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2章 学園生活は波乱万丈?!
初めての×× inミナトside
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◇
今日はレオたんとサクたんの入学式。
ベーたんが入学式を見つつ、そのままサクたんに会いに行くということで、あたしもついて行く事にした。
「あ、レオンとサクラ見つけた!アレが“制服”ってヤツなんだね……なんか、いつもと違って見えるかも」
「うん。なんか、雰囲気がいつもとちょっと違うのよ」
べーたんが示す方に視線を向けると、春を迎えた新緑のような爽やかなグリーンのジャケットとトラウザーズに白いシャツとブローチのついた黒いクロスのタイを付けたレオたんが、目に飛び込んで来た。
エルぱぱが以前着ていたような“正装”とはちょっと形が違うけど、地味すぎず、華美にならない程度に刺繍が施されており、後ろでゆるくまとめられた髪の毛もとても似合っている。
「かっこ、いいの……」
「うん、レオンはカッコいいし、サクラも可愛い!というか、綺麗だね!あれ、レオンってばまた身長伸びた?サクラとあんなに身長差あったっけ?」
「レオたん、去年に比べて10センチ以上伸びたって言ってたのよ。今カイたんと同じくらいなの」
「え?そんなに?!俺やエリュシオンと同じくらいになるの、そう遠くないかもね♪」
「……」
そう。レオたんは成長した。
ちょっと前までは、あたしより少し小さかったレオたんとサクたん。
サクたんは今でもあたしよりちょっと小さいくらいだけど、レオたんはあたしよりも大きくなってしまった。
成長したのはもちろん身長だけじゃない。
手だってあたしよりも大きいし、ぎゅうってしたら今ではあたしの方がすっぽりとレオたんの腕の中に包まれてしまう。
この間だって……―――――――――
「ミナト、サーヤとエリュシオンもあそこにいるよ♪認識阻害付きの眼鏡かけてるみたいだけど、魔力隠さないとバレバレだよね♪ふふっ」
「う、うんっ、そうよね……」
それから、ベーたんと他愛もない話をしながら入学式を見終えた後、サーヤままとエルぱぱのいる保健室に少しだけ顔を出し、その後、ベーたんの転移魔法であたしはレオたんの部屋へ、ベーたんはサクたんの部屋へと向かった。
◇
「……ここが、レオたんのお部屋なのね」
一人部屋だと言っていたレオたんのお部屋は、森の家にある部屋よりも少し広めだった。
勝手に見るのは悪いなと思いながらも、好奇心が勝ってしまいどこに何があるのかを確認する。
「あ、魔道コンロがある。ってことは、ここで料理も作れるのね」
入り口に入ってすぐのところに簡易的な台所があり、魔道コンロが1台あった。
さすがにオーブンはないけど、これならお湯を沸かしたり簡単な料理が作れそうだ。
最近あたしは、レオたんやサクたんと鍛錬したり一緒に過ごす時間がなくなったので、レヴィおじや時々遊びに来るばぁばに料理を教わってご飯支度も手伝ったりしている。
まだまだサーヤままみたいな美味しい料理は作れないし、この前も包丁で指を切っちゃったけど、あたしもいつか美味しいご飯やお菓子を作れるようになりたい。
「作ったら……レオたん、食べてくれるかな?」
部屋を一通り見終えた後、最後に辿り着いた寝室のベッドにポスンと座り、一人呟く。
最近あたしには、よくわからないことがある。
加護を与えている大好きなサーヤままと、いろんなことを教えてくれるエルぱぱ。
その子供達で、あたしにとっては弟や妹のような存在のレオたんやサクたん、リアたんやムーたん。
“家族”というモノを持たないあたし達精霊は、それがどういうモノかは正直わからない。
だけど、森の家で一緒に過ごすうちに“家族”や”仲間”の温もりというモノが何なのか、何となくわかってきた気がする。
……だけど、レオたんだけは皆とちょっと違う気がするのだ。
だけど、皆と何が違うのかがよくわからない。
「……レオたん、ここで眠ってるのね……」
何となくごろんと寝転がると、新品の布団の匂いと一緒にほのかに香る大好きな匂い。
レオたんのことを考えながら、指先は無意識に口唇に触れていた。
ずいぶん前に、お口へのちゅーは“愛する人”しかダメだとエルぱぱに教わった。
だけど、いつからか皆に内緒でレオたんとは時々するようになり、最後にしたのはレオたんが出発する前日の夜。
ちゅーが嫌なわけじゃない。
だけど……
「レオたんとちゅーすると、お胸の辺りがなんかおかしいの……どうし、て……?」
レオたんの匂いに安心と心地良さを覚えたあたしは、考えごとをしながらそのまま眠ってしまった。
◇
温かい。
なんだか安心する温もりと匂いがする。
これって……―――――――――?
