戦場の女神

ニタマゴ

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第四十八話 再会

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「ところでアメリアの家はどこ?」
「え?そんなのわからないよ~だってこの駅きたことないもん…」
アングレとアメリアが周りを見渡した…ここはヘレニム国内でもかなり繁栄した都市で、高層ビルも多く存在していた。
そして、アメリアの家はこの繁栄した都市の郊外に位置していた。しかし、大きな山に視野は隠され、アメリアは高層ビルを目にすることはなかった。
そして、今自分の国もこんなにすごかったと実感した。しかし、すぐに彼女はそんな自分を嫌った。
「本当にバカだよね。私たちって…」
「何?」
「アングレ、ヘレニムは好き?」
「え?あ、まあそりゃ好きっちゃ好きだけど?」
「スタラナは?」
「そんなに好感はないけど…」
アメリアはアングレの肩を残された右腕で掴んだ。
「アングレ、私たちには誰だって愛国心というものがある。しかし、私はわからない」
「え?何がわからないの?」
「なんでその素晴らしい愛国心は国境で止まっちゃうのよ!それが問題だよ!」
「なんで急に?(意味深すぎて一瞬脳がエンストしたわ)」
アメリアはアングレの肩から手を下ろした。
「なんでもない。とりあえず行こう」
皆服を着ている文明的な社会でアングレはかなり目立っていた。なぜなら、上半身を露出している変人にしか見えない。その隣で片腕と片目のない女が立っているという変な二人組だ。
二人はなんの意味もなく歩き出した。家に帰ろうとしているだけのではなく、こんな都市を探索したいという好奇心もあった。
「あ!アングレ、見て!」
アメリアが遠くにある大きな山を指した。緑に恵まれており、さらに雲が落ちていた。
「高いな~」
「あれは覚えてる!小さい頃よくお母さんと登っていた」
「じゃあ行こう!」
アメリアとアングレは走り出した。車が多く行き交う中で二人は気にせず、車道に出たり、騒いでいた。しかし、通行人からしたらいい迷惑でしかなかった。
何時間か二人は走り続けた。二人とも死なない化け物になっているので、簡単には疲れることがなかった。そして、山沿いのガードレールが敷かれた道を歩き、アメリアが目にしたのは自分の故郷。しかし、彼女の故郷も無事ではなく、遠くから見れば、一目瞭然で爆撃があった。
ここで、初めてアメリアは母の安否を心配した。
「まさか、そんな訳ないよ。絶対ない!」
「どうした?」
空気に読めないアングレが聞いた。
「なんでもない、行こう!」
~~~
町の門まで来た。町の中には銃を持って歩く兵士の姿さえあった。アメリアはふと思い出す、あの日自分はここを通って戦場へと向かった。彼女はバックの中を探った。あの弁当箱が出てきた。もう、何日もバックの中にあったのだ。そのせいで、ついていた調味料はとっくのとうにカビが生えていて、クサいにおいした。
ここから先の道はアメリアはあまり思い出せなかったが、体が自然と覚えていた。
そして、彼女は家に着いた。
to be continued…
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