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1章 イケメンならぬ、イクメンに拾われる
3 ステータス、オープン!
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◇
ワンコを助けたこと自体は後悔していないし、死んでしまったことを責めるつもりもない。
むしろ、今あたしがワンコに聞きたいのは、もっともっと別の事だった。
「ねぇワンコ。さっき、あたし自身の身体もワンコの状態で森の中にいたと思うんだけど……あれって現実なの?」
「うん……あれはね…えっと、ホントにボクが魔力の調整下手過ぎて申し訳ないんだけど、実は……――――――」
ワンコ……いや、フェンリル。…いや、やっぱりワンコでいいや。
そのワンコが言うには、まずあたしを自分の世界に転生させて新しい生活をさせようとした。
そして、転生させるからにはこの世界では運悪く死んでしまったりしないように……と運を高くし過ぎた結果、自分の魔力が回復しきっていなかったこともあり、魔力が足りなくなってしまったとのこと。
そのため、人間の姿で転生させるのが難しくなってしまい、やむなく自分と同じ姿で転生させたようだ。
ワンコの魔力が回復したら、元の人間の姿にも変身できるらしい。
(…本来の姿が人間なのに変身しないと戻れないって、あたしの本当の姿っていったい……)
「運を高くしすぎたってどういうこと??」
「う~ん……ボクもまさかこうなるとは思わなかったんだけど…たぶん見た方がわかりやすいと思う。
心の中で良いから“ステータス、オープン”って唱えてみて」
「うん、わかった」
ワンコに言われた通り、心の中で“ステータス、オープン!”と唱えてみた。
ホントにコレ、何かのゲームみたいだな。
えっと、なになに……
*************************************
name コハル・モトミヤ(♀) LV1
HP 7/20
MP 6/10(9999999/9999999)
STR (物理攻撃力) 5
INT (魔法攻撃力) 8
DEF (物理防御力) 3
RES (魔法防御力) 8
AGI (素早さ) 12
LUCK(運) ∞
【称号】フェンリルの半身(隠匿)、転生者(隠匿)
【スキル】神眼(隠匿) 料理
*************************************
「は?!……なっ、ナニコレ??!!弱っ…ってそうじゃなくて、LUKの∞って何????!!!!」
「えへへ……偏り過ぎちゃった☆」
(LUCKが∞って……いったいどれだけ高いの??)
運以外の数値は、一般人の平均がわからないから何とも言えないけど、絶対に低いだろう。
特に物理的に。
「偏り過ぎちゃったって、いくら何でも偏り過ぎでしょ!!
しかもLUCK以外が極端に低くない??」
「ごめんね。ボクも運が良くて助かってることがたくさんあったから……レベルが上がれば少しは数値も上がると思うんだけど……その数値はスライムも危険かもしれない」
「そんなにかっ!!」
「ホントにごめんね、おねーさん。……あと、ボクおねーさんを転生させるのに力をほとんど使っちゃって、しばらく回復に専念しないといけないから、しばらく会えないと思うんだ」
「え?」
「ボクが回復したら、ボクの能力も一部使えるようになるはずだから、それまでは死なないで頑張ってね」
「や、あの……」
「じゃ、おねーさん。ボクの住んでる世界での新しい生活、楽しんでね~」
「いやいや、だから……」
ワンコは一方的に言いたいことだけ言って、去って行った(というか、また一瞬眩しいくらいに光ってから消えた)
まだまだ聞きたいこと、言いたいことはたくさんあったのに……
身体が浮き上がるような感覚があり、なんとなく“意識が回復するんだ”と察した。
(待って待って!今意識が回復しても困る!だって、今回復したって……――――――)
(ワンコ状態で新しい生活をどう楽しめって言うのよ――――――――――!!!!!)
そう。結局目が覚めてもワンコ。
例えLUCKが高くて死なないとしても、目覚めたあたしは人間ではなくワンコ姿なのだ。
(いっそのことワンコが回復するまで、あたしも目覚めなければ良いのにっ!!!)
