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【本編】
風邪を引きました2
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◇
「どうぞ。卵粥です。生姜も入れたから、身体も温まると思いますよ」
「あ、ありがとう」
お粥の味もさることながら、生姜まで入れてくれるなんてホントに女子力高すぎじゃなかろうか。
しかもアツアツではなく、食べやすい温度まで冷ましてくれている。
こんなの絶対……
「お嫁さんに欲しい……」
「……ぶっ、ケホッ、ケホッ……せ、先輩??」
「へ?」
「僕、男なので……お嫁さんはちょっと…」
「!!!!」
嘘っ!声に出してた?!
恥ずかしすぎるっ!!!
「いや、あの…言葉の綾というか、その……」
「ふふっ、わかってますよ。お粥、お気に召したようで良かったです。
……ちょっと失礼しますね」
小野くんはそう言って、あたしのおでこに優しく触れる。
熱を測ってくれてるんだけど、思いの外顔が近いのと触れる手の大きさに男性であることを意識してしまい、ドキドキしてしまう。
「ん~……まだ熱が高そうですね。食べ終わったら買ってきた薬飲みましょう。
あと、プリンとかゼリーも買ってきたので食欲があるなら食べて下さい」
「……」
薬だけじゃなく、プリンやゼリーまで?!
どこまで至れり尽くせりなの??!!
「ありがと……なんか、いろいろごめんなさい…」
「良いんですよ。僕がしたくてしてる事なんですから☆
……もし僕が寝込んだら看病してくれますか?」
「うん。あたしで良ければ……」
「やった!約束ですよ、先輩☆」
なんだか乗せられた気がしなくもないけど、別に看病くらいなら問題ないよね。
食べ終わった後の食器を、手慣れた手つきで鼻歌まで歌いながら片付ける小野くん。
なんでこんなに優しく……―――――――
『僕、先輩のことが好きです』
……っ、そうでした!告白されてたんでした、あたしっ!!
そもそも風邪ひいたのだって、小野くんのことでいっぱいいっぱいでやらかした結果じゃないかっ!!
「先輩、片付け終わりましたよ。何かして欲しいコトありますか?」
「……っ!!!」
「??……先輩?」
なんだか急に恥ずかしくなってきて、小野くんの顔が見れない。
「…あっ、あたしっ、そろそろベッドで寝るから、小野くんもそろそろ……ぁ…」
早々に寝てしまおうと、慌てて立ち上がったのがダメだった。
熱と急に立ち上がったことによる眩暈でふらつき、そのままゆっくりと身体が傾く。
「先輩っ!!」
倒れる衝撃を覚悟した直後、何かにぶつかる鈍い音がしたけど、あたしは痛みを一切感じない。
その代わりに、温かい温もりに包まれる感じた。
「……っ~~~~~~」
「!!…小野くんっ??!!」
「ははっ、さすがに転ぶのは避けられなかったみたいです。
……先輩、痛くないですか?」
目を開くと、あたしは小野くんを下敷きにした状態だった。
当の小野くんは壁に頭をぶつけたみたいで、少し痛そうにしてる。
「バカっ!何で庇ったりなんか……」
「言ったでしょ?“先輩が好きだ”って。年下は頼りないって思われたくないのに……ははっ、現実はなかなかうまくいきませんね」
「小野、くん……」
そつなく何でもこなすデキ過ぎた男の子だと思ってたけど、実際は努力していた結果だったなんて……
しかも、あたしに“頼りない”と思われたくないからって……
「……頼り、なくなんかない……」
「…え?」
「小野くんは、可愛いけどしっかりしてるし、仕事だって真面目で頑張ってる。
むしろ年上のあたしの方が、全然頼りないしダメな人間だよ……」
「ふふっ、そんなことないですよ」
