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2章 美幼女の秘密
10 これはさすがに耐えられません
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◇
ある日のこと、狩りへ出かけていたカインズさんが血だらけになって帰ってきた。
「たっだいま~。今日もたっぷり獲物を狩ってきたから肉祭りだぞ~♪」
「!!!」
「きゅぅ??!!(なっ、なにごと~~~~~~??!!)」
ミムルちゃんはあたしを背に庇いながらフライパンを構えて守ってくれている。
(いや、逆!逆だから!!
…ってか、確かに血だらけなカインズさんは危険かもしれないけど、なぜにそんな臨戦態勢??!!)
「ミムル~~~~、そんなフライパンなんて構えてたら、ただいまのハグができないじゃないか~~~~っ」
「……」
(納得した。血だらけのカインズさんにハグされるのを防ぐために守ってくれたんだ。
……ということは、血だらけのハグ…今回が初めてじゃないな?)
ちょっぴり(?)残念なトコロがあるイケメンでイクメンのカインズさんと、小さいながらもしっかり者の美幼女・ミムルちゃん。
実は血がつながってないみたいだけど、二人はどこからどう見ても仲の良い家族です。
「も~、ミムルってば、わざわざお帰りって文字に書いてくれるの?やだなぁ、お父さん嬉しすぎて泣いちゃうよ?」
事情があって喋れないミムルちゃんは、幼いながらも文字を勉強し、必要に応じてカインズさんと筆談をしている、とっても頭も良い子なのである。
今もきっと、カインズさんに“おかえり”って紙に書いて……――――――
「えっと、なになに……“ち”、“か”、“ず”、“く”、“な”、“ふ”、“ろ”、“へ”、“い”、“け”……」
「……」
「きゅ、きゅぅ……?(あ、あれぇ……?)」
……とても仲が良い…………はず。
「ふっ、ミムル。この“ちかずくな”の“ず”は、こっちの“づ”だよ。残念、間違っちゃったな♪」
「!!」
言葉の意味を気にするではなく、文字の間違いを指摘するカインズさん。
(……この人はどこまでもポジティブな人だなぁ……そこが良いのかもしれないけど)
間違いを指摘されて怒ってるミムルちゃんにフライパンで叩かれまくってるカインズさんを見ながら、今日もこの家は平和だなと思いました。
◇
先程まで真っ赤に染まっていた返り血を、お風呂できれいさっぱり流してきたカインズさんは、「晩ご飯を作るから待ってろよ~」と言って何事もなかったかのように台所へと向かった。
この世界の食材や調味料が気になっていたあたしは、ちょっとした好奇心からカインズさんの後をついて行く事にした
……これがそもそもの間違いだった……――――――
「お、ミカヅキ。お前もお腹空いたのか?先に俺とミムルの分を作るからもう少し待ってくれな」
「きゅうっ!(料理が気になるだけなので、おかまいなく)」
相変わらず言葉は通じないけど、なんとかやり過ごせている今日この頃。
あたしは、この日程言葉が通じなくて辛かった事はないかもしれない……そんな事件がこの台所で起こってしまった。
あたしは、どのように料理しているか見えるように、踏み台を伝ってカインズさんが料理している台まで登り、目の前でじっくりと見る事にした。
まずカインズさんは、狩ってきたウサギらしき動物の耳をおもむろに掴んで、そのまま切れ味の良さそうなナイフでぶすっと刺した。
(……え?)
刺した。
ぶすっと。
ザシュっと。
食事用に解体したモノではなく、狩ったままの獲物を持ち帰ってきたため、血抜きや解体などの下処理は一切されていないようだった。
もちろんそんな状態で刺したらどうなるかというと……
(ブッシャァァァァァァァァァ……)
カインズさんはそうなることを予測していたのか結界を張っていたようで、血しぶきは近距離だけに抑えられている。
もちろん同じ料理台の上で、目の前で見ていたあたしは飛散した血で真っ赤に染まった。
「あ~あ、ミカヅキ。そんな場所で見てるからこいつの血でお前まで真っ赤になっちゃったじゃないか。これは風呂でしっかり洗ってやらないと落ちないぞ」
「……」
「ん?ミカヅキ??」
「きゅ……(血…血が……)」
(パタリ)
「ちょっ、おいっ!ミカヅキ??!!しっかりしろ、ミカヅキっ!!!!」
ちょっとしたホラー映画やスプラッター映画には耐性があると思っていたけど、目の前のリアルな殺生(狩った時点でお亡くなりになってるけど)には耐えられませんでした。
その日から、カインズさんが料理してるとき台所に近づかなくなったのは言うまでもない……
ある日のこと、狩りへ出かけていたカインズさんが血だらけになって帰ってきた。
「たっだいま~。今日もたっぷり獲物を狩ってきたから肉祭りだぞ~♪」
「!!!」
「きゅぅ??!!(なっ、なにごと~~~~~~??!!)」
ミムルちゃんはあたしを背に庇いながらフライパンを構えて守ってくれている。
(いや、逆!逆だから!!
