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1章 俺様エルフに拾われました
初めての友達と初めてのお買い物 ココットside
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※カルステッドの家名を追記しました。
-------------------------------------
◇
「・・・で、いつまでのびたフリをしているつもりだ?ココット・・・いや、カルステッド」
「イテテ・・・ちょっとは加減してくださいよ、エリュシオン様」
「ふん、騎士団長の貴様にはたいしたダメージでもなかろう」
「いや、まぁそうですけど・・・」
このスルト村でのココットは仮の姿。
本来の俺は、ガルドニア国の特務騎士団長をやっているカルステッド=ギーニアス。
一応侯爵で貴族だ。
そして、エリュシオン様は王国に在籍する元魔法省のトップ。
魔法研究と魔力の多さでは右に出るものがいないが、その魔力と魔力の強さを象徴する本来の黒い髪が原因で先代の王といざこざがあり人間不信になってしまわれた。
それからは『帰らずの森』で隠居生活をしている。
現在の王はエリュシオン様と交流もあり、生活の援助をする代わりに魔道具や薬草などの研究で貢献するという、持ちつ持たれつの関係を続けるため王国特務部隊を作った。
その際、王と学生時代から付き合いのある俺がその特務部隊の騎士団長を務めることになったというわけだ。
隠れ蓑として店を経営するまでは良かったが、「普通ではつまらんだろう」という理由でココット(嫁の名前)として店に立っている。
やるからには徹底せねばと努力した甲斐もあって、だいぶ慣れてきたが決してココットとしてのキャラが地ではない。
断じてないぞ。
「ところで、今日はアレックスとアルマはいないのか?」
「はい、別件で動いてますね。アレックスは1か月ほど前に行方不明になった従妹の件で忙しいみたいで・・・」
「ふむ。・・・1か月ほど前に行方不明ね・・・。何があった?」
「詳しいことは不明のようですが、ロンド家の能力が関係しているらしい・・・としか」
「能力?」
「はい。ロンド家は何代かに一人、魔力の器として最適な人間が生まれるらしいです」
「・・・ほう。その行方不明の女がその人間・・・ということか?」
「いえ、そこまでは・・・ただ、ロンド家特有のシルバーブロンドに深紅の瞳を持つ者が先祖返りだと聞いた事があります」
「なるほど、そういう事か。ふふ・・・面白いことをきいた。今後も何かわかったら俺に知らせよ」
「ははっ。かしこまりました」
何事にも無関心であることが多いエリュシオン様が、珍しく興味を示された。
少女を森で拾ったと連れてきたこともビックリしたが、少しでもこの方が生きやすくなれば良いと思う。
「それにしても、ココットとしてのキャラがだいぶ板についてきたな。ついに目覚めたかと思ったぞ」
「ちょ!自分で指定しておいてそれはひどいですよ!!努力の結果です!!」
「ふっ・・・そういうことにしといてやる。これからも励めよ」
・・・この方のために、このキャラをまだまだ続けていかないといけないらしい。
嫁や家族の前では出さないようにしなければ・・・!!!
俺の気の抜けない努力の日々はまだまだ続くようだ。
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「・・・で、いつまでのびたフリをしているつもりだ?ココット・・・いや、カルステッド」
「イテテ・・・ちょっとは加減してくださいよ、エリュシオン様」
「ふん、騎士団長の貴様にはたいしたダメージでもなかろう」
「いや、まぁそうですけど・・・」
このスルト村でのココットは仮の姿。
本来の俺は、ガルドニア国の特務騎士団長をやっているカルステッド=ギーニアス。
一応侯爵で貴族だ。
そして、エリュシオン様は王国に在籍する元魔法省のトップ。
魔法研究と魔力の多さでは右に出るものがいないが、その魔力と魔力の強さを象徴する本来の黒い髪が原因で先代の王といざこざがあり人間不信になってしまわれた。
それからは『帰らずの森』で隠居生活をしている。
現在の王はエリュシオン様と交流もあり、生活の援助をする代わりに魔道具や薬草などの研究で貢献するという、持ちつ持たれつの関係を続けるため王国特務部隊を作った。
その際、王と学生時代から付き合いのある俺がその特務部隊の騎士団長を務めることになったというわけだ。
隠れ蓑として店を経営するまでは良かったが、「普通ではつまらんだろう」という理由でココット(嫁の名前)として店に立っている。
やるからには徹底せねばと努力した甲斐もあって、だいぶ慣れてきたが決してココットとしてのキャラが地ではない。
断じてないぞ。
「ところで、今日はアレックスとアルマはいないのか?」
「はい、別件で動いてますね。アレックスは1か月ほど前に行方不明になった従妹の件で忙しいみたいで・・・」
「ふむ。・・・1か月ほど前に行方不明ね・・・。何があった?」
「詳しいことは不明のようですが、ロンド家の能力が関係しているらしい・・・としか」
「能力?」
「はい。ロンド家は何代かに一人、魔力の器として最適な人間が生まれるらしいです」
「・・・ほう。その行方不明の女がその人間・・・ということか?」
「いえ、そこまでは・・・ただ、ロンド家特有のシルバーブロンドに深紅の瞳を持つ者が先祖返りだと聞いた事があります」
「なるほど、そういう事か。ふふ・・・面白いことをきいた。今後も何かわかったら俺に知らせよ」
「ははっ。かしこまりました」
何事にも無関心であることが多いエリュシオン様が、珍しく興味を示された。
少女を森で拾ったと連れてきたこともビックリしたが、少しでもこの方が生きやすくなれば良いと思う。
「それにしても、ココットとしてのキャラがだいぶ板についてきたな。ついに目覚めたかと思ったぞ」
「ちょ!自分で指定しておいてそれはひどいですよ!!努力の結果です!!」
「ふっ・・・そういうことにしといてやる。これからも励めよ」
・・・この方のために、このキャラをまだまだ続けていかないといけないらしい。
嫁や家族の前では出さないようにしなければ・・・!!!
俺の気の抜けない努力の日々はまだまだ続くようだ。
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