4 / 303
第2話ー3
しおりを挟む
ベルは口を布で塞がれ、コートを被され、エステ・スキーパの馬に乗せられた。
ガタガタと震えているうちに、王都オルキデーアにあるエステ・スキーパの屋敷に辿り着いた。
木枠と土壁の家が多い中で、貴族の家は石造りのしっかりしたものだった。
「喜べ、ベル。おまえは今日から俺の『養女』だ」
明るい月明りの下で、その顔をようやくまともに見た。
当時年齢36歳で、もみあげから顎まで髭を生やしており、豚のような鼻をしていた。
日々軍事訓練に勤しんでいるらしいオルキデーア軍の将軍――少将だというから、身体は引き締まっていそうなものだが、でっぷりとした腹だった。
養女――娘と言った割りには、その手付きは乱暴だった。
ベルの細い手首を引っ掴み、地下へと続く階段を下りて行き、そこにあった部屋にベルを放り投げて扉を閉めた。
真っ暗だった。
ふと蝋燭の火が灯されてそちらを見ると、行方不明になっていたラチェレの姿があった。
「――ああ、そんなっ……ベル……!」
ラチェレに口を塞いでいた布を解いてもらった刹那、ベルはその胸にしがみ付いて泣き出した。
母が殺された悲しみ。
これから確実に起こる恐怖。
朝まで涙が止まらなかった。
朝に涙が止まったのは、エステ・スキーパの母親や妻、娘といった女たちが入って来て、ラチェレと共にあれやこれやと家事を命じられたからだ。
その頃のベルは、まともに料理が出来なくて文句を言われた。
食器を落として割ってしまい、怒号された。
まだ小さいからとベルを庇ってくれたラチェレの服に火の付いた蝋燭が投げられ、そのスカートに穴が空いた。
これだけでもベルにとっては地獄だった。
だが本当の恐怖は、女たちが寝静まったその日の夜中から始まった。
蝋燭を持ち、2人の息子――当時16歳と15歳――を連れて、エステ・スキーパが地下室に入って来た。
ベルを見ながら、興奮しているのが分かった。
「見ろ、おまえたち。新入りのベルナデッタだ。奴隷のクセに偉く可愛い顔をしてるだろ。なぁに、大丈夫だ。ラチェレみたいにまた死んだことにすると酒池肉林王に怪しまれるからな、母親が死んだ哀れなこいつを『養女』として迎えてやったということにした」
父親そっくりな息子2人の顔も、興奮していた。
これから何が起こるか分からなかったが、ただひたすらに恐怖に震えていたベルの前に、ラチェレが立ち塞がった。
「お許しください! この子はまだ5つばかりの子供なのです!」
黙れと怒号され、エステ・スキーパに張り飛ばされたラチェレが床の上に倒れた。
しかしエステ・スキーパの手がベルに伸びると、その背に飛び掛かり、首元に噛みついた。
その行動はエステ・スキーパだけでなく2人の息子も激昂させ、3人束になり、ラチェレを殴る蹴るの暴行が始まった。
泣き叫んでいたベルにも、やがて3人の手が伸びて来た。
力ずくで引っ張られた服が、呆気なく破かれていった。
「やめてっ……!」
ボロボロになったラチェレの精一杯の叫び声は覚えている。
でも、その後何が行われたのかは、恐怖で頭が真っ白になっていたベルは、よく覚えていない。
ただ、下半身を裂かれるような痛烈な痛みは感じたし、全てが終わり、脚の間から真っ赤な血と白濁した液体が流れているのを見たとき、自身は何かとても大切なものを失い、とてもとても穢れたということだけは分かった。
エステ・スキーパたち親子が去った後、膝の震えが止まらなかった。
吐き気を催し、その日ほとんど食べ物を与えられていなかった胃から出たものは、液体だけだった。
床の上を這うようにして寄って来たラチェレはベルを腕に抱き、泣きながら呼んでいた。
「陛下っ…陛下っ……! どうか、どうか、わたしたちをお助け下さいっ……フラヴィオ・マストランジェロ陛下っ……!」
朝が来たら、ラチェレの身体は冷たくなっていた。
その後、現在の生活が続くことになった。
日中は家中の家事をしながら女たちの嫌がらせを受け、夜中は男たちに弄ばれる。
母に通うよう言われた学校に行くことは許されず、言葉を喋ることが出来ても読み書きは出来ない。
家事は出来ぬものが無いほどに上達したが、代わりに笑顔も涙も消え、表情は『無』になった。
フラヴィオが数度に渡り、ベルを訪ねて来てくれたのは知っている。
その都度ここの住人は、ベルの口を塞いで地下室に閉じ込め、フラヴィオにそれっぽい嘘の理由を言って帰らせた。
一度、わざと音を立ててフラヴィオに訴えてみた。
