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【32】戯れ合い

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 ベッドに腰かけた二人は互いに手を取り合い、見つめ合う。
 ゆっくりと唇を重ねると手を背中にまわし……。
 絡められた舌は縁をなぞってイイトコロを探り合い、探られ合い――。

「いひゅ――ひっ……。あっ……ぅんん……」

「りょ――りょぅふっ……。んあ、んいっ……いい……」

 柔らかな舌は蕩けるように互いの体温に唾液を潤滑油にして馴染んでいく。
 キスの最中も息継ぎの為に時折り離れては重なりの繰り返しで……。

「んっ、好き――――しゅーきぃ!」

「俺も――俺も好き……。すひぃ―」

 抱き締め合った腕からは独占したいという欲が溢れてギュッと力がはいる。
 萌えだした情熱は少し攻撃性を帯びて樹は唇をハムハムと甘噛みをした。

「あふっ! ――んんっ」

「美味しそうで思わず――食べちゃった」

 意地悪そうにクスッと笑う樹の表情かおに亮の鼓動が早くなる。
 首筋やわき腹といった柔らかい場所を的確に選んで甘噛みし、荒くなった呼吸の吐き出した息は亮の肌を泳いでいく。
 息がうねるようにして肌に触れるとブルリとそのくすぐったさから体が震え――。

「食べ――ちゃ……。あっ……あっ……あぁ」

「こんなに美味しそうな亮が悪い」

「んっ……もうっ!」

 期待とともに膨らむ下腹部は二人の気持ちをアゲていく……。
 亮は樹の服の胸元に手をかけて見つめ――。

「見せて――見たい」

 その言葉に樹はしばし動きが止まって考えるが――。

「――う、うん……」

 若干力の入った返事をすると樹は少し体を強張らせ、緊張した面持ちになっていた。
 隠したかった自分の秘密――触れられたくない程のけがれの痕跡。
 だがそれを見たいと望む亮の気持ちに負けて……。
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