78 / 512
2章 過去の自分と新しい出会い
巻き込まれる予兆と過去の記憶2
しおりを挟む
◇
この世界で目が覚めたときに見えた蒼い月。どこかで見覚えがあると思ってた。
そうだ。ココはあたしがあまりの男運の悪さに凹んでるときに親友に勧められて、まんまとのめり込んだ“蒼い月の下で貴方と~淡恋~”という乙女ゲームの世界だ。
そして、“リナリア=ロンド”はヒロイン。逆ハーENDもたしかにある。
でも、あたしは“サーシャリア=ロンド”という、リナリアの子孫で、同じ“魔力の器”であることはセイルの話からわかったが、自分がこの世界でどういう立ち位置なのかは未だによくわからない。
・・・できればモブであってほしい。そして、エルとこの森でこれからも平穏に暮らしていきたい。
願いはそれ一つだ。
とりあえずあたしは、セイルに“リナリアさんと同じ異世界からきた”ということ、この世界が"乙女ゲーム"の世界なのはわかるけど、この身体“サーシャリア=ロンド”の記憶は一切なく、立ち位置もわからない。
そして、素性がわかったとしてもロンド家に帰るつもりがないことを伝えた。
「そうだね~。ボクもそれが一番いいと思うよ☆人間の世界ってとてもめんどくさいし、視野が狭いよね。誰もリアの言う真実に耳を傾ける者はいなかったし」
「リナリアさんの、真実?」
「エリュシオンは知ってる?どうして魔力付与が禁術とされたのか・・・」
「・・・魔力を奪って人を殺めた事件をきっかけに、と噂程度には聞いているが詳細は知らん。」
「そっか☆実は、その魔力を奪って人を殺めたとされているの、リナリアなんだよね」
なんですと?!リナリアさんが???
でも、殺めたとされている・・・?
「“魔力の器”であったリアは、自分の魔力量はそんなに多くなかったけど、魔力の保有量は桁違いだった。
リアは大気や精霊、人からも魔力をもらうことができたんだ。意図しなくてもね。
・・・ここまで言ったらわかるでしょ?」
「っ!!・・・もしかして」
「そう。キミみたいに愛した人の魔力を大量に奪ってしまったんだよ。」
「!!」
リナリアさんが愛する人から大量に魔力を奪った・・・それって、前のあたしと一緒・・・。
じゃあ、あたしも今後同じことをしてしまう可能性があるってこと・・・?
「余計なことは考えるな」
「ひゃっ」
エルが腕にしがみ付いていたあたしを急に抱き寄せる。
「お前はこれから自分で自分を制御できるようになるんだ。俺がわざわざ教えてやるんだからできないわけないだろう。」
「エル・・・」
「それに、お前が俺にどうこうできると思うなよ?同じことが起こるわけないだろう。」
一言「大丈夫だ。安心しろ」と言ってくれれば良いのに、俺様エルフはどうも捻くれているらしい。
でも、そのエルらしさが、あたしはとても安心するし、大好きだ。
「えへへ」と照れ笑いの笑顔をエルに向けていたら、頭をポンポンってしてくれた。
あぁ、もうっ!何このツンデレ俺様エルフ!!最高かよっ!!!
