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3章 うれしはずかし新生活
36 伝えたい想いとは
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◇
「……ん、ぁれ…?」
「気が付いたか?ミカヅキ」
「おねーちゃ、だいじょうぶ?」
気が付くと、カインズさんとミムルちゃんが心配そうな顔をしていた。
どうやらあたしはベッドで横になっているらしい。
「えっと、あたし……どうして?」
「風呂でのぼせて気を失ったんだ。ミムルが慌てて呼びに来たから俺もビックリしたよ」
「お風呂で……のぼせ、て……?」
だんだん頭がはっきりして来て、お風呂に入っていた時の事も思い出してきた。
(そうだ!あたし、今夜はカインズさんに……処女をって思ったら……――――)
また少しずつ顔が熱くなってきて、ドクン、ドクンっと鼓動も早くなってきた。
「まだ身体が熱いみたいだから、タオル交換しておくな。
じゃ、俺は部屋に戻るから二人ともゆっくり休めよ?」
「ん、わかった。……ぱぱ、おやすみ、なさい……」
「!!…ははっ、”パパ”か……改めて呼ばれるとなんかくすぐったいな。
……おやすみ、ミムル……ミカヅキも、おやすみ」
「……」
カインズさんはそう言って、ミムルちゃんとあたしの頬にキスをしてから部屋を出て行った。
ここはミムルちゃんの寝室で、あたしはちゃんと寝着を着た状態で横になっていた。
(……きっと、カインズさんが着せてくれたんだよね……)
お風呂でシルシを見た時、今日あった出来事は夢でもなんでもなく、男の人達にあちこち触られた事も、その後助けに来てくれたカインズさんが“消毒”してくれた事も、「今夜、処女を貰うから」と言った事も全部ホントにあったんだと思い知らされた。
倉庫で襲われた時、“カインズさんに処女あげていれば良かった”って思ったけど、よくよく今までの事を思い返してみると、カインズさんは何度もあたしを抱ける状況があったのに、決して無理矢理最後まではしなかった……
『ミカヅキの嫌がる事や、怖い事なんてしないから……―――――――』
……――――そうだ。
カインズさんは頻繁にえっちな事をしてきたけど、いつもあたしが怖がったり嫌がったりするとそこで止めてくれた。
いつだって、あたしを気遣ってくれていた。
今だって……――――――――――――
「……ミムルちゃん」
「なぁに?おねーちゃ」
「あたし……今日はカインズさんの所で…その、寝ても良いかな?」
「う?…ぱぱの?いいよ」
ミムルちゃんは、喋れない間も父親として接してくれたカインズさんを、今は“パパ”と呼んで認めている。
カインズさんは、あたしが町の人達にお嫁さんだと思われても否定しなかったのは「実際にそうなってくれたら嬉しいから」と言っていた……
あたしは……カインズさんが好き。
優しくて、頼りがいがあって、少し空気が読めないところや少し…いや、だいぶえっちなトコロがあって、隙あらばぎゅうって抱きしめたりキスしたり、たまにそれ以上の事もしてくるし、止めないとそのまま最後までしちゃうんじゃないかって事もたくさんあってものすごく恥ずかしかった。
だけど、触れられるのも、抱きしめられるのも、処女をあげるのもカインズさんじゃないと嫌だ。
カインズさんじゃなきゃ嫌だ。
そして、一緒に住むミムルちゃんも大好きだ。
この家で、このまま三人で一緒に暮らしていきたい……
”家族”として、これからも三人でずっと一緒にいたい……――――――――
「ねぇ、ミムルちゃん」
「ん?」
「もし……もしも、あたしがミムルちゃんのお母さんになりたいって言ったら…どう思う?」
「??……おねーちゃ、まま??」
「さっき、カインズさんを”パパ”って言ってたみたいに、あたしが……その、”ママ”になる…みたいな……」
どう伝えたら良いかわからなくてしどろもどろになるけど、うまく伝わるだろうか……
ってゆーか、そもそもまだカインズさんにはあたしの気持ちすら伝えてないのに、何言ってるんだろうって気分にもなってきた。
「……おねーちゃ、ままになる?ずっと、ぱぱと、ままと、みんないっしょ?」
「うん、そうだね」
「うれしいっ!おねー……まま、だいすきっ!!」
「……っ、ミムルちゃ……ありがと、あたしも大好きっ!!」
ミムルちゃんの反応と認めてもらえた事が嬉しすぎて、また涙が溢れてくる。
ダメだ。今日はホントにいろいろありすぎて、あたしの涙腺は完全に壊れてるらしい。
そして、ミムルちゃんに先に了承を得てしまったあたしは、カインズさんに「好きです。お嫁さんにして下さい」と逆プロポーズするしかないというおかしな状況になってしまった。
(ちょっと待って。その前に「あたしの処女を貰って下さい」だよね?
