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1章 イケメンならぬ、イクメンに拾われる

1 記憶喪失と危機一髪

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…――――――ということで、今追いかけられています、なぅ。


幸い逃げ足が速いのか、なんとか捕まらずにすんでるけど、これは捕まった瞬間にゲームオーバー、生きるか死ぬかという状態である。


(なんであたしがこんな目に??!!
 今までこんな生死を分けるような鬼ごっこなんてしたことな……………あれ?)



 じゃああたしがいたのは平和な世界?



 ……どこの?



 どんな世界にいた??




逃げることに集中しなければいけない時に別の事を考えてしまったからだろう。
あたしは木の根に躓きズシャァァァァァァァァッと盛大に転んでしまい、追いかけていた獣に一気に追い詰められてしまった。

背後には壁になっている大木。
さっきとは違い、逃げたくても恐怖で身体が動けなくなるほどの殺気で身動きが取れない。


(いやいやいや、ダジャレじゃなくて!
 ホントに動けないの!!ギャグじゃないから!!!)


しかも最悪なことに、転んだ拍子に足を挫いてしまったらしく、ズキンズキンと痛み始めてきた。
目の前の獣は、相変わらずよだれを垂らしながら、鋭い牙を見せて今にもあたしに襲いかかり食べようとしている。

獣が足にググっと力を入れたかと思ったら、大きな口を開けたまま一気に自分の目の前まできて迫ってきた。




(あ、コレはもうダメだ。
 食べられる……――――――――――――)




そう思った瞬間だった。




「今日の晩メシ!
 確保――――――――――――!!!!!!!」
「??!!」




あたしが思わずぎゅっと身体を丸めて瞳を閉じたのと同時に、意味不明の叫び声と共にものすごい音と衝撃をすぐ近くに感じた。

そろそろ大丈夫かと思い、一体何があったのかとあたしは恐る恐る目を開けてみた。


「――――――???!!!」


頭上を見上げると、さっきまで自分を食べようと襲ってきた獣を背後から串刺しにするように脳天に槍の様なものが貫通し、そのまま大木に突き刺さっていた。


あたしの頭すれすれの場所に獣の身体があることから、先程とっさに身体を小さく丸めなければ間違いなく巻き込まれていたに違いない。





襲われる恐怖はなくなったものの、一歩間違えれば大怪我…いや、死んでいたかもしれないと思ったあたしは、ぷつんっと糸が切れたようにそのまま意識を失ってしまった……――――――――――
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