「あ、起こしちゃった?」
「んみゅ…?レオ、たん……?」
気が付くと、レオたんは毛布の代わりに制服のジャケットをあたしにかけ、抱きしめるように一緒に横になっていた。
「まだ眠ってても良いよ」と言われたけど、あたしはここに眠りに来たわけじゃないので起きる事にした。
…といっても、起こしてくれたのはレオたんだけど。
ぽやぽやする頭で目を擦っていると、「無理しなくていいのに」とレオたんは微笑みながらあたしのおでこにちゅーをして、自分を背もたれにするようにあたしを後ろから抱きしめる。
全身がレオたんにすっぽりと包まれるようなこの体勢は、あたしの大好きな体勢だ。
「レオたん、改めて入学おめでとうなの。レオたん、あの中で一番制服が似合ってたのよ!」
「え、入学式に来てたの?」
「うん。べーたんと隠れて遠くから見てたの」
今目の前で微笑むレオたんは、あたしの良く知る顔をしていた。
だけど、入学式で見たレオたんはちょっとだけあたしの知らない人に見えた。
学園にいる間や卒業して“大人“になる頃のレオたんは、今よりもっと知らない人に見えてしまうんだろうか……?
「レオたん、“大人”になったら、あたしを置いていっちゃうの……?」
「え……?」
無意識に呟いた言葉だったけど、呟いてからしっくりきた。
これはあたしの本音だ。
「入学式で、レオたん、時々あたしの知らない顔してたの。卒業して“大人”になったら、もっと知らないレオたんになっちゃうの?……そんなの、イヤなのよ」
「そんなことないよ、ミナト。俺自身は何も変わってないし、変わるつもりもない」
「そんなことない!変わったも!!」
「え?」
驚いたレオたんの腕が緩み、あたしは向かい合わせになるよう体制を変える。
だけど、レオたんの顔を見るのが怖くてうつむいたまま言葉だけを続けた。
「ちょっと前まで、背だってあたしより小さかったのに……」
「うん。前にも話したけどここ1年で10センチ以上は伸びたからね」
「声だって、なんか低くなったし……」
「あー……母さん曰く、“声変わり”っていうみたいだよ」
「あんなに嫌いだったニンジンだって、平気な顔で食べてるし……」
「まぁ、今でも好きではないけど、食べられないほどじゃなくなったかな。さすがに好き嫌いは子供っぽいかなと思って……」
「子供だもの!16歳のレオたんはまだまだ子供なのよ!!」
「……ミナ、ト…?」
今日はお祝いの言葉を言うためやってきたのであって、こんなことが言いたいんじゃない。
“大人になりたい”ってこれから頑張るレオたんにこんなこと……あたしはなんて身勝手なんだろう。
だけど、一度零れた本音はあたし自身止めることができず、次から次へと溢れてくる。
「まだまだ子供なのに、最近のレオたん、全然子供じゃないの!あたしの方がおねーさんなの……あたしが、おねーさんなのよぉ……」
もはや言ってることもめちゃくちゃだ。
これじゃ全然おねーさんらしくない。おねーさん失格だ……
酷いこと言ってしまいに泣き出したあたしの頭を、レオたんは優しく撫でてくれる。
それが嬉しいのに、同じくらい苦しい。
「……俺は、ミナトを“お姉さん”だとは思ってないよ」
「!!!!」
ガツンッと頭を何かで殴られたような衝撃だった。
あまりの驚きで一瞬涙は止まったけど、すぐに止めどなく涙が溢れてくる。
悲しい…苦しい……
レオたんにとってあたしって何なんだろう?
どうしてこんなにも悲しくて苦しいの……――――――?