いったいどんな流れで、”好き”と”処女貰って”と”プロポーズ”をセットで言えと??!!
恋愛ほぼ初心者のあたしには難易度高すぎませんか?????!!!!)
いやいや、そこは恋愛マスター(勝手な思い込み)であるカインズさんの事だ。
あたしの気持ちなんてバレバレという可能性もある。
だったら、”処女貰って”と”プロポーズ”だけでもOKなのでは?
(処女を貰ってくれた後で「これからカインズさんのお嫁さんとしてそばにいさせて下さい」って言えば良いんじゃない?
これならあたしにも言えるっ!!順番に言えば良いんだよ、うんっ!!!)
頭の中でなんとかシュミレーションができた事で安心したあたしは、意を決してカインズさんの部屋へ向かう事にした。
「じゃあ、これからカインズさんの部屋に行ってくるね。おやすみ、ミムルちゃん」
「ん、おやすみ、なさい」
ミムルちゃんの頬におやすみのキスをしてから、いざカインズさんの寝室へ。
覚悟は決めたはずなのに、そんなに距離がない部屋までの足取りがものすごく重い。
(まだ起きてるかな?それとももう寝ちゃったかな?
もし寝てたら起こすのは申し訳ないから、伝えるのは明日にしよう。そうしよう)
それとなく逃げ道を作って自分を鼓舞しながら、ようやくたどり着いたカインズさんの部屋。
まずは思い切ってドアをノックしてみる事にした。
「……ん、ぁれ…?」
「気が付いたか?ミカヅキ」
「おねーちゃ、だいじょうぶ?」
気が付くと、カインズさんとミムルちゃんが心配そうな顔をしていた。
どうやらあたしはベッドで横になっているらしい。
「えっと、あたし……どうして?」
「風呂でのぼせて気を失ったんだ。ミムルが慌てて呼びに来たから俺もビックリしたよ」
「お風呂で……のぼせ、て……?」
だんだん頭がはっきりして来て、お風呂に入っていた時の事も思い出してきた。
(そうだ!あたし、今夜はカインズさんに……処女をって思ったら……――――)
また少しずつ顔が熱くなってきて、ドクン、ドクンっと鼓動も早くなってきた。
「まだ身体が熱いみたいだから、タオル交換しておくな。
じゃ、俺は部屋に戻るから二人ともゆっくり休めよ?」
「ん、わかった。……ぱぱ、おやすみ、なさい……」
「!!…ははっ、”パパ”か……改めて呼ばれるとなんかくすぐったいな。
……おやすみ、ミムル……ミカヅキも、おやすみ」
「……」
カインズさんはそう言って、ミムルちゃんとあたしの頬にキスをしてから部屋を出て行った。
ここはミムルちゃんの寝室で、あたしはちゃんと寝着を着た状態で横になっていた。
(……きっと、カインズさんが着せてくれたんだよね……)
お風呂でシルシを見た時、今日あった出来事は夢でもなんでもなく、男の人達にあちこち触られた事も、その後助けに来てくれたカインズさんが“消毒”してくれた事も、「今夜、処女を貰うから」と言った事も全部ホントにあったんだと思い知らされた。
倉庫で襲われた時、“カインズさんに処女あげていれば良かった”って思ったけど、よくよく今までの事を思い返してみると、カインズさんは何度もあたしを抱ける状況があったのに、決して無理矢理最後まではしなかった……
『ミカヅキの嫌がる事や、怖い事なんてしないから……―――――――』
……――――そうだ。
カインズさんは頻繁にえっちな事をしてきたけど、いつもあたしが怖がったり嫌がったりするとそこで止めてくれた。
いつだって、あたしを気遣ってくれていた。
今だって……――――――――――――
「……ミムルちゃん」
「なぁに?おねーちゃ」
「あたし……今日はカインズさんの所で…その、寝ても良いかな?」
「う?…ぱぱの?いいよ」