…ってか、確かに血だらけなカインズさんは危険かもしれないけど、なぜにそんな臨戦態勢??!!)
「ミムル~~~~、そんなフライパンなんて構えてたら、ただいまのハグができないじゃないか~~~~っ」
「……」
(納得した。血だらけのカインズさんにハグされるのを防ぐために守ってくれたんだ。
……ということは、血だらけのハグ…今回が初めてじゃないな?)
ちょっぴり(?)残念なトコロがあるイケメンでイクメンのカインズさんと、小さいながらもしっかり者の美幼女・ミムルちゃん。
実は血がつながってないみたいだけど、二人はどこからどう見ても仲の良い家族です。
「も~、ミムルってば、わざわざお帰りって文字に書いてくれるの?やだなぁ、お父さん嬉しすぎて泣いちゃうよ?」
事情があって喋れないミムルちゃんは、幼いながらも文字を勉強し、必要に応じてカインズさんと筆談をしている、とっても頭も良い子なのである。
今もきっと、カインズさんに“おかえり”って紙に書いて……――――――
「えっと、なになに……“ち”、“か”、“ず”、“く”、“な”、“ふ”、“ろ”、“へ”、“い”、“け”……」
「……」
「きゅ、きゅぅ……?(あ、あれぇ……?)」
……とても仲が良い…………はず。
「ふっ、ミムル。この“ちかずくな”の“ず”は、こっちの“づ”だよ。残念、間違っちゃったな♪」
「!!」
言葉の意味を気にするではなく、文字の間違いを指摘するカインズさん。
(……この人はどこまでもポジティブな人だなぁ……そこが良いのかもしれないけど)
間違いを指摘されて怒ってるミムルちゃんにフライパンで叩かれまくってるカインズさんを見ながら、今日もこの家は平和だなと思いました。
◇
先程まで真っ赤に染まっていた返り血を、お風呂できれいさっぱり流してきたカインズさんは、「晩ご飯を作るから待ってろよ~」と言って何事もなかったかのように台所へと向かった。
この世界の食材や調味料が気になっていたあたしは、ちょっとした好奇心からカインズさんの後をついて行く事にした
……これがそもそもの間違いだった……――――――
「お、ミカヅキ。お前もお腹空いたのか?先に俺とミムルの分を作るからもう少し待ってくれな」
「きゅうっ!(料理が気になるだけなので、おかまいなく)」
相変わらず言葉は通じないけど、なんとかやり過ごせている今日この頃。
あたしは、この日程言葉が通じなくて辛かった事はないかもしれない……そんな事件がこの台所で起こってしまった。
あたしは、どのように料理しているか見えるように、踏み台を伝ってカインズさんが料理している台まで登り、目の前でじっくりと見る事にした。
まずカインズさんは、狩ってきたウサギらしき動物の耳をおもむろに掴んで、そのまま切れ味の良さそうなナイフでぶすっと刺した。
(……え?)
刺した。
ぶすっと。
ザシュっと。
食事用に解体したモノではなく、狩ったままの獲物を持ち帰ってきたため、血抜きや解体などの下処理は一切されていないようだった。
もちろんそんな状態で刺したらどうなるかというと……
(ブッシャァァァァァァァァァ……)
カインズさんはそうなることを予測していたのか結界を張っていたようで、血しぶきは近距離だけに抑えられている。
もちろん同じ料理台の上で、目の前で見ていたあたしは飛散した血で真っ赤に染まった。
「あ~あ、ミカヅキ。そんな場所で見てるからこいつの血でお前まで真っ赤になっちゃったじゃないか。これは風呂でしっかり洗ってやらないと落ちないぞ」
「……」
「ん?ミカヅキ??」
「きゅ……(血…血が……)」
(パタリ)
「ちょっ、おいっ!ミカヅキ??!!しっかりしろ、ミカヅキっ!!!!」
ちょっとしたホラー映画やスプラッター映画には耐性があると思っていたけど、目の前のリアルな殺生(狩った時点でお亡くなりになってるけど)には耐えられませんでした。
その日から、カインズさんが料理してるとき台所に近づかなくなったのは言うまでもない……
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