「俺にとってミナトは“お姉さん”じゃなくて……――――――って、ちょっ、ミナト?!」
「……ヒック、あた、し、レオたんのおねーさんじゃな…ック、サーヤままみたいな、“家族”……ッグズ、違う、の?」
「ミナト……」
あたしにとって、レオたんは大好きなサーヤままの大切な子供で。
サーヤままと一緒に護りたいけど、護るだけじゃなくてお出かけしたりお昼寝したり、時々ちゅーしたり、一緒にいたい……大切で、大好きな存在だ。
いつかサーヤままに許可をもらったら、レオたんに加護をあげたい。
そう思っていたのに……
「!!…んっ……ゃ、なんで?レオた……んんっ」
泣いているあたしの涙を指で拭ったレオたんは、ちゅっちゅっと優しく瞳やほっぺたにちゅーをしてから口唇にも口付ける。
だけど、今日のちゅーはいつもとちょっと違った。
「んっ……泣かせてごめんね。でも誤解しないで。俺は、ミナトの事が好きだよ」
「……え?じゃあ、さっきはどうし……んっ、ふぁ…んむっ」
「っ、ハァ……ミナト、もっと舌出して?」
レオたんにいきなりちゅーをされたと思ったら、口の中に入って来るナニカ。
今まで感じた事ない感触に困惑しながら言われた通りに舌を動かしてみると、優しくあむあむと甘噛みされたり、先ほどまで正体不明と思っていたレオたんの舌に絡めとられ、気持ち良いようなくすぐったいような、変な感じがする。
「ふぇ……レオ、たん……?」
「ふふっ、可愛い……ミナト、大好きだよ……愛してる」
「!!!」
「俺はまだ子供だけど、でも、この気持ちは本当だよ。信じて?」
「レオた……んんっ」
レオたんは、あたしの手をきゅっと握りしめてさっきみたいなちゅーをする。
そんなちゅーをされながら、あたしは昔カルおじに教えてもらったコトを思い出した。
確かカルおじは、”愛する”っていうのは“生涯を共にする人”……エルぱぱとサーヤままみたいな人に言う言葉だと言ってなかったっけ?
じゃあ、レオたんはあたしと生涯共にしたいって考えて……――――
(ふにっ)
「????!!!!」
いろんなことが起こったりいろいろ考えたりして、あたしのキャパが限界を迎えかけたその時、胸に感じた違和感でふと我に返った。
違和感の先に目を向けて見ると、レオたんがあたしの胸にもにゅんと触れている。
「◎△$♪×¥○&%#~~~~~~っ」
(ブオォォォッ、ザッパ――――――――ンッ)
……―――――その日の夜、男子寮の最上階の部屋で大洪水という意味不明の事態が発生した。
ちょっと……いや、かなり大騒ぎになったのは言うまでもない。
-----------------------------
やっとそれぞれがちょっとだけ進展!
これから少しずついちゃいちゃさせたいと思います。
※次回更新は4/15の予定です|ω・`)
今日はレオたんとサクたんの入学式。
ベーたんが入学式を見つつ、そのままサクたんに会いに行くということで、あたしもついて行く事にした。
「あ、レオンとサクラ見つけた!アレが“制服”ってヤツなんだね……なんか、いつもと違って見えるかも」
「うん。なんか、雰囲気がいつもとちょっと違うのよ」
べーたんが示す方に視線を向けると、春を迎えた新緑のような爽やかなグリーンのジャケットとトラウザーズに白いシャツとブローチのついた黒いクロスのタイを付けたレオたんが、目に飛び込んで来た。
エルぱぱが以前着ていたような“正装”とはちょっと形が違うけど、地味すぎず、華美にならない程度に刺繍が施されており、後ろでゆるくまとめられた髪の毛もとても似合っている。
「かっこ、いいの……」
「うん、レオンはカッコいいし、サクラも可愛い!というか、綺麗だね!あれ、レオンってばまた身長伸びた?サクラとあんなに身長差あったっけ?」
「レオたん、去年に比べて10センチ以上伸びたって言ってたのよ。今カイたんと同じくらいなの」
「え?そんなに?!俺やエリュシオンと同じくらいになるの、そう遠くないかもね♪」
「……」
そう。レオたんは成長した。
ちょっと前までは、あたしより少し小さかったレオたんとサクたん。
サクたんは今でもあたしよりちょっと小さいくらいだけど、レオたんはあたしよりも大きくなってしまった。