ネズミが出るということにされ、気付いてもらえなかった。
そしてその後、わざと音を立てたことで住人皆が激昂し、酷い暴行を受けた。
だからもう、フラヴィオが来ても膝を抱え、声を殺して帰るのを待った。
でも先ほど、ついにフラヴィオの視界に入ったのだ。
あまりの派手さに呆然としてしまったが、たしかにフラヴィオはこのベルを見つめていた。
少し鋭く、澄んだ蒼の瞳で、真っ直ぐにベルを見つめていた。
(――でも、わずかな時間だった)
忘れ物をしたことに気付いたらしいエステ・スキーパが踵を返し、その際に玄関先にベルがいるのを見て、慌てて家の中に押し込んだからだ。
「あの王に見られたか……!?」
どうやらフラヴィオが、ベルを見ていたことには気付かなかったらしい。
ベルは久々に、この返事をしていた。
「ノ」
エステ・スキーパは胸を撫で下ろすと、ベルの手から忘れ物を奪うように取った。
ベルの頭を一発叩いて地下に行くよう命じ、再び家を後にした。
(きっと、何も変わらない……)
甲高い声で昼食はまだかと女たちに怒号され、ベルは止まっていた手を動かして料理を再開した。
そして今夜は外に出たことを理由に、いつもに増した地獄が待っていた。
――しかし、その翌朝のことだった。
国王の常備軍であるオルキデーア軍と、プリームラ軍。
その内、前者に所属するエステ・スキーパとその息子2人が、本日の仕事――軍事訓練――に行った後のことだった。
地下で朝食の片付け――皿洗いをしていたベルの耳に、聞き覚えのある声が聞こえて来た。
ベルよりもずっと低いけれど、優しく、明るく、穏やかな声だ。
「こんな朝っぱらから訪ねて来て申し訳ない。今日はベルナデッタに用があって来た」
どきっとして皿を洗う手が止まった。
フラヴィオが来た。
昨日のあの僅かな出会いの、次の日に。
「おはようございます、陛下。ベルは今、その……」
エステ・スキーパの娘の声が聞こえた。嘘の口実を考えているらしい。
「まだ7時だ。今日はどこかに出掛けていたりしないだろう?」
「い、いえ、あの子ったら、朝食を食べたばかりだというのに、足りないと言ってパン屋にっ……」
「そうか、では中で待たせて頂こう」
「陛下っ……!」
フラヴィオが強引に家の中に入ったのが分かった。
いつもはそんなことをしないし、その足はこの地下へと続く階段を下りて来ていると分かって、ベルの動悸がより一層高鳴る。
どうしよう。
どうすべきなのか。
突然のことに困惑し、狼狽し、皿を投げ出した。
近くの酒樽の傍らに、小さくなって身を隠す。
「陛下、お待ちください! そこは厨房ですから、客間へご案内致しますわ!」
今度はエステ・スキーパの妻の声が聞こえた。
「陛下、なりません! そこは……!」
エステ・スキーパの年老いた母親の声も聞こえた。
しかし、ベルの方へと向かってくる足音が止むことは無かった。
間もなく、地下室の扉が開かれる。
もう駄目だと思ったらしい女たちが、一斉に声を呑んだ。
フラヴィオの碧眼が、部屋の中を見回した後、酒樽に目を留める。
そこから見えているベルの小さな足を見つけると、「ふふ」と笑った。
「かくれんぼか?」
ベルは、慌てて汚れた爪先を引っ込めた。
でも、もう遅い。
その足音は尚のこと迫って来て、そして膝を抱えているベルの真正面で止まった。
どうやら、普段からあの黄金色の派手な板金鎧でいるわけではないらしい。
そのピカピカに磨かれた黒の大きなブーツが、ベルの目に入る。
同時に、母の声が蘇った。
――フラヴィオ・マストランジェロ陛下は、絶対にあんたを助けてくれるよ。
ベルの小さな小さな肩を、大きな手がすっぽりと包み込む。
(ああ……)
ベルの鶏がらのような脚の膝の裏に、金糸の刺繍の入ったシャツを纏っている大きな腕が差し込まれた。
(お母さん…本当ね……お母さん)
綿にでもなったように、ふわり、と身体が浮く。
(フラヴィオ・マストランジェロ陛下は、本当に私を助けてくれるのね……――)
顔を上げたベルの視界に映る。
見慣れたエステ・スキーパとは真逆に近い、整った顔立ち。
襟足で束ねた高貴な金の髪に、本日の左耳には青の宝石――オルキデーア石。
少し鋭く澄んだ碧眼がベルの顔を見つめ、柔らかく、明るく、綻んだ。
「見つけたぞ、7番目の天使――ベルナデッタよ」
そして――
「よし、行こう。ふふふ」
問答無用で即刻、宮廷オルキデーア城に連れ去られた。
ガタガタと震えているうちに、王都オルキデーアにあるエステ・スキーパの屋敷に辿り着いた。
