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1章 俺様エルフに拾われました

エリュシオン2

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日本では黒髪黒目が当たり前だったけど、この世界では魔力が強い人ほど黒に近い髪の色をしているらしく、エルほどの黒髪は“不吉の象徴”“畏怖の対象”として逆に忌み嫌われるようだ。
何それひどい。ブリーチ、パーマ当たり前で傷んだ髪より黒髪サラサラの方が断然良いのに!


「どんなお手入れしたらエルみたいに艶っツヤのサラサラになるの?羨ましすぎる!
黒髪が不吉?あたしは元の世界でも黒髪だったし、他にも黒髪の人がたくさんいる世界だったよ。『畏怖の対象』っていうけど、魔法じゃかなわないからっていう単なる妬みなんじゃない?変な世界なのね」


とゆー、当たり前のことを言ったつもりだったけど


「ふっ・・・別世界というだけで環境も考え方もこんなに違うのか・・・面白いものだな」


そう言って、初めて見せてくれた笑顔はとても綺麗で、思わず見惚れてしまった。
ずっとあたしに対しても警戒心丸出しだったエルの仮面が少しだけ取れた瞬間なのだろう。

エルはこの『帰らずの森』に住み始めて結構長く、どれくらいなのか数えてもいないのだとか。
なんでそんな森に一人で住んでるのか、故郷とかあるんじゃないかと聞いてみたけど、エル自身のことは言いたくなさそうなので、あたしも無理に聞くのはやめた。

「耳のかたちがエルフみたい」と言ったら「エルフではなくハイエルフだ」とは教えてくれた。
エルフのさらに高位ってことは見た目は24~25歳でも実年齢はけっこうなおじいちゃんなんだろうなとか考えてたら、ほっぺたを思いっきりつかんで伸ばされた。
解せぬ。

とりあえず人間が好きではないこと、この森でさまざまな研究したり、いろいろなものを作って気ままに生活しているらしい。
・・・おじいちゃんの隠居生活かよと思ったらほっぺたをさらに強く伸ばされた。

「いいはえんはらひれよ!いひゃい~(いい加減離してよ!痛い~)」
「変なことを考えずにさっさと食うもん食って休め。治るもんも治らんぞ」
「うぅ・・ありがとう。・・・あの、怪我が治ったら・・・」
「治ってもすぐに追い出しはしない。俺の研究に今のところお前は不可欠だ。これからも協力してくれるならしばらくここに居ると良い」
「え?研究?よくわからないけど・・・あたしにできることならなんでも言ってね!頑張る!」
「ほぅ・・・せいぜい頑張るが良い」


安住の地を手に入れたあたしは喜びのあまり、意味深なエルの笑顔に気づきもしなかった。


・・・その意味深な笑顔と言葉の意味を理解する日はそんなに遠くない・・・。
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