上 下
66 / 512
1章 俺様エルフに拾われました

※番外編※ 寝起きドッキリ大作戦~エリュシオンside~

しおりを挟む

サーヤを拾ってからの生活にもだいぶ慣れ、すっかりあいつの作る料理のおいしさに、台所をまかせることが多くなってしまった。
・・・以前の俺なら考えられないことだ。

サーヤは俺の嫌いな、この世界の貴族や王族の考え方を一切しない奴だ。
いや、知らないといった方が良いか。
前から共存していた火の精霊とも簡単に主従契約してしまうし、俺の知らないモノをたくさん知っている。
(主に料理では驚かされてばかりだ)
多少の興味なのか、おもちゃなのか・・・俺の中でよくわからない感情が芽生えたのはわかっていた。
だが、この曖昧なままの生活も悪くない、と考えないようにしていた。

そんなとき、少し前からサーヤが何かを企んでいることに気づいた。
何度かココットの店に連れていき、服を買ったりココットと話したりしているのは知っていたが、特に怪しい場所に行き来している様子はない。

先日サーヤに渡したブレスレットには、居場所を探知する魔法を付与した石も埋め込まれている。
何処にいても俺にはわかるし、そこに転移することも可能だ。
今後何か怪しい行動をとろうものなら俺にはすぐわかる。

変な引っ掛かりを覚えたままいつものように部屋で眠っていると、夜明け前に俺の部屋に侵入する者がいた。
もちろんサーヤだ。明らかに俺の寝ている時間を狙ってきている。
何が目的だ?・・・誰の差し金だ??
・・・まさか、ロンド家の記憶でもよみがえったか・・・?

サーヤは静かに俺のいるベッドに忍び寄る。
・・・まだだ、まだ行動するには早いな・・・
俺は寝たふりを続ける。

「・・・ふふ、綺麗な顔・・・好きだなぁ」

・・・は?こいつは何を言ってるんだ?
・・・俺の、顔が好き・・・?

「・・・意地悪ばっかりしないで、もっと優しくしてよね。・・・エルのばか」

人が寝ているのを良いことに言いたい放題か・・・まったく。
というか、こいつこそバカだろう。寝首を掻く相手の前で声を出すなんて刺客としては救いようのないアホだ。

「・・・ほぅ。言いたいことはそれだけか?」
「??!!」

サーヤをベッドへ引きずり込み押し倒す。完全に油断しているこいつは簡単に俺に組み伏せられた。

「あの、エルさん?・・・いつから起きて・・・?」
「ん?さてなぁ・・・」

本気で俺が寝ていたと思っていたようだ。ひどく驚いている。

「たしか・・・意地悪ばかりだから優しくしてほしい、と」

ビクっとサーヤが強張る。

「あ、いや・・・、それは」
「後は、綺麗な顔で、す・・・」
「うわぁぁぁぁぁっ、も、もういいからやめてぇ!!」

羞恥でいっぱいなのだろう。こいつは本当に感情がわかりやすい。
・・・本当に刺客なのか?単なるバカなのか?

「しかしまた、珍妙な格好を・・・そんなにこうされたかったのか?」

見たことがない服を着たサーヤの首元にあるりぼんを口で咥えてほどく。
手を離した隙に逃げられると厄介だからな。
・・・しかし、顔が赤くなったり青くなったりと忙しい奴だ、くくくっ・・・

口をパクパクしたアホ面が、サーヤは刺客なんかじゃない、単なるバカなやつだと思わせてくれるのが、今は少しだけ救いだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

悪役令嬢なのに王子の慰み者になってしまい、断罪が行われません

青の雀
恋愛
公爵令嬢エリーゼは、王立学園の3年生、あるとき不注意からか階段から転落してしまい、前世やりこんでいた乙女ゲームの中に転生してしまったことに気づく でも、実際はヒロインから突き落とされてしまったのだ。その現場をたまたま見ていた婚約者の王子から溺愛されるようになり、ついにはカラダの関係にまで発展してしまう この乙女ゲームは、悪役令嬢はバッドエンドの道しかなく、最後は必ずギロチンで絶命するのだが、王子様の慰み者になってから、どんどんストーリーが変わっていくのは、いいことなはずなのに、エリーゼは、いつか処刑される運命だと諦めて……、その表情が王子の心を煽り、王子はますますエリーゼに執着して、溺愛していく そしてなぜかヒロインも姿を消していく ほとんどエッチシーンばかりになるかも?

大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました

扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!? *こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。 ―― ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。 そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。 その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。 結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。 が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。 彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。 しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。 どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。 そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。 ――もしかして、これは嫌がらせ? メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。 「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」 どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……? *WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。

【R18】悪役令嬢は元お兄様に溺愛され甘い檻に閉じこめられる

夕日(夕日凪)
恋愛
※連載中の『悪役令嬢は南国で自給自足したい』のお兄様IFルートになります。 侯爵令嬢ビアンカ・シュラットは五歳の春。前世の記憶を思い出し、自分がとある乙女ゲームの悪役令嬢である事に気付いた。思い出したのは自分にべた甘な兄のお膝の上。ビアンカは躊躇なく兄に助けを求めた。そして月日は経ち。乙女ゲームは始まらず、兄に押し倒されているわけですが。実の兄じゃない?なんですかそれ!聞いてない!そんな義兄からの溺愛ストーリーです。 ※このお話単体で読めるようになっています。 ※ひたすら溺愛、基本的には甘口な内容です。

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

【R18】幼馴染の男3人にノリで乳首当てゲームされて思わず感じてしまい、次々と告白されて予想外の展開に…【短縮版】

うすい
恋愛
【ストーリー】 幼馴染の男3人と久しぶりに飲みに集まったななか。自分だけ異性であることを意識しないくらい仲がよく、久しぶりに4人で集まれたことを嬉しく思っていた。 そんな中、幼馴染のうちの1人が乳首当てゲームにハマっていると言い出し、ななか以外の3人が実際にゲームをして盛り上がる。 3人のやり取りを微笑ましく眺めるななかだったが、自分も参加させられ、思わず感じてしまい―――。 さらにその後、幼馴染たちから次々と衝撃の事実を伝えられ、事態は思わぬ方向に発展していく。 【登場人物】 ・ななか 広告マーケターとして働く新社会人。純粋で素直だが流されやすい。大学時代に一度だけ彼氏がいたが、身体の相性が微妙で別れた。 ・かつや 不動産の営業マンとして働く新社会人。社交的な性格で男女問わず友達が多い。ななかと同じ大学出身。 ・よしひこ 飲食店経営者。クールで口数が少ない。頭も顔も要領もいいため学生時代はモテた。短期留学経験者。 ・しんじ 工場勤務の社会人。控えめな性格だがしっかり者。みんなよりも社会人歴が長い。最近同棲中の彼女と別れた。 【注意】 ※一度全作品を削除されてしまったため、本番シーンはカットしての投稿となります。 そのため読みにくい点や把握しにくい点が多いかと思いますがご了承ください。 フルバージョンはpixivやFantiaで配信させていただいております。 ※男数人で女を取り合うなど、くっさい乙女ゲーム感満載です。 ※フィクションとしてお楽しみいただきますようお願い申し上げます。

【R18】悪役令嬢を犯して罪を償わせ性奴隷にしたが、それは冤罪でヒロインが黒幕なので犯して改心させることにした。

白濁壺
恋愛
悪役令嬢であるベラロルカの数々の悪行の罪を償わせようとロミリオは単身公爵家にむかう。警備の目を潜り抜け、寝室に入ったロミリオはベラロルカを犯すが……。

処理中です...