小野くんはあたしの下敷きになったまま、慰めるように背中をぽんぽんとしてくれる。
ホントに小野くんは、どこまでもあたしを甘やかす。
「そんなことあるのっ!だって……風邪ひいたのだって、昨日、小野くんに…こ、告白されたの、動揺しすぎて……シャワーで水とお湯間違えて身体冷やすわ、お茶飲もうとしてたのにお湯沸かし忘れるわで……」
「へ……?先輩が??」
「それで……お湯沸くの待ってる間に、髪乾かさないままうたた寝しちゃって……
うぅ、こんなんで風邪ひいて会社休んじゃうなんて、最悪だよぉ……」
言ってるうちに情けなくなって、小野くんの胸に顔を埋める。
だけど、小野くんは予想に反して声を出して笑い始め、あたしをぎゅうっと抱きしめた。
「ぷっ、あはははっ、も、先輩ってばホントに可愛すぎですっ!僕を悶え殺すつもりですか?」
「……へ?」
「だって、それって僕の告白に動揺し過ぎて風邪ひいたって事ですよね?」
「あ……」
「先輩が風邪で辛そうなのにこんなこと言うのは申し訳ないですけど、僕、“お見舞い”っていう大義名分で堂々と先輩の家に来れたこと、すごく感謝してるんです。今だってもう幸せ過ぎてに顔がにやけそう」
「??」
「先輩の胸、柔らかくて超気持ちい♡」
「!!!!!!」
熱なんかじゃなく、恥ずかしさで一気に顔が熱くなる。
小野くんって、こんな子だったっけ??
「ふふっ、僕、年下の兄妹が多いから世話をするのは慣れてるんです。
それに、こういう役得なことがあったら良いなって下心を持ってここに来てるので、決して聖人君子ではないですよ?」
「!!」
BARであたしにキスした時のような、少しだけ意地悪な笑みを浮かべる小野くん。
さしずめ、小悪魔のような小野くんはさらにトンデモ発言をしてきた。
「……風邪を引いたのが僕のせいなら、ちゃんと責任取らなきゃですね……」
「え……んっ?!」
気付いた時には口唇は重なっていて、小野くんは何度も何度も角度を変えながらキスをした。
「どうぞ。卵粥です。生姜も入れたから、身体も温まると思いますよ」
「あ、ありがとう」
お粥の味もさることながら、生姜まで入れてくれるなんてホントに女子力高すぎじゃなかろうか。
しかもアツアツではなく、食べやすい温度まで冷ましてくれている。
こんなの絶対……
「お嫁さんに欲しい……」
「……ぶっ、ケホッ、ケホッ……せ、先輩??」
「へ?」
「僕、男なので……お嫁さんはちょっと…」
「!!!!」
嘘っ!声に出してた?!
恥ずかしすぎるっ!!!
「いや、あの…言葉の綾というか、その……」
「ふふっ、わかってますよ。お粥、お気に召したようで良かったです。
……ちょっと失礼しますね」
小野くんはそう言って、あたしのおでこに優しく触れる。
熱を測ってくれてるんだけど、思いの外顔が近いのと触れる手の大きさに男性であることを意識してしまい、ドキドキしてしまう。
「ん~……まだ熱が高そうですね。食べ終わったら買ってきた薬飲みましょう。
あと、プリンとかゼリーも買ってきたので食欲があるなら食べて下さい」
「……」
薬だけじゃなく、プリンやゼリーまで?!
どこまで至れり尽くせりなの??!!
「ありがと……なんか、いろいろごめんなさい…」
「良いんですよ。僕がしたくてしてる事なんですから☆
……もし僕が寝込んだら看病してくれますか?」
「うん。あたしで良ければ……」
「やった!約束ですよ、先輩☆」
なんだか乗せられた気がしなくもないけど、別に看病くらいなら問題ないよね。
食べ終わった後の食器を、手慣れた手つきで鼻歌まで歌いながら片付ける小野くん。
なんでこんなに優しく……―――――――
『僕、先輩のことが好きです』
……っ、そうでした!告白されてたんでした、あたしっ!!
