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第五十話 長い時
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人類
それは本当に奇妙な種族だった。
10万年ほど彼らは生きていた。しかし、その過程で何度も滅んでいるが、その度に何かきっかけ復興していた。
毎回一定の技術力に進化後に彼らはまた歴史を繰り返した。
~3002年3月4日~
一人の少年が都市の中で自転車を漕いでいた。
周りの人々が機械で構成された特殊なシューズを着ている中、一人だけ自転車は目立っていたが、彼は全く気にしなかった。
そして、1時間ほどで彼は郊外に着いた。
果てしなく広がる草原の中央に大量の墓が立っていた。
彼は自転車のカゴから花を取り出した。
そして、墓地の中で歩いていた。
そんな中、見かけない二人の姿が見えた。一人男で、上半身裸だった。もう一人は片本の腕がない女性だった。
その二人は、古びた墓の前で花や食べ物を添えていた。
彼は少し緊張していたが、無事にその二人組の横をすり抜けた。
「ねえ、君」
女性の方が彼に声をかけた。
「あ?え、はい?」
「歴史って得意?」
「え?あ?まあ、得意方だと思いますけど…なぜ、急に?」
「なんでもない、でも君がいつも墓参りに来てるからね、一度は声をかけてみたかったの」
少年は困惑していた。でも、すぐにあの二人組何も言わずに草原の彼方へと消えた。
「なんだったんだろうか?」
おじいちゃんの墓参りを終えた。少年はまた自転車に乗り、都市の片隅にある自分のマンションへと戻った。
そこには彼の病弱した母がいた。
「お母さん、ただいま」
「かえったのね…」
彼はお母さんの両手をにぎしめた。医師の診断からするとあと2分もすれば彼女はガンで死ぬ。それでも、母は墓参りに行けと言っていた。
「なんで、僕たちだけこんな目に…」
母の返答はなかった。もう死んだのかもしれない。でも、少年にできることは何もなかった。
そんな時玄関の扉が開いた。
「え?誰だ!?」
さっきの二人組がいた。
「やっぱり着いてきてよかった」
「え?」
「君はデフリン・ジャックでしょ?」
「なんで、僕の名前が?」
「君の苗字、ジャック。その人は君の先祖の名前で、私の昔の友達だった。彼は死ぬ前に私に彼の後代をよろしく頼むと言われたんだ。おかげ、生きる理由を見つけたんだ」
デフリンはさらに困惑していた。言葉が詰まっていたのだ。
「私はアメリア、彼はアングレ。嫌かもしれないが、生きたいなら私に着いてきて」
少年は都市から消えた。
アメリアもアングレも…
その選択は合っていた。二年後に、核戦争が起き、都市から何もかもが消えた。
廃墟になった都市を遠くから三人は眺めた。
「あの時にはもう戻れないんだ。僕たちが受け繋ぐ必要がある。全てをここで終わらせるわけにはいかない」
アングレはそういいなが、壊れたスマホを見つめた。
「W博士。ここまでは流石に想定してなかったでしょ?僕の勝ちだ。」
~~~
「アングレ!もう泣くな」
アングレは6歳で足を擦りむき泣いていたのだ。
「じゃあ、試合をしよう!君が私を驚かせたら君の勝ちだ!」
「え?う~うう」
「もう泣くなよ」
「嘘でした~」
涙を拭きながらアングレは笑顔を滲み出した。
「もう大丈夫だろ?でも、私は驚いていない。君が泣かなくなるのは想定内だ。」
「え~どうやったら僕の勝ち?」
「言っただろ?俺を驚かせてみて?これも成長だ」
「わかんないよ~」
「ゆっくり考えればいいのさあ~君の人生は長いよ」
我々は一つの歯車にすぎない。人類という大きな機械を動かすためには、我々歯車が噛み合っている必要があるのだ。例え何があろうと、我々は諦めていけない。昔の壊れ、捨てられた歯車に失礼じゃないか?
~完~
それは本当に奇妙な種族だった。
10万年ほど彼らは生きていた。しかし、その過程で何度も滅んでいるが、その度に何かきっかけ復興していた。
毎回一定の技術力に進化後に彼らはまた歴史を繰り返した。
~3002年3月4日~
一人の少年が都市の中で自転車を漕いでいた。
周りの人々が機械で構成された特殊なシューズを着ている中、一人だけ自転車は目立っていたが、彼は全く気にしなかった。
そして、1時間ほどで彼は郊外に着いた。
果てしなく広がる草原の中央に大量の墓が立っていた。
彼は自転車のカゴから花を取り出した。
そして、墓地の中で歩いていた。
そんな中、見かけない二人の姿が見えた。一人男で、上半身裸だった。もう一人は片本の腕がない女性だった。
その二人は、古びた墓の前で花や食べ物を添えていた。
彼は少し緊張していたが、無事にその二人組の横をすり抜けた。
「ねえ、君」
女性の方が彼に声をかけた。
「あ?え、はい?」
「歴史って得意?」
「え?あ?まあ、得意方だと思いますけど…なぜ、急に?」
「なんでもない、でも君がいつも墓参りに来てるからね、一度は声をかけてみたかったの」
少年は困惑していた。でも、すぐにあの二人組何も言わずに草原の彼方へと消えた。
「なんだったんだろうか?」
おじいちゃんの墓参りを終えた。少年はまた自転車に乗り、都市の片隅にある自分のマンションへと戻った。
そこには彼の病弱した母がいた。
「お母さん、ただいま」
「かえったのね…」
彼はお母さんの両手をにぎしめた。医師の診断からするとあと2分もすれば彼女はガンで死ぬ。それでも、母は墓参りに行けと言っていた。
「なんで、僕たちだけこんな目に…」
母の返答はなかった。もう死んだのかもしれない。でも、少年にできることは何もなかった。
そんな時玄関の扉が開いた。
「え?誰だ!?」
さっきの二人組がいた。
「やっぱり着いてきてよかった」
「え?」
「君はデフリン・ジャックでしょ?」
「なんで、僕の名前が?」
「君の苗字、ジャック。その人は君の先祖の名前で、私の昔の友達だった。彼は死ぬ前に私に彼の後代をよろしく頼むと言われたんだ。おかげ、生きる理由を見つけたんだ」
デフリンはさらに困惑していた。言葉が詰まっていたのだ。
「私はアメリア、彼はアングレ。嫌かもしれないが、生きたいなら私に着いてきて」
少年は都市から消えた。
アメリアもアングレも…
その選択は合っていた。二年後に、核戦争が起き、都市から何もかもが消えた。
廃墟になった都市を遠くから三人は眺めた。
「あの時にはもう戻れないんだ。僕たちが受け繋ぐ必要がある。全てをここで終わらせるわけにはいかない」
アングレはそういいなが、壊れたスマホを見つめた。
「W博士。ここまでは流石に想定してなかったでしょ?僕の勝ちだ。」
~~~
「アングレ!もう泣くな」
アングレは6歳で足を擦りむき泣いていたのだ。
「じゃあ、試合をしよう!君が私を驚かせたら君の勝ちだ!」
「え?う~うう」
「もう泣くなよ」
「嘘でした~」
涙を拭きながらアングレは笑顔を滲み出した。
「もう大丈夫だろ?でも、私は驚いていない。君が泣かなくなるのは想定内だ。」
「え~どうやったら僕の勝ち?」
「言っただろ?俺を驚かせてみて?これも成長だ」
「わかんないよ~」
「ゆっくり考えればいいのさあ~君の人生は長いよ」
我々は一つの歯車にすぎない。人類という大きな機械を動かすためには、我々歯車が噛み合っている必要があるのだ。例え何があろうと、我々は諦めていけない。昔の壊れ、捨てられた歯車に失礼じゃないか?
~完~
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