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本編
第十六話 聖印の乙女
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ノックの音が響き、レイチェルは腰掛けていた華美なソファから立ち上がった。レイチェルが今いる部屋は神殿で用意されたものだが、あまりの豪華さに、そわそわと落ち着かない。煌びやかなシャンデリアにふかふかの絨毯。天蓋付きのベッド。どう見ても王侯貴族のそれである。
ここ、神殿よね……
レイチェルは戸惑いを隠せない。
――あなた様は聖印の乙女ですから。
案内してくれた神官は、そう言って笑った。
これで当然ですと言いたげだったけれど……
ブラッドは護衛士としてあてがわれた部屋へ案内されている最中なので、今ここにいるのはレイチェル一人である。どうしても落ち着かない。
ゆったり寛ぐはずのソファにさえ、緊張気味に腰掛けていたところなので、ブラッドが来てくれたのなら助かった、そんな思いでレイチェルが気軽にドアを開ければ、そこには蜂蜜色の髪をした立派な衣装の男性が立っていた。近衛兵を二名つれている。
レイチェルは目をぱちくりさせた。
高位貴族なのだということは、雰囲気で分かった。レイチェルが萎縮する中、蜂蜜色の髪の男性はゆったりとした仕草で口を開いた。
「ご機嫌よう、君は……レイチェル・ホーリーだな?」
じろじろと眺める視線が不躾である。値踏みをするような眼差しだ。
「え? あ、はい……」
「私はこの国の第二王子、ランドールだ」
レイチェルは心底驚いた。
「あ、は、初めまして! レイチェル・ホーリーと申します。以後お見知りおきを!」
レイチェルは頭を下げて挨拶をした。平民である彼女にとって、第二王子など雲の上の人だ。そんな人が一体何の用だろう? レイチェルがそう思っていると、鷹揚にランドールが言った。王子という身分故か、やはりどこか高圧的である。
「顔を上げたまえ。今回は君にお願いがあってね。一週間後に開催される夜会があるんだが、そのエスコートをさせて欲しい」
「え?」
「聖印の乙女は私の婚約者にふさわしい、そう思わないか?」
そう言って蜂蜜色の髪をした第二王子は、蕩けるような笑みを浮かべた。
「あの……なんのお話……」
「私が君に結婚を申し込んでいる。第二王子である私が、だ」
ふんぞり返らんばかりで、レイチェルはぽかんとなってしまう。いや、身分差を考えるとこれで普通なのかもしれないけれど……
「初めてお会いしましたが……」
「そうだな? だが、聖印の乙女ならば、私の結婚相手としてふさわしい。なにせ女神エイルの代理人だ。この先、聖女として認定されれば、大神官に次ぐ地位を与えられるだろう。第二王子である私との結婚も可能……」
「いえ、あの、ですから! 私にその気はまったくありません!」
「……私のどこが不満だ?」
ランドールは王族特有の整った顔に不快の色を浮かべた。ハンサムだが、ブラッドとはまったく違うタイプである。ブラッドは女性のように柔らかい容姿だが、ランドールはその逆で逞しいハンサム顔だ。ブラッドはほっそりしているが、ランドールは肩幅が広くガッチリしている。
「あ、あの……貴族であれば、政略結婚は珍しくもないのでしょうが、私は……平民、です。愛する人と結婚がしたい、です」
「私を愛すればいい」
ランドールがきっぱりと言う。話が通じない。レイチェルは閉口した。断るはずがないというのは自信のあらわれなのか、傲慢なのか……。確かに王子の求婚を断る人はいないのかもしれないけれど、レイチェルは嫌だった。高圧的な物言いにどうしても萎縮してしまう。
――レイチェルが聖印の乙女だと分かって、神殿に引き取られそうになった時はびっくりしたよ。
