【R18】氷の世界で君への愛が生きる全てなのだと…

【７】告白

　樹が勢いよく立ち上がったことで椅子の音がガタリと鳴り、ビクッとして亮は顔をあげる。

「いつ――っ！」

　亮の顎をクイっと持ち上げ、ぶつかるように荒々しく樹は唇を奪った。
　息をすることさえも禁じられた唇が解放されたのは数秒後。
　その時には驚きすぎて涙も止まっていた。

「プハッ！　なっ……何を」

　それが暫く後にやっと出てきた言葉。

「泣くんじゃねぇ！　いいか？　俺が大丈夫って言ったら大丈夫なんだよ！」

「でも……」

「あぁー！　もうっ！　何で伝わらねぇんだ！」

「僕のことを弟分として大事にしてくれるのは分かるし、こんな見た目だから心配なのも分かるけど……」

　幼く中性的な顔立ちにふわりとした黒髪。
　儚げな印象がする線の細い体はいつまでも大人になりきれず……亮にはコンプレックスでもあったのだ。

「違うっ！」

　樹が発した強い否定の言葉にポカンとした。

「俺にとってはお前は特別なんだ。……好き、なんだよ」

　顔を真っ赤にしながらも、自分に向かってまっすぐ目を見て発せられたストレートな言葉に亮は目をしばたかせる。

「弟だとか仲間だとかそういうんじゃない。特別の『好き』なんだ……。だから……だから……」

　亮にとっては初めて見せてくれた隙だらけの樹の顔に思わず頬が緩んだ。

「なんだよ……それ」

　亮にとってはいつも自分を守ってくれ、仲間内でもリーダーとして引っ張ってきてくれた頼れる兄貴分だと思っていたのに――。
　そう思い込もうとしていたのに……と。

「いつまでもガキ扱いで対等になんて見てくれず、それの理由が『特別』だからって……」

「仕方ねぇだろ…………可愛いんだから」

　最後にボソリと告げられた『可愛い』の言葉に、何とも複雑な気持ちになる亮であった。