないし、気を抜いちゃいけないよね。
「サーヤまま、だいじょうぶ、エルぱぱ、ちゃんと、わかってるよ」
あたしの頭を撫でながら、目の前の天使は聖母のように微笑む。
よくよく考えたら、年齢はあたしより上なんだよね、ミナトちゃん・・・。
「ありがとう、ミナトちゃん・・・明日、エルとちゃんと話してみるね」
「うん☆あたしも、いるの。まま、がんばれ♪」
明日からのアレコレを頑張る決心をしつつ、あたしはミナトちゃんと一緒に眠りについた。
そういえばココットさん達が城に着いたと言っていたから、明日ゆっくり会えるだろうか・・・と考えていたが、ヒロインは思った以上に狡猾で用意周到だったようだ。
あたし達は考えの甘さを思い知らされることとなった。
温かい、優しい温もり・・・なんか安心する・・・
頭を優しくなでる手の感覚が心地良い・・・
「ん・・・あ、れ?」
「あ、サーヤまま、おきた?」
「ミナト、ちゃん?・・・あれ、あたし・・・」
「ここは城の中庭よ。身体の具合はどう?」
「え・・・?」
気が付くと、あたしは茶髪の優しげな女性の膝枕で寝ていて、あたしと抱き合うようにミナトちゃんがくっついていた。頭をなでてくれた温かい感触はこの女性だったんだ・・・
とりあえず起き上がって、簡単に身支度を整えて礼を言う。
「あの、すみません。あなたの膝枕で寝てしまっていたなんて・・・」
「ふふ、いいのよ。ミナトと一緒に寝てるあなた、とても可愛かったわ」
「ノンたん、あたまなでなで、きもちよかったの♡」
「ふふ、またいつでもしてあげるわよ」
ミナトちゃんと知り合い・・・?ってことは、この方って・・・
「初めまして、地の精霊王のノルンです。お城のこの大樹が気に入ってて、よくここにいるのよ」
やっぱり精霊さんっ!しかもまたしても精霊王さんですかっ!!
なんかめったに会えないイメージなのに、最近のあたし、精霊王さんと知り合いすぎじゃない??
「あなたの波長はとても心地良いの、精霊達が好きになるのもわかる気がするわ」
「サーヤまま、いっしょにいると、ぽかぽかすゆの」
「あら、ミナトは彼女をままと呼ぶくらい懐いてるなんて、ちょっと妬けちゃうわ」
「ノンたん、サーヤまま、いじめちゃ、めっよ」
「もうっ!そんな可愛いこと言うミナトちゃんは、ぎゅぅ~の刑だ♡」
「きゃは☆ぎゅぅ~♡」
「あらあら、ミナトは彼女を護るナイトでもあるのね」
あたしの天使はなんでこんなに可愛いのっ!
ミナトちゃんの言葉や、この場の空気がとても心地良くて安心したのか、あたしのお腹がぐぅぅぅ~と空腹をアピールし始めた。
すっかり暗くなってしまっているようだ。
どうしよう、今夜もレヴィンさん達と晩餐って言ってたのに・・・
「サーヤ、ミナト、お腹すいたでしょ?ご飯もらってきたよ~☆」
料理が盛られた大皿を持ってセイルがあらわれた。
「セイル?!・・・あの、晩餐って・・・」
「あぁ、たぶんそろそろお開きにでもしてるんじゃないかな?あ、久しぶり~ノルン☆」
「久しぶりね、セイル。・・・元気そうで何よりだわ」
「うん、もう大丈夫だよ」
ちょっと含みのある言い方をしてたのは、リナリアさんの件かなと思ったけど、あえて何も言わないでおいた。
ミナトちゃんも目の前のお肉たっぷりのサンドイッチを食べたそうにしてるので、一緒に食べ始めた。
「おいちぃね~」って喜ぶミナトちゃんはやっぱり天使です。
口の周りについたソースをノルンさんが拭いてあげたり、和やかな食事の時間になった。
今回ばかりはセイルに感謝だね。
「あ、皆にはちゃんと言っておいたから安心してね☆」
「・・・ちなみに、何て言ったの?」
「サーヤはエリュシオンに構われすぎて疲れちゃってるからって☆」
ちょぉぉぉぉぉぉっ!!!前言撤回っ!!!!!
それじゃあたしがエルのえっちが激しすぎたから動けないって言ってるようなものじゃないかっ!!
・・・いや、間違いって訳じゃないんだけどさっ!!!
・・・どうしよう。明日皆にどんな顔して会えば・・・
いやいや、その前に、あたしどんな顔してエルに会ったら良いんだろう・・・
「サーヤまま、エルぱぱと、けんか、したの?」
「あ・・・うん。ちょっとね、ケンカしちゃった」
「けんか、しちゃったらね、「ごめんなさい」って、あやまるのよ。なかなおり、なの☆」
「・・・うん、そうだね。エルに「ごめんなさい」って謝らないと、ね・・・」
ケンカというか、一方的に言いたいこと言って逃げてきちゃったんだけど・・・
会いたい・・・会って謝って、一緒に・・・そばにいたい・・・
「あ、エリュシオンなら城にいないよ☆」
「・・・え?」
「やることがあるからって・・・たぶん今夜は自分の研究室にでも引きこもってるんじゃない?」
「そっか・・・」
やっぱり、エルも気分悪くしちゃったのかな・・・
城にいないという事実が、あたしを拒絶しているかのようで、グサリとあたしの胸に突き刺さる。
「っふ・・・ぃ・・・会い、たぃ・・・っぐず・・・エル・・・」
「サーヤまま、きょうは、あたしが、エルぱぱの、かわり、いっしょにいるの。
だから、さみちくない、ね?」
「・・・っく、ミナト、ちゃ・・・」
「まま・・・ないちゃ、めっよ。かなちい、とき、こそ・・・えがお、なのょ・・・」
目に涙をいっぱい溜めながらも、あたしを励まそうとしてくれるミナトちゃん。
自分から言ったのに、エルがそばにいないのが寂しいなんて、自分勝手だよね・・・あたし。
しかも、ミナトちゃんにこんなに気を遣わせちゃって・・・
あたし、こんなに泣き虫だったっけ?
「ごめん・・・ごめんね、ミナトちゃん。大丈夫だよ、ミナトちゃんがいてくれたら、あたし、ちゃんとエルに謝れる気がする・・・ありがとう。大好きだよ」
「・・・ん、あたちも、サーヤままも、エルぱぱも、だぁいすき」
あたしとミナトちゃんが泣きながら笑顔で抱き合っているのを、セイルとノルンさんは優しく見守ってくれていた。
その後ノルンさんとは大樹の前でお別れしたが、別れ際「いつでも会いに来てね」と言ってくれた。
セイルも「じゃあ明日ね☆」と言って、あたしとミナトちゃんを部屋に送ってから森へ帰っていった。
これ以上あたしの勝手な理由で周りに迷惑かけられないし、明日はアネモネさんが城へ戻ってきて何か動きを見せるかもしれないし、気を抜いちゃいけないよね。
「サーヤまま、だいじょうぶ、エルぱぱ、ちゃんと、わかってるよ」
あたしの頭を撫でながら、目の前の天使は聖母のように微笑む。
よくよく考えたら、年齢はあたしより上なんだよね、ミナトちゃん・・・。
「ありがとう、ミナトちゃん・・・明日、エルとちゃんと話してみるね」
「うん☆あたしも、いるの。まま、がんばれ♪」
明日からのアレコレを頑張る決心をしつつ、あたしはミナトちゃんと一緒に眠りについた。
そういえばココットさん達が城に着いたと言っていたから、明日ゆっくり会えるだろうか・・・と考えていたが、ヒロインは思った以上に狡猾で用意周到だったようだ。
あたし達は考えの甘さを思い知らされることとなった。
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