後々になって、父が困ったようにそう言って笑った。
レイチェルが聖印の乙女だと認知されたのは、王都の神殿で洗礼を受けた時だ。集まった神官達がどよめいたことを、レイチェルは覚えている。洗礼に反応し、自分の胸にあった聖なる印が輝いたのである。
――どうしても娘を取られたくなくて、一緒に暮らしたいって踏ん張ったよ。でも、なによりも、レイチェルが私達と一緒にいたいって、わんわん泣いたことが大きかったんだろうね。
そう言って父は嬉しそうに顔をほころばせた。
神官達は女神エイルを崇拝している。その女神様に選ばれた乙女に無体を働くなどもってのほか、そう考えたらしい。
話し合った結果、レイチェルが十六才となり、聖女と認定されるまでは聖印の乙女であることを口外しないことを条件として、大神官はレイチェルが村で暮らすことを認めた。
一つは王家に知られれば、聖印の乙女を強引に囲い込もうとするだろうということ。そしてもう一つは、聖印の乙女を狙う不埒な輩が現れないとも限らない。その二つを懸念した大神官の手によって、レイチェルの両親は誓約させられた。彼女が聖女として神殿に入るまで、聖印の乙女であることを誰にも明かさないと。
私が神殿に入ったので、王家にも聖印の乙女の事が伝わったのね……
それにしても、動きが素早い、レイチェルはそう思ってしまう。
ランドールがきっぱりと言った。
「君に似合うドレスと装飾品を贈ろう。では、また後ほど」
「いえ、あの! 困ります!」
返事を待たずに王子ランドールは立ち去った。こちらの意向など関係ないとでも言うように。レイチェルがソファにぼすりと座り込み、ぼうっとしていると、聞き覚えのある声が間近で聞こえた。
「どうした?」
レイチェルがはっとし、顔を上げると、直ぐ傍にブラッドの顔がある。いつの間に……慌てて身を引いた。顔がきっと赤い。
「ノックは、しないんですね?」
「君がして欲しいなら、そうする」
「そ、そうですね。出来れば……」
着替えなどしている間に入ってこられると困るもの。
「何かあったか?」
「あ、それが……」
先程の一件を話せば、ブラッドが不快そうに顔をしかめた。
「君はどうしたい?」
「断りたい、です」
途端、今度はブラッドの顔が嬉しそうにほころび、とくんと心臓が波打った。やだ、本当に私、どうしちゃったんだろう……
「なら、断ればいい」
「聞いてもらえませんでした」
かなり強引だったことを話すと、ブラッドが思案する。
「第二王子を地の果てに捨ててきてもいいんだが……」
「それは止めてください、お願いします」
レイチェルが止めた。本当にやりかねない。
「君は聖女として二年間ここで問題なく働きたい、そうだな?」
「はい」
「君さえよければ俺と婚約しないか? 男避けに」
え……
「で、でも!」
「大丈夫、仮だから」
ブラッドがにっと笑う。
仮……
「言ったろう? 君が嫌がることはしないよ。結婚も君がどうしても嫌だというなら、諦めるから。君が結婚したい相手を見つけるまでの仮、な?」
笑うブラッドの顔はあくまで優しい。でもと、レイチェルは俯いた。
もの凄く失礼な事をしている気がしてしまう。これだとブラッドさんを利用するってことになるもの。自分に好意を示してくれている彼を、とことん利用するみたいで嫌だ……
「ランドール王子殿下がそれで納得するかしら?」
ふっとそんな疑問が、レイチェルの口を突いて出る。そうよ、王族だもの。ブラッドさんとの婚約を認めない、なんて簡単に出来そう。
ブラッドがにやりと笑った。
「せざるを得ないさ。誓約がある」
「誓約?」
「魔王討伐の報償を俺は受け取らなかった。はっきりいって領地だの爵位だの、いらねーっての。何が悲しゅうて人間の領民の面倒なんかみなくちゃならないんだよ? なので、欲しいものがあった場合、その報酬として一つ要求することが出来る。アウグストの奴が、当時の国王と魔法で誓約させてあるから、覆すことは出来ないよ。覆せば王族そのものに打撃が行く。ただし、聖印の乙女を娶るとなると、もちろん本人の希望がないと駄目だろうけど」
