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第1部 都会・同居編
8.酔っぱらいは困ったものだ!
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篠原さんは結構帰りが遅くなる日が多い。独身者は気ままな生活を送っている。週末は必ず何かプライベートな予定を入れている。
ただ、夕食を食べて寄り道をしないで帰ると7時半ごろには帰ってくることが分かってきた。今日は10時以降となるとメールが入っていた。
夕食を終えて一息ついたところで、まだ7時だ。今日は何をしようか? カラオケの練習は十分にしたし、すこし飽きてきた。そうだ、思い出した。AVを見てみよう。あの時、驚いたけど、見ても良いと言ってくれた。
ビデオデッキの下段と言っていたけど、見ると表からはみえないところにケースがたくさん見つかった。20巻はある。ケースの写真は見るに堪えられない恥ずかしいものばかり。
一度亜紀が見せてくれたことがある。20巻もあると随分過激なものもある。これ本当に篠原さんの趣味? と思うようなものまである。こういうものまで私に見てもいいなんてよく言えたものだ。刺激が強すぎる。無神経過ぎる。
でも見てみたい。篠原さんの帰りが遅い時に少しずつ見せてもらうことにしよう。もちろん、分かると恥ずかしいから内緒で。見たことが分からないように気を付けよう。
今日のところは、入れたままにしてあったものにした。私もあんなふうだったかなと思い出してしまった。思い出したくもない辛い思い出になった。
亜紀が見せてくれたものと似たような内容だった。でも見終わるとすっかり疲れた。今日はここまでにしよう。不意に篠原さんが帰ってこないとも限らない。
ひと眠りしたら、玄関ドアの音で目が覚めた。篠原さんが帰ってきたらしい。時計を見ると11時を過ぎている。いつものように部屋のドアの音がしない。
いつもとは違うようなので部屋をでると篠原さんがトイレのドアのところで座り込んでいた。トイレの入り口にはゲロが吐かれていた。大変だ!
「どうしたんですか?」
「気持ちが悪い。また、吐きそうだ」
篠原さんが起上ろうとするので手を貸した。男性の身体は随分重い、ようやく立たせてトイレの中へ。篠原さんが吐いている。背中をさすってあげる。時間がかかったけど、2度吐いていた。
「ありがとう、もう全部吐いたから」
「大丈夫ですか? 洗面台でうがいをして、手を洗ったほうがいいですよ。着替えもして」
篠原さんに付き添って部屋まで行って、ウォークインクローゼットの中に入って、タオルと下着とパジャマを出して、それをベッドに置いて部屋を出てきた。
それからトイレの入り口の床のゲロの片づけをした。それからトイレの掃除をしていると篠原さんが部屋から出てきた。
「すまないな、俺の不注意だった。明日の朝、俺が掃除するから」
「気にしないでください。トイレ掃除は私の仕事ですから、それより大丈夫ですか?」
「ああ、全部吐いたら楽になった」
「こんなことは初めてですが、遅い時はいつもこうなんですか?」
「こんなに吐いたことはめったにない。会社勤めをしてから3回目くらいかな」
「何か面白くないことでもあったのですか?」
「いや、仕事の話に夢中になっていたので、喉が渇いて、飲み過ぎた」
「クールな篠原さんには似つかわしくないですね」
「俺がクール?」
「いつも冷静であまり感情的にならないですから」
「そうみえる?」
「はい」
「どちらかというと、気が短い性格でね。それを自覚しているから、できるだけ冷静になるようにいつも努めているだけだ。今日は仕事の打ち上げだったので、それもあって油断した。飲んで議論を始めるとつい夢中になってしまう」
「良い仕事仲間がたくさんおられて羨ましいです」
「白石さんにはそんな仕事仲間はいないのか?」
「いないこともありませんが、以前の会社の同僚くらいです」
話している間に掃除が終わった。これできれいになった。匂いも残っていない。
「申し訳なかったね。こんな時間にそれもゲロの後始末をしてもらって」
「トイレの掃除は契約のうちですから、お礼は必要ありません」
「これは想定外のことだろう」
「関係ありません」
「今度何か別にお礼をするよ」
「それより、もうこんなことが無いように飲み過ぎには注意してください。身体にもよくありませんから」
「分かった。気を付けるよ。コーヒーを入れるから飲まないか?」
「今、コーヒーを飲むのは胃には良くないと思います。吐いたばかりでしょう。白湯の方がいいんじゃないですか?」
「そうか、じゃあ、そうするか」
「明日は土曜日でお休みですから、ゆっくり眠って今日の疲れをとって下さい。篠原さんが起きてからゆっくり掃除を始めます。おやすみなさい」