「お~い。ボクの存在忘れてなぁい?やだな~すぐに二人の世界に入っちゃうんだから~」
「なんだセイル。まだいたのか。」
「まだ全部の話し終わってないもん☆まだまだいるよ~♪」
「ちっ、だったら早く話の続きをしろ」
「も~、エリュシオンってばせっかちだなぁ。そんなんだったらサーヤに嫌われちゃうよ~」
・・・この二人、仲悪すぎじゃないだろうか?大丈夫かな・・・
“蒼い月の下で貴方と~淡恋~”という乙女ゲーム(通称”淡恋”)は、たしかシリーズで続編もあった気がする。
そして、1作目の”淡恋”は基本的にリナリアが攻略対象の誰かと結ばれて終わるはずだ。
あたしは大好きだった乙女ゲームの記憶を少しでも思い出そうと、この後もセイルさんの話を食い入るように聞いていたので、エルが眉をひそめながらあたしを見ていることに気づきもしなかった・・・。
この世界で目が覚めたときに見えた蒼い月。どこかで見覚えがあると思ってた。
そうだ。ココはあたしがあまりの男運の悪さに凹んでるときに親友に勧められて、まんまとのめり込んだ“蒼い月の下で貴方と~淡恋~”という乙女ゲームの世界だ。
そして、“リナリア=ロンド”はヒロイン。逆ハーENDもたしかにある。
でも、あたしは“サーシャリア=ロンド”という、リナリアの子孫で、同じ“魔力の器”であることはセイルの話からわかったが、自分がこの世界でどういう立ち位置なのかは未だによくわからない。
・・・できればモブであってほしい。そして、エルとこの森でこれからも平穏に暮らしていきたい。
願いはそれ一つだ。
とりあえずあたしは、セイルに“リナリアさんと同じ異世界からきた”ということ、この世界が"乙女ゲーム"の世界なのはわかるけど、この身体“サーシャリア=ロンド”の記憶は一切なく、立ち位置もわからない。
そして、素性がわかったとしてもロンド家に帰るつもりがないことを伝えた。
「そうだね~。ボクもそれが一番いいと思うよ☆人間の世界ってとてもめんどくさいし、視野が狭いよね。誰もリアの言う真実に耳を傾ける者はいなかったし」
「リナリアさんの、真実?」
「エリュシオンは知ってる?どうして魔力付与が禁術とされたのか・・・」
「・・・魔力を奪って人を殺めた事件をきっかけに、と噂程度には聞いているが詳細は知らん。」
「そっか☆実は、その魔力を奪って人を殺めたとされているの、リナリアなんだよね」
なんですと?!リナリアさんが???
でも、殺めたとされている・・・?
「“魔力の器”であったリアは、自分の魔力量はそんなに多くなかったけど、魔力の保有量は桁違いだった。
リアは大気や精霊、人からも魔力をもらうことができたんだ。意図しなくてもね。
・・・ここまで言ったらわかるでしょ?」
「っ!!・・・もしかして」
「そう。キミみたいに愛した人の魔力を大量に奪ってしまったんだよ。」
「!!」
リナリアさんが愛する人から大量に魔力を奪った・・・それって、前のあたしと一緒・・・。
じゃあ、あたしも今後同じことをしてしまう可能性があるってこと・・・?
「余計なことは考えるな」
「ひゃっ」
エルが腕にしがみ付いていたあたしを急に抱き寄せる。
「お前はこれから自分で自分を制御できるようになるんだ。俺がわざわざ教えてやるんだからできないわけないだろう。」
「エル・・・」
「それに、お前が俺にどうこうできると思うなよ?同じことが起こるわけないだろう。」
一言「大丈夫だ。安心しろ」と言ってくれれば良いのに、俺様エルフはどうも捻くれているらしい。
でも、そのエルらしさが、あたしはとても安心するし、大好きだ。
「えへへ」と照れ笑いの笑顔をエルに向けていたら、頭をポンポンってしてくれた。
あぁ、もうっ!何このツンデレ俺様エルフ!!最高かよっ!!!
「お~い。ボクの存在忘れてなぁい?やだな~すぐに二人の世界に入っちゃうんだから~」
「なんだセイル。まだいたのか。」
「まだ全部の話し終わってないもん☆まだまだいるよ~♪」
「ちっ、だったら早く話の続きをしろ」
「も~、エリュシオンってばせっかちだなぁ。そんなんだったらサーヤに嫌われちゃうよ~」
・・・この二人、仲悪すぎじゃないだろうか?大丈夫かな・・・
“蒼い月の下で貴方と~淡恋~”という乙女ゲーム(通称”淡恋”)は、たしかシリーズで続編もあった気がする。
そして、1作目の”淡恋”は基本的にリナリアが攻略対象の誰かと結ばれて終わるはずだ。
