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オムライス
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あれはまだ僕が小学生だった頃の話――。
夏休みも終盤が近付いてくると僕は毎年、祖父母の家へと泊りがけで遊びに行っていた。
一週間ぐらい過ごすとちょうど両親共に盆休みとなる頃合いで、こちらに来てから更に二~三日過ごした後に一緒に帰る。
小学生になって一人で祖父母の家へと泊まれるようになった時から毎年この繰り返し。
普段自分が暮らしている家はスーパーも歩いて行ける距離にあるしコンビニだって徒歩十分の場所にあるそこそこ街中といった感じ。
それとは祖父母の家は対称的な雰囲気をもっており、田舎というほど寂れているわけでもないが少し静かなところだった。
僕が小学生の頃だから祖父母だってまだまだ若く、家ではできないことをしていっぱい遊んでもらったのを覚えている。
海まで行って釣りをしたり、地域のお祭りに参加をしたり、朝市に行って美味しいものを食べたりだってした。
そんな小学生時代の思い出の中で一番印象的だったのは……やっぱり「オムライス」だ。
両親が共働きで家族そろっての食事をすることは稀ではあったがいつも母は美味しいご飯を作ってくれていた。
毎日毎日、食の細い僕を心配してか大好物の物ばかりを作ってくれて……。
いわゆる世間一般の人が想像する子供の好物である洋食ばかりが食卓に並び、あの頃はなんとなく和食は苦手だったっけ。
食べ慣れていなかったてのもある。
でも実は母が和食を作るのが苦手だったらしいって知ったのはもっと大きくなってからの事。
それとは逆に祖母は和食は作れども洋食を作るのは苦手らしく、苦手な中を僕が来れば一生懸命に美味しいごはんを作ってくれてた。
「は~い。できたわよ~! 今日はハンバーグね~。」
と言って祖母に出されたのは、割れて少しボロボロに崩れたのをケチャップで隠したハンバーグ。
チラリと横を見れば、祖父母が食べる分は更にボロボロと散らばって崩れ切った肉の残骸の様な――およそハンバーグとは言えない物体。
僕には一番キレイにできたやつを出してくれたのだなとそこから気付いた。
味は……母ほどではなかったが、僕の好物を一生懸命に作ってくれた思いが嬉しかった。
そんなある日、僕はおやつのスイカを食べながら祖母となにげなく談笑していた。
話題は祖父との初デートの思い出だ。
「あの時お爺ちゃんはね~、巷で話題だった洋食屋さんに連れて行ってくれて……フフッ。今となってみればそれ程かしこまったお店でもなかったんだけどね。お爺ちゃんはスーツに蝶ネクタイを締めて来て……初デートってことで緊張してたのね~。」
楽しそうに目の端にシワを作り、顔をほころばせて笑いながら祖母は話をしてくれた。
まだまだ社会人になりたての中で祖母にちょっと良い所を見せようとしたと思われる若い頃の祖父は、背伸びをしてみたんだろう。
初デートの場所に話題のレストランを選び、精一杯のオシャレをして……。
「その時初めて食べた洋食が確か――オムライスだったわね。懐かしいわ~。」
「オムライス! 僕の大好物だぁ!」
「あら~。そうなの?」
「うんっ!」
「じゃあ今夜は、オムライスにしてみようかしらねぇ……。」
そう言って目の前に座っていた祖母は立ち上がり、キッチンへと向かった。
「オムライスの材料には何がいるんだったかしらねぇ……。」
小学生の幼い僕は分からないと言う祖母に教えたい欲求に駆られ、祖母を追うようにしてキッチンへ行った。
「卵でしょ~。それに鶏肉に玉葱に……お母さんが作るのはグリンピースと~、ニンジンが入ってたよ~! それでね~、ケチャップいっぱいなの~♪」
得意げに話す僕を見て少し驚いていた様子の祖母だったが、僕のところに来て頭を撫でてくれた。
「よく知ってるわね~ぇ。」
「うんっ! だって僕、お手伝いする事だってあるもん!」
ニッと笑って答える僕に、良い子良い子と更に頭を撫でた。
祖母は冷蔵庫を開け、指さし確認をして僕が言った材料がある事を確認すると「ウン」と頷いて閉めた。
「材料はちょうどあるし――お婆ちゃん、初めて作るけど頑張るわね!」
「あっ……! 卵はいっぱいある? 僕ね~卵を三つ使ったフワフワなのが好きなんだ~♪」
「三つ!? それじゃあ……ちょっと足らないわねぇ。ちょっと買い物に行ってくるわね。」
