【R18】氷の世界で君への愛が生きる全てなのだと…

【28】吐露

「違っ！　俺はっ！　俺はっ――ただ……ただ亮に……」

　顔を曇らせて震える樹を見て亮はハッとし、包み込むように優しく抱きしめた。

「昨日も言ったよね？　僕はもう大人だからって……。だから大丈夫だよ。大丈夫。僕だって柔じゃないから、何を聞いても受け止めれるから……だから話して。何があったか……ねっ？」

　その温かな口ぶりと伝わってくる体温を感じ、樹はガクリと膝から崩れ落ちて観念した。
　今の今まで耐えていたのが何かプツリと切れたのを感じて……。

「あっ……あっ……あぅうう……ごめん。どうしても……どうしても俺は亮を守りたかった。もういいと言われたって……。それが生きる理由だったから……」

「……うん」

「クズの集まりみたいなこの軍内で、特に下っ端の集まりの中なんて俺たちは特に何をされるか……」

「そうだね……。僕も食料を取り上げられたりとか、殴られたりとか――虐めを受けた。でも最近は少し減って――っ！　まさかっ！」

「あぁ……。俺がお前と特別な仲であることは入ってすぐ周知されていただろう？　だからそれに……俺が士官クラスのやつと懇意になって――それが下っ端連中に知られればと……な」

「それでミラー少尉、と？」

「そう……。士官クラスのやつのお気に入りとなれば、下手に手を出すやつはいなくなるだろう？　大きな被害ぐらいは防げると思ったんだ」

　その言葉を聞いて亮は納得したが……。
　それでも樹の自己犠牲の上に自分がいまだに守られているということに悲しみを覚えた。

「確かに……。でも――」

「傷付くのは俺だけでいい……。俺だけでいいんだ」

「僕は嫌だねっ！　もう嫌だ！」