【R18】氷の世界で君への愛が生きる全てなのだと…

【19】始まりの鐘

　息苦しさから反射的に出た涙が頬を伝って落ちていく。
　だがそんな様を見てもミラーは気にもせずにズンズンと腰を振るだけ。

「苦しいか？　お前が、サッサと、素直に口を、開かないから、こんな目に、あうんだからな！　ただでさえ、見た目でも分かる、ほどに、日本人の血を、継いでいて、嫌厭されている、立場なんだから……なっ！」

「……グッ、グァ……んガ、アァ……んエッ」

　口いっぱいに咥えさせられたミラーの暴君に喉の奥まで犯され、何度も迫ってくるその圧に樹は嘔吐えずきが止まらない。
　吐くものなんか胃に殆どなかったので大惨事にならなかったのは幸いしたが、口端にあるわずかな隙間からは唾液が溢れてボタボタと床に垂れ流れてゆく。

「こうやって、使ってやって、いる私に、対してぐらいは、もっと……忠実に、なっても、いいぐらい、だがねぇ――フッ、んんっ！」

　失神しない様にと精神力でギリギリ耐えている樹には、途中何度も顎が外れんばかりに乱暴に動くミラーのモノに歯を当ててしまって不興をかってしまいやしないかと考える余裕なんてもうない。

「そらっ！　イクぞ！！　受け取れ！」

　グラグラとした意識の中で打ち出された自分勝手な白弾は鼻の方にまで入り、その痛さで樹の精神は若干の安定を取り戻す。
　一区切りついた暴君はズルリと抜き出され、樹の体は自然とゲホゲホとむせて呼吸の自由を取り戻そうとした。

「もう終わりみたいな空気を出すんじゃない……。こ・れ・か・ら・だぞ？」

「は……ひぃ…………」

　何度咳をしても取れない鼻と喉奥に残る不快感から疲労が蓄積され、息はゼーゼーと荒いまま。
　今の樹は頭もボーっとしてまともに会話なんてできず――これを狙っていたのかもしれない。