「魔王討伐の報酬……」
「そ、俺、あれに参加してるから」
ブラッドがにっと笑い、レイチェルは目を見張った。
「え、え、えぇええええええ! も、もしかして、ブラッドさん、魔王討伐に参加した四大英雄の一人、だったんですかぁ? ブラッドさん魔族ですよね? 魔王はブラッドさんにとって王ですよね? 一番偉い方ですよね?」
「ははは、まぁ……」
さっと目をそらされる。
「仲間から責められませんでした? 大丈夫ですか?」
「大丈夫、大丈夫、文句がある奴は返り討ちにするから」
「それ、大丈夫って言いませんよ、もう……」
レイチェルはため息混じりにそう言った。目の前のブラッドの端正な顔をまじまじ見てしまう。
本当に、何て言うか、変わった人、いえ、変わったヴァンパイアだなと思う。十一年間も村を守ってくれた彼が、魔王討伐までしていたとは知らなかった。
「もし、一週間後の夜会に出席するなら、俺がエスコートするよ」
「いえ、でも、あの……」
「それも嫌?」
ブラッドの顔が曇ったように見え、ずきりと胸が痛む。
そんな顔、しないで欲しい。悲しそうな顔をされるともう……
「そうじゃ、なくて……」
レイチェルは口ごもる。どう、説明すれば良いのか分からない。
「ブラッドさんは、私にとって大事な大事なお兄さん、いえ、友達なんです。付き合って欲しいって言われた返事だって、まだ、正式にしていません。これってとっても失礼だと思います。けど、適当な返事もしたくなくて、もうちょっともうちょっとって先延ばしにしているところに、男よけの婚約なんて……嫌なんです。ブラッドさんをとことん利用するみたいで……」
「俺は君と一緒にいられるから嬉しいんだけどな?」
「でも!」
「他にいい手があるなら聞くけど?」
それは……
「ない、です……」
不承不承レイチェルはそう答えた。
結局押し切られちゃった。ブラッドさん、ごめんなさい……そして、ありがとう。
ここ、神殿よね……
レイチェルは戸惑いを隠せない。
――あなた様は聖印の乙女ですから。
案内してくれた神官は、そう言って笑った。
これで当然ですと言いたげだったけれど……
ブラッドは護衛士としてあてがわれた部屋へ案内されている最中なので、今ここにいるのはレイチェル一人である。どうしても落ち着かない。
ゆったり寛ぐはずのソファにさえ、緊張気味に腰掛けていたところなので、ブラッドが来てくれたのなら助かった、そんな思いでレイチェルが気軽にドアを開ければ、そこには蜂蜜色の髪をした立派な衣装の男性が立っていた。近衛兵を二名つれている。
レイチェルは目をぱちくりさせた。
高位貴族なのだということは、雰囲気で分かった。レイチェルが萎縮する中、蜂蜜色の髪の男性はゆったりとした仕草で口を開いた。
「ご機嫌よう、君は……レイチェル・ホーリーだな?」
じろじろと眺める視線が不躾である。値踏みをするような眼差しだ。
「え? あ、はい……」
「私はこの国の第二王子、ランドールだ」
レイチェルは心底驚いた。
「あ、は、初めまして! レイチェル・ホーリーと申します。以後お見知りおきを!」
レイチェルは頭を下げて挨拶をした。平民である彼女にとって、第二王子など雲の上の人だ。そんな人が一体何の用だろう? レイチェルがそう思っていると、鷹揚にランドールが言った。王子という身分故か、やはりどこか高圧的である。
「顔を上げたまえ。今回は君にお願いがあってね。一週間後に開催される夜会があるんだが、そのエスコートをさせて欲しい」
「え?」
「聖印の乙女は私の婚約者にふさわしい、そう思わないか?」
そう言って蜂蜜色の髪をした第二王子は、蕩けるような笑みを浮かべた。
