戦場の女神

ニタマゴ

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第四十三話 激戦

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3人はまたどこかへと歩き続ける。辺りの戦闘音は少し収まってきたが、代わりに空を戦闘機が切り抜き、体に染みるようなエンジン音だけが残された。
また一つの建物を曲がるとそこにはテントがあった。テントの上にはヘレニムの旗が立てられていた。
「アメリア、どうする?」
テリーがアメリアに聞く、もう彼は何も考えなくなった。ただただ誰かに従えばいい、そうすれば自分に責任はないから、罪悪感も自然となくなるはずだ。
「私は怪我人を手当てしてくる。危険だからアングレとテリーは適当な建物に隠れてて」
アメリアに言われた通り、2人は近くの建物に隠れた。
そして、アメリアがだけが赤の十字架が描かれているテントのなくに入る。
そこに入った途端、横たわっている怪我人たちの悲鳴が耳を伝わって脳へと入ってくる。
「あああ!助けてくれ!」
「痛い!痛いよ!」
「お母さん!あああ!」
このテントの中にいたのは2人の衛生兵だけだった。彼女二人はもうできることはし尽くしたみたいだ。なんせ、何十人もの怪我人を2人だけで対応しなきゃいけない、心も体も限界だった。そして、戦闘服を着たアメリアが入ってきたのを見て、また怪我人か・・・とすら勘違いした。
「すみません、私も衛生兵ですけど、何かお手伝いすることは?」
「あんたも衛生兵!?それは良かった!まだ何か医薬品はある?できれば止痛薬や麻酔!」
「あるはあるけど・・・麻酔は3人分で止痛薬は10錠です。それと安定剤も2人分はあります。」
一人の衛生兵がその場に崩れ落ちた。
「足りないよ~ここにある薬品は全て使ったし・・・これからももっと怪我人が増える!物資が足りないよ!」
前線では常に物資が不足する。なぜなら戦闘が激化する中、物資を運ぶのは大変困難、敵に見つかれでもすれば、生還は不可能。
アメリアはテント内にいる20人ほどいる怪我人たちを見渡す、静かにしているもいれば、何時間も泣いたら痛がったする人たちがいる。そんな人たちにひいきなしで麻酔を打ったら薬を私など不可能なのだ。
「大丈夫、どうにかなるから~あなたの名前は?」
アメリアが両手で衛生兵の両肩を抱える。
「私は・・・リア・・・」
「リアちゃん!頑張ろう、一緒にこの災難を乗り切ろうね!」
「あなたは何歳なの?」
「私は17歳だけど・・・」
アメリアの身長は女性の中でも高い方で、顔つきも成人の様だった。
「え?私の方が年上じゃん~私は18・・・」
「まじ?ごめんタメ口つかちゃった( ̄▽ ̄)」
to be continued...
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