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第1章 ようやく始まった俺の冒険
9.聞き込み開始
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「い、てててててててて………。」
俺はもうすっかりと動いていた街の喧騒に起こされ、頭痛と共に目を覚ました。
その日はこの世界に来て初めて昼近くまで寝てしまっていて、、てててててててて………。」
俺はもうすっかりと動いていた街の喧騒に起こされ、頭痛と共に目を覚ました。
その日はこの世界に来て初めて昼近くまで寝てしまっていて、窓の外に見える人々は既に働いていた。
「昨晩はちょっと飲み過ぎてしまったな……。二日酔いなんて初めてだ……。」
昨日はあの店の常連の男2人と盛り上がり、酒場で夜遅くまで飲んで語った後は一緒に裏通りへと向かってフラフラと歩きながら、所謂“大人の店”へ行こうと陽気に誘われた。
誘われた瞬間、その“大人の店”という言葉に俺は驚きや気恥ずかしさから頭が真っ白になり、一気に酔いが覚めて顔を真っ赤にしながら「ごめんなさいっ!」と口走りながらその場から逃げ帰ってしまっていた。
「若い俺に良かれと思って誘ってくれたんだろうな…、ちょっと悪い事をしてしまったな……。でも初めてがお店でなんて……。やっぱり好きな人と……。」
そんな事を思いながら頭を抱えて俯いていると、体を起こしたせいで少し吐き気がしてきた。
「うぷ…………。もう二度とあんなに飲まないように気をつけよう……。」
俺が気分が悪そうにしていたのを心配してか、パウロが「どうしたの?」という顔をして部屋の端の方から近付いてきた。
「あぁ、パウロ……。起きるのが遅くなってごめん。待たせたね。早く朝ご飯にしよう………なっ!?」
俺の顔を見上げようとしてか、膝の上へと飛び乗ったパウロを見ると何かを咥えていた。
何か……ではなく、それは既に息絶えた丸いボールの様な形をした鼠だった。
「ね、鼠!?」
俺はギョッとしてパウロを撫でようとしていた手を上へと思わず上げてしまった。
「ど、どうしたの? それ……。」
パウロは嬉しそうに「ニィ!」と鳴くと、その鼠を俺へと鼻先で押してグイグイと差し出した。
いつまで経っても起きない俺が気分が悪そうにしていたのを見て、お見舞いのつもりで捕まえてきたのだろうか………。
「そういえばここ、かなり古そうだしな……。鼠があっちこっちに巣食っていてもおかしくない感じだし……。」
部屋の中をくまなく見てみると、天上や壁の隅に穴が開いているのを見つけた。
穴の大きさからしてパウロの入れる大きさでもないので、夜中に俺が寝静まってから出てきた所を捕まえたのだろうか。
寝起き早々から驚きはしたが、俺の為にと捕ってきてくれたことと、一人で狩りができたという成長の証ということもあり、褒めなければと思った。
「狩りができたって事は大人への一歩って事で喜ばしい事だもんな…。パウロ、よくできたね。偉いぞ。でも、俺は鼠を食べないから捕ってこなくても大丈夫だからな。」
若干引きつっていたかもしれないが、俺は笑顔でパウロを何度も撫でながら褒めた。
自分が差し出した鼠を俺が食べない事が解らないのか首を傾げていたが、暫くすると理解した様で撫でていた俺の手にスリスリしてきた。
俺はひとまずこの鼠を片付け、顔を洗って身支度を整えようと思い、1階の受付カウンターに居るはずの店主の許へと鼠を持って降りた。
「あ、あの~。うちの猫が鼠を捕ってきまして……。処分したいんですけどどうすれば………。」
「あ? なんだって?」
店主のおじいさんは老眼鏡をかけ直し、目の前に差し出した手の指二本に摘ままれた尻尾の先にいる鼠を見るとフンっと鼻を鳴らした。
