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2章 過去の自分と新しい出会い
調査の結果を聞きましょう
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◇
今日は天気が良かったので、ほむちゃんとミナトちゃんと日向ぼっこしつつ、おやつに焼いたクッキーを食べてるところに、匂いに釣られたセイルとエルも混ざり、皆でのんびりティータイムを過ごしていた。
最近我が家で定番になりつつある時間だ。
そんなとき、世間話をするような雰囲気でエルがとんでもないことを言ってきた。
「そういえば、少々面倒なことになった」
「ん?面倒なこと?」
「一度、サーヤを連れて王都の城に行かねばならなくなった」
「・・・はい?」
なんでいきなりそうなった?
そして、なんでそんな重要そうなことを重要じゃない感じで話してるの?
「王都の城ねぇ・・・そんなふざけた命令出した奴って誰?事故に見せかけて殺っちゃおっか☆」
「やっちゃう~☆」
「きゅう~ん♪」
ちょっとっ!いきなり物騒な話はやめてっ!!
ミナトちゃんとほむちゃんなんて、意味もわからずに乗っちゃってるじゃないかっ
教育上よろしくないっ!!!
「・・・命令したのはレヴィン、この国の王だ。一応悪い奴ではないからまだやめておけ」
「いやいやいや、まだも何もダメでしょ!王って、この国の一番偉い人だよね?!」
いきなりこの場で国のトップの命の危機である。セイルならホントにやっちゃいそうなんですけどっ!!
「一番の目的は、サーヤの戸籍を作ることだ。ここで生活するにしても移動するにしても、戸籍がないと不便だからな」
「え~、それなら冒険者ギルドでギルドカード発行するだけでも身分証は作れるから、城なんかに行く必要ないじゃない☆」
「いや、普通の人間ならそれで問題はない・・・だが、サーヤの身体はこの国の貴族として身分も魔力も登録しているから、ギルドカードを発行した時点で貴族だとバレる」
「・・・だから、あたしの戸籍を作るの?それとも、サーシャさんの戸籍を書き換えるの?」
「どちらになるかは話し合い次第、だな」
あたしが高熱で寝ている間、エルが調査を依頼していた件で報告があったらしい。
「あたしが高熱で寝込んでたの、随分前だけど・・・」
「あぁ、すっかり忘れていてな。最近思い出した」
「忘れていいの?!王様の命令!」
「大丈夫だよ⭐︎うるさく言ってきたらプチっとね♬」
「ぷっちん♬」
「きゅぅ~♬」
「だからやめなさいって!!」
なんだこのツッコミ不在の状況っ!
ミナトちゃんやほむちゃんまで笑顔で”人間殺っちゃえ☆”って大人になっちゃうじゃないか!
まさかそれが精霊さんの教育方針なの?!
そりゃこの森は"帰らずの森"になるはずだわ!!
・・・話を戻そう。
とりあえず、あたしの処遇についてはまだ決めかねているとのこと。
サーシャさんの実家であるロンド家は、すでにサーシャさんを除籍しており絶縁状態で、身分は平民となっている。
この国の貴族や魔力持ちの人間は、10歳で身分と魔力を登録しお城で情報管理されており、亡くなると消えるようになっているそうだ。そのため、サーシャさんは今は貴族じゃなくても魔力保持者として情報が残っており、冒険者ギルドで魔力チェックをする際にバレてしまう可能性が高い。
冒険者ギルドで細工をしても、調査によりバレることがあるため、細工をするならお城が一番良いということになったみたい。
「あとは、レヴィンが単純にサーヤに会いたがっているようだ」
「へ?なんで??」
「・・・元々、お前の身体・・・サーシャは、レヴィンの息子である王太子の元婚約者だったようだ。
レヴィン自身もサーシャと面識があり、事の顛末について知っていることは直接話したいと・・・。
今後についてはサーヤの意見を尊重し、一番良い状況となるよう取り測るとも言っている。」
「サーシャさんが王太子の・・・。とりあえず、王様からの話はとてもありがたい話だと思うから、行った方が良さそうだね」
サーシャさんが、王太子の元婚約者・・・?