「は~い!」
祖母はパタパタと急いで自室へと行き、麦わら帽子を手に取ると「ちょっとお留守番よろしくね」と言って出かけていった。
ここからならスーパーまでは歩いて――二十分。
一時間もすれば帰ってくるだろうと、僕は居間の畳の上にゴロンと横になって昼寝を始めた。
「ただいま~。」
ガラリと戸の開く音が聞こえ、祖母が帰ってきた。
「ちょっとご近所さんと立ち話をしちゃって……すっかりと遅くなっちゃったわ。ごめんね~。」
「おかえり~、お婆ちゃん。」
「あら、寝てたの? 起こしちゃったかしら。晩御飯ができるまで寝てても良いのよ~?」
「ううん。もう起きる所だったから。僕も手伝う~!」
眠い目をこすりながら大きくアクビをし、大好物のオムライスの為にと起き上がった。
「じゃあ、お婆ちゃんは初めて作るから……教えてもらおうかしら?」
「いいよ~♪」
ニコニコとした満面の笑顔を向けて答える僕を見て、祖母はニコッと笑って返してくれた。
それがなんだかとっても嬉しくなり、僕がお婆ちゃんの『先生』になるんだと張り切って鼻息荒く作り方の説明を始めるのだった。
まるで学校の先生のようにちょっと偉そうな感じの口調で。
それが面白かったらしく、祖母はオムライスを作ってる間始終フフフフッと笑っていたっけ。
材料を切って炒めて――工程は順調に進み、最後の卵の段階へとなった。
「こ、こうかしら? ほっ……はっ……よっ、と!」
「――っ! あぁ~。」
「破け……ちゃったね。」
半熟のオムレツでチキンライスをうまく包めず、失敗して破けてしまった。
祖母はちょっぴり落ち込む僕に向かってペロリと舌先を出し、悪戯っぽくそれを笑って誤魔化すのだった。
「これはお婆ちゃんのにして……もう一度! 次は成功するわよっ!」
そう言ってやるがまたもや破れ……最後の一回でようやくそれなりとなった。
「最後に成功して良かったわ♪ さぁ、食べましょ。」
ちょうど夕飯時となった食卓には祖父が座って待ち構え、一番キレイにできたオムライスは僕の前へと置かれた。
「いただきます!」
「おっ、今夜はオムライスか~♪ 懐かしい……。」
「フフッ……♪」
祖父の「懐かしい」という言葉に、祖母と僕は顔を見合わせて笑い合う。
すると祖父は、なんだなんだと首を傾げた。
「「ないしょ~♪ ねっ?」」
夏休みも終盤が近付いてくると僕は毎年、祖父母の家へと泊りがけで遊びに行っていた。
一週間ぐらい過ごすとちょうど両親共に盆休みとなる頃合いで、こちらに来てから更に二~三日過ごした後に一緒に帰る。
小学生になって一人で祖父母の家へと泊まれるようになった時から毎年この繰り返し。
普段自分が暮らしている家はスーパーも歩いて行ける距離にあるしコンビニだって徒歩十分の場所にあるそこそこ街中といった感じ。
それとは祖父母の家は対称的な雰囲気をもっており、田舎というほど寂れているわけでもないが少し静かなところだった。
僕が小学生の頃だから祖父母だってまだまだ若く、家ではできないことをしていっぱい遊んでもらったのを覚えている。
海まで行って釣りをしたり、地域のお祭りに参加をしたり、朝市に行って美味しいものを食べたりだってした。
そんな小学生時代の思い出の中で一番印象的だったのは……やっぱり「オムライス」だ。
両親が共働きで家族そろっての食事をすることは稀ではあったがいつも母は美味しいご飯を作ってくれていた。
毎日毎日、食の細い僕を心配してか大好物の物ばかりを作ってくれて……。
いわゆる世間一般の人が想像する子供の好物である洋食ばかりが食卓に並び、あの頃はなんとなく和食は苦手だったっけ。
食べ慣れていなかったてのもある。
でも実は母が和食を作るのが苦手だったらしいって知ったのはもっと大きくなってからの事。
それとは逆に祖母は和食は作れども洋食を作るのは苦手らしく、苦手な中を僕が来れば一生懸命に美味しいごはんを作ってくれてた。
「は~い。できたわよ~! 今日はハンバーグね~。」
と言って祖母に出されたのは、割れて少しボロボロに崩れたのをケチャップで隠したハンバーグ。
チラリと横を見れば、祖父母が食べる分は更にボロボロと散らばって崩れ切った肉の残骸の様な――およそハンバーグとは言えない物体。
僕には一番キレイにできたやつを出してくれたのだなとそこから気付いた。
味は……母ほどではなかったが、僕の好物を一生懸命に作ってくれた思いが嬉しかった。
そんなある日、僕はおやつのスイカを食べながら祖母となにげなく談笑していた。
