【R18】先輩、食べても良いですか?

暁月

文字の大きさ
上 下
1 / 35
【企画モノ・番外編】

【春宵一刻企画】花散る夜に、貴方と二人

しおりを挟む
※Twitterで見かけた井笠令子様と森野きの子様の合同企画「春宵一刻」の短編モノで、5話くらいまでの予定。
※本編の設定を使ったIFのお話(こんな話もアリだよね)くらいに思っていただけたらありがたいです。

*****************************




「先輩、一緒にお花見しませんか?」


そう言ってきたのは、去年大学新卒でうちの会社に入社した後輩であり、現在はあたしの彼氏でもある小野大樹くん。
そんな彼から素敵な誘いを受けたのは、少しずつ春の温かさを感じるようになった3月の初め頃。

いつものように週末を一緒に過ごすため、会社帰りにそのまま小野くんの家にお泊りにきたあたしは、ちょうど晩ご飯の支度をしている最中だった。

「お花見かぁ……良いね、小野くんと一緒にお花見したい」
「へへ♪先輩ならきっとそう言ってくれると思ってました。……実はこんな場所をもう予約済だったりします」
「え?もう予約してあるの??」
「はい。ちょっと人気がある場所なので、早めに予約しないとダメかなと思って……」

ご飯を待っている小野くんがあたしの元へ来て見せてくれたのは、お花見の名所・穴場を紹介した旅行雑誌のとあるページだった。

肉じゃがの味を調整しながらそれとなく覗き込むと、一度行ってみたいと思っていた人気の宿が目に入り思わず動きが止まる。

「え……ここって部屋にある露天風呂から桜が見れるっていう人気の宿じゃない?
 毎年すごく人気があるのに部屋数が少ないから、予約取るの難しいって聞いたことがある」
「僕が見た時、たまたまキャンセルが出たのか予約できそうだったんで……それで、そのまま予約しちゃいました」
「すごいね、小野くん。一度行ってみたいなと思ってたから、すごく嬉しい!」
「ふふっ、喜んでもらえたみたいで良かったです」

5歳年下なのに、年下の弟妹が多い長男だからなのか世話焼きの気配り上手で、あたしがフォローされる事が多い。
その上、特に恋愛面に関してはエスコートがうまいというか……あたしの気持ちを察してくれるのがホントに上手で、不器用で口下手なあたしは助けられてばかりだ。
時々“エスパーか?!”とツッコみたくなる事もある。

「先輩、僕も味見して良いですか?」
「うん、いいよ。……はい、どうぞ」
「……ん、美味しい♪先輩の料理はホントに美味しいですね……もちろん、先輩自身も美味しいけど」
「!!……っぁ、ちょっと、小野くん?!」
「ご飯を食べる前に、、食べても良いですか?」
「~~~~~~~~~~~っ」

だけど、小野くんはこの通りちょっとだけ……いや、かなりえっちな人だった。

去年の新入社員歓迎会で、部長との飲み比べで酔っ払ったあたしと、成り行きでホテルで一夜を共にした小野くん。
起きて真っ裸だったあたしは、間違いなく自分が小野くんを襲ってしまったと思ったけど、実際はそうじゃなくて。

当時は、あたしの同意なしに抱けないなんて紳士的な一面を見せていたのに、そんな紳士はどこへやら。
今は、二人きりになったとたん襲いかかってくる野獣そのものだ。

「……うぅ、草食動物に見える野獣め……」
「ふふっ、先輩って時々面白いコト言いますよね」
「え?!嘘っ、やだ、あたし声に出してた?!」
「リクエストにお答えして、今日は野獣っぽくシテみましょうか」
「やっ、待って、小野く……んんっ、ふぁ、んむっ」

後は煮込むだけとはいえ、ここは台所。

こんなトコロで襲われたら、毎回料理するたびに思い出して……――――――――じゃなくて!
ここはご飯を作る場所であってえっちする場所じゃない。

抗議しようにも、すっかり雄の顔つきになった小野くんにときめいてしまい、ダメだと拒否する理性とこのまま襲って欲しいという本能がせめぎ合う。

「……っ、ここじゃ、やだ……」
「ふふっ、ではこちらへどうぞ。エスコートさせていただきます♡」


結局断ることができず場所を変えるだけとなり、最終的にこうしていただかれてしまうのはもう何回目だろうか。
もちろんその日も、かなり遅めの晩ご飯になりました。


自分としては、そういった行為があんまり好きじゃなかったのに、不思議と小野くんに触れられるのは全く嫌じゃなく、むしろ嬉しいというかもっと欲しくなる……


一見無害なこの笑顔に、何度騙された事か……

毎回驚かされたり何かしてもらったりばかりなあたしは、今回の旅行で少しでも小野くんをあっと驚かせてやるんだと密かに決意したのでした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

好きだった幼馴染に出会ったらイケメンドクターだった!?

すず。
恋愛
体調を崩してしまった私 社会人 26歳 佐藤鈴音(すずね) 診察室にいた医師は2つ年上の 幼馴染だった!? 診察室に居た医師(鈴音と幼馴染) 内科医 28歳 桐生慶太(けいた) ※お話に出てくるものは全て空想です 現実世界とは何も関係ないです ※治療法、病気知識ほぼなく書かせて頂きます

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

処理中です...