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1章 そうだ、学園へ行こう!
入学祝いのプレゼント2 inサーヤside
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◇
泣きそうなあたしをよそに、レオンやサクラへのプレゼントはまだまだあるようだ。
次に名乗りを上げたのは、ベルナートさん。
「サクラ、俺からはコレ」
「ベル、ありがとなの!」
ベルナートさんのプレゼントは、可愛い蓋つきのガラス細工に入ったオレンジの飴と小さな青い飴がぎっしり入った透明な瓶。レオンにも器は違うが同じモノをあげている。
そういえば、少し前に“飴の作り方を教えて欲しい”って言ってたもんね。
ベルナートさんが二人にお菓子をプレゼントするなんて意外だなぁ。
「これ、ベルが作ったの?」
「うん!こっちはサーヤに教えてもらって俺が作ったオレンジ味の飴だよ。眠れない時に舐めると良い夢が見れる効能付き!慣れない生活だと眠れない日もあるんじゃないかと思ってね」
なるほど。ベルナートさんの優しさが詰まった素敵なプレゼントだね!
出産祝いとか旅行中のお土産が酷すぎて、プレゼントのセンスは皆無なのかと思ってたよ……
ごめんね、ベルナートさん。
じゃあ、青いのは何なんだろう?
薬瓶に入ってるし、飴というよりは何かの薬にも見える。
「へぇ……じゃあ、青いのは?」
「あ、それは飲ませた奴に一晩中悪夢を見せられる薬だよ。水に溶かしても無味無臭で、魔力の痕跡も残らないから嫌な奴がいたらぜひ使ってね♪」
「「へ?」」
またいきなり物騒なモノが出てきた!
皆の中で、学園はどれだけ危険な場所に認定されちゃってるわけ??!!
「レオたん、サクたん、あたし達からはコレなの」
「一度ぶつけると、洗っても洗浄魔法でも落ちない特殊なインクが付着する上に、腐食スライム並みの消せない臭いもつくカラーボールの改良版だよ」
「何かあったら、犯人にぶつけてあげるのよ!!」
待って待って!犯人って何??!!
すっかりお兄さん、お姉さんになって慈愛に満ちた天使達は、二人がどんな事件に巻き込まれると思ってるの??!!
ってか、あの腐食スライムの匂いはもう立派な凶器だからね???!!!
「あ、そうそう!私のあげたピアスは、付けている限り状態異常の魔法を防いだり、万が一毒入りの飲食物を摂取しても浄化してくれる特別製なの♡疲労回復の効果もあるから、寝てる時も外しちゃダメよん♡♡」
さっきのマデリーヌさんのプレゼントも、やっぱり普通じゃなかった!!
毒を盛られるとか、どんな学園生活を想像してるんですか???!!!
「にぃーに、ねぇーね、ぼくたちからもプレゼントなの!」
「いっぱいがんばったのよ!」
最後に立ち上がったのは、我が家の小さな天使二人だ。
小さいと言ってもムサシはもうすぐ10歳、リリアはちょっと前に12歳になったばかり。
まだ甘えん坊なトコロはあるけど、いろんなことを着実に身に付け成長している。
そんな二人は、皆から離れて少し広いスペースがある場所へと移動し、「よいしょ、よいしょ」と可愛らしいかけ声を発しながら魔法袋からとんでもないモノを取り出した。
(ドッシィィィィィィンッ)
「ふわぁぁ~、おっきいの~~~~」
「魔猪……にしては大きいね。ん?額に王冠の痣……これって、もしかして……」
「「そうなの!フォリーキングボアなの!!」」
「「!!!!!」」
目の前に出されたのは、ムサシやリリアの何十倍も大きな猪。
何となく見覚えのある王冠の痣と名前……初めて見るはずなんだけど、どこかで見たことあったかな??
