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3章 いざ王都へ
王都へ行こう~久しぶりの再会2~
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◇
さりげなく恥ずかしいことをバラされつつ、マゼンダさんに採寸してもらった。
事情というのはもちろんあたしの髪と瞳の色である。
マゼンダさんの前でネックレスを外し、あたしの髪と瞳が本来の色に戻る。
「わぉ。綺麗なシルバーブロンドね・・・こんなのロンド家のお嬢様以来・・・ん?あれ、あなた・・・」
「・・・やはり、お前はサーシャを知っていたか」
「もちろん!ロンド家は昔からのお得意様よ♪
・・・でも、たしかサーシャリア嬢って・・・」
「・・・“帰らずの森”に追放されていたところをたまたま俺が拾った」
「は、追放?!拾った??!!」
エルは端的にあたしのことや、王都に来るまでの経緯などをマゼンダさんに話した。
そして、王都についてから尾行があったことも。
「ん~、じゃああなたは見た目はサーシャリア嬢でも中身はサーヤという別人なのね、了解。
それにしたって、いくつか腑に落ちる点があるから納得だけど、腹立つわねその話。
ちょうど今王太子からウィンスレット家のアネモネ嬢へってドレスの注文入ってるけど、断ろうかしら」
「いやいや、王家からの仕事断っちゃダメですよっ!公私混同ダメっ!!」
「え~、私は可愛い義妹であるサーヤちゃんのドレスの方が作りたい~~、ぶぅ~~~」
義妹ってのはすごく嬉しいけど、姉弟揃って王族を優先しなさすぎじゃないだろうか・・・
そして、美女は頬を膨らませても美しいです!眼福!!
「そのアネモネ嬢とやらは、どんな奴なんだ?」
「そうね~、私も数回しか会ったことないけど・・・」
マゼンダさんからみたアネモネさんは、可愛い見た目を武器に男を誑し込む悪女にしか見えないらしく、生理的に好きではないらしい。
二人の馴れ初めとして知られているのは、学園に通っていたころに運命の出会いを果たした王太子とアネモネさんは、身分差を理由に一度別れようとしたんだけど、婚約者だったサーシャさんが嫉妬に狂ってアネモネさん殺害を企てたことにより逆転。
断罪され追放されたサーシャさんの代わりに晴れてアネモネさんが婚約者になったのだとか。
結婚式が近づいているらしく、依頼されているドレスはウェディングドレスらしい。
それ、国の一大イベントだからっ!!
絶対断っちゃいけないヤツだからっ!!!
元々サーシャさんと面識があったマゼンダさんは、貴族令嬢の模範といえる立ち振る舞いで王太子と政略結婚ということを理解していたサーシャさんが、たかだか嫉妬で浮気相手を殺害しようとするとは思えず、ずっと疑問だったようだ。
「ま、私はしがないお店のオーナーですから~。
ウェディングドレスなんて、この店の誰かが作れば大丈夫よ☆」
「・・・この店はオーナー自らが手掛けたドレスが好評で、他国からの依頼も殺到し数年先の予約まである王都随一の店じゃなかったか?」
「あら、そうだったかしら?覚えてないわ・・・ん?
あらあら、どうやらネズミがココに迷い込んできたみたいよ」
「ネズミ、ですか?」
「尾行していた奴かもな。マゼンダは探知魔法でこの店に来る客とそうでない輩全部把握している。」
「え、じゃあ今回来たのは・・・」
「そうでない輩・・・招かれざる客ってやつよ☆ま、私がいるから大丈夫♪」
お店の方から騒がしい声が聞こえてきた。あれ?人がこっちに向かってくる?
「あら、ココにまで来るつもり?まったく、何様なんだか・・・。
あ、サーヤちゃんとエリュシオンはそこの試着スペースにでも隠れてなさいな。」
「あのっ、マゼンダさ・・・」
「大丈夫よ!すぐにお帰りいただくから安心しててね☆」
「いや、あの・・・」
「ほら、サーヤ。早く来ないとネズミがこっちに入ってくるぞ」
エルに誘導されて、あたしは試着スペースに隠れることになった。
カーテンで仕切られた試着スペースは、ドレス用ということもありあたしとエル二人で入っても十分に余裕がある。
試着スペースに入ったところで、ちょうどネズミさんもこの部屋に入り、口論になっているのがなんとなく聞こえる。
どうしよう。
エルと初めての楽しいデートのはずなのに、なんでこうなった?
今のあたし、採寸中で下着姿な上にネックレスしてない
←今ここ
お願いです・・・せめて何か着るものをあたしに下さい・・・
悲しいことにあたしの服はマゼンダさんの後ろにあった椅子の上。取りに行くことは不可能だ
エルだって、羽織っていたマントを取った状態で薄手のシャツとパンツという軽装である。
あたしの切実な願いはどこにも届かなかった・・・。
さりげなく恥ずかしいことをバラされつつ、マゼンダさんに採寸してもらった。
事情というのはもちろんあたしの髪と瞳の色である。
マゼンダさんの前でネックレスを外し、あたしの髪と瞳が本来の色に戻る。
「わぉ。綺麗なシルバーブロンドね・・・こんなのロンド家のお嬢様以来・・・ん?あれ、あなた・・・」
「・・・やはり、お前はサーシャを知っていたか」
「もちろん!ロンド家は昔からのお得意様よ♪
・・・でも、たしかサーシャリア嬢って・・・」
「・・・“帰らずの森”に追放されていたところをたまたま俺が拾った」
「は、追放?!拾った??!!」
エルは端的にあたしのことや、王都に来るまでの経緯などをマゼンダさんに話した。
そして、王都についてから尾行があったことも。
「ん~、じゃああなたは見た目はサーシャリア嬢でも中身はサーヤという別人なのね、了解。
それにしたって、いくつか腑に落ちる点があるから納得だけど、腹立つわねその話。
ちょうど今王太子からウィンスレット家のアネモネ嬢へってドレスの注文入ってるけど、断ろうかしら」
「いやいや、王家からの仕事断っちゃダメですよっ!公私混同ダメっ!!」
「え~、私は可愛い義妹であるサーヤちゃんのドレスの方が作りたい~~、ぶぅ~~~」
義妹ってのはすごく嬉しいけど、姉弟揃って王族を優先しなさすぎじゃないだろうか・・・
そして、美女は頬を膨らませても美しいです!眼福!!
「そのアネモネ嬢とやらは、どんな奴なんだ?」
「そうね~、私も数回しか会ったことないけど・・・」
マゼンダさんからみたアネモネさんは、可愛い見た目を武器に男を誑し込む悪女にしか見えないらしく、生理的に好きではないらしい。
二人の馴れ初めとして知られているのは、学園に通っていたころに運命の出会いを果たした王太子とアネモネさんは、身分差を理由に一度別れようとしたんだけど、婚約者だったサーシャさんが嫉妬に狂ってアネモネさん殺害を企てたことにより逆転。
断罪され追放されたサーシャさんの代わりに晴れてアネモネさんが婚約者になったのだとか。
結婚式が近づいているらしく、依頼されているドレスはウェディングドレスらしい。
それ、国の一大イベントだからっ!!
絶対断っちゃいけないヤツだからっ!!!
元々サーシャさんと面識があったマゼンダさんは、貴族令嬢の模範といえる立ち振る舞いで王太子と政略結婚ということを理解していたサーシャさんが、たかだか嫉妬で浮気相手を殺害しようとするとは思えず、ずっと疑問だったようだ。
「ま、私はしがないお店のオーナーですから~。
ウェディングドレスなんて、この店の誰かが作れば大丈夫よ☆」
「・・・この店はオーナー自らが手掛けたドレスが好評で、他国からの依頼も殺到し数年先の予約まである王都随一の店じゃなかったか?」
「あら、そうだったかしら?覚えてないわ・・・ん?
あらあら、どうやらネズミがココに迷い込んできたみたいよ」
「ネズミ、ですか?」
「尾行していた奴かもな。マゼンダは探知魔法でこの店に来る客とそうでない輩全部把握している。」
「え、じゃあ今回来たのは・・・」
「そうでない輩・・・招かれざる客ってやつよ☆ま、私がいるから大丈夫♪」
お店の方から騒がしい声が聞こえてきた。あれ?人がこっちに向かってくる?
「あら、ココにまで来るつもり?まったく、何様なんだか・・・。
あ、サーヤちゃんとエリュシオンはそこの試着スペースにでも隠れてなさいな。」
「あのっ、マゼンダさ・・・」
「大丈夫よ!すぐにお帰りいただくから安心しててね☆」
「いや、あの・・・」
「ほら、サーヤ。早く来ないとネズミがこっちに入ってくるぞ」
エルに誘導されて、あたしは試着スペースに隠れることになった。
カーテンで仕切られた試着スペースは、ドレス用ということもありあたしとエル二人で入っても十分に余裕がある。
試着スペースに入ったところで、ちょうどネズミさんもこの部屋に入り、口論になっているのがなんとなく聞こえる。
どうしよう。
エルと初めての楽しいデートのはずなのに、なんでこうなった?
今のあたし、採寸中で下着姿な上にネックレスしてない
←今ここ
お願いです・・・せめて何か着るものをあたしに下さい・・・
悲しいことにあたしの服はマゼンダさんの後ろにあった椅子の上。取りに行くことは不可能だ
エルだって、羽織っていたマントを取った状態で薄手のシャツとパンツという軽装である。
あたしの切実な願いはどこにも届かなかった・・・。
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