「あの……なんのお話……」
「私が君に結婚を申し込んでいる。第二王子である私が、だ」
ふんぞり返らんばかりで、レイチェルはぽかんとなってしまう。いや、身分差を考えるとこれで普通なのかもしれないけれど……
「初めてお会いしましたが……」
「そうだな? だが、聖印の乙女ならば、私の結婚相手としてふさわしい。なにせ女神エイルの代理人だ。この先、聖女として認定されれば、大神官に次ぐ地位を与えられるだろう。第二王子である私との結婚も可能……」
「いえ、あの、ですから! 私にその気はまったくありません!」
「……私のどこが不満だ?」
ランドールは王族特有の整った顔に不快の色を浮かべた。ハンサムだが、ブラッドとはまったく違うタイプである。ブラッドは女性のように柔らかい容姿だが、ランドールはその逆で逞しいハンサム顔だ。ブラッドはほっそりしているが、ランドールは肩幅が広くガッチリしている。
「あ、あの……貴族であれば、政略結婚は珍しくもないのでしょうが、私は……平民、です。愛する人と結婚がしたい、です」
「私を愛すればいい」
ランドールがきっぱりと言う。話が通じない。レイチェルは閉口した。断るはずがないというのは自信のあらわれなのか、傲慢なのか……。確かに王子の求婚を断る人はいないのかもしれないけれど、レイチェルは嫌だった。高圧的な物言いにどうしても萎縮してしまう。
――レイチェルが聖印の乙女だと分かって、神殿に引き取られそうになった時はびっくりしたよ。
後々になって、父が困ったようにそう言って笑った。
レイチェルが聖印の乙女だと認知されたのは、王都の神殿で洗礼を受けた時だ。集まった神官達がどよめいたことを、レイチェルは覚えている。洗礼に反応し、自分の胸にあった聖なる印が輝いたのである。
――どうしても娘を取られたくなくて、一緒に暮らしたいって踏ん張ったよ。でも、なによりも、レイチェルが私達と一緒にいたいって、わんわん泣いたことが大きかったんだろうね。
そう言って父は嬉しそうに顔をほころばせた。
神官達は女神エイルを崇拝している。その女神様に選ばれた乙女に無体を働くなどもってのほか、そう考えたらしい。
話し合った結果、レイチェルが十六才となり、聖女と認定されるまでは聖印の乙女であることを口外しないことを条件として、大神官はレイチェルが村で暮らすことを認めた。
一つは王家に知られれば、聖印の乙女を強引に囲い込もうとするだろうということ。そしてもう一つは、聖印の乙女を狙う不埒な輩が現れないとも限らない。その二つを懸念した大神官の手によって、レイチェルの両親は誓約させられた。彼女が聖女として神殿に入るまで、聖印の乙女であることを誰にも明かさないと。
私が神殿に入ったので、王家にも聖印の乙女の事が伝わったのね……
それにしても、動きが素早い、レイチェルはそう思ってしまう。
ランドールがきっぱりと言った。
「君に似合うドレスと装飾品を贈ろう。では、また後ほど」
「いえ、あの! 困ります!」
返事を待たずに王子ランドールは立ち去った。こちらの意向など関係ないとでも言うように。レイチェルがソファにぼすりと座り込み、ぼうっとしていると、聞き覚えのある声が間近で聞こえた。
「どうした?」
レイチェルがはっとし、顔を上げると、直ぐ傍にブラッドの顔がある。いつの間に……慌てて身を引いた。顔がきっと赤い。
「ノックは、しないんですね?」
「君がして欲しいなら、そうする」
「そ、そうですね。出来れば……」
着替えなどしている間に入ってこられると困るもの。
「何かあったか?」
「あ、それが……」
先程の一件を話せば、ブラッドが不快そうに顔をしかめた。
「君はどうしたい?」
「断りたい、です」
途端、今度はブラッドの顔が嬉しそうにほころび、とくんと心臓が波打った。やだ、本当に私、どうしちゃったんだろう……
