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最終話ー13
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ムサシ・ジルベルト兄弟とガルテリオが戦っている宮廷の裏庭には、度々ヴァレンティーナの叫び声が響いていた。
「うるせーぞ、ティーナ。大丈夫だって言ってんだろ」
とジルベルトが呆れ顔で、宮廷の1階の廊下からこちらを見守っているヴァレンティーナを見る。
「だ、だって…! こっちには兵士が少ないし、本当に大丈夫なのっ……!?」
「しつけー」
「心配しないで、ティーナ」
とガルテリオが兜の面頬を上げ、ヴァレンティーナに向けて微笑した。
「どうやら大手門の方――伯父上のいる『下の中庭』にピピストレッロが多く集中してるみたいだから、こっちは僕たち3人と少しの兵士だけで充分です。余裕です」
「そ…そう……ガルテリオ」
とヴァレンティーナが小さく安堵の溜め息を吐く。
2人の顔を見るジルベルトの顔が、訝し気になっていった。
「なあ、おまえら2人、何かあったのか? 最近よく一緒にいるのは気のせいか? あとガルテリオ、前はティーナ『殿下』って呼んでたのに、何呼び捨てにしてんだよ」
「おまえだって8歳のガキにも関わらず、生意気にも呼び捨てだろうが」
「そうだけど……本当になんかあったんじゃねーだろうな!?」
「フン」
「何だよ、フンて! おい、ガルテリオ!」
空に向かって弓矢を連射しているムサシが、「ああもう」と口を挟んだ。
「こんなときに喧嘩は止めるでござるよ、2人とも――って……」
と、矢を射るその手が一瞬止まった。
その糸目顔は宮廷を囲う城壁の方を向いていて、3人が視線を追うとそこには複数のコニッリョの姿があった。
裏庭に入ろうとしたようで、城壁の上によじ登っている。
しかしそれらは武器を持って戦っている3人を見るなり、悲鳴を上げて逃げていった。
「あっ、待ってコニッリョの皆!」
とヴァレンティーナが宮廷から飛び出そうとすると、その近くで裏庭にいる2人の息子を見守っていたベラドンナが「こら!」と引っ張り戻した。
「アンタは外に出ないの、危ないわね」
「ごめんなさい、ベラ叔母上。でも、コニッリョの皆は私に助けを求めて来たと思うの」
「そうかもしれないわね。アンタに対するコニッリョの信頼は絶大だし、カンクロ相手の防衛戦のときは、アンタがここの裏庭にコニッリョ集めて守ってたわけだし」
「危なかったでござるな」
とムサシが息を吐いた。
「『人間界の王』が裏庭で戦っていたら、これまでの努力が水泡に帰するところでござった」
「本当に。それにしても、なんでコニッリョは裏庭に入って来ようとしたんだ?」
とガルテリオが疑問を口にした。
「だからそれは、コニッリョの皆が私に助けを求めてきたからよ」
「スィー、ティーナ。それは分かるんですが、コニッリョは空を飛んでここへやって来ているピピストレッロの姿が見えなかったんだろうか」
「もちろん、見えていたと思うわ。でもコニッリョは突然のことに錯乱してしまっているせいか、城壁の中で人間が戦っていることに気付かなかったのよ」
その言葉の意味を一瞬理解出来なかった4人が、「え?」とヴァレンティーナの顔を見た。
「今コニッリョたちが怖がっているのはピピストレッロの方じゃなくて、人間の方なの。王都でピピストレッロ――つまりモストロ相手に戦ってる人間たちを見て、一部の子たちが怖くなってここへ来たのだと思うわ。本当、『人間界の王』が見つからなかっただけマシよ。見つかっていたら、『一部』の子たちだけじゃ済まなかったでしょうし、きっとここへも来なかったわ。最近『人間界の王』と信頼を築いていただけに、酷く裏切られた気分で、みーんな山へ逃げていたでしょうね」
「なんでコニッリョはピピストレッロを怖がらないんだよ?」
「それはね、ジル。コニッリョが同じガットでも、ティグラートの方には怯えて、ネーロの方には怯えないのと同じ理由よ。レオいわくピピストレッロは草食らしいから、捕食される心配がないって思うのでしょうね。それにピピストレッロはコニッリョには何もするつもりないでしょうし、モストロ同士ってそういうの分かるのよ」
「なるほどね」
と返したベラドンナが、緊張した面持ちで「でも」と続けた。
「どうせなら、コニッリョ皆で一匹残らず山へ逃げていてくれた方が良かったかもしれないとも思うわ。最近グワリーレを使えるコニッリョが出て来たことを考えれば、近くに居てくれた方がありがたいような気もするけど……でも、さっきドルフも言ってたじゃない。『万が一』ということもあるかもしれないのよ。フラヴィオ様が、絶対コニッリョに見つからないって言える?」
ジルベルトが「大丈夫だろ」と言った。
「『中の中庭』から出なければ。コニッリョが入ってきたことあるのは、ここの裏庭だけだし」
「じゃあ、言い方を変えるけど、この状況でフラヴィオ様が宮廷から出なくて済むと思う? さっき大手門から見たでしょう? 皆の想像を絶したピピストレッロの数だったわ」
今度はヴァレンティーナが「大丈夫でしょう?」と返した。
「だって、とっても頼りになるタロウくんたちが来てくれるもの。私もしかしたら、タナカさんとササキさんも来てくれるかもとも思ってるわ」
「そうだったら安心だけど……でもワタシ、今こう思ってるのよ」
とベラドンナの瞳が、4人の顔を見回して不安げに揺れ動いた。
「タロウ君たち、遅くない……?」
――王都の北西に位置する、3番目の天使セレーナのパネッテリーア前。
戦っているティートとエルネスト、兵士たちの前に、テレトラスポルトで逃げ遅れた民衆を助けて回っているルフィーナが現れた。
「良かった、間に合いましたね。はい、どうぞ。ひとり5枚ずつ追加です」
と2人と兵士たちにバッリエーラを掛ける。
「ありがとうございます、ルフィーナ王妃陛下。でも、そんなに魔法を使って大丈夫ですか? ただでさえテレトラスポルトで町を回ってるのに、もうバッリエーラやグワリーレを掛けて回る余裕なんてないのでは」
とエルネストが心配して問うと、ルフィーナが「スィー」と言った。
「正直、余裕は無いです。私はティグラートのメッゾサングエですから、純血ガットより魔力も低ければ、魔法を使える回数も少ないので。また、お兄ちゃんやアレックス・シルビーも」
「じゃあ、ぼくたちは後回しで結構です。だってほらこの通り、ぼくたちの方へは幸い対処しきれないほどのピピストレッロは飛んできていませんから」
「大丈夫です、そろそろタロウさんたちが来てくれるはずですから」
とルフィーナが「それでは」と言って、テレトラスポルトでパネッテリーア前を後にした。
兵士が矢で射落としたピピストレッロを、ティートとエルネストがすかさず剣で仕留めてパネッテリーア前を守備する。
それから5分ほどすると、パネッテリーアの扉の奥からセレーナの声が聞こえてきた。
「ねえ、本当に大丈夫?」
「うん、大丈夫だよセレーナさん」
とティートが返すと、それは「でも」と続けた。
「ちょっと遅い気がするんだけど、タロウ君たち」
「うん……正直おれも思ってた。4匹ともすぐにすっ飛んで来てくれそうなものなのに……おかしくないか? テンテンに何かあったのかも」
とティートが言うと、エルネストが「大丈夫だよ」と励ました。
「きっとテンテンは、プリームラで民衆を避難させるのに少し時間が掛かっちゃったんだと思うんだ。そろそろ来るよ」
「うん……そうだよな」
「スィー」と頷いたエルネストが「それに」と続ける。
「ピピストレッロたちあんまり積極的に攻撃を仕掛けて来ないし、ちょっと遅れても大丈夫だよ。あと30分は余裕で耐えられそう」
「たしかに見るからに手を抜いてるよな」
「それってやっぱり、『誰か』を探してるからなのかな」
「そんな感じだな。おれたちのすぐ後ろにあるパネッテリーアの中に『誰か』がいたらやばいから、炎を思い切り使えないみたいな」
「ねぇ、『誰か』って?」
とパネッテリーアの扉の奥から、民衆の女の声が聞こえた。
続いて、セレーナの声も聞こえてくる。
「分かるのは、サジッターリオから来た人ってことよね。だって彼らは、サジッターリオの船を追ってきたのでしょう?」
「そうなんだ。レオが、ピピストレッロは海や湖の上を怖くて飛べないって言ってたのに。彼らにとってよっぽどの『誰か』が船に乗ってたのかも」
とティートが言うと、兵士が首を傾げた。
「あの……レオナルド様はピピストレッロにお詳しいようですが、その情報はどこから入手されたのですか?」
「レオはピピストレッロの本をもらってるんだよ、ハーゲンから」
「ハーゲン? ……って、ああ、お亡くなりになってしまったサジッターリオ国の天才ヴィオリニスタですか」
「そう。生前、ハーゲンは宮廷楽士になる前にピピストレッロの研究をしていたらしくって……――」
と、ふとティートの言葉が途切れた。
同時にエルネストや兵士たちの声も聞こえなくなり、パネッテリーアの中からセレーナが「どうしたの?」と問うた。
でも返答がなく、不審に思ったセレーナがパネッテリーアの扉の鍵を開けて外を見ようとしたとき、ようやくその声が聞こえてきた。
「駄目、出て来ないでセレーナさん。すぐに鍵を閉めて。皆……皆、絶対に出て来ちゃ駄目だ!」
ティートとエルネストのバッリエーラの破砕音が鳴り渡った。
「うるせーぞ、ティーナ。大丈夫だって言ってんだろ」
とジルベルトが呆れ顔で、宮廷の1階の廊下からこちらを見守っているヴァレンティーナを見る。
「だ、だって…! こっちには兵士が少ないし、本当に大丈夫なのっ……!?」
「しつけー」
「心配しないで、ティーナ」
とガルテリオが兜の面頬を上げ、ヴァレンティーナに向けて微笑した。
「どうやら大手門の方――伯父上のいる『下の中庭』にピピストレッロが多く集中してるみたいだから、こっちは僕たち3人と少しの兵士だけで充分です。余裕です」
「そ…そう……ガルテリオ」
とヴァレンティーナが小さく安堵の溜め息を吐く。
2人の顔を見るジルベルトの顔が、訝し気になっていった。
「なあ、おまえら2人、何かあったのか? 最近よく一緒にいるのは気のせいか? あとガルテリオ、前はティーナ『殿下』って呼んでたのに、何呼び捨てにしてんだよ」
「おまえだって8歳のガキにも関わらず、生意気にも呼び捨てだろうが」
「そうだけど……本当になんかあったんじゃねーだろうな!?」
「フン」
「何だよ、フンて! おい、ガルテリオ!」
空に向かって弓矢を連射しているムサシが、「ああもう」と口を挟んだ。
「こんなときに喧嘩は止めるでござるよ、2人とも――って……」
と、矢を射るその手が一瞬止まった。
その糸目顔は宮廷を囲う城壁の方を向いていて、3人が視線を追うとそこには複数のコニッリョの姿があった。
裏庭に入ろうとしたようで、城壁の上によじ登っている。
しかしそれらは武器を持って戦っている3人を見るなり、悲鳴を上げて逃げていった。
「あっ、待ってコニッリョの皆!」
とヴァレンティーナが宮廷から飛び出そうとすると、その近くで裏庭にいる2人の息子を見守っていたベラドンナが「こら!」と引っ張り戻した。
「アンタは外に出ないの、危ないわね」
「ごめんなさい、ベラ叔母上。でも、コニッリョの皆は私に助けを求めて来たと思うの」
「そうかもしれないわね。アンタに対するコニッリョの信頼は絶大だし、カンクロ相手の防衛戦のときは、アンタがここの裏庭にコニッリョ集めて守ってたわけだし」
「危なかったでござるな」
とムサシが息を吐いた。
「『人間界の王』が裏庭で戦っていたら、これまでの努力が水泡に帰するところでござった」
「本当に。それにしても、なんでコニッリョは裏庭に入って来ようとしたんだ?」
とガルテリオが疑問を口にした。
「だからそれは、コニッリョの皆が私に助けを求めてきたからよ」
「スィー、ティーナ。それは分かるんですが、コニッリョは空を飛んでここへやって来ているピピストレッロの姿が見えなかったんだろうか」
「もちろん、見えていたと思うわ。でもコニッリョは突然のことに錯乱してしまっているせいか、城壁の中で人間が戦っていることに気付かなかったのよ」
その言葉の意味を一瞬理解出来なかった4人が、「え?」とヴァレンティーナの顔を見た。
「今コニッリョたちが怖がっているのはピピストレッロの方じゃなくて、人間の方なの。王都でピピストレッロ――つまりモストロ相手に戦ってる人間たちを見て、一部の子たちが怖くなってここへ来たのだと思うわ。本当、『人間界の王』が見つからなかっただけマシよ。見つかっていたら、『一部』の子たちだけじゃ済まなかったでしょうし、きっとここへも来なかったわ。最近『人間界の王』と信頼を築いていただけに、酷く裏切られた気分で、みーんな山へ逃げていたでしょうね」
「なんでコニッリョはピピストレッロを怖がらないんだよ?」
「それはね、ジル。コニッリョが同じガットでも、ティグラートの方には怯えて、ネーロの方には怯えないのと同じ理由よ。レオいわくピピストレッロは草食らしいから、捕食される心配がないって思うのでしょうね。それにピピストレッロはコニッリョには何もするつもりないでしょうし、モストロ同士ってそういうの分かるのよ」
「なるほどね」
と返したベラドンナが、緊張した面持ちで「でも」と続けた。
「どうせなら、コニッリョ皆で一匹残らず山へ逃げていてくれた方が良かったかもしれないとも思うわ。最近グワリーレを使えるコニッリョが出て来たことを考えれば、近くに居てくれた方がありがたいような気もするけど……でも、さっきドルフも言ってたじゃない。『万が一』ということもあるかもしれないのよ。フラヴィオ様が、絶対コニッリョに見つからないって言える?」
ジルベルトが「大丈夫だろ」と言った。
「『中の中庭』から出なければ。コニッリョが入ってきたことあるのは、ここの裏庭だけだし」
「じゃあ、言い方を変えるけど、この状況でフラヴィオ様が宮廷から出なくて済むと思う? さっき大手門から見たでしょう? 皆の想像を絶したピピストレッロの数だったわ」
今度はヴァレンティーナが「大丈夫でしょう?」と返した。
「だって、とっても頼りになるタロウくんたちが来てくれるもの。私もしかしたら、タナカさんとササキさんも来てくれるかもとも思ってるわ」
「そうだったら安心だけど……でもワタシ、今こう思ってるのよ」
とベラドンナの瞳が、4人の顔を見回して不安げに揺れ動いた。
「タロウ君たち、遅くない……?」
――王都の北西に位置する、3番目の天使セレーナのパネッテリーア前。
戦っているティートとエルネスト、兵士たちの前に、テレトラスポルトで逃げ遅れた民衆を助けて回っているルフィーナが現れた。
「良かった、間に合いましたね。はい、どうぞ。ひとり5枚ずつ追加です」
と2人と兵士たちにバッリエーラを掛ける。
「ありがとうございます、ルフィーナ王妃陛下。でも、そんなに魔法を使って大丈夫ですか? ただでさえテレトラスポルトで町を回ってるのに、もうバッリエーラやグワリーレを掛けて回る余裕なんてないのでは」
とエルネストが心配して問うと、ルフィーナが「スィー」と言った。
「正直、余裕は無いです。私はティグラートのメッゾサングエですから、純血ガットより魔力も低ければ、魔法を使える回数も少ないので。また、お兄ちゃんやアレックス・シルビーも」
「じゃあ、ぼくたちは後回しで結構です。だってほらこの通り、ぼくたちの方へは幸い対処しきれないほどのピピストレッロは飛んできていませんから」
「大丈夫です、そろそろタロウさんたちが来てくれるはずですから」
とルフィーナが「それでは」と言って、テレトラスポルトでパネッテリーア前を後にした。
兵士が矢で射落としたピピストレッロを、ティートとエルネストがすかさず剣で仕留めてパネッテリーア前を守備する。
それから5分ほどすると、パネッテリーアの扉の奥からセレーナの声が聞こえてきた。
「ねえ、本当に大丈夫?」
「うん、大丈夫だよセレーナさん」
とティートが返すと、それは「でも」と続けた。
「ちょっと遅い気がするんだけど、タロウ君たち」
「うん……正直おれも思ってた。4匹ともすぐにすっ飛んで来てくれそうなものなのに……おかしくないか? テンテンに何かあったのかも」
とティートが言うと、エルネストが「大丈夫だよ」と励ました。
「きっとテンテンは、プリームラで民衆を避難させるのに少し時間が掛かっちゃったんだと思うんだ。そろそろ来るよ」
「うん……そうだよな」
「スィー」と頷いたエルネストが「それに」と続ける。
「ピピストレッロたちあんまり積極的に攻撃を仕掛けて来ないし、ちょっと遅れても大丈夫だよ。あと30分は余裕で耐えられそう」
「たしかに見るからに手を抜いてるよな」
「それってやっぱり、『誰か』を探してるからなのかな」
「そんな感じだな。おれたちのすぐ後ろにあるパネッテリーアの中に『誰か』がいたらやばいから、炎を思い切り使えないみたいな」
「ねぇ、『誰か』って?」
とパネッテリーアの扉の奥から、民衆の女の声が聞こえた。
続いて、セレーナの声も聞こえてくる。
「分かるのは、サジッターリオから来た人ってことよね。だって彼らは、サジッターリオの船を追ってきたのでしょう?」
「そうなんだ。レオが、ピピストレッロは海や湖の上を怖くて飛べないって言ってたのに。彼らにとってよっぽどの『誰か』が船に乗ってたのかも」
とティートが言うと、兵士が首を傾げた。
「あの……レオナルド様はピピストレッロにお詳しいようですが、その情報はどこから入手されたのですか?」
「レオはピピストレッロの本をもらってるんだよ、ハーゲンから」
「ハーゲン? ……って、ああ、お亡くなりになってしまったサジッターリオ国の天才ヴィオリニスタですか」
「そう。生前、ハーゲンは宮廷楽士になる前にピピストレッロの研究をしていたらしくって……――」
と、ふとティートの言葉が途切れた。
同時にエルネストや兵士たちの声も聞こえなくなり、パネッテリーアの中からセレーナが「どうしたの?」と問うた。
でも返答がなく、不審に思ったセレーナがパネッテリーアの扉の鍵を開けて外を見ようとしたとき、ようやくその声が聞こえてきた。
「駄目、出て来ないでセレーナさん。すぐに鍵を閉めて。皆……皆、絶対に出て来ちゃ駄目だ!」
ティートとエルネストのバッリエーラの破砕音が鳴り渡った。
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