【R18】異世界でセカンドライフ~子供達の物語~

暁月

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2章 学園生活は波乱万丈?!

◆幕間◆エリュシオンのとある1日*≪後編≫

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時と場所は変わって、ここは学園にある保健室。
そう。サーヤとエリュシオンの職場である。

二人はここで、サーリアと、エルランという偽名を使って在籍している。
本名に近いのは、誤って本名を呼んでもごまかしやすくするためだが、正直それに意味があるかは不明。
偽名を使っての潜入に「ちょっと本格的だよね!」と一人テンションが高かったサーヤを、周囲が微笑ましく見ている時点でいろいろ察して欲しい。


「っ……エル、ぁ、たし……もぅ」
「音をあげるのがいつもより早いぞ、サーヤ。くく、この場所が原因か?」
「~~~っ!!……ここは、こんなコトする場所じゃな……んんっ」


……もう一度言います。
ここは、学園の保健室である。


生徒たちは真面目に授業を受けているこの時間、保険医の二人ももちろん仕事中のはず。
だけど、合間を縫ってはいつでもどこでもサーヤを襲……げふん、構いたくて仕方ないのが我らがマイペースな魔王様。
現在、保険医専用の事務机の椅子に座り、その上に向き合うように座っているサーヤと抱き合っている状態です。


……もちろん、性的な意味でも。


「もうもうっ、仕事中にこーゆーコトはダメだって約束したのにっ!!」
「ん?俺は、この場所でこの姿の俺に慣れさせようと、サーヤに協力しているだけだが?それに欲情して身を委ねてきたのはお前ではないか」
「ぅぐっ……確かに、それもあるけど……でもでもっ、エルがえっちな事を……あぁぁっ」
「くくっ、妻の要望にいつでも応えるのが夫の務めであろう?」
「!!!」

口でエリュシオンに勝てるわけもなく、文句を言おうにもすぐに言い返されてしまうサーヤ。
エリュシオンが、顔を赤くして口をパクパクさせながら反論しようとするサーヤの姿に笑いを堪えている事など、当の本人は気付いていないようです。


今はだいぶ陽が高く、食堂からは食欲をそそる良い匂いが漂ってきて、誰もがそろそろ昼食を楽しみにするようなこの時間。保健室では、それと真逆にぐちゅっ、じゅぶっと男女が抱き合う淫靡な水音やくぐもった息遣いが部屋全体に漂っていた。

サーヤとしては、恰好だけでも清楚にしようと心がけているらしく、今日は白いブラウスにパステルグリーンのフレアスカートを着用している、
だが現在のサーヤは、前ボタンをあらかた外され、たわわな胸を出しながら頬を赤らめ欲情した顔で、後ろに倒れまいと必死でエリュシオンの首に腕を回し抱きついている状態。
スカートで隠れているが、二人が繋がっているのは明白だし、元が清楚な恰好をしているだけに、厭らしさが減るどころか逆に倍増しているということに、当のサーヤだけそれに気付いていない。

「…っ、ハァ、エル……お願、ぃ、眼鏡外して……」
「ん?白衣にはだいぶ慣れたようだが、眼鏡にはまだ慣れていないのか?」
「~~~っ、ちっ、違うもんっ!えっと・・・ほら、キスするときにぶつかっちゃうでしょ?ね??」
「くくっ、そういうことにしておいてやる」

明らかに嘘だとわかるサーヤの言葉に、素直に従って自分とサーヤの眼鏡を外すエリュシオン。
いっけん言葉と行動は優しく見えるが、“これで邪魔なモノはなくなったな”とサーヤに口付け、同時にサーヤの胸を揉みながら腰をグラインドさせる時点で全然優しくはない。さすがは鬼畜な魔王様である。

そして、二人ともすっかり忘れているようなのでもう一度言います。
ここは王立魔術学園の保健室であり、現在生徒達は真剣に授業を受けている時間帯である。

「ん、ちゅ、ふぁっ……エ、ル…」
「…っ、ハァ……ん?どうした、サーヤ」
「やっぱり、ダメ……ぁんっ、今、じゅぎょ……ゃ、噛んじゃ、~~~っ」

首を横に振りながら何かを必死に訴えようとするサーヤ。
恐らく、授業中であるこの時間に、この場所でこのような事をするのはダメだと言いたいのだろう。
尚も何とか伝えようとするが、エリュシオンの甘美な攻めであっさりと遮られている。