成長したのはもちろん身長だけじゃない。
手だってあたしよりも大きいし、ぎゅうってしたら今ではあたしの方がすっぽりとレオたんの腕の中に包まれてしまう。
この間だって……―――――――――
「ミナト、サーヤとエリュシオンもあそこにいるよ♪認識阻害付きの眼鏡かけてるみたいだけど、魔力隠さないとバレバレだよね♪ふふっ」
「う、うんっ、そうよね……」
それから、ベーたんと他愛もない話をしながら入学式を見終えた後、サーヤままとエルぱぱのいる保健室に少しだけ顔を出し、その後、ベーたんの転移魔法であたしはレオたんの部屋へ、ベーたんはサクたんの部屋へと向かった。
◇
「……ここが、レオたんのお部屋なのね」
一人部屋だと言っていたレオたんのお部屋は、森の家にある部屋よりも少し広めだった。
勝手に見るのは悪いなと思いながらも、好奇心が勝ってしまいどこに何があるのかを確認する。
「あ、魔道コンロがある。ってことは、ここで料理も作れるのね」
入り口に入ってすぐのところに簡易的な台所があり、魔道コンロが1台あった。
さすがにオーブンはないけど、これならお湯を沸かしたり簡単な料理が作れそうだ。
最近あたしは、レオたんやサクたんと鍛錬したり一緒に過ごす時間がなくなったので、レヴィおじや時々遊びに来るばぁばに料理を教わってご飯支度も手伝ったりしている。
まだまだサーヤままみたいな美味しい料理は作れないし、この前も包丁で指を切っちゃったけど、あたしもいつか美味しいご飯やお菓子を作れるようになりたい。
「作ったら……レオたん、食べてくれるかな?」
部屋を一通り見終えた後、最後に辿り着いた寝室のベッドにポスンと座り、一人呟く。
最近あたしには、よくわからないことがある。
加護を与えている大好きなサーヤままと、いろんなことを教えてくれるエルぱぱ。
その子供達で、あたしにとっては弟や妹のような存在のレオたんやサクたん、リアたんやムーたん。
“家族”というモノを持たないあたし達精霊は、それがどういうモノかは正直わからない。
だけど、森の家で一緒に過ごすうちに“家族”や”仲間”の温もりというモノが何なのか、何となくわかってきた気がする。
……だけど、レオたんだけは皆とちょっと違う気がするのだ。
だけど、皆と何が違うのかがよくわからない。
「……レオたん、ここで眠ってるのね……」
何となくごろんと寝転がると、新品の布団の匂いと一緒にほのかに香る大好きな匂い。
レオたんのことを考えながら、指先は無意識に口唇に触れていた。
ずいぶん前に、お口へのちゅーは“愛する人”しかダメだとエルぱぱに教わった。
だけど、いつからか皆に内緒でレオたんとは時々するようになり、最後にしたのはレオたんが出発する前日の夜。
ちゅーが嫌なわけじゃない。
だけど……
「レオたんとちゅーすると、お胸の辺りがなんかおかしいの……どうし、て……?」
レオたんの匂いに安心と心地良さを覚えたあたしは、考えごとをしながらそのまま眠ってしまった。
◇
温かい。
なんだか安心する温もりと匂いがする。
これって……―――――――――?
「あ、起こしちゃった?」
「んみゅ…?レオ、たん……?」
気が付くと、レオたんは毛布の代わりに制服のジャケットをあたしにかけ、抱きしめるように一緒に横になっていた。
「まだ眠ってても良いよ」と言われたけど、あたしはここに眠りに来たわけじゃないので起きる事にした。
…といっても、起こしてくれたのはレオたんだけど。
ぽやぽやする頭で目を擦っていると、「無理しなくていいのに」とレオたんは微笑みながらあたしのおでこにちゅーをして、自分を背もたれにするようにあたしを後ろから抱きしめる。
全身がレオたんにすっぽりと包まれるようなこの体勢は、あたしの大好きな体勢だ。
「レオたん、改めて入学おめでとうなの。レオたん、あの中で一番制服が似合ってたのよ!」
「え、入学式に来てたの?」
「うん。べーたんと隠れて遠くから見てたの」
今目の前で微笑むレオたんは、あたしの良く知る顔をしていた。
だけど、入学式で見たレオたんはちょっとだけあたしの知らない人に見えた。
学園にいる間や卒業して“大人“になる頃のレオたんは、今よりもっと知らない人に見えてしまうんだろうか……?
