6 / 27
6.地味子ちゃんが変身していく!
しおりを挟む
地味子ちゃんの相談にのってから3か月が経った。あれから毎週末に家のパソコンへ食事の内容がまとめてメールされてきている。
食事の内容に気が付いた点があれば、その都度、メールで意見を伝えている。運動もきちんとしているようで、通勤時に一駅手前からの徒歩もこなしていると言う。
そういえば、近頃、身体が締まってきているようだ。コロコロだった体形もスリムになってきた。まん丸顔も細面になってきた。もともと目鼻立ちが整っていたが、それが目に見えて分かるようになってきた。
化粧も薄化粧ながら上手になってきているようだ。メガネをはずせばそれなりに見られる顔になってきたと思う。
ただ、社内では相変わらずのリクルートスタイルだし、メガネもそのままでちょっと見たところの外見は以前と変わらない印象を与えている。でも、実質、徐々に変身しているのは間違いないようだ。昼休みに声をかけてみる。
「どうだい、少しずつ変身しているみたいだけど、ちょっと飲みにでも行くか?」
「はい、丁度相談したいことがあります」
「じゃあ、例のスナックで7時に」
スナックに着くと地味子ちゃんが凜と話していた。
「早く着いて、僕の悪口を言っていたんだろう」
「いいえ、磯村さんを褒めていたんですよ」
「そのとおりです。いつも相談にのってもらっていますから」
「ところで変身の具合は順調のようだね」
「お陰様で身体が引き締まってきました。頬も締まってきました。体調も良いです」
「野坂さんとはどうしているの?」
「野坂さんには姉妹がいなかったので、妹ができたみたいと言って親身になってもらっています」
「それはよかった」
「野坂さんがショッピングに出かける時に声をかけていただいています。ついて行って衣服の選び方やコーディネートの仕方、化粧品の選び方やメークの仕方などを教えてもらっています」
「でも会社では相変わらずのスタイルだけど」
「野坂さんはその方が仕事に集中できて良いと言ってくれますので」
「じゃあ、なかなか変身できないじゃないか」
「野坂さんはプライベートな時に大胆に変身したらインパクトがあるとおっしゃっています」
「プライベートの時だけ変身するっていうこと?」
「そうじゃないと、衣料費にお金がかかってしょうないと言っておられました。私もそう思います」
「それで、着こなしは上達したの?」
「コーディネートのコツも教えてもらっています。大分、分かってきました」
「それはよかった。そのうち見てみたいものだ」
「相談ですけど、新庄さんとお話がしたいので何とかチャンスを作ってもらえませんか?」
「そうか、アタックしてみるか?」
「そういう訳ではありませんが、いつまでもこのままの気持ちではすっきりしなくて」
「君はいつでも前向きだね、羨ましいよ」
「私はいつでも今の時間が一番大切だと思っていますから、今すぐにしないと気が済まないんです。いつやるか、今でしょうって言うじゃないですか」
「せっかちだね」
「そうかもしれませんが、思い始めると先延ばしにはできないんです。もしダメなら別を考えればいいですから」
「それもそうだね、分かった。直接、君にどうしろというのも何だから、何とか手筈を考えてみよう」
なんとかしてやりたいが、その手だてはどうしたものか? 野坂さんに相談してみるか?話が終わったと見たママが声をかける。
「大事な相談は終わりましたか?」
「ああ、ママ、お会計をお願いします」
「もう、お帰りですか? ゆっくりしていって下さいね」
「今日は帰るよ」
凜が顔を近づけてきて小声でいう。
「あの娘に義理立てしているの?」
「そんなんじゃないけどね、また来るよ」
ここのところ、月に1回は泊っている。
***************************************
次の日の昼休み、野坂さんに電話すると丁度席にいた。
「ちょっと相談があるんだけど」
「後輩の米山さんと昨日飲んで聞いたけど、面倒を見てやってくれていてありがとう」
「気にしないで、丁度妹みたいな感じだし、素直だから面倒の見がいがあるわ。休日にシッピングに一緒に連れて行ってあげているだけだから」
「ちょっと提案なんだけど、少し時間が経ってしまったけど、新製品の広報のお礼も兼ねて、飲まないか、4人で」
「4人って、メンバーは?」
「君と僕と新庄君と米山さんだけど、新庄君は君の大学の後輩だよね」
「妙な組み合わせね。いいけど、日程調整してくれれば付き合うわ。土曜日にしてくれればなおいいけど」
「分かった、ありがとう」
確かに言われてみれば、妙な組み合わせだ。まあ、地味子ちゃんと新庄君の顔合わせのためと言う訳にもいかないから、説明のしようがない。それから、席に座っている新庄君のところへ行って小声で飲み会の話をする。
