上 下
29 / 512
1章 俺様エルフに拾われました

初めての友達と初めてのお買い物 ココットside

しおりを挟む
※カルステッドの家名を追記しました。

-------------------------------------

「・・・で、いつまでのびたフリをしているつもりだ?ココット・・・いや、カルステッド」
「イテテ・・・ちょっとは加減してくださいよ、エリュシオン様」
「ふん、騎士団長の貴様にはたいしたダメージでもなかろう」
「いや、まぁそうですけど・・・」

このスルト村でのココットは仮の姿。
本来の俺は、ガルドニア国の特務騎士団長をやっているカルステッド=ギーニアス。
一応侯爵で貴族だ。

そして、エリュシオン様は王国に在籍する元魔法省のトップ。
魔法研究と魔力の多さでは右に出るものがいないが、その魔力と魔力の強さを象徴する本来の黒い髪が原因で先代の王とがあり人間不信になってしまわれた。
それからは『帰らずの森』で隠居生活をしている。
現在の王はエリュシオン様と交流もあり、生活の援助をする代わりに魔道具や薬草などの研究で貢献するという、持ちつ持たれつの関係を続けるため王国特務部隊を作った。
その際、王と学生時代から付き合いのある俺がその特務部隊の騎士団長を務めることになったというわけだ。

隠れ蓑として店を経営するまでは良かったが、「普通ではつまらんだろう」という理由でココット(嫁の名前)として店に立っている。
やるからには徹底せねばと努力した甲斐もあって、だいぶ慣れてきたが決してココットとしてのキャラが地ではない。
断じてないぞ。


「ところで、今日はアレックスとアルマはいないのか?」
「はい、別件で動いてますね。アレックスは1か月ほど前に行方不明になった従妹の件で忙しいみたいで・・・」
「ふむ。・・・1か月ほど前に行方不明ね・・・。何があった?」
「詳しいことは不明のようですが、ロンド家の能力が関係しているらしい・・・としか」
「能力?」
「はい。ロンド家は何代かに一人、魔力の器として最適な人間が生まれるらしいです」
「・・・ほう。その行方不明の女がその人間・・・ということか?」
「いえ、そこまでは・・・ただ、ロンド家特有のシルバーブロンドに深紅の瞳を持つ者が先祖返りだと聞いた事があります」
「なるほど、そういう事か。ふふ・・・面白いことをきいた。今後も何かわかったら俺に知らせよ」
「ははっ。かしこまりました」


何事にも無関心であることが多いエリュシオン様が、珍しく興味を示された。
少女を森で拾ったと連れてきたこともビックリしたが、少しでもこの方が生きやすくなれば良いと思う。


「それにしても、ココットとしてのキャラがだいぶ板についてきたな。ついに目覚めたかと思ったぞ」
「ちょ!自分で指定しておいてそれはひどいですよ!!努力の結果です!!」
「ふっ・・・そういうことにしといてやる。これからも励めよ」


・・・この方のために、このキャラをまだまだ続けていかないといけないらしい。
嫁や家族の前では出さないようにしなければ・・・!!!
俺の気の抜けない努力の日々はまだまだ続くようだ。
しおりを挟む
感想 51

あなたにおすすめの小説

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

逃げて、追われて、捕まって

あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。 この世界で王妃として生きてきた記憶。 過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。 人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。 だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。 2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ 2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。 **********お知らせ*********** 2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。 それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。 ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました

市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。 私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?! しかも婚約者達との関係も最悪で…… まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!

ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)

夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。 ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。  って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!  せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。  新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。  なんだかお兄様の様子がおかしい……? ※小説になろうさまでも掲載しています ※以前連載していたやつの長編版です

女性の少ない異世界に生まれ変わったら

Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。 目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!? なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!! ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!! そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!? これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

獣人の彼はつがいの彼女を逃がさない

たま
恋愛
気が付いたら異世界、深魔の森でした。 何にも思い出せないパニック中、恐ろしい生き物に襲われていた所を、年齢不詳な美人薬師の師匠に助けられた。そんな優しい師匠の側でのんびりこ生きて、いつか、い つ か、この世界を見て回れたらと思っていたのに。運命のつがいだと言う狼獣人に、強制的に広い世界に連れ出されちゃう話

処理中です...