私はそういうと部屋に戻ってきた。時計を見ると12時を過ぎていた。トイレ掃除はちっと余分だった。篠原さんはゲロを吐いて恐縮しているのか、弱気になっているのか、私のいうことを素直に聞いてくれた。まあ、ここで貸しを作っておくのも悪くはないと思う。
ただ、夕食を食べて寄り道をしないで帰ると7時半ごろには帰ってくることが分かってきた。今日は10時以降となるとメールが入っていた。
夕食を終えて一息ついたところで、まだ7時だ。今日は何をしようか? カラオケの練習は十分にしたし、すこし飽きてきた。そうだ、思い出した。AVを見てみよう。あの時、驚いたけど、見ても良いと言ってくれた。
ビデオデッキの下段と言っていたけど、見ると表からはみえないところにケースがたくさん見つかった。20巻はある。ケースの写真は見るに堪えられない恥ずかしいものばかり。
一度亜紀が見せてくれたことがある。20巻もあると随分過激なものもある。これ本当に篠原さんの趣味? と思うようなものまである。こういうものまで私に見てもいいなんてよく言えたものだ。刺激が強すぎる。無神経過ぎる。
でも見てみたい。篠原さんの帰りが遅い時に少しずつ見せてもらうことにしよう。もちろん、分かると恥ずかしいから内緒で。見たことが分からないように気を付けよう。
今日のところは、入れたままにしてあったものにした。私もあんなふうだったかなと思い出してしまった。思い出したくもない辛い思い出になった。
亜紀が見せてくれたものと似たような内容だった。でも見終わるとすっかり疲れた。今日はここまでにしよう。不意に篠原さんが帰ってこないとも限らない。
ひと眠りしたら、玄関ドアの音で目が覚めた。篠原さんが帰ってきたらしい。時計を見ると11時を過ぎている。いつものように部屋のドアの音がしない。
いつもとは違うようなので部屋をでると篠原さんがトイレのドアのところで座り込んでいた。トイレの入り口にはゲロが吐かれていた。大変だ!
「どうしたんですか?」
「気持ちが悪い。また、吐きそうだ」
篠原さんが起上ろうとするので手を貸した。男性の身体は随分重い、ようやく立たせてトイレの中へ。篠原さんが吐いている。背中をさすってあげる。時間がかかったけど、2度吐いていた。
「ありがとう、もう全部吐いたから」
「大丈夫ですか? 洗面台でうがいをして、手を洗ったほうがいいですよ。着替えもして」
篠原さんに付き添って部屋まで行って、ウォークインクローゼットの中に入って、タオルと下着とパジャマを出して、それをベッドに置いて部屋を出てきた。
それからトイレの入り口の床のゲロの片づけをした。それからトイレの掃除をしていると篠原さんが部屋から出てきた。
「すまないな、俺の不注意だった。明日の朝、俺が掃除するから」
「気にしないでください。トイレ掃除は私の仕事ですから、それより大丈夫ですか?」
「ああ、全部吐いたら楽になった」
「こんなことは初めてですが、遅い時はいつもこうなんですか?」
「こんなに吐いたことはめったにない。会社勤めをしてから3回目くらいかな」
「何か面白くないことでもあったのですか?」
「いや、仕事の話に夢中になっていたので、喉が渇いて、飲み過ぎた」
「クールな篠原さんには似つかわしくないですね」
「俺がクール?」
「いつも冷静であまり感情的にならないですから」
「そうみえる?」
「はい」
「どちらかというと、気が短い性格でね。それを自覚しているから、できるだけ冷静になるようにいつも努めているだけだ。今日は仕事の打ち上げだったので、それもあって油断した。飲んで議論を始めるとつい夢中になってしまう」
「良い仕事仲間がたくさんおられて羨ましいです」
「白石さんにはそんな仕事仲間はいないのか?」
「いないこともありませんが、以前の会社の同僚くらいです」
話している間に掃除が終わった。これできれいになった。匂いも残っていない。
「申し訳なかったね。こんな時間にそれもゲロの後始末をしてもらって」
「トイレの掃除は契約のうちですから、お礼は必要ありません」
「これは想定外のことだろう」
「関係ありません」
「今度何か別にお礼をするよ」
「それより、もうこんなことが無いように飲み過ぎには注意してください。身体にもよくありませんから」
「分かった。気を付けるよ。コーヒーを入れるから飲まないか?」
「今、コーヒーを飲むのは胃には良くないと思います。吐いたばかりでしょう。白湯の方がいいんじゃないですか?」
「そうか、じゃあ、そうするか」
「明日は土曜日でお休みですから、ゆっくり眠って今日の疲れをとって下さい。篠原さんが起きてからゆっくり掃除を始めます。おやすみなさい」
私はそういうと部屋に戻ってきた。時計を見ると12時を過ぎていた。トイレ掃除はちっと余分だった。篠原さんはゲロを吐いて恐縮しているのか、弱気になっているのか、私のいうことを素直に聞いてくれた。まあ、ここで貸しを作っておくのも悪くはないと思う。
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