「今週の土曜日に飲み会をしようと思うんだけど、来てくれないか?」
「どんな趣旨ですか?」
「あえていうと世話になった野坂さんへのお礼の会と言うところかな」
「メンバーは?」
「野坂さんに、僕と新庄君だ。二人は新製品の発表でお世話になったし、それに君は野坂さんの大学の後輩だったよね」
「3年後輩です」
「それに僕の大学の後輩の米山さんも」
「ええ、あの地味な米山さんも?」
「実は米山さんも野坂さんの世話になっているんだ、プライベートなことだけどね」
「そうなんですか」
「どうかな、来てくれないかな」
「いいですよ。磯村さんの顔を立てて」
「よかった。これでメンバーが揃った」
そのあと、野坂さんと地味子ちゃんに土曜日の夕刻に飲み会が決まったことを連絡した。場所と時間は追って知らせることにした。地味子ちゃんにはせっかく機会を作ったので、とにかく頑張るように話をした。
食事の内容に気が付いた点があれば、その都度、メールで意見を伝えている。運動もきちんとしているようで、通勤時に一駅手前からの徒歩もこなしていると言う。
そういえば、近頃、身体が締まってきているようだ。コロコロだった体形もスリムになってきた。まん丸顔も細面になってきた。もともと目鼻立ちが整っていたが、それが目に見えて分かるようになってきた。
化粧も薄化粧ながら上手になってきているようだ。メガネをはずせばそれなりに見られる顔になってきたと思う。
ただ、社内では相変わらずのリクルートスタイルだし、メガネもそのままでちょっと見たところの外見は以前と変わらない印象を与えている。でも、実質、徐々に変身しているのは間違いないようだ。昼休みに声をかけてみる。
「どうだい、少しずつ変身しているみたいだけど、ちょっと飲みにでも行くか?」
「はい、丁度相談したいことがあります」
「じゃあ、例のスナックで7時に」
スナックに着くと地味子ちゃんが凜と話していた。
「早く着いて、僕の悪口を言っていたんだろう」
「いいえ、磯村さんを褒めていたんですよ」
「そのとおりです。いつも相談にのってもらっていますから」
「ところで変身の具合は順調のようだね」
「お陰様で身体が引き締まってきました。頬も締まってきました。体調も良いです」
「野坂さんとはどうしているの?」
「野坂さんには姉妹がいなかったので、妹ができたみたいと言って親身になってもらっています」
「それはよかった」
「野坂さんがショッピングに出かける時に声をかけていただいています。ついて行って衣服の選び方やコーディネートの仕方、化粧品の選び方やメークの仕方などを教えてもらっています」
「でも会社では相変わらずのスタイルだけど」
「野坂さんはその方が仕事に集中できて良いと言ってくれますので」
「じゃあ、なかなか変身できないじゃないか」
「野坂さんはプライベートな時に大胆に変身したらインパクトがあるとおっしゃっています」
「プライベートの時だけ変身するっていうこと?」
「そうじゃないと、衣料費にお金がかかってしょうないと言っておられました。私もそう思います」
「それで、着こなしは上達したの?」
「コーディネートのコツも教えてもらっています。大分、分かってきました」
「それはよかった。そのうち見てみたいものだ」
「相談ですけど、新庄さんとお話がしたいので何とかチャンスを作ってもらえませんか?」
「そうか、アタックしてみるか?」
「そういう訳ではありませんが、いつまでもこのままの気持ちではすっきりしなくて」
「君はいつでも前向きだね、羨ましいよ」
「私はいつでも今の時間が一番大切だと思っていますから、今すぐにしないと気が済まないんです。いつやるか、今でしょうって言うじゃないですか」
「せっかちだね」
「そうかもしれませんが、思い始めると先延ばしにはできないんです。もしダメなら別を考えればいいですから」
「それもそうだね、分かった。直接、君にどうしろというのも何だから、何とか手筈を考えてみよう」
なんとかしてやりたいが、その手だてはどうしたものか? 野坂さんに相談してみるか?話が終わったと見たママが声をかける。
「大事な相談は終わりましたか?」
「ああ、ママ、お会計をお願いします」
「もう、お帰りですか? ゆっくりしていって下さいね」
「今日は帰るよ」
凜が顔を近づけてきて小声でいう。
「あの娘に義理立てしているの?」
「そんなんじゃないけどね、また来るよ」
ここのところ、月に1回は泊っている。
***************************************
次の日の昼休み、野坂さんに電話すると丁度席にいた。
「ちょっと相談があるんだけど」
「後輩の米山さんと昨日飲んで聞いたけど、面倒を見てやってくれていてありがとう」
「気にしないで、丁度妹みたいな感じだし、素直だから面倒の見がいがあるわ。休日にシッピングに一緒に連れて行ってあげているだけだから」