「なんだ…、バウンドラットじゃないか……。また出てきやがったのか……。こいつはちょっと触れちまうとボールみたいにあっちこっちに飛び跳ねだして、周りにあるものを全部壊しちまうから嫌いなんだよ………。で、…それが何処に居たって?」
「部屋の中に居たようなんです……けど………。」
俺がおずおずとおじいさんの迫力に引きながら答えると、おじいさんは渋い顔をしていた。
「部屋の中だって? 全く面倒な………。あぁ、その鼠はこの中にでも入れておいてくれ。」
おじいさんはカウンターの中から少し大きめの麻袋を出して言った。
俺は鼠を麻袋の中に入れると、受付の横にある部屋で作業をしていたこの宿の従業員に頼んでお湯を入れた洗面器を貰って部屋へと帰った。
あのおじいさんはちょっと苦手だなと思いながら顔を洗い、服を着替えて身支度を整えると宿の外に出た。
時間的には昼食だが遅めの朝食となり、今日は量もそんなに欲しくなかったので、聞き込みがてら大通りに並ぶ屋台で軽く済ませた。
ずらっと並ぶ屋台には様々なお店があり、食べ物だけではなく生活用品や民芸品、雑貨や武器を扱っているお店まであった。
そんな多種多様にたくさんあるお店の殆どでは、噂好きでお喋りなオバちゃんやオジちゃんの店主とお客が世間話に花を咲かせていた。
どの世界でも共通のあるあるで、噂好きのオバちゃんは1を聞くと10にも100にもにして返すので話が長くなるばかりというだけで、かけた時間に対して得られる情報は微々たるものだった。
だが、ここはあちらこちらの地方を周って商売をしている行商人たちの集まる交易都市でもあるので、1人から得られるものが少しのことでも有益な情報ばかりだった。
「今まで実りの多かった地域で急激な不作とか、戦争によって死人がよく出る地域でもないのに不自然に発生する死霊系の魔物か…。これはちょっと怪しいかな……。」
集めた情報に「これはっ!」と言う物が無く、そのまま時間は過ぎ、このアシュワガンダに来て6日も経ってしまった…。
俺はもうすっかりと動いていた街の喧騒に起こされ、頭痛と共に目を覚ました。
その日はこの世界に来て初めて昼近くまで寝てしまっていて、、てててててててて………。」
俺はもうすっかりと動いていた街の喧騒に起こされ、頭痛と共に目を覚ました。
その日はこの世界に来て初めて昼近くまで寝てしまっていて、窓の外に見える人々は既に働いていた。
「昨晩はちょっと飲み過ぎてしまったな……。二日酔いなんて初めてだ……。」
昨日はあの店の常連の男2人と盛り上がり、酒場で夜遅くまで飲んで語った後は一緒に裏通りへと向かってフラフラと歩きながら、所謂“大人の店”へ行こうと陽気に誘われた。
誘われた瞬間、その“大人の店”という言葉に俺は驚きや気恥ずかしさから頭が真っ白になり、一気に酔いが覚めて顔を真っ赤にしながら「ごめんなさいっ!」と口走りながらその場から逃げ帰ってしまっていた。
「若い俺に良かれと思って誘ってくれたんだろうな…、ちょっと悪い事をしてしまったな……。でも初めてがお店でなんて……。やっぱり好きな人と……。」
そんな事を思いながら頭を抱えて俯いていると、体を起こしたせいで少し吐き気がしてきた。
「うぷ…………。もう二度とあんなに飲まないように気をつけよう……。」
俺が気分が悪そうにしていたのを心配してか、パウロが「どうしたの?」という顔をして部屋の端の方から近付いてきた。
「あぁ、パウロ……。起きるのが遅くなってごめん。待たせたね。早く朝ご飯にしよう………なっ!?」
俺の顔を見上げようとしてか、膝の上へと飛び乗ったパウロを見ると何かを咥えていた。
何か……ではなく、それは既に息絶えた丸いボールの様な形をした鼠だった。
「ね、鼠!?」
俺はギョッとしてパウロを撫でようとしていた手を上へと思わず上げてしまった。