「なら、断ればいい」
「聞いてもらえませんでした」
かなり強引だったことを話すと、ブラッドが思案する。
「第二王子を地の果てに捨ててきてもいいんだが……」
「それは止めてください、お願いします」
レイチェルが止めた。本当にやりかねない。
「君は聖女として二年間ここで問題なく働きたい、そうだな?」
「はい」
「君さえよければ俺と婚約しないか? 男避けに」
え……
「で、でも!」
「大丈夫、仮だから」
ブラッドがにっと笑う。
仮……
「言ったろう? 君が嫌がることはしないよ。結婚も君がどうしても嫌だというなら、諦めるから。君が結婚したい相手を見つけるまでの仮、な?」
笑うブラッドの顔はあくまで優しい。でもと、レイチェルは俯いた。
もの凄く失礼な事をしている気がしてしまう。これだとブラッドさんを利用するってことになるもの。自分に好意を示してくれている彼を、とことん利用するみたいで嫌だ……
「ランドール王子殿下がそれで納得するかしら?」
ふっとそんな疑問が、レイチェルの口を突いて出る。そうよ、王族だもの。ブラッドさんとの婚約を認めない、なんて簡単に出来そう。
ブラッドがにやりと笑った。
「せざるを得ないさ。誓約がある」
「誓約?」
「魔王討伐の報償を俺は受け取らなかった。はっきりいって領地だの爵位だの、いらねーっての。何が悲しゅうて人間の領民の面倒なんかみなくちゃならないんだよ? なので、欲しいものがあった場合、その報酬として一つ要求することが出来る。アウグストの奴が、当時の国王と魔法で誓約させてあるから、覆すことは出来ないよ。覆せば王族そのものに打撃が行く。ただし、聖印の乙女を娶るとなると、もちろん本人の希望がないと駄目だろうけど」
「魔王討伐の報酬……」
「そ、俺、あれに参加してるから」
ブラッドがにっと笑い、レイチェルは目を見張った。
「え、え、えぇええええええ! も、もしかして、ブラッドさん、魔王討伐に参加した四大英雄の一人、だったんですかぁ? ブラッドさん魔族ですよね? 魔王はブラッドさんにとって王ですよね? 一番偉い方ですよね?」
「ははは、まぁ……」
さっと目をそらされる。
「仲間から責められませんでした? 大丈夫ですか?」
「大丈夫、大丈夫、文句がある奴は返り討ちにするから」
「それ、大丈夫って言いませんよ、もう……」
レイチェルはため息混じりにそう言った。目の前のブラッドの端正な顔をまじまじ見てしまう。
本当に、何て言うか、変わった人、いえ、変わったヴァンパイアだなと思う。十一年間も村を守ってくれた彼が、魔王討伐までしていたとは知らなかった。
「もし、一週間後の夜会に出席するなら、俺がエスコートするよ」
「いえ、でも、あの……」
「それも嫌?」
ブラッドの顔が曇ったように見え、ずきりと胸が痛む。
そんな顔、しないで欲しい。悲しそうな顔をされるともう……
「そうじゃ、なくて……」
レイチェルは口ごもる。どう、説明すれば良いのか分からない。
「ブラッドさんは、私にとって大事な大事なお兄さん、いえ、友達なんです。付き合って欲しいって言われた返事だって、まだ、正式にしていません。これってとっても失礼だと思います。けど、適当な返事もしたくなくて、もうちょっともうちょっとって先延ばしにしているところに、男よけの婚約なんて……嫌なんです。ブラッドさんをとことん利用するみたいで……」
「俺は君と一緒にいられるから嬉しいんだけどな?」
「でも!」
「他にいい手があるなら聞くけど?」
それは……
「ない、です……」
不承不承レイチェルはそう答えた。
結局押し切られちゃった。ブラッドさん、ごめんなさい……そして、ありがとう。
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