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エンディングB:志穂に電話した場合

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 墓参りの帰り道、僕はずっと気になっていた事を確かめる為に志穂に電話をすることにした。
「はい…」
「今大丈夫?」
「うん。大丈夫…」
 少しだけ声が暗い気がした。
「ここ何日か会社休んでるけど、カゼだって?」
「うん」
「大丈夫?」
「うん…」
「もし、俺と顔合わせづらいなら…」
「そんなんじゃないんです。本当にただのカゼで…」
「そっか。で、いつデートする?」
「え?」
「だからドライブ連れて行ってくれるんだろう?」
「唐突すぎません?」
「そうかな…」
「何かあったんですか?」
「うん…。初めて…朝美の墓参りに行って来た」
「初めて?」
「うん、初めて…。何も無くて静かで朝美らしいなって思って、で、気になる娘がいるって伝えて来た。会社の後輩で、朝美を死なせた人の妹だって。まぁ、墓石に喋りかけたって返事なんて返って来ないのに、どうして喋り掛けるんだろうな…」
「どうしてかな…」
「志穂が俺の事どう思ってるか分からないけど、俺は志穂が好きだよ」
「私が好き? 冗談ですか? 私は滝さんが好きだった人を…」
「あのさ、前も言ったと思うけど志穂が悪い分けじゃ無いし、もし俺の心の何処かで志穂の事も憎んでるとしても、好きだから許せるって事もあると思うんだ…」
 電話の向こうで鼻をすする音が聞こえて来た。
「いや、あるだろ。好きでやめられない事って、例えば性癖とか」
「私と性癖を一緒にしないで下さい!」
「そうそう、いつもの志穂だ。…俺志穂のそういう所が好きなんだよ」
 「そういう所って言われても分からないけど、私も滝さんが好きなんです。ずっと、ずっと好きでした…」と震える声で返って来た。
「うん。知ってた」
 「もー滝さんのそういう所が、嫌いです」と志穂は皮肉った。    

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