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第6章

始まり

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 エリザベスは自分の店である『迷えるダンジョン』のバーにいた。

暗殺者アサシン達はどうなったのか知らないけど、同業者に命狙われるのはあまりいい気はしないなぁ………」

 暗殺者達を気絶させ、依頼書を持って帰ろうとした際にダイナマイトを腹に巻き付けた贅肉がなく男前な顔付きの指揮官らしき人物が姿消しの魔法で隠れていて、嗅覚で察知していたケロベロスが対処していなかったらと思うとゾッとした。

「まぁ、王様に報告したし商会の方からは店の差し押さえと営業停止処分を言い渡したからとりあえずは大丈夫かなぁ………」
「今回はお疲れ様でした…… こちらのカクテルをどうぞ!」

 青色の右目と薄い青色の左目を持った、珍しいヴァンパイアであるマルニーニャお手製のファジー・ネーブル曖昧な味を貰い、少し混ぜて飲んだ。
 甘い香りがするピーチ・リキュールと程よく酸味の効いたオレンジ・ジュースの組み合わせが実にいい味になっている。

(そう言えば前の世界ではカクテルは美味しいとか思わなかったけど、こっちに来てからは色々味覚が変わった気がするなぁ………)

 そんな事を思いながらエリザベスはカクテルを飲み干した。

「ごちそうさま」
「二杯目はいいのですか?」
「まだ仕事が残ってるからね………」

 実を言うとエリザベスはこの後、王様から直々に迷惑を掛けた詫びとしての晩餐会に呼ばれているので、お酒は控えめにしか飲めないのである。
 あまり参加したくないが、王様から呼ばれているので嫌でも行かねばならないと覚悟を決め、自室へと戻った………

~自室にて~
「ドレスは何を着ればいいかなぁ……上品そうな奴を着ても王妃様より目立つとなぁ………」

 エリザベスはどうしようかと悩んでいた。それもそのはず、階級社会での女性達はファッションで己の地位の高さ、名誉を引き出しているのであるから………
 男にも若干ではあるが、ファッションで地位や名誉を物語ものがたらせるのもいる。
 そんな社会であるが為に、上の者を敬う気持ちと言うかマナーと言うかそんな事をちょっと気にした。

「う~ん…… キナシに聞いてみようかなぁ………」
「お呼びですか!?」
「聞いてたの!?」
「半径15m以内でマスターが呼べばどこにでも参りましょう!」
「怖っ! そんな事しなくていいからね………」
「でっ、ご用は?」

 注意しても聞いてなさそうと感じ、用件を言った。

「王様の晩餐会に行くならどんなドレスがいい?」
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