「レオたん、“大人”になったら、あたしを置いていっちゃうの……?」
「え……?」
無意識に呟いた言葉だったけど、呟いてからしっくりきた。
これはあたしの本音だ。
「入学式で、レオたん、時々あたしの知らない顔してたの。卒業して“大人”になったら、もっと知らないレオたんになっちゃうの?……そんなの、イヤなのよ」
「そんなことないよ、ミナト。俺自身は何も変わってないし、変わるつもりもない」
「そんなことない!変わったも!!」
「え?」
驚いたレオたんの腕が緩み、あたしは向かい合わせになるよう体制を変える。
だけど、レオたんの顔を見るのが怖くてうつむいたまま言葉だけを続けた。
「ちょっと前まで、背だってあたしより小さかったのに……」
「うん。前にも話したけどここ1年で10センチ以上は伸びたからね」
「声だって、なんか低くなったし……」
「あー……母さん曰く、“声変わり”っていうみたいだよ」
「あんなに嫌いだったニンジンだって、平気な顔で食べてるし……」
「まぁ、今でも好きではないけど、食べられないほどじゃなくなったかな。さすがに好き嫌いは子供っぽいかなと思って……」
「子供だもの!16歳のレオたんはまだまだ子供なのよ!!」
「……ミナ、ト…?」
今日はお祝いの言葉を言うためやってきたのであって、こんなことが言いたいんじゃない。
“大人になりたい”ってこれから頑張るレオたんにこんなこと……あたしはなんて身勝手なんだろう。
だけど、一度零れた本音はあたし自身止めることができず、次から次へと溢れてくる。
「まだまだ子供なのに、最近のレオたん、全然子供じゃないの!あたしの方がおねーさんなの……あたしが、おねーさんなのよぉ……」
もはや言ってることもめちゃくちゃだ。
これじゃ全然おねーさんらしくない。おねーさん失格だ……
酷いこと言ってしまいに泣き出したあたしの頭を、レオたんは優しく撫でてくれる。
それが嬉しいのに、同じくらい苦しい。
「……俺は、ミナトを“お姉さん”だとは思ってないよ」
「!!!!」
ガツンッと頭を何かで殴られたような衝撃だった。
あまりの驚きで一瞬涙は止まったけど、すぐに止めどなく涙が溢れてくる。
悲しい…苦しい……
レオたんにとってあたしって何なんだろう?
どうしてこんなにも悲しくて苦しいの……――――――?
「俺にとってミナトは“お姉さん”じゃなくて……――――――って、ちょっ、ミナト?!」
「……ヒック、あた、し、レオたんのおねーさんじゃな…ック、サーヤままみたいな、“家族”……ッグズ、違う、の?」
「ミナト……」
あたしにとって、レオたんは大好きなサーヤままの大切な子供で。
サーヤままと一緒に護りたいけど、護るだけじゃなくてお出かけしたりお昼寝したり、時々ちゅーしたり、一緒にいたい……大切で、大好きな存在だ。
いつかサーヤままに許可をもらったら、レオたんに加護をあげたい。
そう思っていたのに……
「!!…んっ……ゃ、なんで?レオた……んんっ」
泣いているあたしの涙を指で拭ったレオたんは、ちゅっちゅっと優しく瞳やほっぺたにちゅーをしてから口唇にも口付ける。
だけど、今日のちゅーはいつもとちょっと違った。
「んっ……泣かせてごめんね。でも誤解しないで。俺は、ミナトの事が好きだよ」
「……え?じゃあ、さっきはどうし……んっ、ふぁ…んむっ」
「っ、ハァ……ミナト、もっと舌出して?」
レオたんにいきなりちゅーをされたと思ったら、口の中に入って来るナニカ。
今まで感じた事ない感触に困惑しながら言われた通りに舌を動かしてみると、優しくあむあむと甘噛みされたり、先ほどまで正体不明と思っていたレオたんの舌に絡めとられ、気持ち良いようなくすぐったいような、変な感じがする。
「ふぇ……レオ、たん……?」
「ふふっ、可愛い……ミナト、大好きだよ……愛してる」
「!!!」
「俺はまだ子供だけど、でも、この気持ちは本当だよ。信じて?」
「レオた……んんっ」
レオたんは、あたしの手をきゅっと握りしめてさっきみたいなちゅーをする。
そんなちゅーをされながら、あたしは昔カルおじに教えてもらったコトを思い出した。
確かカルおじは、”愛する”っていうのは“生涯を共にする人”……エルぱぱとサーヤままみたいな人に言う言葉だと言ってなかったっけ?
じゃあ、レオたんはあたしと生涯共にしたいって考えて……――――
(ふにっ)
「????!!!!」
いろんなことが起こったりいろいろ考えたりして、あたしのキャパが限界を迎えかけたその時、胸に感じた違和感でふと我に返った。
違和感の先に目を向けて見ると、レオたんがあたしの胸にもにゅんと触れている。
「◎△$♪×¥○&%#~~~~~~っ」
(ブオォォォッ、ザッパ――――――――ンッ)
……―――――その日の夜、男子寮の最上階の部屋で大洪水という意味不明の事態が発生した。
ちょっと……いや、かなり大騒ぎになったのは言うまでもない。
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やっとそれぞれがちょっとだけ進展!
これから少しずついちゃいちゃさせたいと思います。
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