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1章 俺様エルフに拾われました
※番外編※ 寝起きドッキリ大作戦~エリュシオンside~
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◇
サーヤを拾ってからの生活にもだいぶ慣れ、すっかりあいつの作る料理のおいしさに、台所をまかせることが多くなってしまった。
・・・以前の俺なら考えられないことだ。
サーヤは俺の嫌いな、この世界の貴族や王族の考え方を一切しない奴だ。
いや、知らないといった方が良いか。
前から共存していた火の精霊とも簡単に主従契約してしまうし、俺の知らないモノをたくさん知っている。
(主に料理では驚かされてばかりだ)
多少の興味なのか、おもちゃなのか・・・俺の中でよくわからない感情が芽生えたのはわかっていた。
だが、この曖昧なままの生活も悪くない、と考えないようにしていた。
そんなとき、少し前からサーヤが何かを企んでいることに気づいた。
何度かココットの店に連れていき、服を買ったりココットと話したりしているのは知っていたが、特に怪しい場所に行き来している様子はない。
先日サーヤに渡したブレスレットには、居場所を探知する魔法を付与した石も埋め込まれている。
何処にいても俺にはわかるし、そこに転移することも可能だ。
今後何か怪しい行動をとろうものなら俺にはすぐわかる。
変な引っ掛かりを覚えたままいつものように部屋で眠っていると、夜明け前に俺の部屋に侵入する者がいた。
もちろんサーヤだ。明らかに俺の寝ている時間を狙ってきている。
何が目的だ?・・・誰の差し金だ??
・・・まさか、ロンド家の記憶でもよみがえったか・・・?
サーヤは静かに俺のいるベッドに忍び寄る。
・・・まだだ、まだ行動するには早いな・・・
俺は寝たふりを続ける。
「・・・ふふ、綺麗な顔・・・好きだなぁ」
・・・は?こいつは何を言ってるんだ?
・・・俺の、顔が好き・・・?
「・・・意地悪ばっかりしないで、もっと優しくしてよね。・・・エルのばか」
人が寝ているのを良いことに言いたい放題か・・・まったく。
というか、こいつこそバカだろう。寝首を掻く相手の前で声を出すなんて刺客としては救いようのないアホだ。
「・・・ほぅ。言いたいことはそれだけか?」
「??!!」
サーヤをベッドへ引きずり込み押し倒す。完全に油断しているこいつは簡単に俺に組み伏せられた。
「あの、エルさん?・・・いつから起きて・・・?」
「ん?さてなぁ・・・」
本気で俺が寝ていたと思っていたようだ。ひどく驚いている。
「たしか・・・意地悪ばかりだから優しくしてほしい、と」
ビクっとサーヤが強張る。
「あ、いや・・・、それは」
「後は、綺麗な顔で、す・・・」
「うわぁぁぁぁぁっ、も、もういいからやめてぇ!!」
羞恥でいっぱいなのだろう。こいつは本当に感情がわかりやすい。
・・・本当に刺客なのか?単なるバカなのか?
「しかしまた、珍妙な格好を・・・そんなにこうされたかったのか?」
見たことがない服を着たサーヤの首元にあるりぼんを口で咥えてほどく。
手を離した隙に逃げられると厄介だからな。
・・・しかし、顔が赤くなったり青くなったりと忙しい奴だ、くくくっ・・・
口をパクパクしたアホ面が、サーヤは刺客なんかじゃない、単なるバカなやつだと思わせてくれるのが、今は少しだけ救いだった。
サーヤを拾ってからの生活にもだいぶ慣れ、すっかりあいつの作る料理のおいしさに、台所をまかせることが多くなってしまった。
・・・以前の俺なら考えられないことだ。
サーヤは俺の嫌いな、この世界の貴族や王族の考え方を一切しない奴だ。
いや、知らないといった方が良いか。
前から共存していた火の精霊とも簡単に主従契約してしまうし、俺の知らないモノをたくさん知っている。
(主に料理では驚かされてばかりだ)
多少の興味なのか、おもちゃなのか・・・俺の中でよくわからない感情が芽生えたのはわかっていた。
だが、この曖昧なままの生活も悪くない、と考えないようにしていた。
そんなとき、少し前からサーヤが何かを企んでいることに気づいた。
何度かココットの店に連れていき、服を買ったりココットと話したりしているのは知っていたが、特に怪しい場所に行き来している様子はない。
先日サーヤに渡したブレスレットには、居場所を探知する魔法を付与した石も埋め込まれている。
何処にいても俺にはわかるし、そこに転移することも可能だ。
今後何か怪しい行動をとろうものなら俺にはすぐわかる。
変な引っ掛かりを覚えたままいつものように部屋で眠っていると、夜明け前に俺の部屋に侵入する者がいた。
もちろんサーヤだ。明らかに俺の寝ている時間を狙ってきている。
何が目的だ?・・・誰の差し金だ??
・・・まさか、ロンド家の記憶でもよみがえったか・・・?
サーヤは静かに俺のいるベッドに忍び寄る。
・・・まだだ、まだ行動するには早いな・・・
俺は寝たふりを続ける。
「・・・ふふ、綺麗な顔・・・好きだなぁ」
・・・は?こいつは何を言ってるんだ?
・・・俺の、顔が好き・・・?
「・・・意地悪ばっかりしないで、もっと優しくしてよね。・・・エルのばか」
人が寝ているのを良いことに言いたい放題か・・・まったく。
というか、こいつこそバカだろう。寝首を掻く相手の前で声を出すなんて刺客としては救いようのないアホだ。
「・・・ほぅ。言いたいことはそれだけか?」
「??!!」
サーヤをベッドへ引きずり込み押し倒す。完全に油断しているこいつは簡単に俺に組み伏せられた。
「あの、エルさん?・・・いつから起きて・・・?」
「ん?さてなぁ・・・」
本気で俺が寝ていたと思っていたようだ。ひどく驚いている。
「たしか・・・意地悪ばかりだから優しくしてほしい、と」
ビクっとサーヤが強張る。
「あ、いや・・・、それは」
「後は、綺麗な顔で、す・・・」
「うわぁぁぁぁぁっ、も、もういいからやめてぇ!!」
羞恥でいっぱいなのだろう。こいつは本当に感情がわかりやすい。
・・・本当に刺客なのか?単なるバカなのか?
「しかしまた、珍妙な格好を・・・そんなにこうされたかったのか?」
見たことがない服を着たサーヤの首元にあるりぼんを口で咥えてほどく。
手を離した隙に逃げられると厄介だからな。
・・・しかし、顔が赤くなったり青くなったりと忙しい奴だ、くくくっ・・・
口をパクパクしたアホ面が、サーヤは刺客なんかじゃない、単なるバカなやつだと思わせてくれるのが、今は少しだけ救いだった。
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