木枠と土壁の家が多い中で、貴族の家は石造りのしっかりしたものだった。
「喜べ、ベル。おまえは今日から俺の『養女』だ」
明るい月明りの下で、その顔をようやくまともに見た。
当時年齢36歳で、もみあげから顎まで髭を生やしており、豚のような鼻をしていた。
日々軍事訓練に勤しんでいるらしいオルキデーア軍の将軍――少将だというから、身体は引き締まっていそうなものだが、でっぷりとした腹だった。
養女――娘と言った割りには、その手付きは乱暴だった。
ベルの細い手首を引っ掴み、地下へと続く階段を下りて行き、そこにあった部屋にベルを放り投げて扉を閉めた。
真っ暗だった。
ふと蝋燭の火が灯されてそちらを見ると、行方不明になっていたラチェレの姿があった。
「――ああ、そんなっ……ベル……!」
ラチェレに口を塞いでいた布を解いてもらった刹那、ベルはその胸にしがみ付いて泣き出した。
母が殺された悲しみ。
これから確実に起こる恐怖。
朝まで涙が止まらなかった。
朝に涙が止まったのは、エステ・スキーパの母親や妻、娘といった女たちが入って来て、ラチェレと共にあれやこれやと家事を命じられたからだ。
その頃のベルは、まともに料理が出来なくて文句を言われた。
食器を落として割ってしまい、怒号された。
まだ小さいからとベルを庇ってくれたラチェレの服に火の付いた蝋燭が投げられ、そのスカートに穴が空いた。
これだけでもベルにとっては地獄だった。
だが本当の恐怖は、女たちが寝静まったその日の夜中から始まった。
蝋燭を持ち、2人の息子――当時16歳と15歳――を連れて、エステ・スキーパが地下室に入って来た。
ベルを見ながら、興奮しているのが分かった。
「見ろ、おまえたち。新入りのベルナデッタだ。奴隷のクセに偉く可愛い顔をしてるだろ。なぁに、大丈夫だ。ラチェレみたいにまた死んだことにすると酒池肉林王に怪しまれるからな、母親が死んだ哀れなこいつを『養女』として迎えてやったということにした」
父親そっくりな息子2人の顔も、興奮していた。
これから何が起こるか分からなかったが、ただひたすらに恐怖に震えていたベルの前に、ラチェレが立ち塞がった。
「お許しください! この子はまだ5つばかりの子供なのです!」
黙れと怒号され、エステ・スキーパに張り飛ばされたラチェレが床の上に倒れた。
しかしエステ・スキーパの手がベルに伸びると、その背に飛び掛かり、首元に噛みついた。
その行動はエステ・スキーパだけでなく2人の息子も激昂させ、3人束になり、ラチェレを殴る蹴るの暴行が始まった。
泣き叫んでいたベルにも、やがて3人の手が伸びて来た。
力ずくで引っ張られた服が、呆気なく破かれていった。
「やめてっ……!」
ボロボロになったラチェレの精一杯の叫び声は覚えている。
でも、その後何が行われたのかは、恐怖で頭が真っ白になっていたベルは、よく覚えていない。
ただ、下半身を裂かれるような痛烈な痛みは感じたし、全てが終わり、脚の間から真っ赤な血と白濁した液体が流れているのを見たとき、自身は何かとても大切なものを失い、とてもとても穢れたということだけは分かった。
エステ・スキーパたち親子が去った後、膝の震えが止まらなかった。
吐き気を催し、その日ほとんど食べ物を与えられていなかった胃から出たものは、液体だけだった。
床の上を這うようにして寄って来たラチェレはベルを腕に抱き、泣きながら呼んでいた。
「陛下っ…陛下っ……! どうか、どうか、わたしたちをお助け下さいっ……フラヴィオ・マストランジェロ陛下っ……!」
朝が来たら、ラチェレの身体は冷たくなっていた。
その後、現在の生活が続くことになった。
日中は家中の家事をしながら女たちの嫌がらせを受け、夜中は男たちに弄ばれる。
母に通うよう言われた学校に行くことは許されず、言葉を喋ることが出来ても読み書きは出来ない。
家事は出来ぬものが無いほどに上達したが、代わりに笑顔も涙も消え、表情は『無』になった。
フラヴィオが数度に渡り、ベルを訪ねて来てくれたのは知っている。
その都度ここの住人は、ベルの口を塞いで地下室に閉じ込め、フラヴィオにそれっぽい嘘の理由を言って帰らせた。
一度、わざと音を立ててフラヴィオに訴えてみた。
ネズミが出るということにされ、気付いてもらえなかった。
そしてその後、わざと音を立てたことで住人皆が激昂し、酷い暴行を受けた。
だからもう、フラヴィオが来ても膝を抱え、声を殺して帰るのを待った。
でも先ほど、ついにフラヴィオの視界に入ったのだ。
あまりの派手さに呆然としてしまったが、たしかにフラヴィオはこのベルを見つめていた。
少し鋭く、澄んだ蒼の瞳で、真っ直ぐにベルを見つめていた。
(――でも、わずかな時間だった)
忘れ物をしたことに気付いたらしいエステ・スキーパが踵を返し、その際に玄関先にベルがいるのを見て、慌てて家の中に押し込んだからだ。
「あの王に見られたか……!?」
どうやらフラヴィオが、ベルを見ていたことには気付かなかったらしい。
ベルは久々に、この返事をしていた。
「ノ」
エステ・スキーパは胸を撫で下ろすと、ベルの手から忘れ物を奪うように取った。
ベルの頭を一発叩いて地下に行くよう命じ、再び家を後にした。
(きっと、何も変わらない……)
甲高い声で昼食はまだかと女たちに怒号され、ベルは止まっていた手を動かして料理を再開した。
そして今夜は外に出たことを理由に、いつもに増した地獄が待っていた。
――しかし、その翌朝のことだった。
国王の常備軍であるオルキデーア軍と、プリームラ軍。
その内、前者に所属するエステ・スキーパとその息子2人が、本日の仕事――軍事訓練――に行った後のことだった。
地下で朝食の片付け――皿洗いをしていたベルの耳に、聞き覚えのある声が聞こえて来た。
ベルよりもずっと低いけれど、優しく、明るく、穏やかな声だ。
「こんな朝っぱらから訪ねて来て申し訳ない。今日はベルナデッタに用があって来た」
どきっとして皿を洗う手が止まった。
フラヴィオが来た。
昨日のあの僅かな出会いの、次の日に。
「おはようございます、陛下。ベルは今、その……」
エステ・スキーパの娘の声が聞こえた。嘘の口実を考えているらしい。
「まだ7時だ。今日はどこかに出掛けていたりしないだろう?」
「い、いえ、あの子ったら、朝食を食べたばかりだというのに、足りないと言ってパン屋にっ……」
「そうか、では中で待たせて頂こう」
「陛下っ……!」
フラヴィオが強引に家の中に入ったのが分かった。
いつもはそんなことをしないし、その足はこの地下へと続く階段を下りて来ていると分かって、ベルの動悸がより一層高鳴る。
どうしよう。
どうすべきなのか。
突然のことに困惑し、狼狽し、皿を投げ出した。
近くの酒樽の傍らに、小さくなって身を隠す。
「陛下、お待ちください! そこは厨房ですから、客間へご案内致しますわ!」
今度はエステ・スキーパの妻の声が聞こえた。
「陛下、なりません! そこは……!」
エステ・スキーパの年老いた母親の声も聞こえた。
しかし、ベルの方へと向かってくる足音が止むことは無かった。
間もなく、地下室の扉が開かれる。
もう駄目だと思ったらしい女たちが、一斉に声を呑んだ。
フラヴィオの碧眼が、部屋の中を見回した後、酒樽に目を留める。
そこから見えているベルの小さな足を見つけると、「ふふ」と笑った。
「かくれんぼか?」
ベルは、慌てて汚れた爪先を引っ込めた。
でも、もう遅い。
その足音は尚のこと迫って来て、そして膝を抱えているベルの真正面で止まった。
どうやら、普段からあの黄金色の派手な板金鎧でいるわけではないらしい。
そのピカピカに磨かれた黒の大きなブーツが、ベルの目に入る。
同時に、母の声が蘇った。
――フラヴィオ・マストランジェロ陛下は、絶対にあんたを助けてくれるよ。
ベルの小さな小さな肩を、大きな手がすっぽりと包み込む。
(ああ……)
ベルの鶏がらのような脚の膝の裏に、金糸の刺繍の入ったシャツを纏っている大きな腕が差し込まれた。
(お母さん…本当ね……お母さん)
綿にでもなったように、ふわり、と身体が浮く。
(フラヴィオ・マストランジェロ陛下は、本当に私を助けてくれるのね……――)
顔を上げたベルの視界に映る。
見慣れたエステ・スキーパとは真逆に近い、整った顔立ち。
襟足で束ねた高貴な金の髪に、本日の左耳には青の宝石――オルキデーア石。
少し鋭く澄んだ碧眼がベルの顔を見つめ、柔らかく、明るく、綻んだ。
「見つけたぞ、7番目の天使――ベルナデッタよ」
そして――
「よし、行こう。ふふふ」
問答無用で即刻、宮廷オルキデーア城に連れ去られた。
0
お気に入りに追加
90
あなたにおすすめの小説
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。

五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる