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3章 いざ王都へ
王都へ行こう〜初めてのデート2~
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◇
エルが最初に連れてきてくれたのは、優しそうな夫婦の経営する食事処だった。
「あらあら、エリュシオン様じゃないですか!お久しぶりですね、いらっしゃい」
「あぁ、久しいな。メアリ、息災か?」
「ええ、この通り。主人も相変わらずですよ」
珍しく友好的なエルの態度にビックリしつつも、ちょっと嬉しくなる。
すべての人が嫌いってわけじゃないんだなぁ。
「あら、そこのお嬢さんは?」
「あぁ、サーヤだ」
「あ、初めまして。サーヤと申します」
「こんな綺麗なお嬢さんをお連れとは・・・エリュシオン様も隅におけませんね」
「まったく・・・リンダと言いメアリと言い親子揃って同じことを言ってくるのだな」
「え?リンダのお母さんなんですか?!」
「あら、うちの不良娘をご存知で?」
なんと!
このお店はリンダの両親のお店だった。
とても話しやすくてついつい話し込んでいたら、奥から「まだ注文を取っていないのか!!」とお父さんのマルコさんが出てきてしまい、エルだとわかるとついついまた一緒に話し込んでしまった。
お詫びと言うことでデザートをおまけしてもらったので大満足!
リンダの実家である食事処は、以前は潰れかけで金銭にとても困っていた。
そして、足の速さに自信のあったリンダはお店を何とかするために、お金を持っていそうな人にスリをしようとした。その相手がたまたま食事処を探していたエルだったんだとか。
子供のやったことだし、大事にはしなかったけど、事情を知った当時魔術師長だったエルは、部下や知り合いを連れてよく食べにきてくれたみたい。
それからは常連さんも増え、お店も持ち直して今も順調に営業できているんだって。
エルってばなんて親切!!
「俺は飯を食いに来ていただけだ」
ふふ、エルらしいやり方と言い方だ。
リンダはエルに恩返しするといって、魔力はないから剣士になって護衛騎士になると言って剣技を磨いたらしい。
当然エルには護衛なんてものは必要ないため却下されたものの、ココットさんのお店で働き、スルト村の自衛とお店のお手伝いを頑張っているみたい。
・・・剣技はかなりしごかれたから部隊長クラス並って、かなり強そう・・・。
見た目は普通の可愛い女の子なのに・・・人は見た目によらないな。
マルコさんは「エリュシオン様が良く食べていたものだ」と言って、お肉たっぷりのミートパイとポトフのような野菜たっぷりのスープ、蜂蜜入りのシフォンケーキみたいな優しい甘さのデザートをご馳走してくれた。
お代はいらないと言われたけど、そこはちゃんと支払いました・・・エルが。
「かなりお転婆な子だけど仲良くしてやってね」
「はいっ、こちらこそ!」
食事を終えてからは、可愛い建物の雑貨屋さんを見つけて、少しだけということで買い物をさせてもらったり、エルが行きたいと言っていた魔道具屋さんに行ったり、お互いの行きたいお店に一緒に行った。
見たことのない景色、見たことのない物ばかり、あたしはどこに行っても何を見てもエルと一緒ということもあってすごく楽しいっ!
「今日はずいぶんと上機嫌だな」
「だって、見たことないモノばかりで新鮮なんだもん!
それに、エルが過ごしていた場所でしょ?
どんな風に過ごしてたのかな、ココは行ったのかな、アレは食べたのかなとか、想像しながら歩くだけですごく楽しい!」
「サーヤ・・・」
エルは前に王都にいたこともあり、今回髪や瞳の色を変えていない。
とは言え、人々の黒髪への畏怖がないわけではないので、今日はフードを目深にかぶっている。
あたしもネックレスで髪と瞳の色を変えているが、エルに合わせてフードをかぶっているので、見た目は旅人みたいな感じだろう。
エルが急にあたしの腕をくいっと掴んで、建物の影に連れ込んだ。
え?なに、どうしたの?
