ゴースト

第一話 日常

シベリア北部某集落
「はあ～はあ～はあ～」
口から白い息を吐く少女が全力で走っている。右手には銃がある。周りは雪が積もるほど寒いのにも関わらず、彼女は薄い室内着と裸足で雪原を駆けている。
足がつまずき、倒れた。
「誰が助けて・・・」
彼女は自分が来た方へと銃を向けた。
黒くて大きい何かがゆっくり近づいてきている。
「どうしてこんなことになったの！何でよ・・・」
何かを思い、彼女は銃を自分の頭に突きつけた。
「さよなら」
銃声が鳴り響く、黒くて大きい化け物は彼女の死体を持ち上げ、口の中をへと放り込んだ。そして、骨パキパキと折れる音と共に咀嚼された少女は消化されていくのだ。
少女を平らげた化け物は南下していく、集落の中からも、多くの化け物が出てきていく。全部南の、人が住む方へと進んでいるのだ。
奴らが歩いた後の雪原には赤い血で染まった道ができていた。
～～～
一人の少年が街の中を駆けめくっている。
「おい！」
中年のおっさんに掴まれた。
「走んなって～あぶねえだろアダムくんよ～」
「うるさい！ベーだ！」
口からベーという音を出しながらアダムは素早くおっさんの手から逃れて家に帰る。
「気をつけろよ～」
おっさんが手を振っているがアダムは無視した。
なんせ今は母が作った夕食を食いたいようだ。これが彼の放課後のルーティンだ
「警察だ。トルター、今あの子に何をした？」
おっさん（トルター）が警察の方を見る。
「何もしてねえよ、いくら前科持ちだからって毎日付きまとうのは酷いって」
「この小さな街じゃ、我々もやることがないからな～ははは」
警察たちは笑いなが過ぎていった。
「へへ～」
トルターはポケットから缶ビールを取り出し、プッシュッと音を立てて飲んだ。
～～～
アダムの家が見えてきた。
「やった！ついた」
彼の家は学校から遠く、走っても20分はかかる。
でも、アダムは気付いてない。街中に全く人がいないことに・・・
家のドアが開いていた。
「？」
家に入ってまずアダムは叫んだ。
「お母さん！ドアが壊れてるよ！」
物音がした。声と重なったせいでどこからきてるのかわかってない。
「お母さん・・・」
アダムはとりあえずリビングに行き、リュックをソファーに置いた。
「晩ご飯作ってない・・・」
いつも家に帰ったら、母がご飯を作っているとこを見るのが普通だったアダムだが、今日は母も毎日騒がしいな妹もいない。
またも物音がした。泣き声もある。
「キャリーだ！」
妹の声だと瞬時に判断したアダムはキッチンから包丁を一つ取り、二階経ていく。
階段を駆け上がる足音が屋内に響き渡る。
「キャリー！お母さん！いるなら返事して！」
キャリーの部屋から物音がする。ドアが外れて壊れてる。
大きくて、黒い。まん丸のでかい口しかない頭、そして体とは比率が合わない長くて細い手足。鋭い歯には血肉が残っている。
キャリーが今にも飲み込まれそうだ・・・
「お兄ちゃん助けて！！！！！！！！」
to be continued···