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1章 イケメンならぬ、イクメンに拾われる
5 お嫁に行けない part2
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◇
拝啓 天国のお母さん。
お元気ですか?
あたしは一度死んでから、“異世界転生”というとても珍しい経験を現在しています。
しかも、転生した姿は人間ではなく、白くてふわふわの可愛いワンコです。
もうビックリです。
そんな転生した初日からいろんなことがありました。ありすぎました。
せっかくだから新しい人生(?)、楽しんで生きようと思ってたのに……
ごめんなさい、お母さん。
あたし、もうお嫁に行けないかもしれません……――――――――
……そんな現実逃避をしながら身体を丸めていじけること数分。
“ミムル”と呼んでいた美幼女にご飯を食べさせ、後片付けが終わった赤い髪のイケメンは、またあたしのそばにやって来た。
「お前、行くところがないならしばらくうちで可愛がってやっても良いぞ」
「きゅう!きゅうぅん!!(ホントですか?!それはありがたいです!!)」
「ははっ、そうか嬉しいか。俺の名前はカインズ、冒険者でクエストや討伐をしながら生計を立てている。ワーウルフを狩った時にそばにいたお前を見つけたんだ。あいつに食べられなくて良かったな~」
「!!!」
忘れかけていた恐怖を少しだけ思い出してしまった。
ワンコに運を高くしてもらったことで確かに死ななかったが、逆にそれで気づいてしまった。
赤い髪のイケメン…もとい、カインズさんに助けられて確かに“運が良い”とは思うけど、運が良い=危険な目に遭わないということではないらしい。
これから先、この世界で生きていくには……せめて元の姿に変身できるようになるまでは、誰かに守ってもらわないと生きていけないだろう。
「きゅうっ!きゅんきゅぅぅん!!(人間の姿に戻れたら必ず恩返しします!だから、せめてそれまではよろしくお願いします!!)」
カインズさんはあたしを拾って助けてくれた、とても良い人だ。
冒険者として生計を立ててるなら強いだろうし、どうせ助けてもらうなら知らない人よりもカインズさんのようなイケメンで良い人がいいと思い、ワンコとしても可愛がってもらえるようカインズさんに飛びつき、また身体をすりすりとすり寄せた。
「ふふっ、わかったわかった。この家には娘のミムルもいるから、今日からここは3人の家だ」
「きゅん、きゅぅぅ~ん!!(はい!こちらこそよろしくお願いします!!)」
あの美幼女はカインズさんの娘で、ミムルちゃんというらしい。
(なんと!イケメンはイクメンでもあったんですね!!……あれ?でもお母さんは……??)
多少の驚きと気になることはあったけど、無事に衣食住を確保できたあたしは心底安心した。
そして、安心した直後、更なる試練があたしに訪れた。
「よし!我が家の一員になったことだし、まずは身体を綺麗に洗ってやろう」
「きゅ?(え?)」
「大丈夫だ、怖くないぞ。俺も一緒に入るから安心しろ」
「きゅ……きゅぅぅぅぅ~~~~???!!!(え……えぇぇぇぇぇぇ???!!!)」
「ははっ、そんなに風呂が好きか。だったら身体の隅から隅まで綺麗にしてやらないとな」
「????!!!!」
(無理っ!絶対無理!!今日初めて会った人と一緒にお風呂なんて絶対無理ぃぃぃぃ~~~~~!!!)
あたしはとっさに逃げようとしたけど、LUCK以外は並以下のあたしが現役冒険者であるカインズさんから逃げられるわけもなく……――――――
(ガシッ)
「こらこら、逃げるな。見た目は汚れてないが、これから一緒に暮らすんだ。まずは挨拶代わりにちゃんと綺麗にしてやるって」
「きゅうぅっ!きゅうぅぅぅん!!(違うっ!そういう事じゃないのぉぉぉぉ!!)」
「大丈夫だ。優しくしてやるから、な」
「きゅぅぅぅ~~~~~~~~っ(い~~やぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~っ)」
必死の抵抗も虚しく、あたしはそのままお風呂へ連れて行かれ、身体の隅から隅までしっかりきっちり全身くまなく綺麗に洗われたのでした。
拝啓 天国のお母さん
こめんなさい、お母さん。
先程はお嫁に行けないかもしれないと伝えましたが、訂正させていただきます。
あなたの娘は、お嫁に行けないかもしれない…ではなく、お嫁に行けない身体になってしまいました……
拝啓 天国のお母さん。
お元気ですか?
