ゴースト

第三話 避難

来たヘリコプターは3機だけだった。でも避難地域にいる人は3000くらい、明らかに足りないのは誰の目から見てもわかった。
ヘリから一人降りてきた。
「全員は救えないんだ。すまない、もうすぐあいつらがここに来る・・・軍人を優先する。頑張ってくれたな、市民は50人弱だ」
兵士たちが次々とヘリコプターに乗り込んだ。
「子供連れを優先しよう」
アダムとトルターはヘリコプターに入った。
結局普通市民はほとんど乗れなかった。ろくな武器もない彼らは、バリケードが破壊されたあと、全員食い尽くされた。
機内は狭く、立ってる人がほとんどだ。
「まるで満員電車だな」
トルターの言葉に返事をするものはいなかった。
2時間後、ヘリコプターは軍が管理する軍事基地についた。そこから、バスで市役所に行ったり、そのまま親族にお迎えされた人もいる。
アダムとトルターは市役所に向かった。
「君のお父さんなら、俺らを助けてくれるかもしれない・・・頑張ろう」
「うん」
～5年後～
「トルターさん、今日は卒業式だから、ちゃんと来てね！」
「わかったよ～」
あの化け物たちは『ゴースト』と呼ばれるようになった。最大身長は3ｍほど、手は⒉5ｍもある。そして、比率的に細い手足なのに、握力や腕力は桁外れ、そして最大の特徴は直径70ｃｍほどの頭部、その半分が口。歯は最大のもので20ｃｍもある。
ゴーストに繁殖機や性別は見られず、体には3つの臓器しかない。脳、心臓、そして胴体の97％を占める胃。脳と心臓は全て頭部に入っており、胃だけ胴体にある。ゴーストが食べたものは排泄されず、全て消化され栄養となる。
ロシアの北部は今全てゴーストに支配されてしまい、一番南に近い町では10ｋｍ外の鉄格子を張られいるが、ゴーストが来たら何の意味も、事実上、近くに人間が居なければ、ゴーストは安静した状態になる。
人間を1週間以上摂食しないと、別の生物を食べるようになり、それでも摂食できないと、個体差はあるが1ヶ月ほどで死ぬ。ちなみに、植物は一切食べていない。
5年も過ぎたがゴーストはいまだに餓死しておらず、ドローンや飛行機が通ると、建物から出てくることがある。
このことを受け、中国政府はゴーストに侵入を防ぐため、万里の長城の再建及び修復を決行、かなり反発の意見もあったが、政府が全中国の端末にあるゴーストが人を食べるシーン撮影した動画を送ると、反発するものはいなくなった。
元の長城をベースに鉄鋼やコンクリートで固め、大砲なども付けた。足りない部分は一から作った。
この工事に中国は国家予算を駆使し、3年に完成した。
万里の長城は別名で『最後の砦』と呼ばれるようになった。
to be continued···