そんな願いも虚しく、あたしの意識は回復したのだった。
ワンコを助けたこと自体は後悔していないし、死んでしまったことを責めるつもりもない。
むしろ、今あたしがワンコに聞きたいのは、もっともっと別の事だった。
「ねぇワンコ。さっき、あたし自身の身体もワンコの状態で森の中にいたと思うんだけど……あれって現実なの?」
「うん……あれはね…えっと、ホントにボクが魔力の調整下手過ぎて申し訳ないんだけど、実は……――――――」
ワンコ……いや、フェンリル。…いや、やっぱりワンコでいいや。
そのワンコが言うには、まずあたしを自分の世界に転生させて新しい生活をさせようとした。
そして、転生させるからにはこの世界では運悪く死んでしまったりしないように……と運を高くし過ぎた結果、自分の魔力が回復しきっていなかったこともあり、魔力が足りなくなってしまったとのこと。
そのため、人間の姿で転生させるのが難しくなってしまい、やむなく自分と同じ姿で転生させたようだ。
ワンコの魔力が回復したら、元の人間の姿にも変身できるらしい。
(…本来の姿が人間なのに変身しないと戻れないって、あたしの本当の姿っていったい……)
「運を高くしすぎたってどういうこと??」
「う~ん……ボクもまさかこうなるとは思わなかったんだけど…たぶん見た方がわかりやすいと思う。
心の中で良いから“ステータス、オープン”って唱えてみて」
「うん、わかった」
ワンコに言われた通り、心の中で“ステータス、オープン!”と唱えてみた。
ホントにコレ、何かのゲームみたいだな。
えっと、なになに……
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name コハル・モトミヤ(♀) LV1
HP 7/20
MP 6/10(9999999/9999999)
STR (物理攻撃力) 5
INT (魔法攻撃力) 8
DEF (物理防御力) 3
RES (魔法防御力) 8
AGI (素早さ) 12
LUCK(運) ∞
【称号】フェンリルの半身(隠匿)、転生者(隠匿)
【スキル】神眼(隠匿) 料理
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「は?!……なっ、ナニコレ??!!弱っ…ってそうじゃなくて、LUKの∞って何????!!!!」
「えへへ……偏り過ぎちゃった☆」
(LUCKが∞って……いったいどれだけ高いの??)
運以外の数値は、一般人の平均がわからないから何とも言えないけど、絶対に低いだろう。
特に物理的に。
「偏り過ぎちゃったって、いくら何でも偏り過ぎでしょ!!
しかもLUCK以外が極端に低くない??」
「ごめんね。ボクも運が良くて助かってることがたくさんあったから……レベルが上がれば少しは数値も上がると思うんだけど……その数値はスライムも危険かもしれない」
「そんなにかっ!!」
「ホントにごめんね、おねーさん。……あと、ボクおねーさんを転生させるのに力をほとんど使っちゃって、しばらく回復に専念しないといけないから、しばらく会えないと思うんだ」
「え?」
「ボクが回復したら、ボクの能力も一部使えるようになるはずだから、それまでは死なないで頑張ってね」
「や、あの……」
「じゃ、おねーさん。ボクの住んでる世界での新しい生活、楽しんでね~」
「いやいや、だから……」
ワンコは一方的に言いたいことだけ言って、去って行った(というか、また一瞬眩しいくらいに光ってから消えた)
まだまだ聞きたいこと、言いたいことはたくさんあったのに……
身体が浮き上がるような感覚があり、なんとなく“意識が回復するんだ”と察した。
(待って待って!今意識が回復しても困る!だって、今回復したって……――――――)
(ワンコ状態で新しい生活をどう楽しめって言うのよ――――――――――!!!!!)
そう。結局目が覚めてもワンコ。
例えLUCKが高くて死なないとしても、目覚めたあたしは人間ではなくワンコ姿なのだ。
(いっそのことワンコが回復するまで、あたしも目覚めなければ良いのにっ!!!)
そんな願いも虚しく、あたしの意識は回復したのだった。
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