そもそも風邪ひいたのだって、小野くんのことでいっぱいいっぱいでやらかした結果じゃないかっ!!
「先輩、片付け終わりましたよ。何かして欲しいコトありますか?」
「……っ!!!」
「??……先輩?」
なんだか急に恥ずかしくなってきて、小野くんの顔が見れない。
「…あっ、あたしっ、そろそろベッドで寝るから、小野くんもそろそろ……ぁ…」
早々に寝てしまおうと、慌てて立ち上がったのがダメだった。
熱と急に立ち上がったことによる眩暈でふらつき、そのままゆっくりと身体が傾く。
「先輩っ!!」
倒れる衝撃を覚悟した直後、何かにぶつかる鈍い音がしたけど、あたしは痛みを一切感じない。
その代わりに、温かい温もりに包まれる感じた。
「……っ~~~~~~」
「!!…小野くんっ??!!」
「ははっ、さすがに転ぶのは避けられなかったみたいです。
……先輩、痛くないですか?」
目を開くと、あたしは小野くんを下敷きにした状態だった。
当の小野くんは壁に頭をぶつけたみたいで、少し痛そうにしてる。
「バカっ!何で庇ったりなんか……」
「言ったでしょ?“先輩が好きだ”って。年下は頼りないって思われたくないのに……ははっ、現実はなかなかうまくいきませんね」
「小野、くん……」
そつなく何でもこなすデキ過ぎた男の子だと思ってたけど、実際は努力していた結果だったなんて……
しかも、あたしに“頼りない”と思われたくないからって……
「……頼り、なくなんかない……」
「…え?」
「小野くんは、可愛いけどしっかりしてるし、仕事だって真面目で頑張ってる。
むしろ年上のあたしの方が、全然頼りないしダメな人間だよ……」
「ふふっ、そんなことないですよ」
小野くんはあたしの下敷きになったまま、慰めるように背中をぽんぽんとしてくれる。
ホントに小野くんは、どこまでもあたしを甘やかす。
「そんなことあるのっ!だって……風邪ひいたのだって、昨日、小野くんに…こ、告白されたの、動揺しすぎて……シャワーで水とお湯間違えて身体冷やすわ、お茶飲もうとしてたのにお湯沸かし忘れるわで……」
「へ……?先輩が??」
「それで……お湯沸くの待ってる間に、髪乾かさないままうたた寝しちゃって……
うぅ、こんなんで風邪ひいて会社休んじゃうなんて、最悪だよぉ……」
言ってるうちに情けなくなって、小野くんの胸に顔を埋める。
だけど、小野くんは予想に反して声を出して笑い始め、あたしをぎゅうっと抱きしめた。
「ぷっ、あはははっ、も、先輩ってばホントに可愛すぎですっ!僕を悶え殺すつもりですか?」
「……へ?」
「だって、それって僕の告白に動揺し過ぎて風邪ひいたって事ですよね?」
「あ……」
「先輩が風邪で辛そうなのにこんなこと言うのは申し訳ないですけど、僕、“お見舞い”っていう大義名分で堂々と先輩の家に来れたこと、すごく感謝してるんです。今だってもう幸せ過ぎてに顔がにやけそう」
「??」
「先輩の胸、柔らかくて超気持ちい♡」
「!!!!!!」
熱なんかじゃなく、恥ずかしさで一気に顔が熱くなる。
小野くんって、こんな子だったっけ??
「ふふっ、僕、年下の兄妹が多いから世話をするのは慣れてるんです。
それに、こういう役得なことがあったら良いなって下心を持ってここに来てるので、決して聖人君子ではないですよ?」
「!!」
BARであたしにキスした時のような、少しだけ意地悪な笑みを浮かべる小野くん。
さしずめ、小悪魔のような小野くんはさらにトンデモ発言をしてきた。
「……風邪を引いたのが僕のせいなら、ちゃんと責任取らなきゃですね……」
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