なんか引っかかるな。
元々結婚する予定の人で、何かがあって解消されて、今は別に婚約者がいるってことだよね・・・
「・・・ちなみに、その元婚約者の王太子様の名前って・・・?」
「ユーリウス・・・ユーリウス=ルド=ガルドニアだ」
「ユー、リウス・・・。・・・ユーリ・・・殿、下?」
あ、・・・お、もいだした・・・かも。
リナリアさんがヒロインだった、“淡恋”の続編、“蒼い月の下で貴方と~雪恋~”は通称“雪恋”。
ヒロインは前作同様、花と同じ名前だったはず・・・。
思い出せ・・・思い出せ・・・
攻略対象の、ユーリウス殿下・・・その元婚約者、サーシャリア=ロンド、ヒロインは・・・
「・・・ア、ネモネ・・・。」
ちょっと待って、だとすると元婚約者のサーシャさんって、もしかして・・・
「サーヤ・・・?」
「!!」
「大丈夫?サーヤ」
「サーヤまま、ぐあい、わるい?」
「きゅぅん」
「だ、大丈夫だよ。急にお城に行くなんて言われたからビックリしちゃった☆」
・・・とりあえず、皆には申し訳ないけど、今思い出したことを整理する時間が欲しい。
エルに話したいけど、この状態じゃうまく話せる自信がない。
「あ、あたしご飯の下ごしらえがあるから先に家に戻ってるね。セイルは眠そうなミナトちゃんとほむちゃんを見ててあげて」
「サーヤ」
「エルはここで休憩したら研究室に戻るでしょ?今日はあたしがご飯作るから、できたら呼びに行くね」
それらしい言い訳をして足早に家に戻ったあたしは、急いで部屋に戻った。
日用品を買ってもらったときに一緒に用意した1冊のノート。
そこに、ここに来てからのことや気になるキーワード、前にセイルやリナリアさんの話もすべて日本語で書いている。
忘れないうちに、思い出したことを書いておきたかった。
今日は天気が良かったので、ほむちゃんとミナトちゃんと日向ぼっこしつつ、おやつに焼いたクッキーを食べてるところに、匂いに釣られたセイルとエルも混ざり、皆でのんびりティータイムを過ごしていた。
最近我が家で定番になりつつある時間だ。
そんなとき、世間話をするような雰囲気でエルがとんでもないことを言ってきた。
「そういえば、少々面倒なことになった」
「ん?面倒なこと?」
「一度、サーヤを連れて王都の城に行かねばならなくなった」
「・・・はい?」
なんでいきなりそうなった?
そして、なんでそんな重要そうなことを重要じゃない感じで話してるの?
「王都の城ねぇ・・・そんなふざけた命令出した奴って誰?事故に見せかけて殺っちゃおっか☆」
「やっちゃう~☆」
「きゅう~ん♪」
ちょっとっ!いきなり物騒な話はやめてっ!!
ミナトちゃんとほむちゃんなんて、意味もわからずに乗っちゃってるじゃないかっ
教育上よろしくないっ!!!
「・・・命令したのはレヴィン、この国の王だ。一応悪い奴ではないからまだやめておけ」
「いやいやいや、まだも何もダメでしょ!王って、この国の一番偉い人だよね?!」
いきなりこの場で国のトップの命の危機である。セイルならホントにやっちゃいそうなんですけどっ!!
