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3章 いざ王都へ

お城へ行こう~お城で過ごす特別な夜*~

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部屋に戻り、エルがドアをパタンと閉めた後、あたしはエルに抱きついた。

「どうした?・・・ずいぶんとあのボンクラ王子にご立腹だったな?」
「・・・だって、許せなかったんだもの・・・」

アネモネさんの魅了魔法のせいであって本意ではない。だから傷つけたことを謝りたい。
魅了の魔法にかかってしまって仕方がなかった。
結婚前に男女が一緒の部屋なんてふしだらだ。

・・・ユーリウス殿下があたしと話したい、あわよくば関係を修復したいと思ってるのがありありとわかった。

修復してどうするの?謝罪すればすべてが解決するの?
仕方がなかったからと言ってすべて許せるの?
その"仕方ない"で、何が起こったのか本当にわかってるの?

「あたしが・・・サーシャさんが・・・殺されかけたのも、仕方ないって済ませるの・・・?許せるの?
 そんなの、無理・・・無理だよ・・・」

サーシャさんがどんなに頑張ってきたか、どれだけ辛かったか・・・。
痛かった、苦しかった。そんなことを何度も何度も・・・
例え周りが許したって、あたしだけは許しちゃいけない。許したくない。
謝罪なんていらないから、今後一生関わらないと約束して欲しい。

今のこの気持ちが、自分の感情なのかサーシャさんの感情なのかぐちゃぐちゃでよくわからなかった。
特に記憶を覗いてからは、ユーリウス殿下を目にすると何とも言えない気持ちになる。
だいぶサーシャさんの感情に影響されてるんだろう。

今となってはユーリウス殿下もアネモネさんもどうでもいい。
もう関わりたくない、早く終わらせたい、早く終わらせて帰りたい。

「・・・ぇりたい・・・早く、エルと・・・森に帰りたい・・・」
「・・・あぁ。こんなこと、早く終わらせて帰るぞ」
「エル、エっ・・・んんっ、っぁ・・・ぁふっ」

抱きしめ返してくれたエルが、優しく触れるようなキスをしてから、舌を絡める深いキスをする。
ほんのり甘いのは魔力もくれているから?

「エル、魔力が・・・」
「今日は魔力も欲しいだろ?」

確かに、ブレスレットの石は晩餐で見たときオレンジだった。ちょっと心配。

「ふぁっ・・・欲しい、ちょうだい・・・んんっ」
「んっ、欲しいのは魔力だけか?」
「・・・いじわる。」
「城ではシたくないって言ってたのはお前だ」
「今日、あたしにドレスくれたじゃない。男の人がドレスを贈る理由って・・・」
「ふっ、そうだったな。“脱がすため”だ」

エルはそう言って、あたしの首や胸元にキスしたりキスマークを付けながら、背中のファスナーをゆっくりと下す

「んっ、エル・・・最近キスマーク付けすぎ、じゃない?」
「俺のモノにシルシを付けて何が悪い?」
「あっ、や、見える場所は・・・きゃぅっ」

元々胸元が開いているドレスは、少しファスナーを下すだけですぐにぷるんっと胸がお目見えしてしまう。
エルは少しずつ脱がせながら、口と手で胸をつまんだり吸ったり甘噛みしたりとやりたい放題だ。
あたしは壁に押し付けられながら、胸元のエルの頭を抱きしめて耐えることしかできない。
魔力をくれる甘い感覚はいつも以上に気持ち良すぎて、ただでさえされるがままのあたしは、だんだん自分の足で立っていられなくなってきた。

「ぁ、ふぁっ、エル、もう・・・立っていられな・・・ぁんっ」
「おっと」

エルが倒れそうなあたしを抱きかかえて、お姫様抱っこでベッドへと運んでくれた。
寝かせるときに、ファスナーを下しきったドレスは脱がされたので、あたしはすでに下着姿だ。

目の前にはカッコ良すぎて直視できなかった正装のエルが、服の前ボタンを少し緩めた状態であたしを押し倒している。・・・やっぱり直視できなくて手で顔を隠してしまった。

「エルの正装・・・、反則だよ」
「・・・そんなに好きか?」
「・・・好き」
「サーヤのドレス姿も・・・綺麗だった、ぞ」

え?さっきは褒めてくれなかったのに・・・
手の隙間からエルを覗くと、少しだけ照れた顔が見える。・・・貴重なデレ状態のエルだ。

「時間がなくて、マゼンダの店の物から選んだが、あいつはサーヤのドレスを作るから出来上がったら着て欲しいと言っていた」
「ふふ、今日のドレスもすごく素敵だったのに、さらにもらえるなんて幸せ過ぎ。
 でも、ドレスもらっても着る機会あるかな?」

今日みたいな晩餐のように王族や貴族にお呼ばれする機会なんて早々ないし、呼ばれても行きたいと思わない。
せっかく作ってもらったドレスもお目見えしないとちょっと可哀想な気がするのだ。

「着る機会はある。・・・俺達の結婚式で着ればいい」
「・・・え?」
「サーヤ・・・俺の嫁になれ」

・・・嘘、聞き間違いなんかじゃない、よね?エル、今プロポーズしてくれた?
告白のときもそうだったけど、プロポーズまでエルらしすぎ・・・でもすごく嬉しい・・・

「嘘、じゃないんだよね?」
「俺が嘘をついたこと、あるか?」
「・・・ないデス」
「まだ言うつもりはなかったが、周りが俺の婚約者と思ってるのならそれを本当にしてしまおうと思ってな。
 お前もその方が安心だろう?」

確かにドSで鬼畜で、たくさん恥ずかしいことをさせる俺様エルフだけど、エルはあたしに嘘をついたことはなかった。言葉がおかしいことは多々あるけど、あたしを大切にしてくれているのも伝わってくる。

エルの気遣いと、プロポーズが嬉しくて涙がぽろぽろ溢れてきた。

「まったく・・・泣き虫だな、サーヤは。で、返事は?」

「嬉しっ・・・っく・・・あたしを、エルのお嫁さんに、してください・・・」

「ま、しばらくは”婚約者”だがな。・・・良いんだな?」

「・・・っふ、エルが・・・エルがいいっ・・・エルじゃなきゃっ・・・んんっ」

こんなときでも、この俺様エルフは最後まで言葉を紡ぐ前にキスで塞ぐのか。良いんだけど。



いつかそんな日が来たら良いな・・・って思っていた日が、まさかこんな急に訪れるなんて・・・

今まで起こった悲しくて苦しい出来事があったから、今こうしてエルに出逢うことができたんだと考えると、すべてとはいかないかもしれないけど、許せるような気がしてきた。

そうだよ、過去を憎んだって仕方がない、過去は乗り越えるものだ。
これから先を幸せに生きるために頑張らなくちゃ・・・

気持ちを切り替えたあたしは、幸せな気分を噛みしめながらエルに身も心も委ねた・・・-。
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