あたしは一度死んでから、“異世界転生”というとても珍しい経験を現在しています。
しかも、転生した姿は人間ではなく、白くてふわふわの可愛いワンコです。
もうビックリです。
そんな転生した初日からいろんなことがありました。ありすぎました。
せっかくだから新しい人生(?)、楽しんで生きようと思ってたのに……
ごめんなさい、お母さん。
あたし、もうお嫁に行けないかもしれません……――――――――
……そんな現実逃避をしながら身体を丸めていじけること数分。
“ミムル”と呼んでいた美幼女にご飯を食べさせ、後片付けが終わった赤い髪のイケメンは、またあたしのそばにやって来た。
「お前、行くところがないならしばらくうちで可愛がってやっても良いぞ」
「きゅう!きゅうぅん!!(ホントですか?!それはありがたいです!!)」
「ははっ、そうか嬉しいか。俺の名前はカインズ、冒険者でクエストや討伐をしながら生計を立てている。ワーウルフを狩った時にそばにいたお前を見つけたんだ。あいつに食べられなくて良かったな~」
「!!!」
忘れかけていた恐怖を少しだけ思い出してしまった。
ワンコに運を高くしてもらったことで確かに死ななかったが、逆にそれで気づいてしまった。
赤い髪のイケメン…もとい、カインズさんに助けられて確かに“運が良い”とは思うけど、運が良い=危険な目に遭わないということではないらしい。
これから先、この世界で生きていくには……せめて元の姿に変身できるようになるまでは、誰かに守ってもらわないと生きていけないだろう。
「きゅうっ!きゅんきゅぅぅん!!(人間の姿に戻れたら必ず恩返しします!だから、せめてそれまではよろしくお願いします!!)」
カインズさんはあたしを拾って助けてくれた、とても良い人だ。
冒険者として生計を立ててるなら強いだろうし、どうせ助けてもらうなら知らない人よりもカインズさんのようなイケメンで良い人がいいと思い、ワンコとしても可愛がってもらえるようカインズさんに飛びつき、また身体をすりすりとすり寄せた。
「ふふっ、わかったわかった。この家には娘のミムルもいるから、今日からここは3人の家だ」
「きゅん、きゅぅぅ~ん!!(はい!こちらこそよろしくお願いします!!)」
あの美幼女はカインズさんの娘で、ミムルちゃんというらしい。
(なんと!イケメンはイクメンでもあったんですね!!……あれ?でもお母さんは……??)
多少の驚きと気になることはあったけど、無事に衣食住を確保できたあたしは心底安心した。
そして、安心した直後、更なる試練があたしに訪れた。
「よし!我が家の一員になったことだし、まずは身体を綺麗に洗ってやろう」
「きゅ?(え?)」
「大丈夫だ、怖くないぞ。俺も一緒に入るから安心しろ」
「きゅ……きゅぅぅぅぅ~~~~???!!!(え……えぇぇぇぇぇぇ???!!!)」
「ははっ、そんなに風呂が好きか。だったら身体の隅から隅まで綺麗にしてやらないとな」
「????!!!!」
(無理っ!絶対無理!!今日初めて会った人と一緒にお風呂なんて絶対無理ぃぃぃぃ~~~~~!!!)
あたしはとっさに逃げようとしたけど、LUCK以外は並以下のあたしが現役冒険者であるカインズさんから逃げられるわけもなく……――――――
(ガシッ)
「こらこら、逃げるな。見た目は汚れてないが、これから一緒に暮らすんだ。まずは挨拶代わりにちゃんと綺麗にしてやるって」
「きゅうぅっ!きゅうぅぅぅん!!(違うっ!そういう事じゃないのぉぉぉぉ!!)」
「大丈夫だ。優しくしてやるから、な」
「きゅぅぅぅ~~~~~~~~っ(い~~やぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~っ)」
必死の抵抗も虚しく、あたしはそのままお風呂へ連れて行かれ、身体の隅から隅までしっかりきっちり全身くまなく綺麗に洗われたのでした。
拝啓 天国のお母さん
こめんなさい、お母さん。
先程はお嫁に行けないかもしれないと伝えましたが、訂正させていただきます。
あなたの娘は、お嫁に行けないかもしれない…ではなく、お嫁に行けない身体になってしまいました……
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