あたしは大好きだった乙女ゲームの記憶を少しでも思い出そうと、この後もセイルさんの話を食い入るように聞いていたので、エルが眉をひそめながらあたしを見ていることに気づきもしなかった・・・。
0
お気に入りに追加
2,852
あなたにおすすめの小説
【R18】異世界でセカンドライフ~子供達の物語~
暁月
恋愛
このお話は、別小説『異世界でセカンドライフ~俺様エルフに拾われました~』の続編で、子供達が中心の物語です。
単体でも読めるよう書き進めたいと思っていますが、『俺様エルフ』を読んでいただく方がそれぞれのキャラの馴れ初めがわかって楽しめるかと思います。
(何分『俺様エルフ』は話数が多いのでご注意ください)
§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§§
≪あらすじ≫
異世界からの”落ち人”である母、サーヤとハイエルフのエリュシオンの子供達が成長し、それぞれが様々な経験を経て大人になっていくという、日常をメインに描いた物語。
もうすぐ16歳になる双子のレオンとサクラ。
家族や仲間と人里離れた森で何不自由なく暮らしていたが、ひょんなことから16歳になったら王族、貴族、平民関係なく通うことを義務付けられている王立魔術学園の存在を知り、自分達も通いたいと思い始める双子。
念願の学園に入学するも、育ってきた環境や周囲の大人達の影響で、本人達にとっての”日常”が世間一般でいう”日常”とはいろいろズレていることがいろいろ発覚し、戸惑う双子。
そして、それを影ながら(?)フォロー(??)しようと頑張る大人達。
レオンとサクラは、普通(?)に平和で楽しい学園生活を送って卒業したい。
だけど、そこには異世界からやって来たというサクラと同じ黒髪の”聖女”と呼ばれる少女も入学してきたのだった……
そのまんまですが、基本的にドタバタなコメディです。←
R18としていますが、しばらくは親世代のR18展開がちょいちょい出てきて、子供達のラブな展開は後半になると。
異種族、かなりの年齢差など様々なカップルが出てきますが広い心で見ていただけたら嬉しいです。
≪2023/11/9加筆≫
書き進める上で手が止まる原因にもなったのですが、
・どうしても前作の主人公(サーヤ)を含めた子供達や精霊王様達が最強すぎる。
・今作から登場した転生聖女よりも双子や他の兄妹たちにスポットが当たりそう(小話もそちら中心なら結構思い浮かぶw)
等の理由から、タイトルを改めて修正しました。
当時は更新を急ぐばかりに、大筋を決めないまま発信した自分を悔いていますorz
少し書き進めているモノの、まだ多忙ではあるためある程度まとまりができてから更新予定です。
他のお話も含め、どんなに時間がかかっても完結させたいとは思っているので、引き続きお楽しみいただけたら幸いです。
【R-18】悪役令嬢ですが、罠に嵌まって張型つき木馬に跨がる事になりました!
臣桜
恋愛
悪役令嬢エトラは、王女と聖女とお茶会をしたあと、真っ白な空間にいた。
そこには張型のついた木馬があり『ご自由に跨がってください。絶頂すれば元の世界に戻れます』の文字が……。
※ムーンライトノベルズ様にも重複投稿しています
※表紙はニジジャーニーで生成しました
軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
★完結 【R18】変態だらけの18禁乙女ゲーム世界に転生したから、死んで生まれ変わりたい
石原 ぴと
恋愛
学園の入学式。デジャブを覚えた公爵令嬢は前世を思い出した。
――ああ、これはあのろくでもない18禁乙女ゲームの世界だと。
なぜなら、この世界の攻略対象者は特殊性癖持ちのへんたいばかりだからだ。
1、第一王子 照れ屋なM男である。
2、第二王子 露出性交性愛。S。
3、王弟の公爵閣下 少女性愛でM。
4、騎士団長子息で第一皇子の側近 ドMの犬志願者。
5、生徒会長 道具や媚薬を使うのが好きでS。
6、天才魔術教師 監禁ヤンデレ。
妹と「こんなゲーム作った奴、頭おかしい」などと宣い、一緒にゲームしていた頃が懐かしい。
――ああ、いっそ死んで生まれ変わりたい。
と思うが、このゲーム攻略対象の性癖を満たさないと攻略対象が魔力暴走を起こしてこの大陸沈むんです。奴ら標準スペックできちがい並みの魔力量を兼ね備えているので。ちな全員絶倫でイケメンで高スペック。現実世界で絶倫いらねぇ!
「無理無理無理無理」
「無理無理無理無理無理無理」」
あれ…………?
