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【35】最初で最後の幸せ -終-

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 イイよと言われても初めての亮を気遣って速く動くことができず、樹は時間の許す限り亮と繋がった。

「んっ、んっ……んふ~ぅ。んんっ」

「イイ! イイよ! 亮、苦しくはないか?」

「だい、じょう……ぶ! まる、で……本当に、1つになった、みたい……嬉しっ――いん!」

 重なり合った肌は体温を共有し、心臓の音も共鳴して同じ様に鳴りだしているようだった。
 樹のモノが挿入されたナカではもう一つ心臓があるかのようにドクドクと熱く脈打ち、頭の中まで響いていく……。

「亮のナカ、熱くて――もう、もう……たまらないっ!」

「あぁっ――んっ! あつっっっい! イイ! なんか……なんか……。おかひくなっひゃうっ」

「そろそろ……そろそろイク。イキそう……だ。あっ、あっ、あっ……あぁ!」

「ああ、イク……! 僕、も――イッひゃう! らメ、らメ、……イクーゥ‼」

 絶頂を迎えて叫びながら共に果て、樹も亮もバタリとベットに沈んだ。
 横になっても手を握り合い、天井を見上げて二人してボーっとしていた。
 コツンと頭を寄せ、一時の幸せを感じながら……。

「もうすぐ……時間だね」

 暫くしてハァハァと荒ぶる息が整いだしてくると亮が口を開いた。

「あぁ……」

 心地良い疲れから気怠さはあるものの、心からの充足感を得てフフッと笑い合う。

「初めてが……樹で良かった。初めてを誰にも奪われずに今まで生きてこれて……良かった」

「うん……。俺も死ぬ前に亮と繋がれて……思いを遂げられて幸せだよ」

 樹はそういうと亮にチュッと軽くキスをした。

「えへへ……! 僕も幸せ」

「この幸せを胸に抱けば百人力! 俺もまだまだ頑張れるっ!」

「だっ! ダメだよ! 僕より先に死んだら許さないからねっ!」
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