「ちょっと提案なんだけど、少し時間が経ってしまったけど、新製品の広報のお礼も兼ねて、飲まないか、4人で」
「4人って、メンバーは?」
「君と僕と新庄君と米山さんだけど、新庄君は君の大学の後輩だよね」
「妙な組み合わせね。いいけど、日程調整してくれれば付き合うわ。土曜日にしてくれればなおいいけど」
「分かった、ありがとう」
確かに言われてみれば、妙な組み合わせだ。まあ、地味子ちゃんと新庄君の顔合わせのためと言う訳にもいかないから、説明のしようがない。それから、席に座っている新庄君のところへ行って小声で飲み会の話をする。
「今週の土曜日に飲み会をしようと思うんだけど、来てくれないか?」
「どんな趣旨ですか?」
「あえていうと世話になった野坂さんへのお礼の会と言うところかな」
「メンバーは?」
「野坂さんに、僕と新庄君だ。二人は新製品の発表でお世話になったし、それに君は野坂さんの大学の後輩だったよね」
「3年後輩です」
「それに僕の大学の後輩の米山さんも」
「ええ、あの地味な米山さんも?」
「実は米山さんも野坂さんの世話になっているんだ、プライベートなことだけどね」
「そうなんですか」
「どうかな、来てくれないかな」
「いいですよ。磯村さんの顔を立てて」
「よかった。これでメンバーが揃った」
そのあと、野坂さんと地味子ちゃんに土曜日の夕刻に飲み会が決まったことを連絡した。場所と時間は追って知らせることにした。地味子ちゃんにはせっかく機会を作ったので、とにかく頑張るように話をした。
0
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説
じれったい夜の残像
ペコかな
恋愛
キャリアウーマンの美咲は、日々の忙しさに追われながらも、
ふとした瞬間に孤独を感じることが増えていた。
そんな彼女の前に、昔の恋人であり今は経営者として成功している涼介が突然現れる。
再会した涼介は、冷たく離れていったかつての面影とは違い、成熟しながらも情熱的な姿勢で美咲に接する。
再燃する恋心と、互いに抱える過去の傷が交錯する中で、
美咲は「じれったい」感情に翻弄される。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。
泉野あおい
恋愛
人の気持ちに重い軽いがあるなんて変だと思ってた。
でも今、確かに思ってる。
―――この愛は、重い。
------------------------------------------
羽柴健人(30)
羽柴法律事務所所長 鳳凰グループ法律顧問
座右の銘『危ない橋ほど渡りたい。』
好き:柊みゆ
嫌い:褒められること
×
柊 みゆ(28)
弱小飲料メーカー→鳳凰グループ・ホウオウ総務部
座右の銘『石橋は叩いて渡りたい。』
好き:走ること
苦手:羽柴健人
------------------------------------------
同期に恋して
美希みなみ
恋愛
近藤 千夏 27歳 STI株式会社 国内営業部事務
高遠 涼真 27歳 STI株式会社 国内営業部
同期入社の2人。
千夏はもう何年も同期の涼真に片思いをしている。しかし今の仲の良い同期の関係を壊せずにいて。
平凡な千夏と、いつも女の子に囲まれている涼真。
千夏は同期の関係を壊せるの?
「甘い罠に溺れたら」の登場人物が少しだけでてきます。全くストーリには影響がないのでこちらのお話だけでも読んで頂けるとうれしいです。
極上の彼女と最愛の彼 Vol.3
葉月 まい
恋愛
『極上の彼女と最愛の彼』第3弾
メンバーが結婚ラッシュの中、未だ独り身の吾郎
果たして彼にも幸せの女神は微笑むのか?
そして瞳子や大河、メンバー達のその後は?
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
会社の後輩が諦めてくれません
碧井夢夏
恋愛
満員電車で助けた就活生が会社まで追いかけてきた。
彼女、赤堀結は恩返しをするために入社した鶴だと言った。
亀じゃなくて良かったな・・
と思ったのは、松味食品の営業部エース、茶谷吾郎。
結は吾郎が何度振っても諦めない。
むしろ、変に条件を出してくる。
誰に対しても失礼な男と、彼のことが大好きな彼女のラブコメディ。
クリスマスに咲くバラ
篠原怜
恋愛
亜美は29歳。クリスマスを目前にしてファッションモデルの仕事を引退した。亜美には貴大という婚約者がいるのだが今のところ結婚はの予定はない。彼は実業家の御曹司で、年下だけど頼りになる人。だけど亜美には結婚に踏み切れない複雑な事情があって……。■2012年に著者のサイトで公開したものの再掲です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる