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第1章 ようやく始まった俺の冒険
5.酒場の夜
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避難所まで連れてきた気を失った村人が介抱されているのを見ていると村長がペコリとおじぎをし、俺に話しかけてきた。
「剣士様、逃げ遅れた村人を連れて来てくれてありがとうございます。ちょっと魔力を吸われてしまって気を失っている様ですが……。幸い怪我も無いし! なぁに、1日2日寝てればじきに回復して治ります。心配することはありません。」
それを聞いて命の危険はないと知り、安心した。
「しかし……、前まではどんなに小さなものでも丸1日経たないと嵐は収まらなかったのに、突然消えただなんて………変ですね。大地の魔力の流れに何か異変でもあったのでしょうか…?」
俺はギクリとしてその瞬間身を強張らせた。
まさか魔力渦が俺にぶつかったら一瞬で消えちゃっただなんて言えるはずも無く、怪しまれない様にと思い、咄嗟に「突然弱まって消えた。」と村人たちに話したものだからそれが逆に変な疑いを生んでしまい、村人全員の安全が確認されて場の空気が落ち着いてくると疑問を口にする者が出始めた。
「ま、まぁそういうことはたまにはあるって事じゃないか? 知らないだけで昔にだってあったことかもしれないし……。特におかしな所は無かったぞ!」
俺は怪しまれ始めた空気に焦り、その場を誤魔化して追求されないようにした。
「魔力渦が消えるのを目の当たりにしたというお客さんが、何も異変が無かったと言うなら問題が無いのかもしれませんが……。それにしても心配したんですからね。嵐から逃げるんじゃなくて嵐の方に突っ込んで行くんだなんて……お蔭で村人が一人助かったけど…、無茶をして。」
宿屋の娘が俺の事を本当に心配をしていたという表情で見てきた。
「ごめんなさい……。」
俺に向けられたその表情になんだか申し訳なくなり、思わず謝罪の言葉が出た。
そんな事があったから忘れてしまったのか、避難を促しに浴場に来た時に垣間見たはずの俺の黒髪は気にもされていない様であった。
もっとも、浴場は決して明るいとは言えない程少し薄暗く、俺も急いで風呂から上がり、服を着る時も外套のフードをすぐに被って明るい場所に出る前にサッと髪を隠したので見えなかっただけなのかもしれないが……、それならそれで安心できる。
「お客さん。嵐のせいで少し遅くなっちゃったけど、すぐに夕飯にするから少し待っててね。村人を助けてもくれたし、サービスするから楽しみにしててね。」
俺は何も聞かれない事と対応が変わらない事に安堵し、夕飯の為に宿屋の自分の部屋に戻る事にした。
暫くした後、夕飯が出来たという知らせのベルが鳴ったので下へと降り、宿屋の受付カウンターの前を通ってパウロと一緒に酒場へ向かった。
酒場はこの宿に泊まっている者だけじゃなく村の者らも集まり、ガヤガヤと賑わっていた。
「お客さん、お飲み物はどうします? ミードにシードルに…、それとワインがあるよ。」
俺が成人していると分かり切っているからなのか選択肢はお酒しか出されなかった。
お城で成人の儀式をした後、16歳の誕生日を祝って小さなパーティーを開いてくれた時に勧められて飲んだ経験はあり、飲めないわけではないが……、元居た世界の“お酒は20歳から”というルールの刷り込みがあったので、お酒を飲むことにまだ若干の罪悪感の様なものがあった。
「…いい加減、慣れなきゃな~。この世界に……。」
「ん? お客さん、何か言いました?」
「あ、いや……。シードルを貰おうかな。」
ここが酒場ということもあって、成人してるのにお酒を飲まないでいるとこの世界では変な目で見られるので、前回無理なく飲む事ができた弱いお酒を頼んだ。
「は~い。それじゃあ、ちょっと待っててね。」
ちょっと水で薄めて甘みが減ったリンゴジュースみたいな味で、アルコール度数も低いという事もあり、お酒初心者の俺には非常に飲みやすかった。
「まぁ、リンゴから作ったお酒だからそのまんまと言えばそのまんまなんだけど…。」
そんな事をひとり呟きながら夕食が運ばれてくるのを待っていた。
「はい! おまたせ~。」
そうして運ばれてきた待ちに待った夕食は温かで美味しそうであった。
「今日のメニューは、コカトリスのトマトシチューにマイコニドと豆のサラダ、それとフワフワの白パンだよ~。で、これがシードルで…、さっきのお礼にこの宿から1杯サービスするね。」
宿屋の娘はニコニコしながら運んできた料理を説明してくれた。
「このマイコニド、って……?」
「あぁ、近くの森でよく発生するんだ。あのキノコのでかいやつだよ…。大量に発生した時は、よく討伐に行った旅人の傭兵らがこの村に寄った時に持ってきてくれるんだけど……。数日前にそれで色んな人が持ってきてくれてさ、まだ大量にあるんだよ! 何? お客さん、マイコニドは嫌いなの?」
宿屋の娘は手で表現してどれぐらい大きいのかを教えてくれた。
「いや~、初めて食べるので…。」
「そうなの? 魔物だとは思えない程良い香りがして、私は美味しいから好きだよ。季節ものだから食べられる時期も限られるし今だけだよ。キノコが好きならオススメだ! ただ……、美味しいけど香りが少し強いから確かに苦手な人もたまにいるんだよね~。だから食べて無理だったら別の物に換えるから言ってね~。」
オススメされたキノコの魔物だというマイコニドと豆のサラダをまず食べてみた。
ちょっと癖のある香りが松茸の様で、味も舞茸や椎茸の様にしっかりしていて美味しかった。
「猫ちゃんにはこれね~。」
俺がキノコを味わっているとパウロのご飯も運ばれてきた。
「ニ~ィ。」
パウロは嬉しそうな声を上げるとお皿に盛られたローストコカトリスを美味しそうに骨まで味わっていた。
「この村に寄って良かったな…。」
こうして俺は満足してこの日を終えた。
「剣士様、逃げ遅れた村人を連れて来てくれてありがとうございます。ちょっと魔力を吸われてしまって気を失っている様ですが……。幸い怪我も無いし! なぁに、1日2日寝てればじきに回復して治ります。心配することはありません。」
それを聞いて命の危険はないと知り、安心した。
「しかし……、前まではどんなに小さなものでも丸1日経たないと嵐は収まらなかったのに、突然消えただなんて………変ですね。大地の魔力の流れに何か異変でもあったのでしょうか…?」
俺はギクリとしてその瞬間身を強張らせた。
まさか魔力渦が俺にぶつかったら一瞬で消えちゃっただなんて言えるはずも無く、怪しまれない様にと思い、咄嗟に「突然弱まって消えた。」と村人たちに話したものだからそれが逆に変な疑いを生んでしまい、村人全員の安全が確認されて場の空気が落ち着いてくると疑問を口にする者が出始めた。
「ま、まぁそういうことはたまにはあるって事じゃないか? 知らないだけで昔にだってあったことかもしれないし……。特におかしな所は無かったぞ!」
俺は怪しまれ始めた空気に焦り、その場を誤魔化して追求されないようにした。
「魔力渦が消えるのを目の当たりにしたというお客さんが、何も異変が無かったと言うなら問題が無いのかもしれませんが……。それにしても心配したんですからね。嵐から逃げるんじゃなくて嵐の方に突っ込んで行くんだなんて……お蔭で村人が一人助かったけど…、無茶をして。」
宿屋の娘が俺の事を本当に心配をしていたという表情で見てきた。
「ごめんなさい……。」
俺に向けられたその表情になんだか申し訳なくなり、思わず謝罪の言葉が出た。
そんな事があったから忘れてしまったのか、避難を促しに浴場に来た時に垣間見たはずの俺の黒髪は気にもされていない様であった。
もっとも、浴場は決して明るいとは言えない程少し薄暗く、俺も急いで風呂から上がり、服を着る時も外套のフードをすぐに被って明るい場所に出る前にサッと髪を隠したので見えなかっただけなのかもしれないが……、それならそれで安心できる。
「お客さん。嵐のせいで少し遅くなっちゃったけど、すぐに夕飯にするから少し待っててね。村人を助けてもくれたし、サービスするから楽しみにしててね。」
俺は何も聞かれない事と対応が変わらない事に安堵し、夕飯の為に宿屋の自分の部屋に戻る事にした。
暫くした後、夕飯が出来たという知らせのベルが鳴ったので下へと降り、宿屋の受付カウンターの前を通ってパウロと一緒に酒場へ向かった。
酒場はこの宿に泊まっている者だけじゃなく村の者らも集まり、ガヤガヤと賑わっていた。
「お客さん、お飲み物はどうします? ミードにシードルに…、それとワインがあるよ。」
俺が成人していると分かり切っているからなのか選択肢はお酒しか出されなかった。
お城で成人の儀式をした後、16歳の誕生日を祝って小さなパーティーを開いてくれた時に勧められて飲んだ経験はあり、飲めないわけではないが……、元居た世界の“お酒は20歳から”というルールの刷り込みがあったので、お酒を飲むことにまだ若干の罪悪感の様なものがあった。
「…いい加減、慣れなきゃな~。この世界に……。」
「ん? お客さん、何か言いました?」
「あ、いや……。シードルを貰おうかな。」
ここが酒場ということもあって、成人してるのにお酒を飲まないでいるとこの世界では変な目で見られるので、前回無理なく飲む事ができた弱いお酒を頼んだ。
「は~い。それじゃあ、ちょっと待っててね。」
ちょっと水で薄めて甘みが減ったリンゴジュースみたいな味で、アルコール度数も低いという事もあり、お酒初心者の俺には非常に飲みやすかった。
「まぁ、リンゴから作ったお酒だからそのまんまと言えばそのまんまなんだけど…。」
そんな事をひとり呟きながら夕食が運ばれてくるのを待っていた。
「はい! おまたせ~。」
そうして運ばれてきた待ちに待った夕食は温かで美味しそうであった。
「今日のメニューは、コカトリスのトマトシチューにマイコニドと豆のサラダ、それとフワフワの白パンだよ~。で、これがシードルで…、さっきのお礼にこの宿から1杯サービスするね。」
宿屋の娘はニコニコしながら運んできた料理を説明してくれた。
「このマイコニド、って……?」
「あぁ、近くの森でよく発生するんだ。あのキノコのでかいやつだよ…。大量に発生した時は、よく討伐に行った旅人の傭兵らがこの村に寄った時に持ってきてくれるんだけど……。数日前にそれで色んな人が持ってきてくれてさ、まだ大量にあるんだよ! 何? お客さん、マイコニドは嫌いなの?」
宿屋の娘は手で表現してどれぐらい大きいのかを教えてくれた。
「いや~、初めて食べるので…。」
「そうなの? 魔物だとは思えない程良い香りがして、私は美味しいから好きだよ。季節ものだから食べられる時期も限られるし今だけだよ。キノコが好きならオススメだ! ただ……、美味しいけど香りが少し強いから確かに苦手な人もたまにいるんだよね~。だから食べて無理だったら別の物に換えるから言ってね~。」
オススメされたキノコの魔物だというマイコニドと豆のサラダをまず食べてみた。
ちょっと癖のある香りが松茸の様で、味も舞茸や椎茸の様にしっかりしていて美味しかった。
「猫ちゃんにはこれね~。」
俺がキノコを味わっているとパウロのご飯も運ばれてきた。
「ニ~ィ。」
パウロは嬉しそうな声を上げるとお皿に盛られたローストコカトリスを美味しそうに骨まで味わっていた。
「この村に寄って良かったな…。」
こうして俺は満足してこの日を終えた。
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