「ライムントが住むフェイフォンの森に稀に出現するらしくてね。ムサシとリリアを連れてセイルと探索してみたんだ」
「そうそう☆サーヤが森でフォリーキングベアに遭遇したでしょ?ムサシとリリアを連れて行ったら運よく遭遇できるかなと思って♪そしたらホントに遭遇できちゃった☆」
そうか!
見覚えがあるかと思ったら、あたしが以前レオンやサクラと結界の外に出ちゃったときに、“もりのクマさん”歌いながら遭遇したあのクマさんの猪バージョンか!!
……って、待て待て待て!フェイフォンの森も“死の森”とか言われてる物騒な場所じゃなかった?
そんな場所に、リリアとムサシを連れて行ったの??!!
「フォリーキングベアに負けず劣らず、脂身がジューシーで美味しいみたいだよ☆」
「解体直後の肉が一番柔らかくて美味しいそうだよ。これから解体して今夜は皆で一緒に食べようじゃないか」
「それは良い案だが、解体はどうする?アレクを呼ぶか?」
「あ、それは大丈夫だよ☆この二人がやるから♪」
「え?この二人って……」
あたしのツッコミが全く追いつかないなか、いつの間にかムサシとリリアはビニール製の割烹着のようなモノを装着していた。ムサシに至っては剣を構えている。
今度は一体何が始まるの……??
「じゃあムサシ、行くよ」
「あいっ、ししょー!」
フランさんが、いつの間にか切断していたフォリーキングボアの前足と思われるモノを、ムサシに向かって放り投げた。
そしてムサシはというと、光のような速さでシュパパパパンッと肉を切り、そばにいたセイルが大皿で切った肉を綺麗に受け止めている。
……なんだこれ、解体ショー的なモノ??
「よし!次はリアもやってみようか☆」
「あいなの!セイ、どんとこいなのよ!」
「オッケ~♪」
今度はセイルがリリアに向かって、上半身と思われる大きめの部位を風魔法で空中へ放り投げる。
すると、リリアは両手から大きな風の刃を2つ放ち、ムサシ同様シュパパパパパンッと空中で肉を切り刻んだ。
そして、切り刻んだお肉を今度はフランさんが大皿2つで綺麗に受け止めていた。
マグロの解体ショーなんて目じゃないくらいの解体ショーである。
目の錯覚かな?なんだか虹が見える気がするよ。
「すまない。血抜きはしておいたんだが、抜けきっていなかったようだ。大丈夫かい?サーヤ」
「ふぇ?!」
雨のような液体が降り注いだことで本当に小さな虹が本当にできていたらしく、呆然としていたあたしはフランさんの声で我に返る。
雨にしては生ぬるいモノが顔に付いたなと思いながらムサシやリリアを見ると、おびただしい程浴びている紫色の返り血らしきモノをセイルから貰ったタオルで拭いているのが視界に入った。
頭では理解したくないけど、このままでいるわけにもいかず顔に付いたナニカを手で拭う。
見たくない……見たくないけど、もしかしなくても顔に付いたこの液体らしきモノってもしかして……
意を決して自分の顔に付着した生暖かいモノを触れて見た後、“やっぱり!!”と思ったのと同時にサ―――っと血の気が引き、気が遠くなっていった。
エルや皆があたしの名前を呼んでいた気がするけど、その返事をする間もなくあたしの意識は深い暗闇へと落ちのだった……―――
---------------------------------
【補足】
下記について【本編完結済】【R18】異世界でセカンドライフ~俺様エルフに拾われました~の下記のお話に関連した当時のエピソードがあります。
(わかってるとより楽しめるかもです。そして、ちょいちょいこういった補足が今後あるかも)
ベルナートのお土産のセンス
→7章 帰郷!エルフの里へ ~祝福された小さな命~
メラルダで過ごそう ~初めての診察2~ 参照
腐食スライム
→14章 初めての家族旅行兼新婚旅行 ~お城はやっぱり危険なトコロ~
下剋上の始まり3 inセイルside 参照
フォリーキングベアの話
→【番外編&after story】
”落ち人”が残した忘れ形見 参照
泣きそうなあたしをよそに、レオンやサクラへのプレゼントはまだまだあるようだ。
次に名乗りを上げたのは、ベルナートさん。
「サクラ、俺からはコレ」
「ベル、ありがとなの!」
ベルナートさんのプレゼントは、可愛い蓋つきのガラス細工に入ったオレンジの飴と小さな青い飴がぎっしり入った透明な瓶。レオンにも器は違うが同じモノをあげている。
そういえば、少し前に“飴の作り方を教えて欲しい”って言ってたもんね。
ベルナートさんが二人にお菓子をプレゼントするなんて意外だなぁ。
「これ、ベルが作ったの?」
「うん!こっちはサーヤに教えてもらって俺が作ったオレンジ味の飴だよ。眠れない時に舐めると良い夢が見れる効能付き!慣れない生活だと眠れない日もあるんじゃないかと思ってね」
なるほど。ベルナートさんの優しさが詰まった素敵なプレゼントだね!