【※R-18】私のイケメン夫たちが、毎晩寝かせてくれません。
aika
恋愛
人類のほとんどが死滅し、女が数人しか生き残っていない世界。
生き残った繭(まゆ)は政府が運営する特別施設に迎えられ、たくさんの男性たちとひとつ屋根の下で暮らすことになる。
優秀な男性たちを集めて集団生活をさせているその施設では、一妻多夫制が取られ子孫を残すための営みが日々繰り広げられていた。
男性と比較して女性の数が圧倒的に少ないこの世界では、男性が妊娠できるように特殊な研究がなされ、彼らとの交わりで繭は多くの子を成すことになるらしい。
自分が担当する屋敷に案内された繭は、遺伝子的に優秀だと選ばれたイケメンたち数十人と共同生活を送ることになる。
【閲覧注意】※男性妊娠、悪阻などによる体調不良、治療シーン、出産シーン、複数プレイ、などマニアックな(あまりグロくはないと思いますが)描写が出てくる可能性があります。
たくさんのイケメン夫に囲まれて、逆ハーレムな生活を送りたいという女性の願望を描いています。
気付いたら異世界の娼館に売られていたけど、なんだかんだ美男子に救われる話。
sorato
恋愛
20歳女、東京出身。親も彼氏もおらずブラック企業で働く日和は、ある日突然異世界へと転移していた。それも、気を失っている内に。
気付いたときには既に娼館に売られた後。娼館の店主にお薦め客候補の姿絵を見せられるが、どの客も生理的に受け付けない男ばかり。そんな中、日和が目をつけたのは絶世の美男子であるヨルクという男で――……。
※男は太っていて脂ぎっている方がより素晴らしいとされ、女は細く印象の薄い方がより美しいとされる美醜逆転的な概念の異世界でのお話です。
!直接的な行為の描写はありませんが、そういうことを匂わす言葉はたくさん出てきますのでR15指定しています。苦手な方はバックしてください。
※小説家になろうさんでも投稿しています。
[R18] 18禁ゲームの世界に御招待! 王子とヤらなきゃゲームが進まない。そんなのお断りします。
ピエール
恋愛
R18 がっつりエロです。ご注意下さい
えーー!!
転生したら、いきなり推しと リアルセッ○スの真っ最中!!!
ここって、もしかしたら???
18禁PCゲーム ラブキャッスル[愛と欲望の宮廷]の世界
私って悪役令嬢のカトリーヌに転生しちゃってるの???
カトリーヌって•••、あの、淫乱の•••
マズイ、非常にマズイ、貞操の危機だ!!!
私、確か、彼氏とドライブ中に事故に遭い••••
異世界転生って事は、絶対彼氏も転生しているはず!
だって[ラノベ]ではそれがお約束!
彼を探して、一緒に こんな世界から逃げ出してやる!
カトリーヌの身体に、男達のイヤラシイ魔の手が伸びる。
果たして、主人公は、数々のエロイベントを乗り切る事が出来るのか?
ゲームはエンディングを迎える事が出来るのか?
そして、彼氏の行方は•••
攻略対象別 オムニバスエロです。
完結しておりますので最後までお楽しみいただけます。
(攻略対象に変態もいます。ご注意下さい)
残念系悪役令嬢に転生したら、婚約破棄される予定の王太子に溺愛されています【R-18】
Rila
恋愛
■ストーリー■
ルティナ・グレイスは公爵令嬢。
前世でプレイするはずの乙女ゲームの悪役令嬢に転生していた事に気付いたのは、9歳の頃…。
そしてルティナと婚約をすることになるのがこの国の王太子である、ラインハルト・ロイ・ヴァイセンブルクだった。
しかしまだこの段階ではラインハルトとは出会ってはいないし、婚約もしていない。
そこでルティナは目立たない様に過ごす予定だったのだが、ある少女との出会いによりラインハルトに気に入られて強引に婚約者にさせられてしまう。
なんとか穏便に婚約を白紙に戻そうと考えるルティナだったが…。
**補足説明**
R18作品になります。ご注意ください。
基本的に前戯~本番に※(キスや軽いスキンシップなどには付けていません)
R部分は後半からになりますので割と後になりますが、スキンシップは前半から多め。
この作品は旧タイトル『残念系悪役令嬢に転生!?』を改稿しR18仕様にしたものになります。
1年程放置していた未完結作品ですが、初めて書いた異世界作品の為少し思入れがあります。
なのでこの機会に完結を目指して書くことに決めました。
一部他の作品とキャラクター名が被る為変更してあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる