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身体測定ー9

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「9番、ヴァレンティーナ・マストランジェロです。天使番号は5番よ。趣味は色々あるけれど、一番はベルの着せ替えね。特技はアリー叔母上と同じかしら。歌と踊り、それから動物と話すこと。初恋はベルよ、ふふふ。だって、とってもちっちゃかっこかわいいのだもの。好みの男性は優しい人。特定の人に対してだけじゃないの、皆に優しい人よ。アクアーリオ国の王太子殿下が、どうかそうでありますように」

 カプリコルノ国王女である5番目の天使ヴァレンティーナ・マストランジェロ(12歳と10ヶ月)は――

 波打つ金糸のような髪に澄んだ蒼の瞳、珠のような肌。

 その目鼻立ちは、神の最高傑作。

 並んでしまえば、ここオルキデーア城の裏庭に庭師が丹精込めて造り上げた庭園の花々もただの道芝と化し。

 この宝島が誇る最高級の宝石――オルキデーア石ですら価値を失う。

 そこにいるだけで老若男女の目を奪い、心を奪い、微笑みかけれた者は、蕩けるように腰を抜かし。

 心身を痛め、涙を落としてしまえば戦の勃発。

 ――そんな奇跡みたいな王女は、この国の誰もが真に愛する『天使』だった。

 身体は弱くて体調を崩しやすく、力も無くてか弱い。

 でも歌や舞踏の他にも、楽器や刺繍だって上手な方だし、賢く勉強もよく出来た。

 性格は素直で明るく、淑やかでとても心優しく、現在コニッリョが唯一心を開いている人間。

 つまりそれは、未来のカプリコルノ国の命運を、このヴァレンティーナが握っていると言っても過言にはならなかった。

 本当の姉のように慕う侍女のベルが大好きで、宮廷の中は手を繋いで歩いていることが多い。

 母の遺言通り、将来は隣国アクアーリオの王太子と結婚して嫁ぐのだと皆に言い張っているが、本音を言えば不安だらけだった。

 無理なことだとは分かっていても、ベルも一緒に連れて行ければ良いのにと思う。ベルが共に居てくれるのならば、何だって出来る気がする故に。

 それに、親兄弟や叔父叔母、従兄弟たちと離れることも寂しいが、いつもすぐ傍で世話をしてくれるベルと離れ離れになるのはもっと寂しく、そのときを考える度に胸が張り裂けそうになる。

「ねぇ、ベル?」

「スィー、ティーナ様。もう少しで終わりますからね」

 と、いつもヴァレンティーナに向けてくれる優しい微笑が、少しぼやけて見えた。

「どうされたのです、ティーナ様」

 とベルが少し狼狽して、ヴァレンティーナの瞼にハンカチファッツォレットを当てる。他の一同が、「えっ」と驚いた声を上げて寄って来た。

「あ、ごめんなさい。大丈夫よ、なんでもないわ。ただ、私がお嫁にいっても、ベルに私のこと忘れないで欲しいなって……」

「当然でございます」

 と、言葉通りの表情があった。ベルが「それに」と続ける。

「ベルナデッタは、ティーナ様と交換日記を止めるつもりはございませんよ。離れて暮らすことになったって、ベルナデッタがティーナ様の侍女であることには変わりありません。悩みごとなどがあったら、必ず交換日記に書いてください。必ずです」

「そうだぞ、ティーナ!」

 とハナが声高になった。

「その交換日記は、あたいがテレトラスポルトで届けてやるから! ていうかもうこっちにはアラブさんやテンテンもいるんだし、ベルと会おうと思えば、いつだって会えるんだ! 泣くな!」

 ヴァレンティーナは「スィー」と答えて微笑した。それはいつ見ても、本物の天使としか言いようがない愛らしさだ。

 その身体測定の結果は、身長が157cmで、もう侍女ベルをとうに超えている。

 体重は43kgだった。

「うーん」と複数の声がハモった。

「私が言うのも何ですが、もう少し体重があった方が安心でしょうか……」

 とベルが言うと、ベラドンナが「そうね」と同意して続いた。

「ティーナ、おやつもしっかり食べてる? アンタ小食な方なんだし、その年齢から太ることを恐れてたら駄目よ? 将来、出るべきところが出ない貧相な身体になるんだからね? ていうか、アクアーリオ国の王太子と結婚することになったら、子供を産むことが最大の仕事になるのよ。15で成人するまではフラヴィオ様がお嫁にやらないけど、その後は向こうの都合に合わせることになるんだろうし、すぐ子供を産むことになるかもしれないわ。今からちゃんと身体を作っておかないと危険なのよ、分かってる?」

「ごめんなさい、ベラ叔母上。太ることが怖かったからとかじゃないの。おやつは意識してなかったっていうか……家庭教師の先生の下でお勉強してるときによくケーキトルタが出されるのだけれど、お勉強に集中しちゃって食べ忘れちゃうの」

「うっそ、信じらんない。どうやったらトルタ目の前に勉強が出来るのかしら。ねぇアリー、ティーナって本当に『ワタシの姪』だと思う?」

「『お義姉様の娘』だと思うわ」

「納得ぅー」

 成長期真っ只中のヴァレンティーナは、胸回り80cm・腰回り55cm・尻周り83cmだった。

「10番! ビアンカ・マストランジェロよ! 天使番号は6番! しゅみって? すきなこと? レオのおせわよ。あと、おままごとと、おけしょう。とくぎって? じょうずなこと? ビアンカなんでもじょうずよ。お歌も、おどりも、お絵かきも、みんなみんなじょうずなんだから! 初恋はレオよ。好みのオトコもレオよ。その次は、伯父上と父上。ビアンカ、しょうらいはレオと結婚――」

「出来ないってば」

「いいの、ベラちゃま! できるの! さいしょう閣下が、姉弟でも結婚できるようにしてくれるの! ねぇ、さいしょう閣下? ねぇ? してくれるでしょ、ねぇ? してくれなきゃビアンカやーよ。ねぇ、ベルちゃま?」

「へっ? あっ…ビアンカ様、その、私は…………う、うぅーん」

『力の王弟』である大公フェデリコの長女、6番目の天使ビアンカ・マストランジェロ(4歳になったばかり)は――

 明るめの茶色い髪と碧眼を持っている。

 アリーチェそっくりの可愛い顔立ちで、父・伯父譲りの高貴な碧眼はやっぱり自慢。

 中身はヴァレンティーナの同じくらいの頃と比べると、かなりの我儘姫に成長。

 父や伯父、兄、従兄弟など、愛しのレオナルド以外のマストランジェロ一族の男は、みんな下僕のごとく振り回す。

 またその男たちは一切叱らないわ、振り回されて嬉しそうなのもいるわで、教育係は専ら女たちの役。でも我儘は直りそうにない。

 また、おませで、最近は化粧を楽しんでいるようだ。頻繁に唇から紅が飛び出し、頬紅の塗り過ぎでおかしな顔になっていたりする。

 それを見かけると、フラヴィオなんかはとりあえず見えないところで大笑いして、その後は花を一輪持ってナンパに行くのがお決まりだ――

「Oh……! なんと愛らしい天使だ、一目惚れしてしまった。余と裏庭でデートアップンタメントしていただけぬか?」

 するとビアンカは花を受け取って、いつも誇らしげな顔になる。

 そして、相手は国王であることをちゃんと分かっているのか分かっていないのか、こんな風に返すのだ。

「いいわよ、仕方ないわね。ビアンカほんとはレオが好きなんだから、とくべつよ?」

 まったく違う性格の母アリーチェとしては、叱らずにはいられないし将来が心配だ。

 しかし、これはこれで魅力があるものだと、男たちに猫可愛がりされる小さな天使だった。

 その身体測定の結果は、身長100cm・体重15kg。平均より気持ち小柄程度だった。

「天使番号から言ったら次はベルだけど、飛ばして先にアヤメ殿下を測定しちゃおうかね」

 とピエトラが言うと、アヤメが「スィー」と承知した。でもその顔は沈み切っている。

「皆、笑わんといてな……」

 一同が顔を見合わせて笑い出した。

「あーん、言っとる側からぁ!」

「だってアヤメちゃん、気にしすぎなんだもの。きっとレオーネ国の女の人って美意識がとても高いのね。ところでレオーネ国の成人女性の平均ってどれくらい?」

 と、ヴァレンティーナが問うと、アヤメが少しのあいだ黙考してから「たしか」と答えた。

「おばあちゃんとか除いたら、身長158cmくらいで、体重は50kgと少しくらいやと思た。胸回りは83cmくらいで、腰回りは63~66cmくらいちゃうかな。で、お尻は88~90cmくらい」

 ベラドンナが「そんなん!」と笑い飛ばした。

「こっちの平均なんて、身長164cmに対して、体重は60kg超えてんのよー? その分、レオーネ人の女性より一回り、二回りは大きいし。ていうか、アヤメちゃんもまだ成長期なんだから、無理に痩せようとしたら駄目よ」

「う、うん……ほ、ほな、ほな! ほんまに笑わんといてな! あと、男たちには言わんといてぇーっ」

「ハイハイ」と再び笑われる中、アヤメが咳払いをして「11番!」と挙手した。

「ウチはアヤメ・マストランジェロ。旧姓はサイトウ。天使番号は8番。趣味は、レオーネ国におった頃は三味線っていう弦楽器やった。特技はお裁縫やろか。初恋はランド――夫のオルランド。ほんま、ずっとずっと、好きやった。好みもランドや。昔っからめっちゃ優しくて、穏やかで、ウチと違って賢くて……。あ、憧れはフラビー陛下とリコたん閣下やってんけどな? 今もやけど、かっこよすぎて意味わからへん。絶世の美女・美少女もおるし、町に出ても美男美女がゴロゴロしとるし、どうなってんねんこの国」

 レオーネ国王太子の長女で、ここカプリコルノ国の王太子妃・8番目の天使アヤメ・マストランジェロは――

 大抵のレオーネ人がそうであるように、黒髪と深い茶色の瞳をしている。

 直毛のサラサラとした黒髪は、前髪をベルと同じように眉の高さで切り揃え、後ろ髪は腰の下まである。

 アヤメはこっちの女と自身を比べ、容姿に劣等感を感じているようだが、こっちからすればレオーネ国の女はとても可愛い。

 だって小柄で、細くて、顔がぺちゃっとして、小さな歩幅でちょこちょこと歩くのだ。

『ぺちゃ』は言ってはいけないとも聞くが、こっちには高すぎる鼻が不細工で嫌だという者も少なくない故に、純粋に誉め言葉だ。

 さらにアヤメはぽちゃっとした丸顔で、目も丸くてクリクリで、こっちの誰の目にも愛らしく映る。

 夫の王太子オルランドなんかは特に、アヤメを見つめては「可愛い」だの「愛らしい」だの連発してデレデレになっている。

 性格もこっちの女たちと比べたら格段におとなしく、淑やかで、間違ってもベラドンナのように拳で男をぶっ飛ばす気配は無い。

 アヤメが天使の仕事以外で現在頑張っていることは『勉強』だった。それは本当のところ、あまり得意ではない。

 でも将来夫と共にカプリコルノ国を支えるため、夕餉後に2人で賢明に必要なことを学んでいる。

 オルランドは生真面目だが、やっぱりマストランジェロ一族の男といったところ。

 勉強中でもふと目が合ったときに「なんて愛らしいんだ」と恍惚とされ、「おいで」と膝の上の抱っこされ。

 勉強中だから「あかんよ」と言っているのに、「少しだけ」と長いあいだバーチョをカマされ、そのまま結局レットに連れて行かれたりして、新婚生活を満喫している今日この頃。

 そんなアヤメの身体測定の結果は、レオーネ国の平均より少し細身といったところ。

 身長158cm・体重48kg。

 胸回り82cm・腰回り62cm・尻周り86cmだった。

「ほら」と、何も気にする必要はないと、複数の声がハモった。でもアヤメは「いややー」と手で顔を塞ぐ。

「カプリコルノの女性よりずっと細いゆーても、ここにおる女子の中やったらウチの身体が一番あかんもん。次に測定するベルちゃんなんて、めっちゃ細い。うらやましいわぁ」

 とアヤメがそのベルを見、他の一同もベルを見る。

 測定係だったベルはまだヴェスティートを着たままだったのだが、それは順番が回ってきた現在も、脱ぐ気配がない。

 まるで、美しい立ち姿の石像のように硬直してる。

「ベルちゃん? どうしたん?」

 とアヤメがベルの顔の前で手を振ってみるが、その栗色の瞳は微動だにしない。

 ここでベルの親友ハナが、はっとその胸中を察する。

(そ、そうかっ…! ベルだけ胸回りが80cm無いかもしれないんだっ……!)

 常日頃から、親友が自身の小ぶりな胸元を如何に気にしているか知っているハナ。

 狼狽し、何とかせねばと口を開いたら、「あぁあぁあー」と裏声気味の変な声が出た。

「あぁーのさぁ、皆! 思い出したよ、あたい。ベルの測定はフラビーがひとりでやるんだって、さっき言ってた! だからあたいらは、ここから出て行こう! なっ!」

 ピエトラの眉間にシワが寄った。

「陛下はそんなこと仰っていたかい? ベルの測定をやりたそうな感じはしていたけど、はっきりやるなんて仰ってた記憶は無いけどねぇ」

「い、言ってたよ! フラビー、さっきたしかに言ってた! 家政婦長、耳遠くなってきたんじゃないか? それか聞いてたのに、もう忘れちゃったとか。やっぱり見た目は若くてもおばーちゃんなんだなぁ!」

 冗談で言ったハナだったが、煽ってしまったらしい。

「なんだって?」

 と低く声を響かせた家政婦長ピエトラが、ヴェスティートを脱ぎ捨てる。

 腰からぶら下げていた鍵束の重たい落下音が鳴り響き、鋼のような肉体が現れる。

「――…っ……!」

 何度見ていても驚愕し、絶句する一同の手前、ピエトラが筋肉の浮いた太腿に装備した武器――短剣と8本のナイフコルテッロ――を外していく。

「ベル、測っておくれ」

 急遽そういうことになった。

「12番、ピエトラ・リッチ。ここ宮廷オルキデーア城の家政婦長です。趣味は筋肉強化鍛錬。特技は家事全般とコルテッロ投げかね。初恋の人? もう死んだよ。好みは夫――執事のファウストって言っておけば良いかねぇ?」

 カプリコルノ国・宮廷オルキデーア城の家政婦長ピエトラ・リッチ(満62歳)は――

 フラヴィオ・フェデリコ兄弟の『第二の母』で、フラヴィオの方は乳母になったこともある。

 王子王女やその従兄弟たちは『ばあや』と呼ぶが、それには違和感のある外見年齢30代後半。

 白が一本も混じっていない焦げ茶色の髪はいつもきちんと結い上げ、凛としていて、姿勢は誰よりも美しい。

 宮廷の全室を管理しているため鍵束を腰からぶら下げ、宮廷の中を小走り速度でジャラジャラと音を立てながら歩き回る。

 宮廷に敵が侵入して来たときのため、ベルを始めとする使用人には皆、コルテッロ投げと短剣の使い方を叩き込んでいる。

 コルテッロ投げでこのピエトラに勝る者はいなく、天使軍で最強の腕っぷしを持つベラドンナよりも、確実に強いと言える稀有な人間の女性。

 また使用人の中でピエトラより強いのは、毎晩ピエトラと同じように筋肉強化鍛錬を怠らない剛腕の料理長フィコ(満55歳)ただひとり。

 その身体測定の結果は、身長165cm・体重58kg。

 筋肉でハリの凄そうな胸回りは、87cm。

 6つに割れたバキバキの腹を持つ腰回りは、62cm。

 重力にシカトを決め込む尻の回りは、88cmだった。

「すみませんでした」

 とハナが思わず謝ると、「(分かれば)良いんだよ」と笑顔になったピエトラ。

「さて」とベルを見た。

「ほら、早く脱ぎなベル。あんたの番だよ」

「いやいやいや!」

 と再び狼狽するは、やはりハナ。小刻みに震え、涙目になり始めたベルを背に庇う。

「駄目だって! さっき言ったじゃん! フラビーが測定するんだ、フラビーが!」

「いや、だから私は陛下がそんなことを仰ったのを聞いていないよ。ベル、早くしな」

「駄目だって、ピエトラさん! 駄目ったら駄目! ああもう、フラビィィィ――」

 とそこへ、ハナの叫喚を遮るように、脱衣所の扉を叩く音がした。

 続いて――

「待たせたな、アモーレ。約束通り、余が測定しよう」

 天の助けが現れた。


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