話題は祖父との初デートの思い出だ。
「あの時お爺ちゃんはね~、巷で話題だった洋食屋さんに連れて行ってくれて……フフッ。今となってみればそれ程かしこまったお店でもなかったんだけどね。お爺ちゃんはスーツに蝶ネクタイを締めて来て……初デートってことで緊張してたのね~。」
楽しそうに目の端にシワを作り、顔をほころばせて笑いながら祖母は話をしてくれた。
まだまだ社会人になりたての中で祖母にちょっと良い所を見せようとしたと思われる若い頃の祖父は、背伸びをしてみたんだろう。
初デートの場所に話題のレストランを選び、精一杯のオシャレをして……。
「その時初めて食べた洋食が確か――オムライスだったわね。懐かしいわ~。」
「オムライス! 僕の大好物だぁ!」
「あら~。そうなの?」
「うんっ!」
「じゃあ今夜は、オムライスにしてみようかしらねぇ……。」
そう言って目の前に座っていた祖母は立ち上がり、キッチンへと向かった。
「オムライスの材料には何がいるんだったかしらねぇ……。」
小学生の幼い僕は分からないと言う祖母に教えたい欲求に駆られ、祖母を追うようにしてキッチンへ行った。
「卵でしょ~。それに鶏肉に玉葱に……お母さんが作るのはグリンピースと~、ニンジンが入ってたよ~! それでね~、ケチャップいっぱいなの~♪」
得意げに話す僕を見て少し驚いていた様子の祖母だったが、僕のところに来て頭を撫でてくれた。
「よく知ってるわね~ぇ。」
「うんっ! だって僕、お手伝いする事だってあるもん!」
ニッと笑って答える僕に、良い子良い子と更に頭を撫でた。
祖母は冷蔵庫を開け、指さし確認をして僕が言った材料がある事を確認すると「ウン」と頷いて閉めた。
「材料はちょうどあるし――お婆ちゃん、初めて作るけど頑張るわね!」
「あっ……! 卵はいっぱいある? 僕ね~卵を三つ使ったフワフワなのが好きなんだ~♪」
「三つ!? それじゃあ……ちょっと足らないわねぇ。ちょっと買い物に行ってくるわね。」
「は~い!」
祖母はパタパタと急いで自室へと行き、麦わら帽子を手に取ると「ちょっとお留守番よろしくね」と言って出かけていった。
ここからならスーパーまでは歩いて――二十分。
一時間もすれば帰ってくるだろうと、僕は居間の畳の上にゴロンと横になって昼寝を始めた。
「ただいま~。」
ガラリと戸の開く音が聞こえ、祖母が帰ってきた。
「ちょっとご近所さんと立ち話をしちゃって……すっかりと遅くなっちゃったわ。ごめんね~。」
「おかえり~、お婆ちゃん。」
「あら、寝てたの? 起こしちゃったかしら。晩御飯ができるまで寝てても良いのよ~?」
「ううん。もう起きる所だったから。僕も手伝う~!」
眠い目をこすりながら大きくアクビをし、大好物のオムライスの為にと起き上がった。
「じゃあ、お婆ちゃんは初めて作るから……教えてもらおうかしら?」
「いいよ~♪」
ニコニコとした満面の笑顔を向けて答える僕を見て、祖母はニコッと笑って返してくれた。
それがなんだかとっても嬉しくなり、僕がお婆ちゃんの『先生』になるんだと張り切って鼻息荒く作り方の説明を始めるのだった。
まるで学校の先生のようにちょっと偉そうな感じの口調で。
それが面白かったらしく、祖母はオムライスを作ってる間始終フフフフッと笑っていたっけ。
材料を切って炒めて――工程は順調に進み、最後の卵の段階へとなった。
「こ、こうかしら? ほっ……はっ……よっ、と!」
「――っ! あぁ~。」
「破け……ちゃったね。」
半熟のオムレツでチキンライスをうまく包めず、失敗して破けてしまった。
祖母はちょっぴり落ち込む僕に向かってペロリと舌先を出し、悪戯っぽくそれを笑って誤魔化すのだった。
「これはお婆ちゃんのにして……もう一度! 次は成功するわよっ!」
そう言ってやるがまたもや破れ……最後の一回でようやくそれなりとなった。
「最後に成功して良かったわ♪ さぁ、食べましょ。」
ちょうど夕飯時となった食卓には祖父が座って待ち構え、一番キレイにできたオムライスは僕の前へと置かれた。
「いただきます!」
「おっ、今夜はオムライスか~♪ 懐かしい……。」
「フフッ……♪」
祖父の「懐かしい」という言葉に、祖母と僕は顔を見合わせて笑い合う。
すると祖父は、なんだなんだと首を傾げた。
「「ないしょ~♪ ねっ?」」
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