お見合い結婚しました―しばらくはセックスレスという約束で!

登夢

文字の大きさ
上 下
16 / 30

16.風俗に行ったことがバレた?

しおりを挟む
(11月第1木曜日)
木曜日になった。今日は同居生活が始まってから初めて風俗通いをする。理奈は私に分からなければ良いと言っていたので、公認されていると思っている。朝食を食べながら、なにげなく今日の予定を伝えておく。

「今日は同期との懇親会があるので、夕食はパスします。2次会まで行くかもしれないので、帰りは11時過ぎになるかもしれません。先に休んでいてください」

「分かりました。飲み過ぎに気を付けて無事に帰って下さい」

嘘は少しも言っていない。ただ、本当のことも言っていない。いつものように軽くハグして僕が先に出かける。

3時に秋本君から確認のメールが入った。仕事は順調で定時に終われそうなので[OK]と入れる。それと[指名をお願いします]と入れた。彼は僕のなじみを知っているのでまかせた。15分ほどして[指名OK]のメールが入った。

今日は仕事も遊びも順調に事が運んだ。指名した娘は今までに何回か入っているので、気心が知れている。すべて終えて二人で横になっていると癒されたと感じることができるいい娘だ。

身体だけの関係だけど癒される。ほんの短い時間だけど僕はこの時間がとても好きだ。幸せな気分に浸ることができる。誘われても断らないのはそのためだ。

帰りに居酒屋で秋本君と飲んで帰るのが恒例となっている。まあ2次会だ。秋本君も機嫌がいい。気心の知れた友人と言いたいことを言い合って一緒に飲むビールは最高にうまい。

「秋本君に聞いてみたいことがあった。教えてくれないか?」

「いいよ、何でも聞いて」

「君たち見合い結婚だったね」

「そうだ、正真正銘の見合い結婚だと思う」

「交際期間は?」

「見合いしてから6か月で式を挙げたから、6か月位かな」

「婚約はいつ?」

「交際して2か月位かな」

「それから交際中の二人の関係は?」

「知っているだろう。僕はそういうのは不得手なんだ。だから見合いした」

「それで」

「結婚式の少し前にキスして抱きしめた位だ。それで新婚旅行で初めて彼女を抱いた」

「その話は前に聞いた。初めて抱く時、彼女はどんな様子だった?」

「よく覚えている。覚悟したみたいに横になって僕にすべて任せていた」

「彼女は何か言っていたか?」

「いや、黙って、僕にしがみついていた」

「そうか」

「なんでそんなことを聞くんだ」

「後学のためだ。そのときの奥さんの気持ちはどんなだったかと思って」

「それなら後から聞いた」

「なんて言っていた」

「あなたにすべて任せると決心していましたと言っていた」

「それから、秋本君に何か聞かなかったか、私が初めてだったんですか?とか、慣れていますね!とか」

「それはだいぶん後だ、うまくできるようになって気心が通じたころだと思った。いろいろ知っているんですね! と言われた」

「どう答えた?」

「若いころ風俗に行っていたことがあるからと答えた」

「確かに正解だ。彼女はなんて言った?」

「そうなんですかといって、それ以上のことは聞かなかった」

「秋本君が慣れていたので、結婚前の女性関係が気になったのかもしれないね」

「僕には有り得ないことだけどね」

「そうか、ありがとう」

「どうしたんだ? 根掘り葉掘り聞いて。吉川君だから話したんだぞ。口外するなよ」

「分かっている。ありがとう」

マンションには11時前には着いた。外から明かりが点いているのが分かる。理奈は起きていてくれた。まあ、僕も理奈が遅く帰る時には起きて待っている。玄関の鍵を開けるとすぐに理奈が玄関まで迎えに出てきてくれた。

「ただいま」

「おかえりなさい。遅かったので無事か心配していました」

「ありがとう。大丈夫だ、そんなに飲んでいないし。すぐにお風呂に入るから」

「上がるまで起きています。その間に着ていたものを洗濯機にかけておきます」

そういわれて無意識にワイシャツの匂いを嗅いでしまった。それを理奈が見ていたのに気がついた。目があったので、こちらから目線をはずしてしまった。後ろめたい気持ちがそうさせたのかもしれない。