出産祝いとか旅行中のお土産が酷すぎて、プレゼントのセンスは皆無なのかと思ってたよ……
ごめんね、ベルナートさん。
じゃあ、青いのは何なんだろう?
薬瓶に入ってるし、飴というよりは何かの薬にも見える。
「へぇ……じゃあ、青いのは?」
「あ、それは飲ませた奴に一晩中悪夢を見せられる薬だよ。水に溶かしても無味無臭で、魔力の痕跡も残らないから嫌な奴がいたらぜひ使ってね♪」
「「へ?」」
またいきなり物騒なモノが出てきた!
皆の中で、学園はどれだけ危険な場所に認定されちゃってるわけ??!!
「レオたん、サクたん、あたし達からはコレなの」
「一度ぶつけると、洗っても洗浄魔法でも落ちない特殊なインクが付着する上に、腐食スライム並みの消せない臭いもつくカラーボールの改良版だよ」
「何かあったら、犯人にぶつけてあげるのよ!!」
待って待って!犯人って何??!!
すっかりお兄さん、お姉さんになって慈愛に満ちた天使達は、二人がどんな事件に巻き込まれると思ってるの??!!
ってか、あの腐食スライムの匂いはもう立派な凶器だからね???!!!
「あ、そうそう!私のあげたピアスは、付けている限り状態異常の魔法を防いだり、万が一毒入りの飲食物を摂取しても浄化してくれる特別製なの♡疲労回復の効果もあるから、寝てる時も外しちゃダメよん♡♡」
さっきのマデリーヌさんのプレゼントも、やっぱり普通じゃなかった!!
毒を盛られるとか、どんな学園生活を想像してるんですか???!!!
「にぃーに、ねぇーね、ぼくたちからもプレゼントなの!」
「いっぱいがんばったのよ!」
最後に立ち上がったのは、我が家の小さな天使二人だ。
小さいと言ってもムサシはもうすぐ10歳、リリアはちょっと前に12歳になったばかり。
まだ甘えん坊なトコロはあるけど、いろんなことを着実に身に付け成長している。
そんな二人は、皆から離れて少し広いスペースがある場所へと移動し、「よいしょ、よいしょ」と可愛らしいかけ声を発しながら魔法袋からとんでもないモノを取り出した。
(ドッシィィィィィィンッ)
「ふわぁぁ~、おっきいの~~~~」
「魔猪……にしては大きいね。ん?額に王冠の痣……これって、もしかして……」
「「そうなの!フォリーキングボアなの!!」」
「「!!!!!」」
目の前に出されたのは、ムサシやリリアの何十倍も大きな猪。
何となく見覚えのある王冠の痣と名前……初めて見るはずなんだけど、どこかで見たことあったかな??
「ライムントが住むフェイフォンの森に稀に出現するらしくてね。ムサシとリリアを連れてセイルと探索してみたんだ」
「そうそう☆サーヤが森でフォリーキングベアに遭遇したでしょ?ムサシとリリアを連れて行ったら運よく遭遇できるかなと思って♪そしたらホントに遭遇できちゃった☆」
そうか!
見覚えがあるかと思ったら、あたしが以前レオンやサクラと結界の外に出ちゃったときに、“もりのクマさん”歌いながら遭遇したあのクマさんの猪バージョンか!!
……って、待て待て待て!フェイフォンの森も“死の森”とか言われてる物騒な場所じゃなかった?
そんな場所に、リリアとムサシを連れて行ったの??!!
「フォリーキングベアに負けず劣らず、脂身がジューシーで美味しいみたいだよ☆」
「解体直後の肉が一番柔らかくて美味しいそうだよ。これから解体して今夜は皆で一緒に食べようじゃないか」
「それは良い案だが、解体はどうする?アレクを呼ぶか?」
「あ、それは大丈夫だよ☆この二人がやるから♪」
「え?この二人って……」
あたしのツッコミが全く追いつかないなか、いつの間にかムサシとリリアはビニール製の割烹着のようなモノを装着していた。ムサシに至っては剣を構えている。
今度は一体何が始まるの……??
「じゃあムサシ、行くよ」
「あいっ、ししょー!」
フランさんが、いつの間にか切断していたフォリーキングボアの前足と思われるモノを、ムサシに向かって放り投げた。
そしてムサシはというと、光のような速さでシュパパパパンッと肉を切り、そばにいたセイルが大皿で切った肉を綺麗に受け止めている。
……なんだこれ、解体ショー的なモノ??
「よし!次はリアもやってみようか☆」
「あいなの!セイ、どんとこいなのよ!」
「オッケ~♪」
今度はセイルがリリアに向かって、上半身と思われる大きめの部位を風魔法で空中へ放り投げる。
すると、リリアは両手から大きな風の刃を2つ放ち、ムサシ同様シュパパパパパンッと空中で肉を切り刻んだ。
そして、切り刻んだお肉を今度はフランさんが大皿2つで綺麗に受け止めていた。
マグロの解体ショーなんて目じゃないくらいの解体ショーである。
目の錯覚かな?なんだか虹が見える気がするよ。
「すまない。血抜きはしておいたんだが、抜けきっていなかったようだ。大丈夫かい?サーヤ」
「ふぇ?!」
雨のような液体が降り注いだことで本当に小さな虹が本当にできていたらしく、呆然としていたあたしはフランさんの声で我に返る。
雨にしては生ぬるいモノが顔に付いたなと思いながらムサシやリリアを見ると、おびただしい程浴びている紫色の返り血らしきモノをセイルから貰ったタオルで拭いているのが視界に入った。
頭では理解したくないけど、このままでいるわけにもいかず顔に付いたナニカを手で拭う。
見たくない……見たくないけど、もしかしなくても顔に付いたこの液体らしきモノってもしかして……
意を決して自分の顔に付着した生暖かいモノを触れて見た後、“やっぱり!!”と思ったのと同時にサ―――っと血の気が引き、気が遠くなっていった。
エルや皆があたしの名前を呼んでいた気がするけど、その返事をする間もなくあたしの意識は深い暗闇へと落ちのだった……―――
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【補足】
下記について【本編完結済】【R18】異世界でセカンドライフ~俺様エルフに拾われました~の下記のお話に関連した当時のエピソードがあります。
(わかってるとより楽しめるかもです。そして、ちょいちょいこういった補足が今後あるかも)
ベルナートのお土産のセンス
→7章 帰郷!エルフの里へ ~祝福された小さな命~
メラルダで過ごそう ~初めての診察2~ 参照
腐食スライム
→14章 初めての家族旅行兼新婚旅行 ~お城はやっぱり危険なトコロ~
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