「エル、急にどうし・・・んんっ?!」
壁ドン状態で、急にあたしキスしてきたエル。
え?えぇ??
「んっ、エル・・・ひゃっ、あ、やぁっ・・・んんん~~~っ」
キスを繰り返しながら、さわさわとスリットから覗く足を触りつつ、手がどんどん上に上がってくる。
ちょっと!!こんなところで急になんなの!!??
今日の服は冒険者風ということで、キャロさんお手製の賢者っぽい服なのだ。
チャイナドレスのホルダーネックみたいなデザインで、通気性が良いように胸の谷間はしっかり見えており、ロングスカートの両サイドにはがっつりスリットも入っている。
もちろん服はマントでほとんど隠れるから見えないけど、冒険に出るという気分を出したかったのだ。
動きやすさを重視してみたけど、よく考えたらものすごくエルが触りやすいデザインじゃないか!
失敗したぁぁぁ!!
ってか、なんでこんなトコロでこんなコトされてるのよっ!!
「ちょっ、エルっ・・・」
「静かにしろ。尾行してる奴らに気づかれるぞ」
「へ?びこ・・・きゃぅっ」
は?尾行?なんでぇぇぇぇぇぇ??!!
エルは普通の旅行者のフリをして、路地裏で盛り始めたカップルを装っているらしい。
ちょっと待て。フリにしてはやりすぎでしょ!フリになってないからっ!!
・・・結局尾行してる人をまくことはできたみたいだけど、その時点であたしも一人で立っていられない状態になり、結局本当に盛ってしまったエルが最後までイタシテしまいました。
魔法で周りに気づかれないようにしたと言ってたけど、だったらそれで最初から隠れれば良かったじゃんっ!とツッコんだあたしは絶対正しいと思う。
それにしたって、王都に着いて早々尾行とは雲行き怪しいなぁと思いながらも、エルが一緒だからまぁ大丈夫かと思ってしまうのでした。
・・・まだデートしたいから、ちゃんと洗浄と疲労回復の魔法もかけてもらいました。
魔法ってホントに便利だ。
エルが最初に連れてきてくれたのは、優しそうな夫婦の経営する食事処だった。
「あらあら、エリュシオン様じゃないですか!お久しぶりですね、いらっしゃい」
「あぁ、久しいな。メアリ、息災か?」
「ええ、この通り。主人も相変わらずですよ」
珍しく友好的なエルの態度にビックリしつつも、ちょっと嬉しくなる。
すべての人が嫌いってわけじゃないんだなぁ。
「あら、そこのお嬢さんは?」
「あぁ、サーヤだ」
「あ、初めまして。サーヤと申します」
「こんな綺麗なお嬢さんをお連れとは・・・エリュシオン様も隅におけませんね」
「まったく・・・リンダと言いメアリと言い親子揃って同じことを言ってくるのだな」
「え?リンダのお母さんなんですか?!」
「あら、うちの不良娘をご存知で?」
なんと!
このお店はリンダの両親のお店だった。
とても話しやすくてついつい話し込んでいたら、奥から「まだ注文を取っていないのか!!」とお父さんのマルコさんが出てきてしまい、エルだとわかるとついついまた一緒に話し込んでしまった。
お詫びと言うことでデザートをおまけしてもらったので大満足!
リンダの実家である食事処は、以前は潰れかけで金銭にとても困っていた。
そして、足の速さに自信のあったリンダはお店を何とかするために、お金を持っていそうな人にスリをしようとした。その相手がたまたま食事処を探していたエルだったんだとか。
子供のやったことだし、大事にはしなかったけど、事情を知った当時魔術師長だったエルは、部下や知り合いを連れてよく食べにきてくれたみたい。
それからは常連さんも増え、お店も持ち直して今も順調に営業できているんだって。
エルってばなんて親切!!
