戦場の女神

ニタマゴ

文字の大きさ
上 下
45 / 51

第四十五話 裏切り

しおりを挟む
12月25日、日没
日が落ち、あたりが暗闇に包まれた。市街地に一箇所に塹壕が掘られている。その塹壕内でヘレニム兵たちは身を休めている。
国際法の休戦というのは絶対的な命令ではなく、要請である。つまり、従わなくてもいいため、皆警戒心は捨てなかった。
アメリアとリアはテント内で雑談を続けていた。医薬品がほとんどない中、彼女らにできるの包帯による応急処置のみ。
そのなとき、アングレがテリーを引きずって入ってきた。
「アメリア!助けてくれ!」
アングレの顔に仮面がないから、アメリアは一瞬わからなかったが、アングレの声でわかった。
「アングレ!?どうしたの、来るなってい・・・」
アメリアはアングレが引きずっているテリーに気づいた。頭に穴が空いている。そこから血が漏れ出ている。
「話してたら狙撃されたんだ!あいつら人間じゃねえ!クリスマスに戦ってやがる!」
「ファ○ク!」
アメリアは隣に置いてあるアサルトライフルを取った。
「アメリア!テリーは!?」
「アングレ、人間は脳みそを撃ち抜かれた終わりなんだよ!彼はもう死んだ!」
「ああああああ!」
アングレがその場に膝をつけた。
「やだよ!そんなのやだよ!」
アメリアは戦闘準備をしながらリアに話した。
「リア、こいつに安定剤でも打ってくれ」
そして、テントを出たアメリアは、周りに大声で叫んだ。
「戦闘準備!休戦は破られた!」
それを聞いた一人のヘレニム兵が赤の信号弾をそれに撃った。それは、開戦を意味した。
~~~
一方密かに奇襲をかけようとしたスタラナ側は自分のたちの作戦がバレたことを知って、奇襲から全面戦争に作戦を切り替える。
ヘレニム側、スタラナ側へと侵攻を始めた。
アメリアもその一人に参加せざる終えなかった。信号弾が打たれてから2分、最初の銃声が鳴った。
その銃声は静冥な夜を切り裂き、戦闘音に変えた。
「広がれ!」
もう誰からの命令すら分からず、一列になっていたヘレニムの隊はすぐさまに左右に散って、近くの建物へと入った。
「クソ!」
アメリアが我慢できず暴言を吐く。
隣には3人のヘレニム兵がいる。名前すら知らない、ただただ自分の仲間であるとしか知らない。
「右斜に敵の狙撃手発見!」
「何階だ?」
「屋上です!10人以上はいる!」
それを聞いた一人が、無線機で本部に話しかけた。
「建物への広範囲火力支援を要請します!」
『了解、場所を特定している。建物に隠れろ、インバウンドに備えろ!』
「全員隠れろ!」
アメリアは近くの建物に入った。
すぐさまに周りで爆撃音が鳴った。
あたり一面火の海包まれた。
「おお!あの野郎ども全員死んだぜ!」
to be continued…
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

【完結】カワイイ子猫のつくり方

龍野ゆうき
青春
子猫を助けようとして樹から落下。それだけでも災難なのに、あれ?気が付いたら私…猫になってる!?そんな自分(猫)に手を差し伸べてくれたのは天敵のアイツだった。 無愛想毒舌眼鏡男と獣化主人公の間に生まれる恋?ちょっぴりファンタジーなラブコメ。

私の隣は、心が見えない男の子

舟渡あさひ
青春
人の心を五感で感じ取れる少女、人見一透。 隣の席の男子は九十九くん。一透は彼の心が上手く読み取れない。 二人はこの春から、同じクラスの高校生。 一透は九十九くんの心の様子が気になって、彼の観察を始めることにしました。 きっと彼が、私の求める答えを持っている。そう信じて。

ハレとケ

101の水輪
青春
人は祭りや祝い事などの非日常のハレと、日常のケのそれぞれで見せる顔を使い分けている。ときにはハレの顔を探られたくない、見られたくないと思うことがある。家や学校に居場所がなく、繁華街の一角に巣づく子どもたちがいる。彼らにとってそこがケだとすると寂しい限りだ。ある日、大介は尊敬する先輩の真の姿を目にする。その後、大介の行動に大きな変化が。101の水輪、第40話。なおこの作品の他に何を読むかは、101の水輪トリセツ(第77話と78話の間に掲載)でお探しください。

夏の青さに

詩葉
青春
小学生のころからの夢だった漫画家を目指し上京した湯川渉は、ある日才能が無いことを痛感して、専門学校を辞めた。 その日暮らしのアルバイト生活を送っていたある時、渉の元に同窓会の連絡が届くが、自分の現状を友人や家族にすら知られたくなかった彼はその誘いを断ってしまう。 次の日、同窓会の誘いをしてきた同級生の泉日向が急に渉の家に今から来ると言い出して……。 思い通りにいかない毎日に悩んで泣いてしまった時。 全てが嫌になって壊してしまったあの時。 あなたならどうしますか。あなたならどうしましたか。 これはある夏に、忘れかけていた空の色を思い出すお話。

パラダイス・ロスト

真波馨
ミステリー
架空都市K県でスーツケースに詰められた男の遺体が発見される。殺された男は、県警公安課のエスだった――K県警公安第三課に所属する公安警察官・新宮時也を主人公とした警察小説の第一作目。 ※旧作『パラダイス・ロスト』を加筆修正した作品です。大幅な内容の変更はなく、一部設定が変更されています。旧作版は〈小説家になろう〉〈カクヨム〉にのみ掲載しています。

GIVEN〜与えられた者〜

菅田刈乃
青春
囲碁棋士になった女の子が『どこでもドア』を作るまでの話。

榛名の園

ひかり企画
青春
荒れた14歳から17歳位までの、女子少年院経験記など、あたしの自伝小説を書いて見ました。

処理中です...