ミムルちゃんは、喋れない間も父親として接してくれたカインズさんを、今は“パパ”と呼んで認めている。
カインズさんは、あたしが町の人達にお嫁さんだと思われても否定しなかったのは「実際にそうなってくれたら嬉しいから」と言っていた……
あたしは……カインズさんが好き。
優しくて、頼りがいがあって、少し空気が読めないところや少し…いや、だいぶえっちなトコロがあって、隙あらばぎゅうって抱きしめたりキスしたり、たまにそれ以上の事もしてくるし、止めないとそのまま最後までしちゃうんじゃないかって事もたくさんあってものすごく恥ずかしかった。
だけど、触れられるのも、抱きしめられるのも、処女をあげるのもカインズさんじゃないと嫌だ。
カインズさんじゃなきゃ嫌だ。
そして、一緒に住むミムルちゃんも大好きだ。
この家で、このまま三人で一緒に暮らしていきたい……
”家族”として、これからも三人でずっと一緒にいたい……――――――――
「ねぇ、ミムルちゃん」
「ん?」
「もし……もしも、あたしがミムルちゃんのお母さんになりたいって言ったら…どう思う?」
「??……おねーちゃ、まま??」
「さっき、カインズさんを”パパ”って言ってたみたいに、あたしが……その、”ママ”になる…みたいな……」
どう伝えたら良いかわからなくてしどろもどろになるけど、うまく伝わるだろうか……
ってゆーか、そもそもまだカインズさんにはあたしの気持ちすら伝えてないのに、何言ってるんだろうって気分にもなってきた。
「……おねーちゃ、ままになる?ずっと、ぱぱと、ままと、みんないっしょ?」
「うん、そうだね」
「うれしいっ!おねー……まま、だいすきっ!!」
「……っ、ミムルちゃ……ありがと、あたしも大好きっ!!」
ミムルちゃんの反応と認めてもらえた事が嬉しすぎて、また涙が溢れてくる。
ダメだ。今日はホントにいろいろありすぎて、あたしの涙腺は完全に壊れてるらしい。
そして、ミムルちゃんに先に了承を得てしまったあたしは、カインズさんに「好きです。お嫁さんにして下さい」と逆プロポーズするしかないというおかしな状況になってしまった。
(ちょっと待って。その前に「あたしの処女を貰って下さい」だよね?
いったいどんな流れで、”好き”と”処女貰って”と”プロポーズ”をセットで言えと??!!
恋愛ほぼ初心者のあたしには難易度高すぎませんか?????!!!!)
いやいや、そこは恋愛マスター(勝手な思い込み)であるカインズさんの事だ。
あたしの気持ちなんてバレバレという可能性もある。
だったら、”処女貰って”と”プロポーズ”だけでもOKなのでは?
(処女を貰ってくれた後で「これからカインズさんのお嫁さんとしてそばにいさせて下さい」って言えば良いんじゃない?
これならあたしにも言えるっ!!順番に言えば良いんだよ、うんっ!!!)
頭の中でなんとかシュミレーションができた事で安心したあたしは、意を決してカインズさんの部屋へ向かう事にした。
「じゃあ、これからカインズさんの部屋に行ってくるね。おやすみ、ミムルちゃん」
「ん、おやすみ、なさい」
ミムルちゃんの頬におやすみのキスをしてから、いざカインズさんの寝室へ。
覚悟は決めたはずなのに、そんなに距離がない部屋までの足取りがものすごく重い。
(まだ起きてるかな?それとももう寝ちゃったかな?
もし寝てたら起こすのは申し訳ないから、伝えるのは明日にしよう。そうしよう)
それとなく逃げ道を作って自分を鼓舞しながら、ようやくたどり着いたカインズさんの部屋。
まずは思い切ってドアをノックしてみる事にした。
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