「一番の目的は、サーヤの戸籍を作ることだ。ここで生活するにしても移動するにしても、戸籍がないと不便だからな」
「え~、それなら冒険者ギルドでギルドカード発行するだけでも身分証は作れるから、城なんかに行く必要ないじゃない☆」
「いや、普通の人間ならそれで問題はない・・・だが、サーヤの身体はこの国の貴族として身分も魔力も登録しているから、ギルドカードを発行した時点で貴族だとバレる」
「・・・だから、あたしの戸籍を作るの?それとも、サーシャさんの戸籍を書き換えるの?」
「どちらになるかは話し合い次第、だな」
あたしが高熱で寝ている間、エルが調査を依頼していた件で報告があったらしい。
「あたしが高熱で寝込んでたの、随分前だけど・・・」
「あぁ、すっかり忘れていてな。最近思い出した」
「忘れていいの?!王様の命令!」
「大丈夫だよ⭐︎うるさく言ってきたらプチっとね♬」
「ぷっちん♬」
「きゅぅ~♬」
「だからやめなさいって!!」
なんだこのツッコミ不在の状況っ!
ミナトちゃんやほむちゃんまで笑顔で”人間殺っちゃえ☆”って大人になっちゃうじゃないか!
まさかそれが精霊さんの教育方針なの?!
そりゃこの森は"帰らずの森"になるはずだわ!!
・・・話を戻そう。
とりあえず、あたしの処遇についてはまだ決めかねているとのこと。
サーシャさんの実家であるロンド家は、すでにサーシャさんを除籍しており絶縁状態で、身分は平民となっている。
この国の貴族や魔力持ちの人間は、10歳で身分と魔力を登録しお城で情報管理されており、亡くなると消えるようになっているそうだ。そのため、サーシャさんは今は貴族じゃなくても魔力保持者として情報が残っており、冒険者ギルドで魔力チェックをする際にバレてしまう可能性が高い。
冒険者ギルドで細工をしても、調査によりバレることがあるため、細工をするならお城が一番良いということになったみたい。
「あとは、レヴィンが単純にサーヤに会いたがっているようだ」
「へ?なんで??」
「・・・元々、お前の身体・・・サーシャは、レヴィンの息子である王太子の元婚約者だったようだ。
レヴィン自身もサーシャと面識があり、事の顛末について知っていることは直接話したいと・・・。
今後についてはサーヤの意見を尊重し、一番良い状況となるよう取り測るとも言っている。」
「サーシャさんが王太子の・・・。とりあえず、王様からの話はとてもありがたい話だと思うから、行った方が良さそうだね」
サーシャさんが、王太子の元婚約者・・・?
なんか引っかかるな。
元々結婚する予定の人で、何かがあって解消されて、今は別に婚約者がいるってことだよね・・・
「・・・ちなみに、その元婚約者の王太子様の名前って・・・?」
「ユーリウス・・・ユーリウス=ルド=ガルドニアだ」
「ユー、リウス・・・。・・・ユーリ・・・殿、下?」
あ、・・・お、もいだした・・・かも。
リナリアさんがヒロインだった、“淡恋”の続編、“蒼い月の下で貴方と~雪恋~”は通称“雪恋”。
ヒロインは前作同様、花と同じ名前だったはず・・・。
思い出せ・・・思い出せ・・・
攻略対象の、ユーリウス殿下・・・その元婚約者、サーシャリア=ロンド、ヒロインは・・・
「・・・ア、ネモネ・・・。」
ちょっと待って、だとすると元婚約者のサーシャさんって、もしかして・・・
「サーヤ・・・?」
「!!」
「大丈夫?サーヤ」
「サーヤまま、ぐあい、わるい?」
「きゅぅん」
「だ、大丈夫だよ。急にお城に行くなんて言われたからビックリしちゃった☆」
・・・とりあえず、皆には申し訳ないけど、今思い出したことを整理する時間が欲しい。
エルに話したいけど、この状態じゃうまく話せる自信がない。
「あ、あたしご飯の下ごしらえがあるから先に家に戻ってるね。セイルは眠そうなミナトちゃんとほむちゃんを見ててあげて」
「サーヤ」
「エルはここで休憩したら研究室に戻るでしょ?今日はあたしがご飯作るから、できたら呼びに行くね」
それらしい言い訳をして足早に家に戻ったあたしは、急いで部屋に戻った。
日用品を買ってもらったときに一緒に用意した1冊のノート。
そこに、ここに来てからのことや気になるキーワード、前にセイルやリナリアさんの話もすべて日本語で書いている。
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