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第25話 選ぶべきもの
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「あっ! そろそろ私は……。部屋で寝ている友人に朝食を持って行かなきゃならないので」
そう言って朝食を終えていたユリシーズが席を立ったのを見て、ステラも続けて立った。
「ご、ごめんなさい。お食事が終わった後も長らく話をして引き止めてしまってたみたいで……」
ハンナも立ち上がろうとしたが、赤ん坊を抱いていたからかユリシーズにも制止され……。
「ハハッ。お気になさらず。この街に来るまでが長旅でしたので、友人もそのせいで疲れが出ちゃっただけでしょうし。たいしたことはありませんから」
ステラは頭をぺこりと下げ、楽しいからとつい相手の都合を疎かにして長話をしてしまったことを申し訳なく思い、謝罪したのだがユリシーズはそれにただ笑顔で優しく返すのだった。
その柔らかな応対にステラも感化され、上品に言葉を添えるのだった。
「どうぞ、その方にお大事にとお伝えくださいませね」
「ありがとうございます。出発の予定は3日後なので……その時にまた、お会いしましょう」
「えぇ。分かりましたわ。本当にありがとうございます!」
お礼を告げてから二階へ上っていくユリシーズの背中を見送った。
そしてステラは再び席についたが心は夢の中を漂っているようで、内に溜まった熱を吐き出さんと溜め息がハァ~と漏れていた。
「いい方……でしたわね」
「えぇ……」
ハンナが話しかけてもウットリとした目で何もない空を見上げ、話を聞いているんだか聞いていないんだか。
「ステラ。ダメですよ」
「――何よ」
「今の私たちは――」
そこまで言うとハンナは口をステラの耳にそっと近付け、周りに聞こえないようにヒソヒソ声でその後の言葉を続ける。
「私たちは追放の身。ステラ様に至っては庶民ですらなく……ましてや赤ん坊もいるのですからね」
夢見心地だったステラはそこでハッとする。
「それに――あの方の振る舞いからしてもどう見ても貴族、またはその縁者でしょう? であれば、今のステラ様とは――」
「そ……そうでしょうけどぉ」
喜びで薄っすらと染まっていた頬は消えて寂しそうな顔になり、ガッカリとしたステラはうな垂れてブツブツと。
「分かってる。分かってるけど……」
「優しくされたからと言っても……。私はステラ様に――娘にこれ以上は傷付いてほしくはなのです」
「うん……そうよね。母さんは私のことが心配なのよね。分かってる」
バッと両手で顔を隠して深呼吸をして気持ちを落ち着けると、ステラは赤ん坊のほっぺを確かめるように撫でるとその手の指を反射的に握られた。
弱々しくも掴まれた小さなその手から自分は頼りにされたのだと感じ、ギュッと心をも掴まれて決めた。
「まずは私たち、家族3人で幸せになることを考えなければね!」
そう言って朝食を終えていたユリシーズが席を立ったのを見て、ステラも続けて立った。
「ご、ごめんなさい。お食事が終わった後も長らく話をして引き止めてしまってたみたいで……」
ハンナも立ち上がろうとしたが、赤ん坊を抱いていたからかユリシーズにも制止され……。
「ハハッ。お気になさらず。この街に来るまでが長旅でしたので、友人もそのせいで疲れが出ちゃっただけでしょうし。たいしたことはありませんから」
ステラは頭をぺこりと下げ、楽しいからとつい相手の都合を疎かにして長話をしてしまったことを申し訳なく思い、謝罪したのだがユリシーズはそれにただ笑顔で優しく返すのだった。
その柔らかな応対にステラも感化され、上品に言葉を添えるのだった。
「どうぞ、その方にお大事にとお伝えくださいませね」
「ありがとうございます。出発の予定は3日後なので……その時にまた、お会いしましょう」
「えぇ。分かりましたわ。本当にありがとうございます!」
お礼を告げてから二階へ上っていくユリシーズの背中を見送った。
そしてステラは再び席についたが心は夢の中を漂っているようで、内に溜まった熱を吐き出さんと溜め息がハァ~と漏れていた。
「いい方……でしたわね」
「えぇ……」
ハンナが話しかけてもウットリとした目で何もない空を見上げ、話を聞いているんだか聞いていないんだか。
「ステラ。ダメですよ」
「――何よ」
「今の私たちは――」
そこまで言うとハンナは口をステラの耳にそっと近付け、周りに聞こえないようにヒソヒソ声でその後の言葉を続ける。
「私たちは追放の身。ステラ様に至っては庶民ですらなく……ましてや赤ん坊もいるのですからね」
夢見心地だったステラはそこでハッとする。
「それに――あの方の振る舞いからしてもどう見ても貴族、またはその縁者でしょう? であれば、今のステラ様とは――」
「そ……そうでしょうけどぉ」
喜びで薄っすらと染まっていた頬は消えて寂しそうな顔になり、ガッカリとしたステラはうな垂れてブツブツと。
「分かってる。分かってるけど……」
「優しくされたからと言っても……。私はステラ様に――娘にこれ以上は傷付いてほしくはなのです」
「うん……そうよね。母さんは私のことが心配なのよね。分かってる」
バッと両手で顔を隠して深呼吸をして気持ちを落ち着けると、ステラは赤ん坊のほっぺを確かめるように撫でるとその手の指を反射的に握られた。
弱々しくも掴まれた小さなその手から自分は頼りにされたのだと感じ、ギュッと心をも掴まれて決めた。
「まずは私たち、家族3人で幸せになることを考えなければね!」
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