【本編完結済】【R18】異世界でセカンドライフ～俺様エルフに拾われました～

１章 俺様エルフに拾われました

気づきたくなかったこの気持ち ～ココットside２～

◇
「おっと、話し込んでだいぶ時間が経ってしまった。リンダ、すまないがサーヤを探してきてくれ。帰り道がわからなくなってる可能性があるし、さすがに心配だ」
「あ、はい！行ってきます！！」

とりあえず、リンダにサーヤを探しに行ってもらった。

「カルステッド。アレックスから何か連絡はあったか？」
「いえ・・・今のところはありません」
「ふむ。ではお前の使える伝手すべてを使ってこれから言うことを調べろ」

どうしよう。ものすごくめんどくさいことに巻き込まれる気がするぞ・・・

エリュシオン様から依頼された内容は、案の定きな臭い内容だった。


１　行方不明のアレックスの従妹の情報（婚約者有無や人間関係について）
２　現在のロンド家の情報と先祖返りと言われる“魔力の器”の詳細
３　“魔力の器”を始末しようとした者や目的


特に３つめ。サーヤが瀕死になったのは間違いなく誰かの差し金だ。
帰らずの森に捨て置くではなく、明らかに魔法で殺そうとした。
せっかく生き延びたのに、また狙われる恐れを考えると、魔道具で髪と瞳の色を変えるのは賢明な判断だ。

・・・あれ？俺、なんか大事なことを忘れてる気がする・・・

「エリュシオン様、今もサーヤに魔力を与えてるんですよね？」
「あぁ」
「・・・どうやって？」
「一番効率の良い方法だ。お前なら知ってるだろう？」

・・・魔力を与える一番効率の良い方法って、確か・・・

「ちょっ！！エリュシオン様！まさかサーヤを・・・？！」
「仕方あるまい。そうでもしないとあいつは死ぬところだった」
「いや・・・確かにそうかもしれないですけど・・・」

貴族の娘は結婚まで純潔でいることが当たり前とされている。
だがしかし、サーヤは生きるためとはいえ、すでにエリュシオン様に・・・

「何をそんなにうろたえている。そもそも、先に襲われて瀕死だったのはあいつだ。その時に純潔を奪われていても不思議ではなかろう。」
「え？ではサーヤはすでに純潔ではなかったのですか？！」
「いや、処女だった。」
「あ～～～～～～～～～～～」

この主君が一番関わるのを嫌うのが、我が国の王族と貴族だ。
だが、その貴族であるロンド家長女と思われる女性と、すでに関係を持ってしまっただけでも頭を抱えたくなるのに・・・状況が状況だとしても純潔を奪ったなんて・・・！！
さすがにこれは王への報告案件だろう・・・うわぁ、ものすごくめんどくさい・・・

「今のあいつは、中身はココと違う世界からきた珍妙な考えをしている別人だ。この世界の貴族としての記憶や心構えなど一切ないし、気にする必要もないだろう。」
「・・・エリュシオン様は、それを信じるのですか？」
「信じざるを得ないことがいくつかあったしな。・・・精霊が見えるうえに好かれる人間をお前は知っているか？」
「そんな！まさか！！精霊が見えるだけならまだしも、好かれる？？」
「俺の目の前で主従契約までしおったわ。ふっ、本当におもしろい奴よ」
「主従契約まで？！」

とんでもない主君に、とんでもない姫君が拾われたものだ・・・もういろんな意味で逃げられないだろう。
頑張れ、サーヤ。