匂いはしないはずだからバレることはないと思った。後で飲んだ居酒屋の匂いの方がきつかったからだ。

お風呂から上がったら、やはり理奈は起きて待っていてくれた。「お洗濯をしておきました。おやすみなさい」とだけ言って自分の部屋にすぐに入ってしまった。

帰って来た時と少し感じが違うので、バレたかな? とも思った。でも絶対にバレない自信があった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

春の雨に濡れて―オッサンが訳あり家出JKを嫁にするお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。なお、本作品はヒロイン目線の裏ストーリー「春の雨はあたたかい」のオリジナルストーリーです。 春の雨の日の夜、主人公(圭)は、駅前にいた家出JK(美香)に頼まれて家に連れて帰る。家出の訳を聞いた圭は、自分と同じに境遇に同情して同居することを認める。同居を始めるに当たり、美香は家事を引き受けることを承諾する一方、同居の代償に身体を差し出すが、圭はかたくなに受け入れず、18歳になったら考えると答える。3か月間の同居生活で気心が通い合って、圭は18歳になった美香にプロポーズする。

ヤクザのせいで結婚できない!

山吹
恋愛
【毎週月・木更新】 「俺ァ、あと三か月の命らしい。だから志麻――お前ェ、三か月以内に嫁に行け」 雲竜志麻は極道・雲竜組の組長を祖父に持つ女子高生。 家柄のせいで彼氏も友達もろくにいない人生を送っていた。 ある日、祖父・雲竜銀蔵が倒れる。 「死ぬ前に花嫁姿が見たい」という祖父の願いをかなえるため、見合いをすることになった志麻だが 「ヤクザの家の娘」との見合い相手は、一癖も二癖もある相手ばかりで…… はたして雲竜志麻は、三か月以内に運命に相手に巡り合えるのか!?

ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~ その後

菱沼あゆ
恋愛
その後のみんなの日記です。

1/365

Ririsu◡̈*♡.°⑅
恋愛
恋愛未経験の高校2年生の笹塚明里は、お小遣いアップの為に父親の手伝いをすることに。 そのお手伝いとは、父親が経営する芸能事務所のタレントたちのマンションに同居し、家事をすることで…。そこで個性的な5人との同居生活が始まっていく。 ※イラストはいつも依頼している、しぃの様の素敵なイラストです。

元カノと復縁する方法

なとみ
恋愛
「別れよっか」 同棲して1年ちょっとの榛名旭(はるな あさひ)に、ある日別れを告げられた無自覚男の瀬戸口颯(せとぐち そう)。 会社の同僚でもある二人の付き合いは、突然終わりを迎える。 自分の気持ちを振り返りながら、復縁に向けて頑張るお話。 表紙はまるぶち銀河様からの頂き物です。素敵です!

地味子ちゃんと恋がしたい―そんなに可愛いなんて気付かなかった!

登夢
恋愛
愛人と月1回の逢瀬で癒しあう怠惰な関係を続けていた主人公は、彼を慕う10年後輩の地味子の良き相談相手だった。愛人から突然別れを告げられた主人公は、自暴自虐になり身体を壊して入院してしまうが、見舞いに来て優しく癒してくれた地味子の良さに気付いて、交際を申し込むことになる。これは愛人と二組のカップルが絡み合う大人のラブストーリーです。

お見合い相手は大嫌いな同級生だった!

桜川椿
恋愛
「雪乃、明後日の日曜日にお見合い決定やから!」と突然母に言われ 付き合っている相手もいなく 三十路手前の私、羽山雪乃27歳には断る理由もすべもなく仕方なくお見合いを受けるはめになった・・・。 そしてお見合いの席で私は中学の時の同級生、横山丈一郎と再会した・・・。 「雪乃久しぶりやなぁ」と大嫌いな奴が爽やかな笑顔で私に微笑み立っていた・・・。 お見合いの相手が、まさかの同級生・・・その頃の奴の一言のせいで私はトラウマになったんや!!! 誰がアンタなんかと結婚するか!! 絶対に断ったるからな!! カクヨム、エブリスタにも投稿しています! 表紙はPicrewの「現代和装女子」で作りました☺https://picrew.me/share?cd=uu2X4Fht5t #Picrew

処理中です...