「ど、どうしたの? それ……。」
パウロは嬉しそうに「ニィ!」と鳴くと、その鼠を俺へと鼻先で押してグイグイと差し出した。
いつまで経っても起きない俺が気分が悪そうにしていたのを見て、お見舞いのつもりで捕まえてきたのだろうか………。
「そういえばここ、かなり古そうだしな……。鼠があっちこっちに巣食っていてもおかしくない感じだし……。」
部屋の中をくまなく見てみると、天上や壁の隅に穴が開いているのを見つけた。
穴の大きさからしてパウロの入れる大きさでもないので、夜中に俺が寝静まってから出てきた所を捕まえたのだろうか。
寝起き早々から驚きはしたが、俺の為にと捕ってきてくれたことと、一人で狩りができたという成長の証ということもあり、褒めなければと思った。
「狩りができたって事は大人への一歩って事で喜ばしい事だもんな…。パウロ、よくできたね。偉いぞ。でも、俺は鼠を食べないから捕ってこなくても大丈夫だからな。」
若干引きつっていたかもしれないが、俺は笑顔でパウロを何度も撫でながら褒めた。
自分が差し出した鼠を俺が食べない事が解らないのか首を傾げていたが、暫くすると理解した様で撫でていた俺の手にスリスリしてきた。
俺はひとまずこの鼠を片付け、顔を洗って身支度を整えようと思い、1階の受付カウンターに居るはずの店主の許へと鼠を持って降りた。
「あ、あの~。うちの猫が鼠を捕ってきまして……。処分したいんですけどどうすれば………。」
「あ? なんだって?」
店主のおじいさんは老眼鏡をかけ直し、目の前に差し出した手の指二本に摘ままれた尻尾の先にいる鼠を見るとフンっと鼻を鳴らした。
「なんだ…、バウンドラットじゃないか……。また出てきやがったのか……。こいつはちょっと触れちまうとボールみたいにあっちこっちに飛び跳ねだして、周りにあるものを全部壊しちまうから嫌いなんだよ………。で、…それが何処に居たって?」
「部屋の中に居たようなんです……けど………。」
俺がおずおずとおじいさんの迫力に引きながら答えると、おじいさんは渋い顔をしていた。
「部屋の中だって? 全く面倒な………。あぁ、その鼠はこの中にでも入れておいてくれ。」
おじいさんはカウンターの中から少し大きめの麻袋を出して言った。
俺は鼠を麻袋の中に入れると、受付の横にある部屋で作業をしていたこの宿の従業員に頼んでお湯を入れた洗面器を貰って部屋へと帰った。
あのおじいさんはちょっと苦手だなと思いながら顔を洗い、服を着替えて身支度を整えると宿の外に出た。
時間的には昼食だが遅めの朝食となり、今日は量もそんなに欲しくなかったので、聞き込みがてら大通りに並ぶ屋台で軽く済ませた。
ずらっと並ぶ屋台には様々なお店があり、食べ物だけではなく生活用品や民芸品、雑貨や武器を扱っているお店まであった。
そんな多種多様にたくさんあるお店の殆どでは、噂好きでお喋りなオバちゃんやオジちゃんの店主とお客が世間話に花を咲かせていた。
どの世界でも共通のあるあるで、噂好きのオバちゃんは1を聞くと10にも100にもにして返すので話が長くなるばかりというだけで、かけた時間に対して得られる情報は微々たるものだった。
だが、ここはあちらこちらの地方を周って商売をしている行商人たちの集まる交易都市でもあるので、1人から得られるものが少しのことでも有益な情報ばかりだった。
「今まで実りの多かった地域で急激な不作とか、戦争によって死人がよく出る地域でもないのに不自然に発生する死霊系の魔物か…。これはちょっと怪しいかな……。」
集めた情報に「これはっ!」と言う物が無く、そのまま時間は過ぎ、このアシュワガンダに来て6日も経ってしまった…。
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