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第十三話 判断の誤り

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森の中に鹿が2匹いる。一匹は子、もう1匹は親。おっぱいを飲んでいる。
星野は弓矢を親に向ける。強く引く、手を離した。
放物線を描いた矢が見事に地面に刺さる。鹿達は森の奥へと逃げた。
「クソ!」
もっと練習が必要だ!そう言い、星野は地面に刺さっている矢をイベントリーに入れる。
そして、イベントリーから焼き済みの肉を取り出し、一口かじる。また、イベントリーに入れる。
肉をかじりながら自分のテントへと戻り、木の枝を投げ入れる。中には焚き火用の枯れ葉や枝が沢山ある。
川に口をつけて水を飲んだ。イベントリーにある食料も少なくなってきた。ナタで泳ぐ魚を刺すのも簡単ではないのだ。だが、仕掛けを作ることはできた。
100ポイントで罠を買った。森の中に置き、動物が来たら足を強く挟まれて動けなくなるのだ。
そのような罠を3つ森に仕掛けた。
一応4つ目を川の中にも入れたが、意味があるかどうかはわからない。
「やっぱり、テントじゃなく、家がいいよな~」
そう言いながら、買った斧で木を切っていく。星野は原始時代に来て初めて現代の幸せを知った。好きなだけご飯が食えて、水も飲める。年中快適な家がある、暑い時はエアコンも扇風機もアイスもある。寒い時はこたつ、エアコン、コンスープがある。今では全部自分で調達しなければならないのだ。
木が勢いよく倒れた。先端のいらない枝や葉っぱを切り落として、細かくしていく。星野は家を作りたいが、作り方がそもそもわからない。だから、切った木は小さくして薪にしている。火はいつだって必要なんだ。
「それにしても田中の野郎はこんなのを一人でやったのか?」
誰も答えてはくれない、孤独というものは悲しい。
陽が下がってきた。
「やべえ、もうすぐ夜になる」
星野はテントの外に薪や葉っぱを並べて、火をつけた。
火が高く上がり、高さは星野の腰ほどまである。
星野は火の前に座り、前世の記憶を遡っている。
「あの頃は楽しかった。」
無意識に口が動き出した。
「はあ~疲れた。仲間が欲しいな~神様!俺に仲間を与えてくれよ!できれば綺麗なお姉さんにして~前世は彼女も作れなかったし~」
~~~
「あああ!どうしよう、33号を254号が拒絶してしまった!」
白衣を着た若者の研究員が頭を強く掻いている。
ドアが開く、老いている研究員が資料を机に投げ捨てた。
「お前のオフィスのものだ。君はこの研究から外れることとなった」
若者研究員が怒りながら立ち上がる。
「なぜですか!?」
老人研究員が資料をさした。
「お前がまとめたんだな?その努力と熱心は認める。だが、全て無意味だ・・・君のまとめた資料は全て研究にとって意味がない。その上、君の決断で33と254のワールド結合、結果254の心を改善できず、さらには二つの重要な試験体の関係を悪くしてしまった。責任は確かに私が取る。そのせいで私も研究から外れる、そういうことで今日中に荷物をまとめとけ」
そう言い、老人研究員は強くドアを閉め、廊下を歩き続けた。
若者研究員は呆然と机にある大量の資料を見つめている。
「もし、私があっちに行けたら?俺自体が価値になったら?」
to be continued···
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