冬の雨に濡れてー家出JKと鬼畜サラリーマンの凄まじいラブストーリー

登夢

文字の大きさ
上 下
46 / 49
第2部 再会・自立編

13.22歳の誕生祝い

しおりを挟む
3月20日は未希の22歳の誕生日だ。期せずして今日は離婚が成立して100日目となり、未希は再婚が可能となった。

そのお祝いと言うのもおかしいので、誕生祝いということでいつものレストランへ食事に誘った。

「ここで誕生祝いをするのは18歳、19歳、20歳の時で、これが4回目になった。覚えている?」

「18歳のときは高校へ復学することが決まっていたし、19歳のときは調理師専門学校へ行くことが決まっていた。20歳の時はホテルへの就職が決まっていた。私の誕生日は人生の節目なんですね。そこまではすべて山内さんのお陰でした」

「今日も人生の節目の誕生日になった。再出発のね」

「去年の21歳の誕生日にも山内さんと一緒にここへ来たかった。そうしたら、あんなことにはなっていなかったかもしれない。来年も一緒に来たい。絶対に連れてきてください」

「ああ、連れてくると約束しよう」

「山内さんは約束を必ず守ってくれる。昔からそうでした。安心していられます」

「今日はいつものようにディナーを頼んでおいた」

「ありがとう。本当にありがとう」

思い出をたどることは良いことかもしれない。その時の状況とその時の気持ちを客観的にみられるからだ。こんなことになろうとは、前回に来た時は思ってもみなかった。

料理が運ばれて来た。ワインで乾杯をする。未希はプロらしく、料理をじっと見て、匂いを嗅いで、ソースを少しなめてみて、それから一口食べる。それを俺は眺めている。今度こそ未希を幸せにしてやらなければと思っている。

デザートに頼んでおいた誕生祝いのケーキが運ばれて来た。

「ろうそくは22本ではなく、4本にしてもらった。なぜだかわかる?」

「分からない」

「『22才の別れ』という曲があって、ケーキに22本の蝋燭をともす歌詞がある。悲しい別れの歌だから縁起を担いで22本はやめた。その代わり、ここでの誕生祝いの回数の4本にした。来年は5本ともそう」

「ありがとう」

未希は喜んで蝋燭を吹き消した。本当に来年も二人でまた来たい。帰りはここに来た時にいつもしていたように手を繋いで歩いてアパートまで帰った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

春の雨に濡れて―オッサンが訳あり家出JKを嫁にするお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。なお、本作品はヒロイン目線の裏ストーリー「春の雨はあたたかい」のオリジナルストーリーです。 春の雨の日の夜、主人公(圭)は、駅前にいた家出JK(美香)に頼まれて家に連れて帰る。家出の訳を聞いた圭は、自分と同じに境遇に同情して同居することを認める。同居を始めるに当たり、美香は家事を引き受けることを承諾する一方、同居の代償に身体を差し出すが、圭はかたくなに受け入れず、18歳になったら考えると答える。3か月間の同居生活で気心が通い合って、圭は18歳になった美香にプロポーズする。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話

六剣
恋愛
社会人の鳳健吾(おおとりけんご)と高校生の鮫島凛香(さめじまりんか)はアパートのお隣同士だった。 兄貴気質であるケンゴはシングルマザーで常に働きに出ているリンカの母親に代わってよく彼女の面倒を見ていた。 リンカが中学生になった頃、ケンゴは海外に転勤してしまい、三年の月日が流れる。 三年ぶりに日本のアパートに戻って来たケンゴに対してリンカは、 「なんだ。帰ってきたんだ」 と、嫌悪な様子で接するのだった。

処理中です...