「俺は飯を食いに来ていただけだ」
ふふ、エルらしいやり方と言い方だ。
リンダはエルに恩返しするといって、魔力はないから剣士になって護衛騎士になると言って剣技を磨いたらしい。
当然エルには護衛なんてものは必要ないため却下されたものの、ココットさんのお店で働き、スルト村の自衛とお店のお手伝いを頑張っているみたい。
・・・剣技はかなりしごかれたから部隊長クラス並って、かなり強そう・・・。
見た目は普通の可愛い女の子なのに・・・人は見た目によらないな。
マルコさんは「エリュシオン様が良く食べていたものだ」と言って、お肉たっぷりのミートパイとポトフのような野菜たっぷりのスープ、蜂蜜入りのシフォンケーキみたいな優しい甘さのデザートをご馳走してくれた。
お代はいらないと言われたけど、そこはちゃんと支払いました・・・エルが。
「かなりお転婆な子だけど仲良くしてやってね」
「はいっ、こちらこそ!」
食事を終えてからは、可愛い建物の雑貨屋さんを見つけて、少しだけということで買い物をさせてもらったり、エルが行きたいと言っていた魔道具屋さんに行ったり、お互いの行きたいお店に一緒に行った。
見たことのない景色、見たことのない物ばかり、あたしはどこに行っても何を見てもエルと一緒ということもあってすごく楽しいっ!
「今日はずいぶんと上機嫌だな」
「だって、見たことないモノばかりで新鮮なんだもん!
それに、エルが過ごしていた場所でしょ?
どんな風に過ごしてたのかな、ココは行ったのかな、アレは食べたのかなとか、想像しながら歩くだけですごく楽しい!」
「サーヤ・・・」
エルは前に王都にいたこともあり、今回髪や瞳の色を変えていない。
とは言え、人々の黒髪への畏怖がないわけではないので、今日はフードを目深にかぶっている。
あたしもネックレスで髪と瞳の色を変えているが、エルに合わせてフードをかぶっているので、見た目は旅人みたいな感じだろう。
エルが急にあたしの腕をくいっと掴んで、建物の影に連れ込んだ。
え?なに、どうしたの?
「エル、急にどうし・・・んんっ?!」
壁ドン状態で、急にあたしキスしてきたエル。
え?えぇ??
「んっ、エル・・・ひゃっ、あ、やぁっ・・・んんん~~~っ」
キスを繰り返しながら、さわさわとスリットから覗く足を触りつつ、手がどんどん上に上がってくる。
ちょっと!!こんなところで急になんなの!!??
今日の服は冒険者風ということで、キャロさんお手製の賢者っぽい服なのだ。
チャイナドレスのホルダーネックみたいなデザインで、通気性が良いように胸の谷間はしっかり見えており、ロングスカートの両サイドにはがっつりスリットも入っている。
もちろん服はマントでほとんど隠れるから見えないけど、冒険に出るという気分を出したかったのだ。
動きやすさを重視してみたけど、よく考えたらものすごくエルが触りやすいデザインじゃないか!
失敗したぁぁぁ!!
ってか、なんでこんなトコロでこんなコトされてるのよっ!!
「ちょっ、エルっ・・・」
「静かにしろ。尾行してる奴らに気づかれるぞ」
「へ?びこ・・・きゃぅっ」
は?尾行?なんでぇぇぇぇぇぇ??!!
エルは普通の旅行者のフリをして、路地裏で盛り始めたカップルを装っているらしい。
ちょっと待て。フリにしてはやりすぎでしょ!フリになってないからっ!!
・・・結局尾行してる人をまくことはできたみたいだけど、その時点であたしも一人で立っていられない状態になり、結局本当に盛ってしまったエルが最後までイタシテしまいました。
魔法で周りに気づかれないようにしたと言ってたけど、だったらそれで最初から隠れれば良かったじゃんっ!とツッコんだあたしは絶対正しいと思う。
それにしたって、王都に着いて早々尾行とは雲行き怪しいなぁと思いながらも、エルが一緒だからまぁ大丈夫かと思ってしまうのでした。
・・・まだデートしたいから、ちゃんと洗浄と疲労回復の魔法もかけてもらいました。
魔法ってホントに便利だ。
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