「ぉ、願い……っ、ここ、ハァッ、こんな……いけない、の……」
「!!……サーヤ、お前……」

サーヤの訴えにはっとしたエリュシオンは、動きを止めた後サーヤの頭をひと撫でし、微笑みながらサーヤにこう告げた。

「先ほどから俺のモノを食いちぎらんばかりに収縮しているが、イケなかったとは……」
「は?!え、ゃ、違っ、そうじゃな……きゃぅっ」
「俺はこの状況を愉しんでいるが、お前が満足していないのでは意味がない。安心しろ、サーヤ。これからたっぷりとイカせてやる」
「や、だから違……あぁぁぁっ」


この後魔王様は、有言実行といわんばかりにサーヤの弱いトコロを攻めまくってイカせ続けた。


……今だけ、サーヤの心の声をお届けします。


『そうじゃない!そうじゃないんだよ!!エルのバカぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』





「あ、サーヤまま!今日は早いのね」
「おねーさん、おかえり。仕事はもう終わったの?」
「あ、サーヤだ!今日はエリュシオンいないんだね♪」
「う、うん。まぁ、たまにはね…その、皆でお菓子作ってティータイムしたいな~なんて…」
「「おかし~~~~~!!」」
「あは☆リアもムサシも、”おかえり”より先に”お菓子”に反応してる♪」


あの後、エリュシオンに猛抗議したサーヤは、絶妙タイミングで保健室に遊びに来たセイルに駆け寄り、『今日はもう帰る!』と残りの仕事を放棄して早退宣言。

エリュシオンが反論する前に『じゃ、そういう事みたいだから☆』と、サーヤを連れて森の家に帰ったセイルは、果たしてどこまでナニを把握してるのか…

…とまぁそれはさておき、帰ってきたサーヤは久しぶりに天使達に囲まれ、久しぶりに皆で楽しくお菓子を作り、そのままティータイムを満喫。

匂いに釣られたのか、気が付けば隣に住むマデリーヌやレヴィン、いつも突然やってくるノルンに先代様、当然のように何かしらのお土産(特に肉)を持ってくるフラン、神出鬼没なライムント等、呼んでもいない精霊王達が勢揃いし、ティータイムの時間は賑やかさを増しながら過ぎてくのであった。



…そのため、サーヤが保健室でのアレコレを思い出したのは、仕事を終え帰宅したエリュシオンを出迎えた時だった。



「今帰った」
「あ、エル。おかえりなさ……!!!!!」

白衣姿のエリュシオンを目にした瞬間、保健室での淫らな行為を思い出したサーヤは、出迎えるどころか脱兎の如く逃げだした。

もちろん逃げたところで意味はない。

「…悪かった、サーヤ」
「!!」

最近素直に謝る事を覚えた魔王様は、すぐに逃げたサーヤを後ろから抱きしめて捕獲。
抜け出そうと暴れるも、魔王様の謝罪の言葉を聞いたサーヤはとたんに動きを止め、少し考えてから言葉を発します。

「…保健室は、お仕事する場所であって、イチャイチャする場所じゃないと思うの」
「あぁ…お前がそばにいると思うと、つい…な」
「……っ、ふっ、二人だけの場所なら良いの!でもでもっ、皆が使う保健室では、えっちなコトはダメです!」
「口付けもか?」
「ふぇ?……キ、キス、だけなら……でもそれ以上はだめなの!」
「くくっ……あぁ、わかった。善処しよう(隠し部屋であれば問題あるまい)」
「???」

にこやかに了承するエリュシオンに、少しゾワゾワする気持ちを覚えるサーヤ。
多少(?)のすれ違いはあるものの、寝る前のスキンシップを欠かさない2人は、翌朝いつものように起きて仲良く普通に出勤する日々を送っています。



……―――――とまぁ、魔王様の1日は概ねこんな感じで過ぎて行くのでした。(終われ)
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みんなの感想(1件)

みん
2024.07.01 みん

前作から面白くて一気に読みました。ぜひ続きをよろしくお願い致します🙇

解除

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